二つの加具土命【第一部完】   作:ノイラーテム

3 / 16
コピー忍者! それはカカシのことだけではなく!

 波の国への道中、依頼主の爺さんは殆ど喋らない。

周囲を警戒しているのと難易度詐欺がバレないようにしてるからだろう。五影の話から忍者対決の話になった時、所々違和感が出始めた。そして例の水たまりが出た時……。

 

「サスケ何見てんだ?」

「……いや……国といやあな。渦の国ってのがあったのを思い出しただけだ。そこには渦潮隠れの里があったんだが……」

 俺が目線を動かした事にナルトが気が付いた。本当はカカシが見た光景を自分でも見たかっただけだ。それなのにコイツはなんで俺の視線変更に気が付きますかね。仕方ないのでナルトに関わるセンシティブな話という事にして誤魔化す事にした。

 

「渦……それってもしかして……」

「そうだよ。だから言いたくなかったんだ。余計な事を口に出させやがって」

 サクラの他に爺さんもナルトを見たということは、自然な流れで話を変えられたようだ。もしかしたら渦潮隠れの里を知っていたのかもしれないが、敵に気が付いたことは誤魔化せただろう。

 

「なあなあ。渦潮隠れの里ってどんな場所だったんだ? 教えてくれってばよー」

「教えてやるからまとわりつくな……。まあ、あんまり知ってるわけじゃねえけどな」

 興味があるのはまあ当然だろう。ナルトは俺の袖を引いて滅びた里の事を知りたがった。正直、この後の展開を知らなかったら本気で邪魔に思っていたかもしれない。だが、流れからするとこの方が一石二鳥で一手分稼げるのだ。

 

「うずまき一族の里の他は大渦でもあったんじゃねえか? 詳しくは知らないが、うずまき一族ってのは千手一族の分家で、親戚っぽい所が生命力が強かったこと。そのせいかチャクラが多かったりコントロールが上手い奴が多かったらしい。コントロールといやあ封印術と金剛力だ」

「チャクラのコントロール……オレってば苦手なんだよなー」

「金剛力……桜花……」

 ナルトが食いつくのは当然として不思議とサクラも興味があったようだ。写輪眼で読んだ唇の動きから桜花衝の事を言ってるようだが、もしかして五代目ともう会ってるのか?

 

更なる話を要求されそうになった時、頃合いと見たのか、さっきの水たまりから鬼兄弟が出現する。二人を一人と見せる姿で現れる辺り、小技とはいえ中々考えられた動きだった。

 

「一匹目……」

「何っ!?」

「え?」

 鬼兄弟はそのまま流れるような動きでカカシを殺そうと動き、次のターゲットにナルトを狙う。そのままオレに連続で来ようとする当たり、中々良いコースだ。もっとも俺がカンニングしたせいで、台無しなんだけどな。

 

「二匹目と……」

「三匹目!」

「勘違いだ」

「サスケェ!?」

 鬼兄弟の攻撃に対しオリジナルの術を用意しつつ、幅の問題でナルトに急接近した。以前に言ったと思うが、新術は開発途中で失敗していてまだサイズ調整とかが効かないのが欠点だからだ。

 

「忍法・火産霊の術。一の式!」

「馬鹿な! こんな火遁知らんぞ!?」

 ナルトと強引に接近しつつ、そのまま自分の周囲に黒炎で造られた縄を出現させる。威力を下げているので延焼するほどではないが、周辺を焼きながらチャクラを放出するので鎖を弾くくらいは可能だ。

 

「黒い縄が鎖を弾いてるってばよ!」

「鎖にもチャクラを練ってるのか? 裏目に出たな! この黒縄炎は俺を守る盾であり矛だ!」

 イメージしたのは須佐能乎による攻防一体の力だ。威力も強度もあそこまでないが二つの加具土命を使って作り上げてしまえば、口寄せだけで成立するのでコストの点では申し分ない!

