みたらしアンコが死の森で行う第二の試験は、殆ど原作と変わりないサバイバルだった。
最初の茶番もほぼ同じ通りでナルトが啖呵を切ると、アンコと謎の草忍が気色悪い動きを見せる。クナイで警告はともかく血を舐めるとか長い舌とか気色悪過ぎだろ!
「これからどうするってばよ?」
「案があるなら聞こう」
「基本的には同期組を中心に知り合いを全部残らせる。木の葉は強いって事になるしな」
サバイバル開始と同時にナルトとサクラの質問してきたが当面の目的を用意する。前回ディスってきたネジに対抗するわけでもないが、俺はあえて原作と似て非なる道を選んでみた。原作でも結果的にガイ班と同期組は全員残ったが、俺の意思で確実にその流れを作る。
原作と違うとか違わないとか以前に、俺がどうしたいかが重要だ。そして他の連中の意思も推測しつつ、良い未来を目指すならば受け身ではダメだ。自分自身がやりたい事の延長に現在の目的と手段を持ってくるべきだろう。俺の目標? フフフ、秘密だ。
「具体的には?」
「このサバイバルの形式上、概ね二つの流れが想像できる。……簡単に言うと、真っ直ぐ塔を目指す奴らと、ジックリ行く奴らだ」
「へー。いや、判ってた。判ってたってばよ」
サクラの問いは確認だろう。知ったかぶりするナルトと違って即座に頷いている。とはいえ頭の中で考えるのではなく、判り易く絵で描いておこう。第何班とかナルトは覚えてない可能性もあるしな。
「まず紅班はぶっちぎりで先行して待ち構えるはずだ。キバもシノもフィールドワークが得意だし、ヒナタの白眼は森の中でも強いしな。逆にアスマ班は確実性を狙うだろう。猪鹿蝶の必殺コンボといやあ木の葉でも伝統芸だしな」
「必殺コンボ!? いいなー。サスケエ! オレたちも……」
「ナルトはちょっと黙って。この話は後で確実にやる」
この二班に関してはとても対照的だ。能力が判り易いが、それを気にしない性質なのも説明し易くて良い。しかしナルトの茶々入れを止めてくれるのはありがたいが、サクラさん目で語るのをやめてください。というかこいつ、原作で言うと内なるサクラが一番近いんじゃないかと思う。普段は出てこないが、要所でガツンと行動するし。
「あの濃いオッサンの班は? あのネジとかいうのも白眼使えるんだろ?」
「……奴らの実力なら去年出てもおかしくはない。出す気はないなら今年出るのもおかしいから、修錬をしっかり積んできたんだろう。となると……」
「準備をしっかりやる? 食料とか罠の位置とか?」
ナルトの問いに答えつつサクラの結論に頷いておいた。原作知識もあるがこの辺は周囲の行動で補強できる。……どうも原作との差異があると言っても、性別以外は不自然な事はあまりおこらない。白と再不斬だって状況の中で先手先手を取ろうとしただけだったしな。ならば残るはどれだけやるか、出し抜かれないようにするか、だ。
「そういう事だ。他の里の連中とかは概ね新人狩りを狙うだろう。その方が楽だし、道中で出逢った敵は里の仲間に渡せばいいし、強敵だったら巻物を賄賂に出せば良いしな」
「その新人狩りを私たちが倒す、と。了解した」
「へっへー! シカマルとか面倒だってやらない可能性もあるしな! ……あれ?」
オレの説明にサクラは素直に頷いたが、途中まで調子に乗ってたナルトが首を傾げる。
「カブトさんはどうなんだってばよ? 四年もやってるんだよな?」
「……あの人は多分、最初から情報屋として身を立てる気だろう。思い出してみろよ。この試験の為に四年準備したとか言ってなかったか?」
「そういえば確かに」
ナルトの疑問はスパイであるカブトの話だった。知り合いはみんな助けると言ったので思い出したのだろうが、原作にあった言葉を引き合いに出しておく。俺は適当に聞き流したが、サクラが頷いている以上はやはり喋ったのだろう。
「だからあの人は新人狩りではなく、新人救護に来ると思う。有望な新人に声をかけて情報を知る。あり得そうなことだろ?」
