処女作にて駄文注意です。
今回エトさんほぼ出番ないです。
ーー 僕には命を賭しても守りたいものがある。世界の誰もが望まなくても、彼女を守る為ならばどんな犠牲も払おう。例えこの身が滅びようとも、世界が滅びようとも。そう思えるほどに彼女は残酷で最悪でそして美しかった。
これから紡ぐ物語は僕と彼女の何気ない日常であり、僕が彼女を救う物語である。
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彼女との出会いは僕が高校生の頃であり、彼女が作家としてデビューをした少しあとの時だった。あの時の事を今でも鮮明に覚えている。あれは、桜が見頃を迎え空が絵に書いたような青色で僕が高校2年生になってから1週間ほどした時のことだ。
まず始めに僕の家庭環境から説明をしなければならない。僕の両親は既にこの世にはいないらしい。小さい頃の記憶なのでよく覚えていないが、どうやら僕を置いて家から出ていきそのまま行方不明のままのようだ。両親が居ないと知った時に普通ならばどう思うのだろうか。悲しいだとか寂しいだとかマイナスな気持ちになるのが普通だろう。けれども僕はそうではなかった。僕は両親が居ないことを悲しいとも寂しいとも思わなかった。と言うよりは、思わなくなったと言う方が適切だろうか。まるで海に投げ込まれた小石が作った波紋のように僕の心から両親に対しての感情は消えていった。
両親がいない僕を育ててくれたのは父の親戚にあたる人物であった。彼の住む家は綺麗な日本家屋だった。そして、彼もそこに住むであろうに相応しい髭を生やした着流しがよく似合うおじさんであった。(おじさんと呼ぶと怒られるのでおじさんはここだけの表現である)
彼は身寄りのない僕を養子として大事に育ててくれた。一般的な教養を学び、武道として柔道や剣道を始めとした様々な事を学ばせてくれた。特に僕が興味を持ったのは読書であり、この家の書斎には本が見渡す限りに並んでいたので飽きることもなく読書に耽っていた。どうやら彼は作家として成功したらしく、その時の印税でこの家を建てて現在も生活をしているらしい。(この話をしてくれた時はおじさんがだいぶ酒に酔っていたので真偽の程は定かである)
1人でいることが多かった僕にとって本は友達のような存在であった。ミステリー、時代劇、かつての文豪たちが紡いできた言葉を噛み締めるかのように僕は吸収していった。本を読めば読むほど、本を読みたくなる。人間の成長はいつかは止まり退化が始まるらしいが、本は進化も退化もしない不変なのである。本がボロボロになることがあっても彼らの言葉は変わらない、僕達人間が変わっていっても本は変わらず存在するのだ。なぜだろうか当時の僕には本が面白くもあり怖いと感じていた。人は変わり続けるのに人が作り上げたものが変わらないなんて、まるで僕達を監視し続けていて貴方は変わらず私たちを必要としてくれる?そう訴えているように感じてしまった。
このようして、僕は本のことが好きであり怖くもあった。本が変わらないように僕のこの生活も変わらないと当時の僕は思っていた。そんなことは無いのに。
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おじさんが倒れた。学校で3限目の日本史を受けている最中であった。その時学んでいたのは第二次世界大戦で日本がどうして太平洋戦争を開戦したかを知り、原爆によって戦争が終了したことを学んだ時であった。僕の心は深く傷ついた。両親がいなくなってからの10年ほどを育ててくれた大好きなおじさんが死んでしまうのでは無いかと頭に過ぎったからである。僕は先生と一緒にタクシーに乗り込み近くの市民病院に向かった。
幸いにも命に別状はなかったようで、僕が病室に入るとおじさんは笑いながら僕の頭を撫でてくれた。この時の感覚は死ぬまで忘れないだろう。最初は気づかなかったが僕は柄にもなく目から大きな雫を零していたようだ。そんな僕を見ておじさんは口を開ける。この時におじさんが紡いだ言葉を僕は一生忘れず、そして背負ったまま生きていくことになる。
「どんなに好きな人でもいつかは死んでしまう。死は皆平等に訪れるものだ。けれども、誰かがその平等性を崩し不条理が襲うことがある。それは俗に言う殺人である。殺人にも様々な動機がある。家族が殺されたから、金品が欲しかった、他にも色々あるが一番許してはならないのはただ殺したかったからという理由だ。理由があれば人を殺して良い訳では無いが意味もなく人を殺すことはあってはならない。お前は聡いからこの意味がわかるだろう?」
おじさんは僕に勉強を教える時のように丁寧に真面目に語りかけてくる。僕はおじさんが言いたいことが理解出来ていると思っていた。そんなことを見越しているのだろうか、続いておじさんは言葉を続ける
「俺が死んでもお前は悲しまなくていい。お前が悲しむ姿は見たくないし俺が死ぬのは必然だからな。それに女房を失ってから俺の生活は色彩を失ったように枯れていた。けれども、風の噂でお前の話を聞いた時に心のどこかでお前を助けてあげたいと思ったんだ、これが俺の最後の仕事のように俺は感じたよ。お前との生活を文字にして本にすることで、胸に溜まった泥が吐き出されるように思ったんだ。始めは愛想がなかったお前も歳を重ねる事に笑うようになっただろ。今でもたまにしか笑わないけどな・・・俺はそういう人間らしさが好きで作家という仕事をしていたんだ。出会いがあり、別れもあるこれが人生の楽しさであり辛いところだな。」
