台本置き場。   作:就鳥 ことり

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二条 桃花(女)
三池 葵(不問)

所要時間、20分前後

三池は男として演じる場合は一人称の変更をお願いします。
男女問わず、二条からの呼び方は葵ちゃんです




花、2輪。〜葵と桃〜『お誘い』

二条

「……(深呼吸)」

「大丈夫よ、私。あんなに練習したもの。笑うな膝、震えるな声。さ、ドアを開けるのよ私。今日こそ葵ちゃんをお誘いするのだから」

 

「……なんでクラス離れちゃったのかなぁ。2年生になったら澄直(すなお)と一緒だったから喜んだのに、今度は葵ちゃんと離れちゃうんだもの」

「……葵ちゃん、新しいクラスでもきっと人気者だわ。もうずっとお話できてないし、私なんてきっともうお友達の隅の隅……。あぁ、もう。弱気になってはダメよ、しゃんとなさい私。澄直にも応援してもらったのだから。今日こそ、親睦を深めるのでしょう。気合いを入れるの……(息を吐いて精神統一)」

 

「よし……失礼しま」

 

三池

「桃ちゃーん(早めに被せて)」

 

二条

「きゃあ。あ、葵ちゃん」

 

三池

「ずっとクラスの前にいたから気になって来ちゃった。どしたのー? 誰かに用事?呼んで来よか」

 

二条

「葵ちゃん」

 

三池

「んー?」

 

二条

「葵ちゃんにお話があって、来たの」

 

三池

「まーじで! 私だったかぁ、やった。それならもっと早く声掛けたら良かったよ」

「桃ちゃん2年生なってから、生徒会でずっと忙しくしてたでしょ。全然話せなくて寂しかったから嬉し」

 

二条

「そ、そっかぁ」(安心したように笑って)

「私もね、クラスが離れちゃって寂しかったの。それでね、えっと……」

 

三池

「ん?」

 

二条

「あのね、葵ちゃん」

 

三池

「うん。なぁに、桃花ちゃん」

 

二条

「今週のどこでもいいのだけどね、放課後空いている日はあるかしら」

 

三池

「あるよ」

 

二条

「本当っ!」

「あの、あのね、一緒に帰りたくて。葵ちゃんともっと仲良くなりたいの」

 

三池

「もしかしてぇ……デートのお誘いだね?」

 

二条

「うん。おデート。ふふ。おデートしましょ、葵ちゃん」

 

三池

「よろこんでー! いいよ、私も桃ちゃんと仲良くなりたいもん」

 

二条

「嬉しい……! ありがとう葵ちゃん」

 

三池

「うんうん行こ行こ。どこ行こうかな。桃ちゃんさ、パンケーキとか好き?」

 

二条

「すきよ。バニラアイスが乗っているのがすき」

 

三池

「そっかそっか。1駅先なんだけど近くに新しいカフェが出来てね。ハチミツを売りにしてるんだけど……まってね、今サイト検索してるから。あ、あったあった」

 

二条

「わぁ、かわいい。くまさんのパンケーキ、美味しそうね」

 

三池

「でしょー。桃ちゃんこういうの好き?」

 

二条

「うん。すきよ」

 

三池

「ん。よーし。じゃあここでお茶しよ」

「話してたら食べたくなってきた……ね、デートは今日でもいいの?」

 

二条

「えっ、うん。 えと急だけど、いいの? 一ノ瀬くんは?」

 

三池

「あー……ノセぇー!(振り返って教室に向かって叫んでる)」

「あれ。居ない。四海(よつみ)ー!ノセはー?まだ掃除?」

「え、呼び出し? 七瀬?あー。隣のクラスのイケメン君。んー。メッセ飛ばしておけばいいか」

 

二条

「……大丈夫なの?」

 

三池

「ん、大丈夫。さ、桃ちゃん行くよーっ!」

 

二条

「わっ」

 

三池

「そうだっ。桃ちゃん、たこ焼きとか食べたことなさそう」

 

二条

「えっあっ、葵ちゃっ、早ぃ……」(息が上がり始める)

 

三池

「うんうん、たこ焼きも食べに行こうね」

 