「なら何処かで会えるし、ピンチじゃなければ来ない?」
「そっかー! なるほどなー! そんな気がしたんだってばよー!」
まあ序盤の相談なんかこんなところだ。後は絶好の移動コースを直進ではなく迂回しながら、動きの遅い……時間をかけてコンボを決められる相手を狙う猪鹿蝶を探せばよいだろう。
動き始めて暫く、近くに居た事と三人がバラバラに動いている雨隠れを見つけた。こちらが見つけたというべきか、見つかったというべきか。まあやることはあまり変わらないが。
「ラッキー! まさかいきなり見つかるとはねえ! でも三人まとめてなのがアンラッキー!」
「よーし! 早速倒して巻物奪ってやるってばよ!」
逃走を開始する雨隠れの忍をナルトが追い掛け、俺たちがそれに追随する。
「待てってばよ!」
「あれは……ちょっと待て、ナルト」
「いや。サクラ、止めなくて良い。流れとしちゃこの方が好都合だ。どうせあいつは巻物を持ってない」
考えなしに突っ込むナルトと、何故か当たらずに逃げ切る雨隠れの忍。サクラは気が付いたようだが、止める事を止めておいた。
この時点で雨隠れの忍は幻術を使用しており、本体は少し離れた位置に居て幻影だけを先行させている。オレ達を仲間の元に誘導しているつもりなのだろう。おそらくはどこかで落ち合う約束をしており、こうなった場合はそこで必殺の罠に嵌める予定なのだ。
(本人と離れた位置を起点に行動を起こす……『逃げ水の術』ってとかな? 本体の位置は判るし写輪眼を使えるから『こいつらだけ』なら楽勝だな)
原作ではあれほど苦労した相手なのに、体力も精神力もバッチリなのでチャクラを幾らでも練れるから何の問題もない。このまま幻影の結界に飛び込んでも、朧分身を使われても問題ないだろう。むしろ大蛇丸やカブトが近くに潜んでいないかの方が重要だ。迂闊に万華鏡を見せたくない。
「……サクラ、目を動かさずに二時の方角を見ろ。あそこに奴の本体が居る。おそらく奴の術が映像型幻術で、地形を挟んで安全を確保しながら術を使うタイプだ」
「居た。そこまで徹底しているという事は、あまり強くない?」
見抜いた斜め右上に本体が居ると告げたら、サクラもこの状況がチャンスだと理解してくれたようだ。ここまで判れば後は時間の問題。広範囲を攻撃するとか、木の上や地面の下まで考慮すれば奇襲をかけるのは難しくないからだ。
「あ……立ち止まって幻術の向きを変えた。何で気が付かない?」
「もしかしてもう一人誰かいるのかもな。複合幻術として……隠れてるとしたら……あそこか。三時の位置。ちょっと前の一時の辺り」
真っ直ぐ進んでいるはずなのに画像がループし始めた。最初はちょっとした変更だが、やがて本来は空白の部分に木々が立って移動を妨げる。その向こうに二人目が隠れているのだが、『逃げ水』で囮になる奴とコイツが連携するお陰で画像を見せられているとは思わないのだ。
(思考に幻術を流し込む精神攻撃タイプも厄介だが、こうやってみると画像系も厄介だな。違和感が生じるのが問題だが、馴れた奴ならそいつを誤魔化せる。さしずめ『石兵八陣』ってとこか)
最低限の画像で道を誤魔化し、同時に画像の兵で意識を逸らす。投擲攻撃も並行することで更に注意を引けるだろう。画像越しに攻撃されたら人は画像に攻撃されたと思い込み易い。だが、この罠の本質はむしろ戦場を覆う広域画像の方なのだ。
移動中に通常の写輪眼で全体を把握したが大蛇丸が隠れている様子はない。原作ではこの時点では舐めプして直ぐに気付ける程度だったが、念の為にここまで注意した上で万華鏡をオンにする。すると三人目が地下に潜っているのを熱源とチャクラの痕跡で探し当てた。
「ちくしょう! 追いつけねえってばよ!」
「落ち着けナルト。あれは分身画像だ。足を止めずに聞け……本体は別のところに居る」
「うん。確認した」
