瓦に捉まって何とか屋根よりの落下を逃れながら、まだ無事な事に思考を巡らせていた。さっきのタイミングならば捕まっていてもおかしくはない。
やはり穢土転生そのものか、操る為の札に影響が出たのではないだろうか? 鳳仙花には浄化の炎を灯していたし、俺の考え通りに複合術であるならば……。
術式の各段階に色々な術が絡み合っている。ならばその部分を改良する為に、邪な力を引き入れていてもおかしくはないのだ。その邪悪な力を払ったように思われた。
「あら……その術は……」
「忍法……」
「馬鹿な。死者が穢土転生を使うだと!?これではネズミ算式に敵が増えてしまうではないか!」
二代目……扉間が印を組み始めると大蛇丸は興味深そうに眺め、暗部の一人が驚愕の声を上げている。だが俺の眼にはチャクラの流れがその腕ではなく、中に還元されていくのが見える。
「穢土転生……の術……」
「二代目様。術を使うのは構わないけれど、サスケ君を使っちゃだめよ? 生贄は適当に見繕ってくださいな」
「火影様どうしたら……。ここれは由々しき事態ですぞ!」
大蛇丸の静止を聞いたフリをしているが、周囲は死者を呼び寄せる物として戦々恐々としている。もし穢土転生を使える死者を呼び寄せてしまうと、どうなるかを皆知らない。だからこそ大蛇丸は悠長に眺めているのだし、暗部はこれからどうなるかを新人の様に震えているのだ。
「うろたえるな!!」
三代目……ヒルゼンの怒号で辺りが震えた。大蛇丸は眉をしかめた程度だが、暗部の連中は一瞬だけビクっとした後で姿勢を戻した。おそらくは喝を入れられてやるべきことを思い出したのだろう。
「暁の狙いが尾獣としれた以上、これを守るのがお前たちの役目。そして何が起きようともこの里を守るのは火影であるワシの役目! サスケ! ナルトは任せたぞ!」
「っ! その任務……いや忍務、確かに了解した!」
二代目のチャクラに大蛇丸の紐が付いていないこともあり、俺は即座に了承してチャクラを練り始めた。ここからの逃走とガーラの元に急行する為だ。
「あら? できるとでも思っているのかしらねえ」
「無論だ! お前たちはサスケが移動するまでの時間を稼げ。もちろん殿軍はワシが務める!」
挑発する大蛇丸にヒルゼンは如意棒を構える。だが影分身を行う事も無く、もちろん屍鬼封塵も行使していない。扉間はヒルゼンに向かって睨んでいるが、その目にはどこか笑みの様な印象が感じられた。
「どこかで聞いたセリフだが。言うようになったではないかサルよ!」
「ですな! 二代目様!」
「あら? 知性が……」
ここに来て扉間もヒルゼンも覚悟を決めた笑みを見せる。それこそは火の意思を受け継いだ者の役目なのだろう。明日の為に終わる今日、里の為に燃える炎の意思。その様子を見て大蛇丸はどこか不快気な表情を見せている。
「……早く行け!」
「させないわよ! 何をしているの二代目様! 初代様もそんな奴は、さっさと絞め殺してやりなさい!」
「そうはさせっかよ! 斬天君! 一発でいい! 初代火影をぶった切れ!」
ヒルゼンが初代……柱間より伸びる木遁の拘束を強引に引き千切って防ぐのと同時に、俺は瓦から手を離しつつ再不斬に指示を出す。再不斬に持たせた首切り包丁には浄化の白炎をまとわせてある。体が火遁分身で構成された奴なら、特攻気味の攻撃でも一撃くらいは浴びせる事が可能だろう。そうなれば先ほどの二代目の様に、何とかなる可能性はあった。
そう思って屋根を遮蔽物にそのまま遁走する事にしたのだ。着地と同時にバランスよく足に配分しながら更に下の階を目指そうと……。
「木遁。屋台崩しの術!」
「何っ!?」
だが事態は驚くべき方向に動いた。柱間は何と屋根で支えきれないほどの大樹を作り出したのだ! 大樹は最上階の屋根だけではなく、建物全体を傾けて斜めにしてしまった。