 

「サクラ、そっちは任せた!」

「……了解」

 黒炎を消して手裏剣とクナイを取り出し、原作と同じ流れで相手のチェーンソーを固定。ナルトを守る手間と相手を蹴る手間を短縮し、サクラに依頼主を守る指示を出すことで大幅に有利な状況を引き寄せた。

 

しかし原作知識によるカンニングでおごってしまった事。小さくとも介入しているのに起きることは全て原作と同じと思った事が、俺に油断とミスを呼び起こさせていた。

 

「サスケ! 挟み撃ちだってばよ!」

「っ! くそっ。了解だ!」

 それはナルトの成長を無視していたことだ。原作での出会いよりも先に一緒になってバカやって修行の真似事までやってた。それなのに俺はナルトがちゃんと戦えることを考慮せず、原作と同様にビビって動けない物だと思い込んでいた。だからもう一人を俺が倒せばそれでコンプリートだと思っていたのだ。

 

「この位置だとサクラやジーさんに当たっちまうってばよ!」

「判ってる!」

 一瞬だけ手裏剣を投げまくれば間に合うかと思ってしまった自分が居るが、意外にも冷静にナルトは同士討ちの危険まで考慮していた。後ちょっとでノーミスクリアして原作よりもマシな状況に出来たと思う自分が恥ずかしい。自分が速攻で突っ込んでいれば、ナルトに怪我をさせなかったはずなのだ。

 

「痛っ……! でも、これで終わりだ!」

「寝ていろ!」

 反撃の爪はナルトの方へ。よりによってどうしてそっちに行くのかと焦ったが、よく考えなくても当然だ。さっきの黒縄炎を考えたら俺に攻撃するのは意味がない。むかつきながらブン殴り八つ当たりまでしてしまう。

 

「オレ抜きでよく頑張ったな。咄嗟の連携にしちゃあ上手くできていた。こいつらは……霧隠れの中忍ってとこかね?」

 ここでサクラの援護へカカシが出てきて状況終了。原作と違ってナルトへの煽りと反省を求める声が無く、爺さん相手に色々と愚痴を言っている。

 

「ナルト、手を」

「こんなん舐めときゃ直るってばよ」

「ダメだ。こいつらの爪には毒が塗ってある。早く傷を開いて毒血を抜かないとな」

「……っ」

 サクラがナルトの手を取って治療を始めるのだが不思議と腹が立った。ノーミスクリアに失敗した事か、それともゲーム感覚で仲間の意思を無視してしまったことが原因なのか。カカシの説明を聞きながら苛立ちを抑える。

 

「なんだか恥ずかしいってばよ。でもサクラって医療忍術覚えてたんだな」

「それならサバイバルの時に言ってる。……これは姉さんの看病用に教えてもらった程度」

「そういやサクラには姉が居たっけ。確か綱手姫でも……」

「……」

 傷口を切り開いたがチャクラで毒抜きするほどの術はない。だから口を付けて吸い取るわけだが、ますます腹が立つのを自覚する。原作との差異を確認できたのにムカついたのはどうしてだろう?

 

(原作との差……。そういや原作だとカカシが毒抜きしてたな。……俺には口を出す資格はねえ)

 カカシの功績をサクラが奪ったことに腹を立てたのだろうか? むしろ自分こそが本物のサスケから功績を奪って成り代わっている。そんな思いが腹を立たせていたのかもしれない。

 

「そういやさっきの凄かったな。あれが新術ってやつか?」

「……まあな。とはいえ前に言った通り全然未完成だ。あれじゃ見る奴が見たら何をやってるか丸判りだからな」

 ナルトの問いに頷くが、完成はまだまだだ。巻き物の登録番号までは簡略化することができたので、何番目の術かは見破れない。だが口寄せという時点で『未知に警戒する』なんてことは当たり前だ。結界か何かで時空間忍術を対策されたら一発で使えなくなるしな。

 

「他にも……。あー。最初、守ってくれて悪ぃな」

「気にすんな。……次に俺の反応が遅れたら代わりに動いてくれりゃあいい」

 ナルトが意外にも素直にお礼を言ったので俺の方もムカつきが少しだけ収まった。どうせもう終わったことだ。次から同じミスはしなきゃ良いし、転生までしたのにこいつらの決断を無視するのは駄目だよな。

 


 その後は原作通りマングローブを抜けて波の国へ。どこもかしも水ばかりで霧隠れにはホームグラウンドのようなものだ。まったくよくもまあ原作では無事に解決できたものである。

 

「全員伏せろ!」

(来たか!)

