第二の試験に関しては、最期に雨隠れの忍が居ない代わりに、ヒナタたちが罠を解除しながら出迎えてくれた。
塔に入ってイルカ先生が出てくるところまでは同じだったのだが……。そこからの変化がとても大きかった。会場に木の葉の旗が掲げられ、その周囲に今回参加する里の旗が並ぶ程度は序の口だ。奇妙なのはトーナメントが既に描かれている事である。
「厳しい第二の試験を突破したこと、まずはおめでとうと言っておこう。これより始まる第三の試験が始まる前に、一つだけ告げておきたいことがある」
言い回しが微妙に違うなと思った時、それぞれの旗に明かりが灯ってピックアップされていく。それもスポットライトで照らすのではなく、全ての旗に共通する……原作には無かった共通項だ。
(っ!? これが正式なマークだとしたら……。三つ巴が全ての旗に? 写輪眼じゃないのか!?)
最初に略紋ではない木の葉のマークを見た時、三つ巴が追加されていたのを覚えている。てっきり
「かつて初代様たちの時代より、何度も忍界大戦が行われてきた。その影に謎の組織がおり、見つけ出したものの……初代様たち屈強な忍びの力をもってしても抗いがたいモノであった」
そこから『先は良く知っている』からこそショッキングな話だった。どうも暁の様な組織が他にもあり、その組織とそれぞれの里が争ったらしい。結果としてはボロ負け。
「でもさでもさ、初代様たちなら勝ったんだろ? でなきゃ里が残ってるわけねえもんな?」
「そやつらとの戦いに白と黒のバケモノ達が介入して来おった。どちらにも群がり増え続けるというな……。今の世の中の平和などその介入、そして殺し合いではなく同盟が必要だという意識によって保たれたという、危い偶然にしか過ぎぬ」
ナルトの疑問に三代目が答えるには、謎の組織に敵対する『白と黒のバケモノ』が居たおかげで漁夫の利を得たのだという。
(バケモノ……それも白と黒で無数に存在して幾らでも湧いてくる? それってゼツじゃないのか? 確か……ゼツ達はカグヤが敵に備えたモノだと言っていたような……)
もしかしたら謎の組織というのはボルト時代の敵なのだろうか? だとしたらこの世界が原作と違うのは初代火影たちの時代に、ゼツ達が壊滅したことが影響しているのかもしれない。
「謎の組織は壊滅したかもしれないし、していないかもしれない。中忍試験が合同で行われるという本当の理由。それは同盟の里にどんな忍が居り、そやつは実力的に、あるいは人格的に信用できるのか? それを見定め、命がけで情報を収取する為の場なのだ!」
五影以上の存在が居るかもしれない。ゆえに切磋琢磨し、同時に同盟者の情報も知る必要がある。そんな感じで締めくくられ、三代目の解説は終了した。
(これは……原作よりも良い状態なのか? それとも変化し過ぎて悪い事なのか? くそっ。判らない事だらけだ)
ゼツが居ないというのは良い事の筈だ。しかしソレは忍界全体であって、俺たちの目の前に関しては判らない事だらけだ。大蛇丸、イタチ、そして暁はどうなっているんだ?