「サスケ君を捕まえなさい! そうすれば今日のヘマは帳消しにしてあげる!」
「「はっ!」」
おかげで俺を追う為に道が拓けてしまい、音忍たちが追ってくる。そいつらが即座に俺を捕まえていないのは、単に暗部が割って入ったお陰に過ぎない。
「すまねえ。恩に着る」
「良いからいけ! それがお前の任務だ」
「ちっ。上忍相手にゃちとキツイぜよ」
呪印を開放する事で中忍の中で精鋭級のあいつらは一時的に特別上忍級まで急成長している。だが暗部は全員が上忍級だ。おそらくはこのまま状態2になって瞬間的に圧倒する気だろう。
だがその事を忠告するにしても良いアイデアを思いつかない。ならばここは距離を稼ぐことで音忍たちを焦らせるべきだろう。階下に降りながら反発するチャクラを足元に一気に集め……それを背中へとゆっくりと全身に移動させていく。
「痛ってえ! クソが……」
建物を蹴ってとにかく高速で地面に向かい、四つん這いの態勢で四点着地。そのまま転がることで衝撃を逃がした。もっとも衝撃を殺すためのチャクラが反発し過ぎてゴロゴロ転がっちまったのは情けないが。
「来たな! こっちだ」
「あんたは審判の……」
着地して控室の方に向かおうとして上忍に呼び止められる。楊枝代わりの千本を咥えてなかったので印象が違ったが、審判をしていた奴だった。砂の上忍と戦っていたはずだが……。
「話は聞いている。お前はあいつらを追え」
「確認するが砂の連中だけか?」
以前から用意していた兵糧丸を巻物から取り出しながら、小袋で取り出し自分用の数粒以外はくれてやる。その時にちょっと笑いながら答えてくれたが、内容は非常に困るものだった。
「いや。裏切者にナルトも連れていかれたようだ」
「なん……だと! それで連中は何処に行った!」
これには驚愕もので追いかけなければ大丈夫だろうと思っていた自分が憎い。というよりもカブトあたりの手際が鮮やか過ぎる。原作知識に頼り過ぎていたと痛感する思いだ。
「こいつを使え。油女が使える奴を集めて先行している。臭いを追いながら行ってるからまだ間に合うはずだ。。オレが頼むのもなんだが……。四代目の娘さんを頼む」
「判った。あんたもな! ここは任せた!」
兵糧丸の代わりに渡されたのは小さな竹籠に入った虫だった。どうやらナルトのチャクラを奪って生まれた虫らしい。籠から出すと目標に向かって移動するそうだ。
しかしここであの時の虫が活きて来るとは……。何が幸するか判らないもんだな。まあシノは抜け目ないから、ヒナタあたりが追いかけると踏んでそっちにも付けているとは思うが。
「逃がすか! オレは羅生門を口寄せする。二人とも道を造るぞ!」
「判った。多由也の敵討ちも必要だしな」」
「はっ! 辛気臭せーのは止めるぜよ! これは奴を狩るか逃げられてオレらが喰われるかのゲームぜよ!」
傾いた建物の屋根を音忍の中のデブが担ぎ、そこに腕が複数ある奴が蜘蛛の糸みたいなチャクラで固めてしまう。それを足場に首が二つある奴が、門を口寄せして平たんな道を作ってしまう。強固な羅生門は下から攻撃する上忍たちからの攻撃を防ぐためでもあるのだろう。
そんな中、ギリギリで俺は会場から抜け出して行方を晦ましながら、シノの虫を追い掛けて行った。
それから細かい事は色々あったが細かい事は除いて下忍チームと合流したあたりから話そう。
メンバーはサクラ・シノ・ヒナタ・シカマルの四人。俺を合わせて五人だが……なんとなく我愛羅追撃戦よりもサスケ奪還編を思い出させる。
「……って訳だ。ある程度は推測混じりだがな」
「背景は理解しました。それならば猶更の事! 一刻も早くナルトさんを追い掛けましょう!!」