 カカシの忠告と共に林の向こうから飛来する大刀・首切り包丁。原作で見た光景ではあるがこれほどの得物を投げ飛ばすとは、忍びらしからぬ体力だと最初は思っていた。後にチャクラ・コントロールで剛力を出せると知りはしたが、鬼人・再不斬の個性としてはよく表している。

 

「お前らは下がって居ろ。こいつはさっきの奴らとはケタが違う」

 原作通りの煽り文句の後でカカシは写輪眼を開放する。俺が既に見せていることからナルトが疑問を覚えたりはしない。

 

「卍の陣だ。タズナさんを守れ。お前たちは戦いに加わるな。それがここでのチームワークだ」

「でもよ、でもよ……」

「言うこと聞いてろ。このウスラトンカチ。バックアップが隠れて居たら厄介だ。それと……」

「私たちがバックアップになる」

 ナルトも口では加勢したがるが俺やサクラの言葉で引き下がった。相手の動きに合わせて即座に護衛の陣を敷く。

 

「あそこだってばよ!!」

「だが水の上?」

「水面歩行の術だな。時間があったら修業しようぜ」

 援護し易いように俺とサクラは手裏剣を持ちナルトは印の準備を始めるが、影分身……いや風遁か。この後は霧隠れの筈だが……。

 

「忍法・霧隠れの術……」

「消えた!? でもこのくらいの霧なら……」

「待て、ナルト。飛ばすのは後の方がいい。奴が図に乗った所で『組み立てた』方が確実だ」

 作戦的にも霧は消せないと思っている所で、一気に消し飛ばした方が速い。それともう一つ、俺の目的からすると霧はあった方がいいんだ。

 

(さてと。水分身をコピーさせてもらいますかね。このレベルの霧ならカカシでも見切れる)

 万華鏡写輪眼をオンにして相手の熱源とチャクラの航跡を追う。再不斬の印とそれを追い掛けるカカシの印。この両方を見落とすことはあり得ねえ。確実に記憶しつつ影分身との差異を確認。時間があるときに火遁分身を覚えておくとしよう。

 

「……終わりだ」

(こいつも水分身。瞬身を使う段階で仕込んでたってわけだ。本体はあそこだが危険地帯に飛び込ませるにゃあ分身は便利だよな)

 再不斬が動き始めるが、この段階で既に水分身。通常の分身と違い実体を持つのは影分身と一緒だが、チャクラを均等に分担する影分身と違い水分身はコスパが良い。何が凄いかって水遁最大の特徴は水そのものと追加印を使って、チャクラの消費が抑えられることである。

 

「来たぞ!」

「ホウ……。だが遅い」

「お前がな!」

 突っ込んで来るのに合わせて腰を落として依頼主を動かす。それが精一杯のところへ首切り包丁が迫り、カカシの水分身がその後ろに付けたのが見える。ここでの経験は水分身の使い方だが、再不斬の動きも凄い。

 

(写輪眼を使ってるのに動画再生で見るコマ落としのようだ。体術に使う緩急がスゲエ。伊達に鬼人とは言われてないってわけか)

 漫画では判らなかった強敵の凄さ。ホンの小さな動きの中に沢山の経験とコツが詰まっている。それを造作もなく使う再不斬の経験は流石に忍び刀七人衆だ。それを追うカカシも凄いが、霧の中の戦闘という点で一手劣っている。

 

「終わりだ」

「スッゲエ!」

「カカシ! そいつも水分身だ。本体は……そこだ!」

 キョロキョロと動いて見せることで万華鏡写輪眼の力だとは思わせないでおく。手裏剣を投げつけて隠れて様子を伺う本体へ! 普通に放つ一枚と、水を跳ねて飛ばす石切り投げの二枚で追いかけた。

 

「なん……だと。いや、まさかこいつも……」

「ヒュウ♪ さすがは本家写輪眼だな」

「ベラベラしゃべるなよカカシ。まあバレて当然か」

 一部始終を見れたので満足して原作介入。当然のように再不斬にも写輪眼だと見抜かれるが、カカシで慣れていたので俺も驚きはしない。念の為に防御用の術を用意するが無駄になりそうだ。再不斬は自ら後方に下がり水の上へいったん距離を置く。

 

「しかし騙され掛けたよ。だが二度も同じ手は通じない。さて、どうする?」

「フン。ここは水の上。オレの手の内だ」

 原作の流れを大幅にショートカットし、カカシと再不斬の水遁合戦が始まる。異様に長い水遁・水龍弾を放ち合い、周囲に水が満ち溢れ始める。

 

