台本置き場。   作:就鳥 ことり

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性別不問。

二人でやるのなら
・太陽、職員、ヤツデ、星の子
・リディア、看護師、星の子、芍薬の星
かなぁと。

新手のシチュエーションボイスドラマみたいな感じを目指しました。
拙いものではありますが、遊んで頂ければ幸いです。

聞き手が見習いに当たるので、会話を意識して間をとりつつ読んでくれたらなぁと思います。


30分くらい。


見習い魔道士と星の医者。前編。

リディア

「ソルじぃ、次は地表の検熱しますよ」

 

太陽

「あいわかった。だが先生、可愛らしいお客さんが来ているようだ」

 

リディア

「何かな、今は忙しい……ん?

あぁ、そうか。君は職場体験の子だね。ソル爺、今日は中央区の魔道士見習いの、確か……中等部だったかな。から、見習いが来るって話したの覚えてますか?」

 

太陽

「うーん、そうだったかなぁ。まぁいい、かわいい人の子。歓迎しよう。我こそが数多の世界を照らし、熱をもたらす偉大な惑星、ソルムジーク、またの名を太陽、さらにまたの名をラーメス、ソレイユ、あとは……なんじゃったか……まぁ気軽にソル爺と呼ぶといい」

 

リディア

「知っての通り、彼は老年の星だからね。人の子が可愛くて仕方ないんだ、数日の間だけれど仲良くしてやって」

 

太陽

「うむ、爺とあとでのんびり話そうじゃないか、人の子。よいだろう?先生」

 

リディア

「もちろん構いませんよ。さて、見習い。知っているだろうが私は、リディア。天体医学者、つまり星の医者をしている。太陽の主治医の魔導師であるから、太陽の魔導師とも呼ばれるね。それでキミは?」

 

太陽

「ほほぉう、虚空世界からの留学生とは珍しい。どの星の子だ。地球? アストールか!!!! おぉなんと、我が友の子ではないか。ほれ、ちこうよれ。じいちゃんに顔を見せてみろ」

 

リディア

「こら、ソル爺急に親戚面しないの。驚いてるでしょう。悪いね、見習い。ソル爺にとって地球はかわいい近所の子供なんだ。そして太陽系の星で唯一地球が、生命体、即ち子供を持ってるからね。もう君たち地球の子達が可愛くて仕方ないのさ」

 

太陽

「何を言う先生、我はこの世界のかわいい人の子たちのことも愛しておるぞ。人の子は総じて()い!!」

 

リディア

「わかってますよ。でも、内孫と外孫の違いみたいなものは実際あるでしょう」

 

太陽

「まぁ、確かにな。それで、地球の子。どこの国出身なんだ?日本!! よいな!!!! 我はあれが好きだ、竹取物語の絵巻やら、鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)!! 古事記なんかも良いな。あれは良いものだ。どうだ、地球の子、爺は最近の流行りものも知っておるのじゃ。お主はどの記述が好きかえ?」

 

リディア

「うーんソル爺、惜しいです。見習いと語るには少々昔の話題すぎるかと。あなたは体感速度が早いので仕方ないのですが、見習いと話すならざっと1500年くらい先の話題が良いでしょう」

 

太陽

「そうかぁ。月がかぐや姫が帰ってくると信じて毎夜毎夜待ちわびていたのはそんなに前の話だったか。我はつい昨日の事のように覚えているのだがな」

 

リディア

「もう1000年前のことですよ。そうなんだよ見習い……月はとても無邪気でね。兄の地球から聞かされた竹取物語を真に受けてしまったんだ。あれだ。見習いのところでいう、サンタクロースを信じて待つ子供に真実を打ち明ける機会を伺う親の気分だったよ」

 

太陽

「我としては愛くるしいばかりだったがな。して、地球の子。お主は何が好みなのだ……マンガ?とな」

 

リディア

「少年漫画が好きなのか。いいね。私も好きだよ。ソル爺の言ってた鳥獣戯画やら竹取物語もそうだけれど。あの国の想像力は素晴らしいね、学生寮にも置いてあっただろう、私たちは日本の漫画が好きなんだよ。あれらからヒントを得て生まれた魔術式もあるのは知っているかい?」

 

太陽

「ほほー。近頃の魔法はそうなっとるのか。見習いは勉強熱心なよい子じゃな。惑星言語も難しいだろうに、翻訳魔法もなしによく話せておる。謙遜するな、一つの銀河系の言語を習得してるだけで大したものだ。ここには翻訳魔法頼りの職員も多い」

 