「いや。それでもオレは砂の連中に話を持って行った方がいいと思う」
暁の事も含めてかいつまんで説明するとヒナタは先を急ごうとし、シカマルは逆に砂の連中を回収して行こうと提案した。
「どうしてですか! ナルトさんが死んでしまうかもしれないんですよ!」
「理由を話せ。何故ならばオレは判断材料を持たないからな」
「同じく疑問。こんな状態で寄り道する理由を教えて欲しい」
時間を浪費する行為に普段は優しいヒナタが怒りを覚えるが、シノとサクラは共に首を傾げている。ちなみに俺はどっちでもある。ナルトを助けなきゃと思う反面、シカマルの頭脳や砂の戦力も知っているからだ。
「相手は医療班の息子に砂の裏切りもんだぞ? 強烈な毒なり痺れ薬を持っているに決まってる。お前ら何とかできんのかよ? 逆に風遁があれば撒かれた毒や煙幕を何とかできるしな」
「……言われてみりゃあそうだな」
俺は最初に戦力の面を考えていたが、確かにシカマルが言う様に毒の問題はキツイ。二部でのことを考えれば毒対策しているかどうかで話は変わって来るだろう。シカマルは薬物にも詳しい奈良家なのもあってその辺りにいち早く気が付いたのかもしれない。
「悪いが俺を追って来る連中の懸念もある。戦力は多い方がいい」
「その辺りの内容は移動しながら話そうぜ。ヒナタじゃないが時間はまるで足りてねえ」
納得した俺はシカマルの援護をすべく砂の戦力を当てにした方が良いと告げた。直線的に向かうと追撃を受ける事もアリ、一度躱す意味もあるのだと納得させる。そして時間が押している事もあり、砂の連中が逃げ込んでいると思わしき場所を目指すことにした。
「……途中にトラップがあるので注意してください。もっともそれを潜り抜けても話を聞いてくれるかは別ですけどね」
「それでも話を付けるしかねえだろ。俺が……」
「サスケは止めとけ。俺たちの中でも一番強いんだ、能力的にも警戒するのは当たり前だろ? 面倒くせえが話さなきゃならねえだろ。オレが適当に言い包めて来る」
ヒナタの忠告に俺が行こうと言ったが、シカマルがため息つきながら代わりを申し出た。まあ試合でさんざん挑発したのは俺だしな。印象が悪いのは承知している。せめてガーラを熱した砂から引き剥がす時に、手でも貸してれば別だったんだろうが。
そしてシカマルは直接の戦闘タイプじゃない。機転が利くのは試合で見せているが、自分の影を使って縛る事もアリ、相手に影を見せて居れば脅威度は判り易いのだ。逆に攻撃されそうなときは、原作で見た試合会場に浮いたテクニックで瞬間的に逃げることもできる(影で自分を持ち上げたやつ)。
「お前らも騙されたことは聞いている! 話を聞いてくれ!」
「それ以上、近寄るな!」
両手を上げて接近するシカマルに対し、一本の手裏剣が牽制する。隠れている事に気が付かれて焦って居るはずだが、困っているのは向こうも同じはずだ。ナルトが捕まっているのを見たらしいので、話だけなら通じるだろう。
「オレらの仲間も掴まって困ってんだ! ここは共同戦線といかないか?」
「信用できるか! お前たちとはさっきまで戦っていたんだぞ!」
ナルトの事を口に出したにも関わらずテマリの方は拒絶した。気持ちは判らないでもない。裏切る為に中忍試験に参加して置いて、イザ裏切ったら自分たちも切り捨てられたのだ。疑心暗鬼になって当然だろう。
「ちっ。時間がねーんだぞ! 相手に中忍どころか特別上忍クラスが居なきゃ声掛けねーッっての! ……オレが人質になる! 装備を全部取り上げてからオレを間に挟め! 医療道具一式もあるからくれてやるよ!」
「……少し待て!」
大胆にもシカマルは忍具を外してから座り込んだ。とはいえ忍術は使えるから信用が置けるわけではないが、治療道具の話が出た段階で考え始めたのは怪我人が居るのだろう。