この後もおじさんの話は続いていく、ここに来るまでは空の色が青1色だったが今では淡いオレンジ色が僕らを照らすかのように窓から射し込んでいた。
「 話が長くて悪かったな。まぁ結局のところ俺が死んでも気にするなってことだな。それと、もしも自分が心から愛していると思える相手がお前にできたのなら何があっても支えてやれ、そして助けてやれ。俺にはそれが出来なかったが、お前なら出来るはずだ、何せお前は俺の自慢の息子だからな。」
おじさんはそう言葉を紡ぐと高笑いをして眠っていった。この後おじさんが目を覚ますことは無かった。これがおじさんと僕の最後の会話であり記憶に残る限り最後の涙であった。
後で聞いた話だが、どうやら僕の担任はおじさんが危ない状態であることを知っていたようだ。おじさんは意識を取り戻してから医者をどうにか説得して僕との最後の時間を作ってくれたらしい。そして、学校に連絡をして僕とおじさんの最後の時間を見守っていたようだ。医者から、君宛のだと言われ手のひらに乗る四角い箱を渡された。箱を開けてみると入っていたのは指輪のネックレスだった。指輪に刻まれた数字とイニシャルから察するにおじさんが結婚した時の結婚指輪であることはすぐに理解できた。おじさんがなぜ僕に渡したのかは分からないが僕はその指輪を肌身離さずに付けるようになった。
その後、病院で様々な手続きを終える頃には日が完全に沈んでいた。病院から家に帰る時に僕の担任はタクシーで送っていくと言っていたが僕はそれを断った。病院から家までは15分ほどだし、今は無性に1人になって風を感じたかった。タクシーが去っていくのを見送ってから街灯の光に導かれるように家を目指して歩いていく。これが僕の運命の出会いに繋がるのだ。
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夜はまだ冷えるな。昨日の天気予報では花見日和というほどに昼間は暖かかったが、夜は風が強く雲が月の光を遮るように浮かんでいる。急いでいるとはいえ、学校にブレザーを置いていったのは失敗だったかもしれない。しかし後悔をしたところで何も変わらない。
自販機で暖かい飲み物でも飲みたいな、できればコーヒーのブラックを。確かもう少し行った場所に暖かい飲み物がまだ売っている自販機があったはずだ。その自販機がある場所は街灯が少なく、帰り道でもなければ通りたくもない道だったが、背に腹はかえられない。僕はその自販機を目指して足を動かした。
やはりコーヒーはブラックに限るな。コーヒーを啜りながら満足した僕は、つい曲がる角を1個早く曲がってしまった。まぁ別に次の角を右に曲がれば変わらないだろうと思っていたが、どうやらこの道は行き止まりのようだ。はぁ元に戻るしかないか。そう思って踵を返そうとしたが、僕の足は動かなかった。というよりも動かせなかったのだ。行き止まりの壁に血塗れの女の子が倒れているではないか。見た感じ中学生ぐらいだろうか、壁に寄りかかっているからだろうか身長は150cmくらいで肩にかかるくらいのショートヘアと小さな童顔はより幼さを引き立たせた。
警察を呼ぶのが先だろうか、それとも救急車だろうか、そう考えながら電話をしようとポッケに手を突っ込むが自身の太ももに触れる感触しかしない。そういえば、今日はブレザーのポッケに携帯を入れていたんだった。まずいな、このまま彼女を置いて近くの家に行くのが得策だろうか。とりあえず、彼女が生きていることだけを確認しようと彼女へと歩を進めていく。
どうやら意識はあるようだ。意識があるのならばこのまま近所の家に警察と救急車を頼みに行ける。そう思い彼女の傍を離れようとするが、僕のシャツの袖を小さな手が掴んでいた。どうやら彼女が目を覚ましたようだ。
「大丈夫ですか?今から警察と救急車を呼んでもらうように頼みに行くので待っててくださいね」
そう言い彼女の手を袖から離そうとするがなかなか離れない。このままでは彼女が出血して死んでしまうではないか。そう思い無理矢理に彼女の手を引き剥がし立ち上がると今度は彼女の声が聞こえた。
「警察と救急車は呼ばなくていい。代わりにだが....」
警察と救急車はの呼ばなくていい?彼女はなぜそんなことを言ったのかは分からなかった。だが、今は彼女の言葉を聞こうではないか。
「代わりに何をすればいいんだ?」
僕の質問に答える、よりかは零れるような小さな声で彼女は呟いた。
「代わりに私に君の血を飲ませてくれ」
この女は何を言っているのだろうか。僕はこんな状況だが彼女の目を見て冷静になった。彼女の右目は黒曜石のように黒く、ルビーのように赤かったのだ。僕は彼女の正体に確信を持った。この見た目そして、警察も救急車も求めず血を求める。そんな存在この世の中にひとつしか存在しないだろう。
ーー彼女は喰種だ・・・。
これが僕と彼女の運命的な出会いだった。
読んでいただきあろがとうございます。
下書きを完成させただけなので続きはまだないですが、頑張って連載していきたいと思います。