リディア

「あぁ、それは十分に誇るべきことだよ。私が君くらいの時は翻訳魔法で手一杯だった。さて、そろそろ。おしゃべりはこのあたりにしようか。本格的なことは明日からだ。彗星(すいせい)の子供たちの健康診断を手伝ってもらう。今日はこの施設を見て回っておいで、質問があれば何でもするといい。職員にはそう通達されてるからね。ルーカ」

 

職員

「はい。アストロナースのルーカです。今日一日見習いさんの案内を担当します、先生も仰っていたように、気になることあれば、気軽に聞いてくださいね」

 

 

 

*シーン2*

 

 

 

リディア

「おはよう、見習い。よく眠れたかい? 眠そうだね、起きて早々悪いけれどさっそく出かけるよ。箒星(ほうきぼし)たちのふるさと、翠羅流(すいらる)星雲に行く。君の故郷の太陽系とはかなり遠い、地球人初の到達かもしれないね。昨日も話したけれど、今日は箒星の子供たちの健康診断をするよ。この時期、翠羅流星雲の幼星(おさなぼし)たちが箒星となって旅立つ。だから、長い旅立ちの前にメンテナンスをしておくんだ」

 

 

ヤツデ

「あっ、先輩おはようございます。それが例の見習いっすか?可愛いっすね」

 

リディア

「それ言うな。見習い、彼は小児科の天体医学者でヤツデという。今日はヤツデについて回れ。幼星のことなら、私より彼が適任だろう」

 

ヤツデ

「よろしくなー、見習い君」

 

リディア

「さて、では早速向かうとしよう、移動魔法陣は使ったことあるか? 」

 

ヤツデ

「だよなー、気にしなくて大丈夫だぜ見習いくん。先輩、今どきは、移動魔法陣なんて歴史の教科書でチラッと出てくるくらいなんすよ。見習い、実技でも扉魔法くらいだろ? ……やっぱね。使うのは星詠みと天体医療関係くらいよ」

 

リディア

「それもそうか。いいか、見習い。私に続いてヤツデと詠唱した後、左足の踵を3回鳴らせ。いくぞ、まずは術士詠唱から『リリル・リディア・シュテルーノ』」

 

ヤツデ

『メディル・ヤツデ・アストローレ』

 

(見習いが唱えてる間)

 

リディア

『星の子は彼方への旅路を望む』

 

『銀河を渡りし宇宙(そら)方舟(はこぶね)

 

指針(ししん)はこの手に』

 

『指し示す星の元に我はゆかん』

 

(コツコツコツ……)

 

(間)

 

ヤツデ

「あ。気がついた? 恐らく魔法陣酔いだな。寝心地はどうだったかな? 俺の膝枕は高いぞー」

 

「あはは。そう慌ててて飛び起きなくて大丈夫だって。さほど時間は経ってないし。ど? 大丈夫そう? 気持ち悪いとか、頭痛いとかない?」

 

「そ。それは良かった。そんじゃ、見習いくん。張り切って行こうぜ、って、あぁっと、その前に。君に翻訳魔法かけなくちゃ。あ。自分でかける? そんじゃ、任せた」

 

看護師

「ヤツデ先生、設営終わりました。いつでも開始できます」

 

ヤツデ

「はいはーい、了解。さ、見習いくん行くぜ」

 

「いい返事だねぇ、感心感心。さて、見習いくんに頼むのは身体測定とガス量検査。正常値かどうかの計算は俺の仕事だから、しなくていいぜ。ただ、人間で喩えると3歳くらいだから、ちゃんと子供に接するように、丁寧に、優しくな。お喋りしてなるべく機嫌を損ねないよう、ぐずらせんよう頑張って。話題は何でもいい、無難なのは歳とか行ってみたい場所とかな。ま、フォローはナース達がしてくれるから気楽にしてくれ」

 

 

看護師

「はい、アストロナースのハンナです。見習いさん、よろしくお願いしますね」

 

看護師

「では、お待たせしました。どうぞこちらに」

 

星の子1

「はーい。せんせ、こんにちは。よろちく、おねがいしまし。いくつ??んーとね、にまんちゃい。っ!! はわぁっ、せんせのもってる、それなぁに? キラキラしてきれーね。これで大きさ測るの?あい、いいでしよ。きをつけ?はーい、ぴしっ。……きをつけじょうず……ふへ、ふふ。あい、私はいいこなのでし。ん、ガス量?もうちょっと動いちゃ、め?わかりまちた 」

 

 

星の子2

「あい、先生こんにちは!! うん、ぼく元気!! 元気なあいさつ偉い?ふふふ。うん?ちょっと動いちゃダメなの?分かった!!……おしまい? ね、ね、先生ぼく何キロメートルだった?おっきくなれたかな?8キロメートル!!やったぁー!! あのね、あのね、ぼくね3000年前は6キロメートルだったの!!」

 

 

星の子3

「やだやだやだやだやだやだぁ、おれそれ嫌いだもん!!!!測らなくていいの!! 測らなくても、おれはどこまでも渡れるほうき星だもん!! ガスいっぱいあるもん!!!!