「嘘だろ……こんなことできんのかよ」

「異様過ぎる」

「前に言ったろ。追加印があるってよ。あの異様に長い印と、お互いに水の上に移動してるのはそのせいだ。見た目ほどチャクラも使ってねぇ」

 ナルトとサクラには新鮮だったのだろう。チャクラの消費を減らす印を入れ、そこに水が前提という印を組み合わせる。同じように範囲拡大・威力拡大などの印を組み、同様に水を前提とする印を合わせることで猛烈な術が組みあがるわけだ。卑劣さまに対する『水の無い所でこのレベルの水遁を』って台詞は増幅無しで強化しているのが凄いと思えば別におかしくはない。

 

「前にカカシが言ってたろ? 迂闊に術を使うとモロバレになっちまう。もっとも、あそこまで印が長いと何かあるって考えた方が速いけどな」

「なるほど。しかし術に寄りそうだな」

「なあなあ! オレのはどうやりゃ同じことできるんだってばよ!」

 サクラは同じことをするとしても長すぎるし水前提という事に難色を示していた。むしろナルトの関心ぶりが清々しいくらいだ。

 

「……読み取ってやがる?」

「っ!?」

 そんな中で対決している二人の動きは変化し、次の術に変化していた。

 

「次は、むなくそ悪い目つきをしやがってか?」

「~っ!! ……フッ。しょせんは二番煎じ! お前は……」

「お前はオレには勝てねえよ。猿野郎!」

 原作の煽りを見ながら様子を見ていたが……印とは違うがあの動き、もしかしてあれも印の一種なのか? そういえば霧隠れの時も妙なポーズだったが。だとしたらこれも良いデータだ。

 

「てめーのその猿真似口!」

「二度と開かねえようにしてやる!」

「「水遁・大瀑布の術!!」」

 カカシが再不斬の口調を真似ながら術を放つ。そのまま互いの大規模水遁がぶつりかりあうが、先ほどのレベルではない水が飛び交う。その勢いはもはや津波と津波のぶつかりあいで、凄まじいというレベルですら生温い!

 

「うわっ!? 爺さん大丈夫かよ」

「そのまま爺さんを守ってろ! 誰か居た!」

「了解……援護は任せる」

 修業の成果かナルトが爺さんを確保に行き、サクラは自分の陰で二人を守った。俺は周囲を見渡し、風魔手裏剣とクナイを用意する。

 

「終わりだ……。今度こそ水分身じゃあるまい」

「何故だ。お前には……」

「カカシ! バックアップだ! 援軍に気を付けろ!」

 カカシが再不斬に詰め寄った所で、忠告と同時に風魔手裏剣を投げる。ブーメランのようにタイムラグを利用。そこでカカシが咄嗟にクナイを投げつけ、俺もタイミングずらして投げつけておいた。

 

「再不斬さん! 全部は……」

「くそっ!! もういい、撤退する!」

 仮面を付けた白に牽制で投げた風魔手裏剣。それを処理する為に、白は原作と違って再不斬へ飛ぶクナイの処理を行った。カカシの投げたクナイと俺の投げたクナイの両方を防ぐことができず、かなりの怪我を負いつつ即座に撤退していく。この辺りの判断は流石に速い。

 

「ヤレヤレ。助かったよ。お前らはとっくに一人前だな」

「それならこいつに言ってやってくれ。以前なら依頼人をほっといて飛び出てた」

「へへーん。オレだって成長してるんだってばよ」

「えらいえらい」

 意外だったのはナルトの急成長だ。要所要所で爺さんを庇ったり、射線などを配慮した位置に立っている。原作だと勝手に飛び出て勝手に怪我している印象が強かったが、俺が成長している様にこいつも成長しているのだろう。

 

「なんだったら今度、防御とか護衛用の術を覚えても良いかもな」

「いーじゃんいーじゃん。オレってばうずまき一族でチャクラスゲーかんな!」

 みんなに認められてナルトの嬉しそうな顔を見ながら、俺も今回コピーした成果に満足していた。




サスケは大切なモノを盗んでいきました。
まだ原作と微妙な差ですが次回はもうちょっと差が出るはず。
プロローグ編・完に相応しい盛り上がりが欲しい所ですが。
なお水遁とか追加印に関する考察は、それっぽく整えた捏造設定です。

白の性別はどちらでしょう? なお、結末的に本編の差はありません

  • 男の娘
  • 女の子
  • 性別:白
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。