準備ができた事もありナルトに声をかけ、サクラも既に手裏剣を用意している。ただここから馬鹿正直に本体を狙わない。一手間入れて安心させてから一網打尽だ。
「じゃあどうすんだよ。あれだけ逃げ足が速いと普通に殴り掛かっても逃げられちまうぞ?」
「連中の目を引き付けるために、一度あの幻術に飛び込んだ後で風遁を使え。俺が火遁で先行するからそいつに合わせればいい。サクラも同じタイミングで手裏剣を。あえて地面に潜ってる奴の上で仕掛ける」
「了解。七班の必殺コンボ……」
ナルトに指示をするがサクラの返事はそれですか。やはり陰でノリノリだったんだな。寡黙な様でむっつりだから、やはり内なるサクラと逆転でもしてるのだろうか。
「おっけ! んじゃ行くぜエ! 足にチャクラを練り込んでえええ!」
「いくぞ。終わったら下は任せる」
「……うん」
ナルトは足にチャクラを注ぎ込み特大のジャンプを掛ける。それに合わせて俺は火遁の印を切り、サクラは手裏剣を構えて何時でも投げられる体勢を取った。雨隠れの連中からすれば、俺たちが偽の目標へ一斉攻撃を仕掛けてチャクラを無駄に浪費するように見えただろう。
「行くぞ! 火遁・豪火球の術!」
「……はあっ!」
「スカだってばー! よっと! そして~」
俺がいつもの火遁を合図代わりに放つと、サクラはそれを追い掛けて手裏剣の嵐を『本体に向けて』放つ。ナルトは予定通り偽者であったことを告げると、自ら掌を叩いて次のチャクラを練り上げる。
「こっちに来る!? 馬鹿な……見抜かれただと」
「落ち着け。まだ避けられる!」
雨忍の二人は驚きながらも飛びのいて回避しようとする。本来であれば大仰に喋る必要はないが、三人目へ問題ない事を告げる為にあえて大声でしゃべったのだ。
「本命の風遁、烈風掌!」
「これぞ連携技、七連鳳仙花ってな!! ……サクラ、行け!」
「了解」
ナルトが違う角度から風遁を使う事で、火遁と手裏剣は軌道を変える。それは原作の鳳仙花以上の威力に強化され、逃げている雨忍二人のもとへ向きを変える。そして残る一人にサクラが着地しながら巻物を開いた。
「……口寄せ首切り包丁」
「ひっ!? 降参だ、降参!」
アイテム収納用の巻物だから印を使わないし言葉も不要。だがサクラも何か術名を口にしたかったのか、首切り包丁の名前を唱えていた。着地と同時に大刀が地面を深く抉り、その威容の前に三人目は即座に降伏する。術の様に唱えたことで追い打ち攻撃でもあると思ったのか?
「いえーい! 上手く行ったってばよ!」
「威鋭? でも成功して良かった」
「そうだな。肉弾戦が苦手な奴だから簡単だったが、中忍試験が終わったら次に備えて三人で特訓するか」
雨隠の連中は二人が大怪我で一人は降伏。一度見つかると幻術士の弱い所がモロに出てしまう。イタチの様に全ての術が練り込まれている相手と違って、下忍レベルでは仕方ないと言えた。
咄嗟の連携にしては上手く行ったが、持ち技としての連携にするならもう少し練り込めると思う。突風を起こして俺とサクラが斬り込んでも良いし、火遁を目晦ましにするならナルトとサクラ。二人でなくとも影分身と火遁分身を特攻させてサクラがトドメでも良いはずだ。状況を想定して何パターンか連携を作るのも良いだろう。
その後は雨隠れの三人を縛り上げ食料は集めずに移動を続ける。
前にも用意していたように収納用の巻物に色々入れてあるからな。数日なら兵糧丸でも問題ないし時間の方が惜しい。大蛇丸が探していると仮定して、まずはその手から逃れてからでも良いだろう。
「見つけたぜ! 試験会場でのこれで借りを返してやれるってもんだ!」
「焦りは禁物ですよ、ザク。ボクらが手の内を見せてないように、向こうもまだ見せてませんから。まあ、うちは一族は写輪眼でしょうけど」
だが、思いもかけない相手と遭遇した。原作ではもっと後で出会うはずの、音忍たちである。
(大蛇丸じゃないのは助かるが、このタイミングで音忍? しかも昼間に?)