んぇ? どこに行きたい……? ふふふ、あのな、おれはスピカに会いに行きたいの!! せんせぇ、スピカ知ってるか、青く光るお星様なんだぜ!! え、スピカまでの距離?…………しらない。ひ、ひゃくおく……う、途中で足りなくなってひとりぼっちはやだ……わかったぁ、ガス測るぅ、でもな、でもな、おれね、あれビリッてして冷たいのやなの。ん……やくそく。……びゃぁぁぁぁぁぁっうっ、ううっ……せんせのうそつきぃぃぃぃ。うぅ……うん、おれがんばった、えらいぃ。んあっ、まだやめちゃだめ、もっとなでろ!!!!ううっ」

 

看護師

「お疲れ様でした。頑張ったね、えらいねぇ。みんなの所にいこっか」

 

星の子3

「う"ん……」

 

ヤツデ

「はい、見習いくんお疲れ様」

 

「あっははは。へにゃへにゃじゃん。見てたよ。上手じゃん、下の子でもいた?」

 

「道理で。見習いくん保育士も向いてんじゃねーの。なんてな。冗談だって、お前が本気なのはわかってるよ。本気で目指してるやつじゃねぇと天体医学なんて学んでられねぇよ。覚えること多すぎて青春投げ捨てなきゃなれねぇもんな」

 

「なぁ、お前。なんで、天体医学なの? あ、いやぁ、深い意味は無いんだけど、珍しいなって。ほら、虚空世界育ち、魔法のないとっから来た奴らって魔法騎士だとか、白魔道士だとか、派手なのになりたがる奴多いからさ」

 

「……人として、人類の尻拭いがしたい?? なんだそれ」

 

看護師

「先生大変です! 観察対象の彗星が見当たりません! もしや抜け出したのかもしれません」

 

ヤツデ

「おいおい……何をどうやったらあんなデカい観察対象を見失うんだよ……。先輩にどやされるのはマジ勘弁。あの人説教クソ長いんだよ。あー、見習い。疲れてるとこ悪いけどコキ使うぜ。……あとで美味しいもん奢ってやっから」

 

「はいはい、パンケーキでもパフェでもなんでも奢ってやんよ」

 

「赤く光る直径16キロの、少年期の星。……そうだ。よく勉強しているね見習いくん。箒星の子供として生まれながら大きく、ガス量も少ない。……お前と同じくらいの精神年齢だから、見つけたら間違っても幼児対応なんかするなよ」

 

 

*シーン3*

 

 

星の子4

「うえさま、うえさま」

 

星の子5

「どこいくの、どこどこ?」

 

芍薬の星

「おやおや。こんなところまで来てはいけないよ。綺羅星(きらぼし)の子達」

 

星の子4

「なんでなんで? うえさまはいいのに?」

 

芍薬の星

「ボクは年長者だからいいのさ。なんて、言っても仕方ないか。ほら。ここは力が強いから流されたら危ないだろう。待っててやるから慌てず、慎重においで。それにしたって、ヒトに擬態したボクを見つけてくるとは、君たち見る目があるじゃないか」

 

星の子5

「ふふふ。うえさまは、ぼく達の明るいお星さまだからね。真っ赤にキラキラしてるからすぐに分かるよ。ねー!」

 

星の子4

「ねー。あっ、そうだ。見てみてうえさま、さっきね。ヒトの子拾ったの」

 

芍薬の星

「ヒトの子? ……うわ。嫌なもの拾ってきたね、研修医かな。……君たち、いい子だから元の場所に帰りなさい」

 

星の子5

「やだ」

 

星の子4

「なんで、なんで」

 

芍薬の星

「このヒト、お医者さんの仲間なんだよ。ここにいることがバレたら怒られてしまう。それは嫌だろう?」

 

星の子4

「うん」

 

星の子5

「やだぁ……」

 

芍薬の星

「ね。だからそのヒトの子はボクに任せて戻ってしまいなさい。ボクが代わりに怒られておくから。わかったね」

 

星の子4

「はぁい」

 

星の子5

「わかったぁ」

 

芍薬の星

「ふぅ。……可愛い子達。あの子達ならどこまでも飛んでゆけるんだろうな。自由に。……気にかけてくれているヒトの子達には悪いけど、正直タイクツ。戻ったらまた50年は保護魔法の中かぁ」