「……誰か倒れてますよ。様子を見ながらブツブツ呟いているのは、相談しているのかそれとも迷っているのか。しまったな。読唇術を習っておけばよかった」
「ヒナタ。お前……案外余裕だな」
ヒナタは白眼で見た光景を映像型幻術で投射して見せてくれる。とはいえこのことを伝えて居れば、シカマルも話を変えたはずだ。最初に告げなかったあたりヒナタもやはり焦っているのだろう。
「条件がある! 木の葉の連中に口を利け! 負傷者の治療と砂の上忍に事の次第を伝える! お前たちの為にもなるはずだ!」
「判ったよ! こっちにとっても好都合だからな。怪我人が居るって話だし、急ぐならこっちは話し合いは要らねえ!」
シカマルはノータイムで話しに乗った。俺たちに相談すればまた迷って時間が掛かることもあるのだろうが、話をせずに受け入れる事を使って交渉材料に変えてしまった。
「勝手に決めちまったがそれでいいな?」
「時間がねえ。俺は構わねえよ。……残って案内するとしたらサクラだな。試合で戦ったカンクロウが怪我しているみたいだし、手の内が判ってることもあるが、戦った相手と肩組んでたら見た目にも判り易い」
「判った。……ナルトをよろしく」
「当然です! 任せてください!」
シカマルの言葉に頷きながら巻物にメモレベルながら内容を書いていく。俺たち全員の母音でも押しておけば、それなりに意味はあるだろう。
そうしていると服を割いて作った粗末な包帯で覆われたカンクロウが出て来る。黒装束だけでは足りなかったようで、テマリの服も使ってあった。
「私が言えた義理ではないが……。カンクロウの事は頼む。代わりに何でも……」
「なんでも要らね。できる事だけ教えてくれ。それとコイツを渡しておく」
シカマルは忍具の中から医療道具だけを取り出し、自分の服に包んでテマリの方に放り投げる。そういえば原作と違うから服をまだ着てたよなあ……とか思いつつ、『寒そうだからその服を着てな』とか言う辺りナチュラルに口説いていた。これは歴史の修正力なのだろうか? 末永く爆発してろと言いたくなった。
「……すまない。代わりに重要な事を一つ教えておこう。相手は特別上忍どころではないぞ。『赤砂のサソリ』……かつて砂を裏切った最上級の傀儡師だ」
テマリが告げる言葉は俺たちに衝撃をもたらした。そういえば大蛇丸が暁を裏切る前にはサソリと居たことをようやく思い出す。芸術家コンビの印象が強いのですっかり忘れていたのだが……。
いずれにせよ前門のサソリとカブト、後門の音忍三人。いずれも避けては通れぬ強敵だった。サクラの代わりにテマリを加えた五人で果たして倒せるのだろうか?
三代目のピンチを何とかしたので、今度はガーラとナルトの二人を救いに行きます。
原作を圧縮したような感じで少し実力的に不安ですが、全体的にレベル上がってるのと
SSRサソリ(ヒルコ)ではなく、SRサソリ(象転の術)なので勝ち目があります。
このシリーズに限らず、複雑な状況・行動を説明する図解はあった方がよいですか?
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一枚絵くらいなら見る
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戦闘前など、タイミング毎に見たい
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むしろタイミング毎に一話使って説明が必要
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図解は要らない・読まない