次の日も大蛇丸は現れず、最初は上手く行ったと思った。だが、妙だと思ったのは音忍たちが昼間にやって来た事だ。かなり手早く移動したので日程的にはおかしくはないが、ここまで都合が良いだろうか? 音を拾って動く奴らならば夜中に仕掛けてきてもおかしくはない。
原作では音の三人は元は能力を測るための『秤』だった。俺がどんな動きをするかを確かめるというよりは当て馬で、呪印に頼る様に追い込み暴走させて馴染ませる為の使い捨ての駒だったという感じかな。
(考え方は幾つかあるが。一つ目は原作の方が早く見つけ過ぎてイレギュラーで、元の予定はこの順番で正しいという物。つまり大蛇丸はこの後で、いま眺めている真っ最中という考えだ)
しかしコレはおかしい。原作で偶然に大蛇丸が先に見つけたのならば、『手を出さずに待つ』という事もできたはずだ。つまり原作においてはどうあがいても、ああいう感じになるのが自然だったことになる。
(次は中忍試験前の動きの他に、雨隠れとの戦いを見ていて脅威に思ったから戦力を削りに来た? 馬鹿な、あの大蛇丸が今の俺たち程度を脅威に思うはずがない。俺も万華鏡どころか新術だってまだ使ってないしな)
ただ可能性としたら近いのはこちらだ。というよりも大蛇丸に何かの目的があって音忍たちをぶつけたとしか思えない。だとしたら最悪を考えておいた方が良いだろう。
「あまり時間をかけて居られねえな。多分、あいつらは他の連中と組んでる。草忍か滝忍か知らねえけどな。そこで……だ」
「考えられる話だな。こちらも同期の元に向かっているわけだし」
「ずっこいってばよ」
嘘は言ってない。大蛇丸はおそらく草忍に化けてるしな。目の前の三人以外も居るとだけサクラとナルトに伝わりゃそれで良い。
「そこで……だ。あの連中は大技でさっさと片付けて、次に行こうぜ」
「ん? ああ、そうだな。任せておけ」
「あん? あー。了解だってばよ! 任せとけ!」
俺は話しながら小さくハンドサインで『任せる』とだけ送った。この状況でサインを出す意味は明らかだ。大技に紛れて移動するので、後は任せたという意味である。
「それは聞き捨てならねえなあ! できもしねえことを口にすんなよ!」
「お前の中ではそうなんだろうな。簡単だって証拠に、こっちの手札を先にみせてやるよ! 忍法、火産霊・二の式!」
「炎の剣!? そんなモノが何の役に……」
しゃべってるザクとかいう男を無視して、顔に包帯を巻いた男の方へ左手で、長さを増した赤火刀を向ける。他の連中が何をしようと向きを変えはしない。その動きに心当たりがあるのか、包帯男は汗を浮かべている。
「まさか……あれだけのやり取りで」
「そうだ。お前の籠手は派手さを利用した囮なんだろ? 実際は仕込んだ音叉なり笛で攻撃する。別に香料でもできるだろうが、てめらは音忍だしな。となると残りの二人も推測できる」
「馬鹿な。これが写輪眼だと!? いいや、ただの偶然だ!」
いいえ、原作です。もっとも一応言い訳くらいは用意してある。ヒナタは絡繰りを見抜いて柔拳の八卦空掌でチャクラの経絡を焼いた。そして小隊というのは同じ能力を三人揃えたりはしない。
「一人は風遁の強度を使い分け援護も主力も張れる奴で、もう一人は反響音を使ったベタな幻術士。どうだ、違うか? そこまで判っていて俺たちが負けるとでも?」
「なんか頭良いチームっぽいけど……サスケ、スゲエってばよ!?」
「ク……。ですが、知識では決定打ではありませんよ」
一人が音波攻撃なら、それを増幅する奴が居てもおかしくないわけだ。そんな感じで推理したという
「それじゃあ時間も押してるしさっさと片付けるぞ! 火遁……豪火球の術」
「っ! 行くぜえ! 風遁、烈風掌!」
「技名は七連弾鳳仙花……だったっけ?」
俺は威嚇に使った赤火刀を地面に刺してから豪火球を放った。サクラには一度見せたこともあり、赤火刀を地面に刺したら分身になると教えてある。もちろん大技を仕掛ける意味もあるが、俺自身は姿を消して別の場所に向かうためだ。
ここから俺は二人と別行動。あいつらの得意術はバラしてやったり、原作と比べた互いの疲労度・負傷度や、以前からの修行も含めたら考えたら負ける心配はない。
二人の傍に火遁分身を置いて俺はその場を離れた。
目指すは戦いの様子をジックリ観察でき、同時に何かあったら即座に関与できる位置だ。単純な連係プレイなら他に幾らでも良い位置があるが、俺が不利な時に『力が欲しいか?』と尋ねたり、呪印を当てるために都合の良い位置は別物である。
「さてと、あいつらが片付けるまで……増援を食い止めるのは俺の仕事だよな」