 

「……なぁんだ、ヒトの子。気がついていたの。狸寝入りで盗み聞きとはいい趣味じゃないか」

 

「は、綺麗で見とれてた? そう、素直な物言いをする子は嫌いじゃないよ。本当、昔からヒトの子達は星を見ることが好きだよね。好きなだけ見てるといいよ、減るものでなし。彗星足りえないボクでも、星の役目は果たせるということだ」

 

「なに? そんな顔して、どうしたの。……あぁ、ボクのためにそんな顔をしてくれているんだね。そう。これだから、ヒトの子は可愛いよね。ね、君。どこまでボクの事を知っているの?」

 

「……そう。見ての通りボクは、魔力がある。だからこうして、ヒトの姿になって逃げおおせているのだけど。魔力を持った代わりに、ボクは彗星の子として生まれながら燃料となるガスは少なく、そして長径11キロオーバーの大型の小惑星だった。分かるだろう? 大きな彗星が他の星々にとってどれだけ危険か。まぁ、そもそもとして、ボクには旅をするだけの燃料も備わってないのだけれど」

 

「だから、ボクは宇宙を旅する星にはなれない、ただ、明るく光るだけの恒星さ。……君たちを困らせたかった訳じゃないのだけどね。また閉じこもる前に、少し、憧れの星を見たかったんだ。200億光年の先にある青い星を」

 

「……見えるよ。言ったでしょ、ボクには魔力がある。遠見の瞳の術くらいできるさ……え? 普通はそこまで遠くを見れない? そりゃあキミ、星と人とを比べてどうするの。可愛いヒトの子、特別にボクの瞳を分けてあげる。目を閉じて。うん、素直な子は好きだよ」

 

「さぁ、目を開いて、真っ直ぐ先を見てごらん。どう? 水の惑星と名高い星、アストール。旅を終えた星屑から聞かされた。それはそれはとっても美しい星なんだ、ね、君もそう思うでしょ。え、地球? アストールが君の故郷!!? なにそれ、羨ましい。ね、ね、どんな所なの。星屑達の話だと、水の他には花という可憐な生命に溢れた星と聞いたよ」

 

「コンクリートと電気? そう。太陽ってソルムジークのことだっけ? へー、彼の光の当たらない半分はイルミネーションになってるんだ。素敵だね。うん、とっても素敵だ。見に、行きたいな。いつか」

 

「ふふ。優しい子だね君は。でも、ボクを見てそんな悲痛そうな顔しないでおくれよ。星は人を癒す存在なのだから。なにも、ボクは無謀な夢を語ってるわけじゃない。たしかにボクは、箒星になるには大きすぎる身体と少ない燃料だ。でも、ボクは魔法が使える」

 

「転移魔法を使えばどこにだって行けるはずなんだ。今は衝突事故を起こさないように、銀河の地図を叩き込んでるから、まだ実行できてないんだけどね。かならず、ボクは行くよ。銀河を流れることは出来ないけれど、ボクにだって旅はできる筈だ」

 

「見習いくーん。どこだー……君まで迷子になることはないんだぜー。みーならーいくーん」

 

「おや、呼んでるね。ボクの話を聞いてくれてありがとう。そろそろ戻ろうか。ん? なぁに?」

 

「変なことを言うねキミ。星に名前なんてないよ、ヒトがたどり着いて、名を記され、人類史に残され、はじめて星に名前が刻まれる」

 

「え。君が個人で付けてくれるの? ふーん。どういうことかわかってるのかな? でもまぁ、いいかな。うん、いいよ。君なら。ボクは名前を貰っても、なんて付けてくれるの?」

 

「『芍薬の君』? シャクヤク? それは、なにか意味でもあるのかい?」

 

「ふぅん、地球では美しいものを花に例えるんだ、雅だね。……ボクが地球と花が好きだというから考えてくれたの。そう。ふふ、ほんとにヒトの子の考えることはいじらしいね、愛らしい。うん、気に入った、ありがとうね」

 

 

*シーン4*

 

 

芍薬の星

「やぁ、Dr.ヤツデ。戻ったよ」

 

ヤツデ

「うわ、美人……って、ん? もしかしてお前彗星か!! 見習いくんも一緒じゃん、良かった。ありがとうな。お疲れ様。もーっ、心配したじゃんか。みんな君がふらっと消えるから探し回ったんだぞ」

 

芍薬の星

「あっははは。ごめんね、戻る前に星を見ておきたかったんだ。ところでドクター、ボクにはもうシャクヤクって名前があるんだ。呼んでくれると嬉しいよ」

 