謎の組織に対する警告と、同盟の必要性に関して三代目は語り終わった。
そこから第三の試験を担当する試験官よりトーナメントに関して説明がされる。同時に各班に渡される番号付きのボールもまた、順番と何より数が違うような気がした。
「ゴホッ……第三の試験において試験官を任ぜられました月光ハヤテです。えー。第一の試験官や火影様の説明にありました通り、この中忍試験は実力を示す場であると同時に情報収集の場です」
「っ! まさか……」
説明が始まって暫くして早速、砂の一人……テマリが青い顔をしている。そういえば原作でTOPだったはずだが、この世界でも一番の塔入りしたのだろう。ということは他の忍の情報は何も得てないという事だ。
「よって怠けて居なければですが時間を掛けたチームには情報があるでしょうし……」
「ちょっと待ってよ! あたし達は誰よりも早く合格したはずだけど? そこを考慮してもらわないと!」
主に我愛羅というかガーラの血を鎮める為だったと思うのだが、まあ気分は判らないでもない。忍は裏の裏まで読めとは言うが、歴代最高の速度で合格したのにペナルティの方が大きいのではやってられないだろう。
「ゴホッ。……罠を張るなり眺めておくなり出来たと思いますが……まあ安心してください。早く到着したチームほど実力を有益に示すチャンスが与えられます」
「そっ……それなら……。くっ。こっちの気持ちも知らないで……」
仲間が暴走して他の連中を殺さないようにしたと言いたいのだろうが、普通は通じないよな。そういう強い事は強いけど人格に問題がある忍を用意するのも、戦略なんだしその分楽勝で通ったはずだ。ちょっとしたメリットがあるだけマシなのではないかと思う。
「このトーナメントにある枠の番号と手元のボールにある番号は連動しています。どのボールを誰が持つのかは好きに決めてください。早ければ早いほど有利に成っています」
「一番上は予選突破としてシード権ってことね? まあ納得してあげるわ」
「ウゲ。オレらはシード権って無理じゃん。めんどくせっ」
テマリとシカマルの言葉を受け冷静になってトーナメントを確認してみた。本戦らしき十枠の中に幾つかの番号が振ってある。Aツリーが四名でその中に一枠のシード権、Bツリーが六名の中にも一枠のシード権だ。その下の予選枠に関しても、Aツリー狙いは一回勝てば予選突破の比較的楽な場所だが、Bツリーの方は更にもう一試合ある場所が多い過酷な場所に分かれている。
(露骨に分かれやがるな。最初に合格した砂はAツリーの予選突破として、二番手はおそらくガイ班かな? 音が逃げまくって速度勝負に出たなら話しは別だが)
本来は相当なペースで抜けたはずの紅班はナルトを出迎えに残っていた。カブトが俺らを調べに来たのは原作と同じだったので、この三班が最期に回るのはある程度決まっている。合格した班の数自体は同じなので、ある程度の予想が立てられるだろう。
「カンクロウ的には……。カラクリはなるべき見せたくねーじゃん」
「ハイ。これね」
「キャハッ。じゃあこれだねっ」
早速に砂がボールの分配を始めているが、当然の様に傀儡使いのカンクロウが予選突破のシード権を持って行った。性格的に好戦的なガーラが三巡目だろうが……。しかしカンクロウの奴、自分の名前を呼称する一人称か。珍しいな……というか原作にそのタイプの一人称の奴って居たっけ? やはりアイツ傀儡と入れ替わってるんじゃないか?
「どうするリー?」
「決まってます。ボクは一番最後で! その方が活躍できる気がしますから!」
「……まったく、そう言うと思ったわ。ハイ」
やはりガイ班が二番手か。おそらくテンテンがシード権で抜けるだろうからネジが中間だと思う。原作とだいぶ違うが……こうなってくると面白く成って来たから不思議な物だ。誰がどの番号なのか、トーナメントの何処に名前を入れるかで展開が変わるというのは面白い。
「サスケサスケー! オレ達はどういう順番で行くってばよ!」
「どうせシード権とかないしな。サクラが体術メインで俺らはバランス型だ。順番は決めずにサクラに合わせて様子を見よう。どっちみち最期の危険な役は俺が行く」
「……了解」
このトーナメントが面白いのは、相性差を自分たちで求められるという事だ。原作でリーが我愛羅、テンテンがテマリにボコられていた。しかし相手さえ違えばこの二人はかなり強かったのではないだろうか? もちろん特殊性の相性よりも実力差も重要だ。サスケもチャクラ吸収とか言う、あの時点で相性の悪い奴だったが実力差でなんとかなる相手だったしな。
トーナメントは順当に良い場所から埋まっていく。
意外というか原作通りだったのはヒナタの判断だ。彼は危険箇所にボールを入れ、有望な下忍に対して勝負を挑んだ。塔に入った順番でトーナメントの優先権が手に入るという条件に対し、最後までナルトを待とうと提案した責任を取るらしい。
「ヒナタ! 止めなさい!」
「いいえ。私がネジ兄さんの相手をします。この順番になったのは私のせいですし、修錬はちゃんと積んで居ますから」
「本気なのか? 宗家ぇぇ!」
紅先生が止めるのも判る。ヒナタが選んだのは先に順番を埋めているネジの場所であり、彼は日向始まって以来の天才と言われている。俺から見ると原作通りに収まったと言えるのだが、驚きを隠せないでいた。しかしこの時期のネジってかなり沸点低いよね。生い立ちからしてしょうがないんだけどさ。
「オレを侮辱するなら容赦はできんぞ!」
「男子三日会わざればと言います。以前の私を見てそう認識しているのであれば間違いだと言っておきましょう」
(……ん? なんでこっち睨むんだ?)