「無理よ」
俺がやって来たことで茂みの向こうから編み笠姿の三人、そのの中から髪の長い(?)が現れる。テレビを見てるとナルトの次に聞き慣れる独特のしゃがれ声。もはや親の顔より見慣れたとは言わないが、それででも外見を想像するのは容易過ぎる。
「あなた達はその辺で遊んでいらっしゃい……。ここは私一人で行くわ……」
「「……」」
やはり舐めプと言おうか、そもそもの目的が見分だからか。大蛇丸が化けたらしき女は配下二人を下げて不敵に笑った。
俺は静かに略印を描く。再不斬の霧隠れを参考にすることで、大げさだが判り難い印の配置。そして特定の場所に線を引き、あるいは叩く大蛇丸流の口寄せも参考にしている。
「せっかくだ。こいつの試し切りをさせてもらうぞ。忍法・火産霊、四の式!」
「……私の知らない忍術? ふふふ、サスケくん。貴方は私を愉しませてくれるわね……」
オレの前に紫色の炎で造られた鏡が現れる。大蛇丸はその鏡を見てニィっとわらうが、楽しみが上だったからか俺が想定していたからか殺意は死にたくなるほどには感じなかった。怯えさせて術を見れないのが残念だと思うからか、それとも俺が強くなってこの程度の殺意では動じ無くなっているのか。
(さて、機先を制したとはいえ。ここから先が面倒なんだよな)
力量差を考えればこの時点で影分身って可能性もあるし……イザとなれば蛇の体で生まれ直せる。加えて呪印を付けさえすれば、その時点で体を乗っ取る事すらできるだろう。
「さあ、サスケくん。その術には何の意味があるのかしら? 盾には見えないし……面白ければ面白いプレゼントをあげるわ」
「要らねえよ。つか、そういうのを焼き払うための術さ」
そう言って加具土命と軻遇突智、二つのカグヅチを使うために万華鏡をオンにする。この炎の鏡の効果として、万華鏡の存在を隠す意味合いもある。そして性質変化を使って徐々に、俺の体に馴染ませていった。
「そら、これで判るだろ? こいつは俺の術や代謝を強化し、逆に俺を襲う敵や呪術を退ける退魔の炎だ」
「炎の中に体を……火遁のチャクラモードなの!?」
炎なのでズブリとは音がしない。腕を突っ込むと、チリチリと身を焼く感触がするが、栄養ドリンクをガブ呑みしたような高揚感に包まれる。俺のチャクラに合わせて変質させたわけだが、モデルにしたのは白の『魔鏡氷晶』と再不斬が使った水遁強化印だ。
「正解。まだまだ未完成だから自動とは行かねえがな! 代わりにこういうことができる! 火遁……紫双鳳仙花!!」
「っ! この火力!! そして私の知らない印を!?」
水遁を強化する追加印を参考に火を強化する印を創ってみた。今まで存在しなかったのは、単純に炎の中に飛び込んで使う馬鹿が居なかったからだ。飛んで火に居る夏の虫というが、心頭滅却しないと使えない自爆技だからである。
もちろん俺とてこの状態でなければ使えない。軻遇突智で火を自分に合わせることで安全に追加印を使い、同時に火遁分身ではなく、
「通常の鳳仙花よりも数段上の威力……。いいわ……。貴方は私の想像を超えてくれる。お礼の一つもしてあげないとね」
「だから要らねえつってんだろ。火産霊、二の式!」
大蛇丸は蛇のように体をくねらせ、笑って燃え上がる体を樹にまとわせた。ズルズルと移動しながら炎を残していくのは、俺が写輪眼に覚醒しているから誤魔化す為だろう。俺は先手を打つべく、再び炎の剣を呼び出した。
「ふふふ。その可愛い鏡ごと吹き飛ばしてあげる」
「……見えてるぞ。そこだ!」
僅かに動きを止めて風遁の印を組む。チャンスではあるが、既に影分身。動きながら炎の痕を樹に残したのは、動きに継続性があり、変わり身で入れ替わったことを教えない為だ。もし万華鏡を使っていなければ、俺も騙されただろう。
炎の剣を投げつけると、俺の死角に回り込もうとした大蛇丸に突き刺さる。すんでの所で避けられたが、これは牽制を兼ねた一手目であり、三の手用でもあるので問題ない。即座に火遁の印を組んで二の手を準備する。
「未完成というのは本当の様ね。そこまで長い印だと私の方が先に決まるわ。風遁・大突破!」
「そうかよ! 火遁……」
「馬鹿な……分身とはいえ、私の風で消えないですって!?」
影分身の大蛇丸が強烈な風遁を掛けるが、俺だけの炎ではないので消えはしない。加具土命の炎とはいえ火力を抑えたので確かに消えはする。だが……この炎は白と再不斬の二人を葬列した炎なのだ。二人分の火力で俺の視力を落としてくれたほどである。この程度の炎で消えたりなどはいない!