二条

「ま、まって葵ちゃん、早い……足がもつれそう……」

 

三池

「あっ、ごめん。急に引っ張って。桃ちゃんにお誘いされたのが嬉しくて、つい」

 

二条

「(息を整えて)……ふふ。私も嬉しい。葵ちゃんに手を引いてもらったおかげね、気分だけじゃなくてほんとに足が軽かったわ」

 

三池

「へへへ。そっかぁ。私桃ちゃんのそういう言葉選び好き」

 

二条

「えぇ? 何か変わった言い回しをしたかな……」

 

三池

「んー。なんだろう。なんとなく、お姫様って感じがする」

 

二条

「お姫様?」

 

三池

「うん。可愛いくて好き」

 

二条

「わ、私も葵ちゃんの明るくてお日様みたいな声が可愛くて好きよ。葵ちゃん見てるとね、元気が出るの」

 

三池

「そっかぁ、可愛いかぁ。……ありがと」

 

 

_間。

 

 

三池

「たこ焼き美味しかったねぇ」

 

二条

「うん、美味しかった」

 

三池

「ね、誰にさっきの写真送ったの?」

 

二条

「よくお話してくれるお友達」

 

三池

「あっ、もしかして七瀬って人? 仲良いってずっと噂になってる」

 

二条

「そう、七瀬澄直。んふ、噂になってるなんて、なんだか(くすぐ)ったいわ。ふふふ、そうなの、私と澄直は仲良しなの。周りにもそう見えるのね、なんだかちょっと嬉しい」

 

三池

「ふぅん。じゃあさ、やっぱり桃ちゃんはその七瀬が好きなんだ?」

 

二条

「やだ。葵ちゃんが思ってるようなのじゃないわ。従兄弟だもの。でも、もちろん大好きよ」

 

三池

「なぁんだ従兄弟かぁ。実は付き合っているんじゃないかって噂もあったのに、ガセだったかぁ」

 

二条

「ガセでしたぁ。それに澄直はね、私みたいな子供っぽいのより、お姉さんが好みなのよ」

 

三池

「桃ちゃんは子供っぽいかぁ? 落ち着いてて(しと)やかなお姉さんだと思うけど」

 

二条

「よして、葵ちゃん。少なくとも澄直にとっては手のかかる子供みたいなものなのよ。んふふ、ね、葵ちゃんにだけ特別に教えてあげるね」

 

三池

「おっ、なになに。あの青春クソ野郎大賞を受賞した七瀬の恥ずかしい秘密でも?」

 

二条

「もう、なぁにそれ。そんなに大した秘密じゃないわ」

 

三池

「あれ、桃ちゃん知らない?」

 

二条

「うん」

 

三池

「体育祭の借り物競争のお題が毎回ある意味酷いでしょー。『好きな人』だとか『告白した人』とか、『可愛い先輩』だとか。別名『青春クソ野郎晒しあげレース』とも言うんだけど……」

 

二条

「あぁ。そんな話を聞いた気がする。お題には私も困ったもの」

 

三池

「んでね、みんなの二条桃花ちゃんに『好きな人』でご指名された七瀬が、満場一致で去年の『青春クソ野郎オブザイヤー』を受賞したってわけ」

 

二条

「……そんなものがあったのね。知らなかった。ほんとに澄直には面倒かけてばかり……」

 

三池

「何言ってるのさ、役得だよ、役得。あーあ、本当は私が桃ちゃんと仲良くゴールしてたはずなのになぁ」

 

二条

「私だって、葵ちゃんと一緒に走るつもりだったもん。なのに一ノ瀬くんが、葵ちゃん取ってっちゃうものから……」(膨れたように)

 

三池

「あぁ……思い出したらノセにも七瀬にも腹が立ってきた。よし桃ちゃん。七瀬の秘密どーんと言っちゃおう」

二条

「えぇ……別に澄直は悪くないじゃない。意地悪したのは一ノ瀬くんだもん。それに、その話を聞いた後だと少し気が引けてしまうわ」

 

三池

「私からしたら七瀬も羨ましいから絶許(ぜっきょ)