ネジと話しているはずのヒナタは、不思議なことに俺の方を睨んだ。おかげでネジは更に激高しているが、心当たりがないのでどうして睨まれたのか首を傾げるばかりだ。
(しかしヒナタがネジを取ったか。まさか原作通りになるとは思わなかったが……おかげで読み易くなった。カブト班が五番目、カカシ班が六、そして紅班が七。だがヒナタがネジに挑んだことで、三周目の難易度がかなり変わって来る)
去年の下忍最強とも言えるネジは最悪の相手であり、俺の他に原作を知る者が居ても下から二番目の相手だ。その相手をヒナタがしてくれるならば申し分ない。最悪でも原作と同じように上忍たちの介入が期待できた。
(三周目はガーラだが……そう来るよな)
「クク……こーこっ♪」
「おいおい、マジかよ。あいつ」
ガーラは躊躇なく戦闘回数が一番多い場所を選んだ。十枠の内の二枠が埋まって居るので、残り八枠を十九人で争う事になっている。どうやっても貧乏くじを引くやつが出るのだが……。
その内の一つをガーラが率先して埋めたのだ。最終手番になるキバが青ざめるのも無理はない。せっかくヒナタがネジの場所を埋めたのに、死神の相手とあってはそうなっても仕方がないだろう。
「やりますね! それではこちらをボクが埋めます!」
対抗するようにリーが別の難関コースを選ぶ。自分ルールで難関を選んだ方が強く成れると考えたのだろう。
(さて、どうしたもんかな? 放置してキバを死なせるのも寝覚め悪いし、どうせ本戦でぶち当たるなら最初から戦うか? いや、原作のキバを見る限りさっさと降参するかもな)
そう思いながら最後まで悩んでいると、思いもかけぬことが起きた。ある意味で原作らしくなく、ある意味では原作らしい出来事だ。
「ボクは此処にしますが……試合開始から三分から降伏を判断します。宣言しなくとも五分に達した時点で敗北を認定なさって構いません」
「何……?」
「ホウ……そう来るとはな」
カブトの宣言にガーラが凶悪な目を向けて、代わりに三代目が感心したような目を向けている。これは原作よりも好印象であると伺えた。
「確か試合中の降伏は認められていましたよね?」
「情報集めであり実力を競い合う場でもある。それもまた選択肢の一つじゃろう」
ルールを確認してあくまで情報を抜く為だと豪語するカブトに、三代目は好意的な視線を送る。まあ判らなくもない。カードゲームであれば最弱の札で最強のカードを使わせるような物だ。しかも相手の把握する情報収集というオマケ付きである。
「……ただし、口を塞がれてから殺されても文句を言わぬように」
「それなら……構わないかな。タイムアタック♪」
同時にガーラにも一定の配慮を見せる発言をしていた。腕を競うという意味では絶対防御のあるガーラにとって、時間制限アリで誰かを倒すという経験は初めてかもしれない。まさにゲームに挑む子供の様だ。
「という事はお前との勝負みたいだな」
「ちっ。あいつとの戦いよかマシだが……やるっきゃないなら、暴れてやるぜ!」
あからさまにホッとされるのは癪だが、キバはガーラを避けたことで安心したようだ。だが、
ゼツが居ないことで背景を圧縮してみました。
またトーナメントに関しては、原作と似たコースを取りつつ可能な限り流れを変えています。
本当はキバとの戦いもする予定だったのですが、トーナメントに余計な事をしたので
誰と誰が戦うんだろうと悩んで頭使い過ぎたので、戦いは次回になりました。
来週は戦闘回になる予定です。
ナルトの一人称はオレから変化すると思いますか?
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オレっ娘のまま
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あたし・あたい。になる
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私。になる
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うち。になる