始まりは殺し合いだった。
「死ね」
「いやいや、ちょっとは話を聞いてくれませんかね!」
それ以降、何の因果か腐れ縁か、偶然遭遇してしまい殺し合いに発展すること数度。
そうした殴り合いの後、友情でも芽生えたのか、いつの間にかに二人は愚痴を言い合う程度の仲になっていた。
そして時には喧嘩し―――
「バーカッ」
「はぁ!? バカって言う方がバカなんですー!」
時には慰め―――
「くっそ、忌々しい下等生物の分際で!」
「まあまあ、人間なんてそんなもんだって」
時には祝福した。
「しかしあのお前さんが恋するなんてねー、人生?判らないものだ」
「う、うるさい」
そうしてそこからまた幾許かの時が流れ―――
そこはさながら地獄のようであった。
見渡す限り視界を埋めつくしている死体からは血が川のように流れ地を濡らす。
そんな中、最愛の男を抱いている女がうずくまるようにしてそこにいた。
「ああっ、そんな項羽さまっ項羽さまっ」
女はただひたすらに自らが抱いている死体に向かって呼びかける。
しばらくの間、女はそうしていたかと思うと、ふとふらりと立ちあがった。
「待っていてください、決して貴方様を死なせなんてしません」
女は決意を込めた相貌をすると、死体を担いで腐れ縁である友人の隠遁地へと向かうのであった。
―――約2200年後
「いやー懐かしい、そんなこともあったねー」
「ちょ、何で今その話するのよ!」
どこかのバー、そこで複数の男女が飲みながら過去の話に花を咲かせていた。
「その節は、大変感謝している」
「いやいやいいんですよ、あんな頼み方されたら断れないってもんですよ」
すると隣で呑んでいた赤髪の女性が興味を示す。
「ほう、どんな様子だったのだ」
「やめなさ「ほぅら、少し黙っていろ」ンッー!」
「いやー、それはですね僕が玄関を開けた時、彼女は―――」
瞬間、赤髪の女性に押さえられていた少女―――虞美人が唐突に爆発四散した。
爆風は衝撃となり周囲に破壊をまき散らす。その威力たるや並の人間なら一瞬でミンチにしてしまうほどである。
しかし、ここには常人など一人もおらず即座にそれぞれが取れる回避行動をとっていた。一番近くで虞美人を抑え込んでいた女性など即座にルーンで障壁を張り爆風を防いでいた。また、それだけの衝撃が襲ったにもかかわらず店内にも傷一つついておらずその事体にバーテンダーも一切たじろぐ様子すら見られなかった。
「いきなりなにするんですか、危ないじゃないですか」
さっきまで楽しそうに語っていた青年が虚空に向かって声を掛けると、そこに血の塊のようなものが集まっていき先ほど爆発四散した虞美人の形を取った―――
そうしてそのまま襲いかかってきた。
「うっさい! 死ね!」
「ちょっ悪かった、もう言わないから! 項羽さん、助けて下さい!」
「虞よ、お茶目なそなたも可愛いものだ」
「駄目だ聞いてねえっ」
その不毛な鬼ごっこは切れたバーテンダーによる両成敗に至るまで続けられるのであった。
主人公→ぶらぶらしてたら虞美人と遭遇、殺し合いの末に友情が生まれる
虞美人→項羽が治った後は約2200年間イチャイチャしてた
項羽→主人公の事は正直どうだかなーと思っているが、恩人でもあるので人類滅亡クラスのポカでもやらかさない限りは見て見ぬふりをすることにしている
赤髪の女性→主人公の友人、どこかの国の女王らしい