「こうなったら……」
「いいのか? そこで隙を作っても。火遁・紫双豪火球の術」
「っ!? 離れなさい!」
本体の方が印を組み最大風速の風を吹かせようとするが、その前に俺の強化豪火球が決まる。だが、そのことに対して分身が本体に避難を促したのではない。
「……捕まえた」
「っ!? 火遁分身!?」
炎の剣として投げていた火遁分身が姿を現しながら自爆する。そこへ強化された豪火球が直撃し、周囲を火達磨にした。
「そういう事……炎の剣は武器であり、同時に分身体……」
「繰り返す必要はあんのか? ま、そういう事だよ」
「くくく……。良いわ、良いわね! サスケくん。貴方は……あのイタチよりも秘めた眼をしているわ」
納得する分身と、狂笑を浮かべる本体。あれだけの火力で死なないとか、こいつどういう体をしているのかと思たが……よく考えれば大蛇丸だった。それに火遁が得意な
まさかここで、俺相手に使うとは思わなかっただけ。アンコや暗部と同時に出逢い、最悪、三代目の介入を考えて防御用に用意していたのだろう。ズルズルと皮を捨てて脱皮しながら、大蛇丸は引き下がっていった。
「ここまでにしましょう。一応……あの三人も拾って帰らないといけないのでね……」
「お優しいこった。次に会った時に改造されてねえといいけ……ど……」
穢土転生の生贄に使うためか、回収を兼ねて大蛇丸は音忍の方に向かう。俺もそれに追随して、ナルト達が捕まらないように追いかけた。
「てめえ! ナルト達に手を出してみやがれ! 四方三里は丸焼けにしてやるぞ!」
「ああ……コワイコワイ。そのまま成長して頂戴な……私好みに育つまでね……」
大蛇丸は這う様に移動しているのだが奴の方が速い。こちらの火遁チャクラモードは攻防一体だが、雷遁チャクラモードほど身体を強化してくれない。
焦る俺を尻目に本体が三人に撤退指示をして下がり、影分身の方は最後っ屁に大突破をかましていきやがった。
「なんだったんだあいつら? 特にあの気味の悪い奴」
「大蛇丸だよ」
「三忍の一人で里抜けした?」
ナルトは奇妙な顔をしてサクラは驚いていた。逃げられて悔しいというよりは、よくぞまあ無事で済んだというべきだろうか? 念の為に二人に呪印が無い事を確かめて、この日は全て休息に当てた。
第二の試験をお届けしますね。
本当ならここで第二試験が終わるとか、続くと言えれば良いのですが……。波の国編と違って全て書いてから修正してUPという訳ではないので、どちらとも言えないのですいません。でもでも主なエピソードは終わらせたので、次に跨るとしても直ぐに終わるかと思います。
追記:
日曜日にUPする予定のを間違えてUPしてしまいました。
見直しながらUPする予定だったので、誤字が多くてすみませんです。
お目汚しをして申し訳ありません。
ナルトの一人称はオレから変化すると思いますか?
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オレっ娘のまま
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あたし・あたい。になる
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私。になる
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うち。になる