 

二条

「そっかぁ」

 

三池

「大した秘密じゃぁないんでしょ。いいよいいよ、私の心の七瀬もいいよって言ってる。まぁ私、七瀬のこと全然知らんけども!」

 

二条

「んふ。葵ちゃんたら。あのね、澄直の初恋はね、幼稚園の先生なの。ほなみ先生って言ってね、とっても綺麗な先生だったのだけれど。澄直、卒園して小学生になってもしばらくはほなみ先生のことが好きでね、たまにお花とかお手紙とか渡しに行ってたのよ。可愛いでしょう?」

 

三池

「うわぁ、ませてんなぁ。でもまぁ、確かにかわいいかも」

 

二条

「私の家庭教師の先生を好きだったこともあるから、間違いなく澄直はお姉さん好きよ」

 

三池

「なるほどね。じゃあ数学のさ、浅野先生とか好きそう」

 

二条

「そうかも……ふふふ。残念、既婚者」

 

三池

「わぁ、失恋確定じゃんか。可哀想に七瀬。今度慰めてやろ」

 

二条

「全然話したことないのに?」

 

三池

「ないのに」

「 あ、じゃあさ、桃ちゃんから伝えおいて。ドンマイ。次のいいお姉さんに会えるといいね。って」

 

二条

「嫌ぁよ。もうっ、んふふ」

 

三池

「ふふ。……さて、そろそろお店出よっか。次はお待ちかねパンケーキだよ」

 

二条

「うん。楽しみ。……んー、たこ焼きもう少し食べたかったな。もっと、大きなパックで買えばよかったかしら」

 

三池

「ダメだよ桃ちゃん、パンケーキの容量を甘くみちゃぁ。かわいい見た目と裏腹にとんでもなくお腹に貯まるんだから。桃ちゃん少食そうだし、絶対キツイって」

 

二条

「そうなの。じゃあ帰り道でお土産にでも買おうかな」

 

三池

「あはは。そんなに食べたいかぁ。でもきっと帰る頃にはお腹いっぱいで、そんな気はしないと思うよ」

 

二条

「そうかなぁ」

 

三池

「絶対そう。だけど意外だなぁ。桃ちゃんたこ焼き食べたことあったんだ」

 

二条

「うん。縁日に連れて行ってもらったことがあって」

 

三池

「ふぅん。じゃあさ、ハンバーガーって食べたことある?」

 

二条

「んー、食べたことはないわ。小さい頃に母に強請ってみたことはあるのだけど……ジャンクフードは身体に悪いからと、食べさせて貰えなかったの」

 

三池

「あー、やっぱり」

 

二条

「でも、知ってるよ。丸いパンの間に薄いハンバーグとレタスやトマト、チーズが入っているのでしょう? ベーコンも入っていれば最高ね! 9月にだけ発売される卵が入ってるのが美味しそうだった……」

 

三池

「……本当に食べたことないの?」

 

二条

「あ、えっと、その。テレビでよくコマーシャルが流れるから」

 

三池

「あーなるほど。ねぇ、桃ちゃん。ちょっと体に悪くて、とびきり美味しいの、食べてみたい?」

 

二条

「身体に悪いものは美味しいと相場が決まってるもの」

 

三池

「よし、じゃあパンケーキはまた今度にしよう」

 

二条

「え?」

 

三池

「今日は『二条桃花ジャンクフード記念日』としよう。ね、桃ちゃん」

 

二条

「えぇ……いいのかな」

 

三池

「いいよ。たまには、ちょっと悪いことするのも大事」

「ね、行こ」

 

二条

「んー……ふふ。うん、久しぶりにちょっと悪いこと、しちゃおうかな。母さまには内緒」

 

三池

「うんうん、そうしよ。消臭も任せて。リュックん中にファブあるから。証拠隠滅もばっちり」

 

二条

「それは……用意周到ね?」

 

三池

「でしょー。って言いたいけど、実はね。この前ノセと焼肉食べに行ったんだよ。それで装備してたんだけど、そのまま片すの忘れてたんだぁ」

 