ヤツデ

「んえ"っ……」

 

「……」

 

「……あの、ダレニモラッタンデスカ」

 

芍薬の星

「うん、そこの可愛いヒトの子にだよ」

 

ヤツデ

「っはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 無理!!!! とても無理!!!!!! やだぁ、頭痛い!!!! 圧倒的監督不行届ぃぃぃぃぃぃぃ!絶対先輩に締められる無理!! ストレスで禿げる!!!!!!」

 

芍薬の星

「あっははは。愉快愉快。あぁ、大丈夫だよ可愛い子。キミは何も悪いことはしてないよ、ねぇドクター?」

 

ヤツデ

「いや、大丈夫じゃないから!!!!確かにわるいことではないけどね!!????? 見習いくん、絶対知らないでやったでしょ。まだ、習わないし、契約を許されるほど星に好かれるとかレアケースすぎるもんね!!?」

 

芍薬の星

「そうかな。憧れの星、アストールの子で、優しい素直な可愛い子が名前付けたいって言うから、いいかなって。そんなもんだよ」

 

ヤツデ

「よくない!!! なんで?? ねぇ、なんで?? そんな猫を拾うような軽いノリでやることじゃないじゃん!! ほんと無理。はぁ。ちょっと落ち着け俺……深呼吸……すぅ、はぁ……すぅ。はぁ…………すぅっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(クソデカため息で)……しんど」

 

ヤツデ

「あー、あのね、見習いくん。星の契約者については知っているか?」

 

ヤツデ

「そう、リディア先輩と夜の魔導師が有名だよね。星に名前を個人的に与えることを許された人間は星と契約する。すると特殊伴侶って言ってね、親子や番のような絆を結ぶんだ。お互いの魔力を繋ぐから、離れていても意思疎通やお互いの体調がわかるし、契約者は星の魔力を使うことができる」

 

芍薬の星

「そのかわり。寿命を伸ばすか、死後魂を捧げるかをして星が朽ちるまで傍にいてもらうけどね」

 

ヤツデ

「シャクヤクさん、そんなにこの子気に入ってるなら無知を許してやってよー。な? ノーカンにしようぜ? 」

 

芍薬の星

「えー。ボクから契約を迫ったならまだしも、名前を先に渡したのはこの子からだよ」

 

ヤツデ

「デスヨネー。婚姻届差し出してサインさせてからやっぱ無しはないよなー、知ってたー。……はぁぁ……ん。いいんだ、見習いくん。君は本当に悪くない。俺の監督不行届だから……ほんとにごめんな。ごめんなんだけど、見習いくん、腹括るしかねぇよ」

 

芍薬の星

「ふふ。ボクはどちらでもいいからね。ねぇ、キミ、ヒトとしての寿命が尽きるまでにどっちがいいか。のんびり決めておいて」

 

ヤツデ

「あー。退路塞ぐようで悪いけど見習いくん、星は一途だし、100年なんて秒だから。忘れられて無効にはならないと思う。星は基本的にメンヘラかヤンデレだって覚えておいた方がいいよ……オレも責任もってできる限りフォローするから、その、頑張ろうな」

 

 

芍薬の星

「やだな、それは番になった時の話でしょ。まったく。この子は可愛い庇護対象(ひごたいしょう)だよ。あっははは。キミそれなんて顔。大丈夫。少なくとも、ボクからしたら赤ちゃんみたいな子を番にはしないよ」

 

ヤツデ

「ホントカナー」

 

芍薬の星

「でも、そうだね。星には性別なんてものは無いし。君が望むなら、王子様にでも、お姫様にでも。ちゃんと迎えに行くから、キミは精一杯生きてあの青い星で待ってて。ボクは必ず辿り着くから。君の親でもある惑星だからね、ちゃんとご挨拶しなくちゃ」

 

「ふふ。応援してくれるんだ。ありがと。それじゃあ。またね、キミ」

 

ヤツデ

「行っちゃった。あぁ、たぶん保護魔法具のところに戻ったんだと思うよ。……はぁぁ、始末書、報告書、学校と保護者さんへの書類、国への申請……やることいっぱいだぜぇ」

 

「うん、そうだよなぁ。星とのマナーを学び直したくなるよな。ほんと、1人にしてごめんな。お兄さんに任せていいぜ、責任もって叩き込んでやるから」

 

「頑張ろうなぁ。ボチボチ帰るかぁ……はぁぁ、見習いくん、俺は帰ったらとりあえず先輩に怒られてくるから、終わったらお兄さんとパンケーキ食べに行こうなぁ、もちろん俺のおごり。約束な」

 

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