二条

「焼肉! いいね。そして相変わらず一ノ瀬くんとは仲良しさんなのね、いいなぁ」

 

三池

「んー。どうだろ。なんかさ、やっぱりノセが何考えてるかわかんないんだよね」

 

二条

「……?また、何かされたの?」

 

三池

「んー。急にハニトラしてくることは減ったんだけどさ」

 

二条

「ハニトラ……。一ノ瀬くんのアプローチはそんなんじゃないと思うよ……?」

 

三池

「なぁんか、今度は素っ気なくてさ。ずっとベッタリだったのに、なんというかこうね、急にパーソナルスペースが広くなったもんだから、今猛烈に違和感がある」

「ノセの のしかかり が無くなると、こんなに地球の重力は軽かったのかって感じた」

 

二条

「……あぁ、押してダメならなんとやら」(小声で)

 

三池

「まぁ、ノセは猫ちゃんみたいだからねぇ。またいつもの気分屋だと思うんだけどね、こっちとしてはちょっと寂しいじゃんか」

「でもまぁ、気分屋で引っ付いたり離れたりするのがノセなんだし、そんなノセの気分に合わせるのもマブである私の役目だし。また私に構いたくなるまでのんびり待ってるよ」

 

二条

「まぶ?」

 

三池

「俗語なんだけどね、マブダチ。親友ってことだよ」

 

二条

「……そっかぁ」(一ノ瀬くんが可哀想と思ってる)

 

三池

「だからね、桃ちゃん」

 

二条

「? なぁに」

 

三池

「その間に、いっぱい放課後遊ぼうねー」

 

二条

「……!うん。嬉しい」

 

三池

「パンケーキ行って、駅前の大きな綿あめ屋さん。あっ、桃ちゃん紅茶が好きだったよね」

 

二条

「うん、すきよ」

 

三池

「3駅先だからちょっと遠いんだけどさ。来月にね、新しくカフェがオープンするんだ。そこがね、世界中の色んな茶葉が揃ってて、更には紅茶を使ったスイーツも出すっていう広告をネットで見つけてさ」

 

二条

「わぁ、それは素敵なお店だね。とっても気になるわ」

 

三池

「でしょー。桃ちゃんと絶対行きたいって思ってたんだ。2人で行こうね」

 

二条

「うん。約束よ」

 

三池

「約束ー! でもまずは先にパンケーキの約束をしよ。ね、桃ちゃん今週はあといつが空いてるの? 」

 

二条

「んふふ。あのね、本当は今日一緒に寄り道が出来るとは思ってなかったから、今週は葵ちゃんがどの日を指定しても応えられるように全部空いてるの」

 

三池

「んえぇぇ。桃ちゃん健気かよ……かわいい、ほんとにかわいい」

 

二条

「もう、揶揄(からか)うのはよして頂戴。それくらい葵ちゃんとお出かけしたかったのよ」

 

三池

「うんうん、嬉しいよ。じゃあ明日は私部活あるから、明後日にしようか」

 

二条

「明後日。水曜日……ふへへ、今もお出かけしてる最中なのに、もう明後日が楽しみ」

 

三池

「ねーっ、私も……あっ、ここだよ。さぁて、何頼もうか」

 

二条

「わ。メニューがいっぱい……どれにしよう……ねぇ葵ちゃん」

 

三池

「んー?」

 

二条

「葵ちゃんにお任せしても? ……目移りしちゃって、日が暮れちゃう」

 

三池

「あはは。おっけ。任せてー。ベーコン入りの選んだげる。飲み物は何がいいかな」

 

二条

「んー……アイスティーはあるかしら」

 

三池

「あるよ。じゃあ2階で席取って待ってて」

 

二条

「はぁい。ありがとう葵ちゃん」

 

_間。

 

二条

「……いっぱい遊ぼうね、だって。ふふ、嬉しい。仲良しさんみたい」

 

「一ノ瀬くんには悪いけれど、これからたくさん放課後に遊べるのね……きっと今よりずっと親しくなれる、楽しみ」

 

「うん、そう思ったら一ノ瀬くんなんて怖くないわ! 頑張るのよ、私」

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