復讐異世界旅行記外伝 短編集   作:ダス・ライヒ

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令呪

 とある現代社会に似た異世界。そこでは、鉤十字(ハーケンクロイツ)を掲げる黒の軍隊が圧倒的な武力を持って人々を虐殺していた。

 鉤十字と言えばナチスだ。それを象徴するかのようにヘルメット、シュタールヘルムを被っている。顔には中世の騎士のような仮面を付けている。

 手にはMP40短機関銃などではなく、Stg44に似た突撃銃やMG42に似た機関銃を持って、逃げ惑う市民たちを手当たり次第に撃って虐殺する。

 中には雑多な小火器を持って抵抗する者も居たが、正規軍の装備に敵うはずが無い。

 抵抗する者の中には、AK47突撃銃やRPG-7などを持つ人民服を身に着けた集団、共産主義者たちも居るようだが、ナチスに虐殺されるばかりだ。

 

 ナチスが市民や共産主義者達を殺す理由は、後者の方が理由であろう。ナチス政権が発足する前から共産主義に対する弾圧を強め、大戦では社会主義国家であるソビエト連邦に侵攻した。

 市民らはここに共産主義の勢力に協力していると判断され、攻撃の対象となったのだろう。

 共産主義者達はT-34戦車などを持っているようだが、強力な装備を持つナチス軍の前には無力だ。

 しかも、ナチス軍には恐るべき超人集団が居る。

 黒い軍服を身に纏い、頭部を覆い隠す程の兜を被った集団だ。戦士らしい体格の両手には一切の武器が握られていない。その代わりに両手が光っており、そこからエネルギー弾を撃ちだし、多数の敵をそれで殺害している。

 共産主義者達も決死の抵抗を見せるが、黒の超人集団には弾丸、更に砲弾まで一切通じなかった。

 それらの超人集団と通常の歩兵集団を指揮する士官帽を被ってコートを身に着けた肥満体の将軍は、三名の黒衣を纏った巨人のような男女を護衛としながら前線の様子を見ていた。

 

「素晴らしい。これなら当初の予定通りにこの世界をコミュニスト共から奪い取れるぞ」

 

 将軍は双眼鏡で配下の将兵らが市民や共産主義者達を虐殺する様子を見て、この世界を早期に奪い取れると確信する。副官はそれに相槌を打つ。三名の黒衣の男女は戦闘に参加できないことに苛立ち、黙っているままだが。

 大勢の人々が僅かな抵抗虚しくナチスに殺されていく中、ここへきて先行していた一個分隊程のナチスの歩兵が一瞬にして肉塊になった。

 

「敵の砲撃か!?」

 

 双眼鏡でその様子を見ていた指揮官は、敵の砲撃と勘違いしたが、それは砲撃では無く、何所からともなく現れた一人の女の力による物だった。

 飛行しているロボットに変形する戦闘機、可変戦闘機(バルキリー)、それもVF-25メサイアの戦闘機形態のコックピットより飛び降りた金髪の女が、ナチスの歩兵を魔法の力で一掃したのだ。

 地上へと降り立った彼女は、そのまま自分に気付いて銃を撃とうとするナチスの兵士たちを魔法の力で殺し続ける。

 彼女の名はマリ・ヴァセレート。ルリを探す目的か、あるいはただの気まぐれでこの世界にやってきたようだ。決して、現地民や支配者である共産主義者達を助ける為では無い。先ほど乗っていたVF-25の火器なら十分だと思うが、先の戦闘を見て、ナチスの超人兵士に通常弾頭は通じないと判断したのか、使わなかった。

 

「ぬぅ、我が軍と同様の超人力のようだな。歩兵部隊は下がれ! 超人兵士部隊に対処させる!!」

 

 通常の歩兵部隊ではマリに敵わないと判断してか、指揮官は歩兵部隊を下がらせ、超人部隊に対処させた。指揮官より命令を受けた黒の超人部隊は、先ほど虐殺していた共産主義者達よりも殺し甲斐がある相手が来たことに期待を覚えたのか、一斉にマリに襲い掛かる。

 

「死ねっ!!」

 

 両手にエネルギー弾を充填させ、それをマリに向かって放ったが、彼女はそれを見えている様に避けた。

 

「さ、避けたぞ!?」

 

「どうやら我々と同じ超人の様だな! 総員、対超人戦闘だ!!」

 

 自分等の攻撃を避けたマリに、一瞬怯んだ超人部隊であったが、直ぐに自分等と同じ超人に対する戦法に切り替え、彼女を包囲する形で展開し、成人男性を粉々にする拳を打ち込もうと、一斉に殴り掛かる。

 巨人のような超人ですらこの一斉攻撃で肉塊になるのだが、生憎とマリは欧州人女性の平均身長である173センチだ。

 連続で放たれる無数の拳をマリは軽やかに躱し、何所からともなく取り出した二挺の自動拳銃、右手にはイタリアのベレッタM92、左手にはチェコのCZ75で、周りに居る超人兵士たちの眉間を次々と撃ち抜く。

 銃弾における彼ら超人兵士たちの弱点は、ヘルメットから見える眉間だ。弾丸が脳内にまで達すれば、体内に蓄積されたエネルギーが暴走し、身体の内部から爆発する。マリの超人的な射撃力で眉間を撃ち抜かれた超人兵士たちは、次々と内部爆発を起こして辺り一面に肉片と血を撒き散らす。

 

「み、眉間を撃ち抜いたァーッ!?」

 

「あ、ありえねぇ! 自動拳銃(オートマチック)でだぞッ!?」

 

 彼女に向かった超人兵士たちが全て爆発すれば、残りの超人兵士たちは下がって驚きの声を上げる。

 自分等のような超人や超人兵士、超能力ならいざ知らず、銃弾で撃ち抜くことが難しい眉間を撃ち抜くなど並大抵に出来る物では無い。それを彼女はなんの集中もせず、呼吸するようにやったのだ。一時、自分ら超人兵士の出来ないことを平然とするマリに恐れをなしたが、こちらの数が多い事と隊長に鼓舞されて戦意を持ち直し、攻撃を再開する。

 

「何を恐れるかァ!? 我らは大ドイツが誇るゲルマン超人兵士だぞ!! たかが一人の女如きに臆するのかお前たちは!?」

 

「そ、そうだっ! 俺たちは超人兵士だ!」

 

「女一人に恐れるか!」

 

 戦意を取り戻した超人兵士たちは迂闊に近付かず、エネルギー弾による攻撃に切り替える。

 更には重機関銃を装備した改造人間の兵士たちを投入し、一斉射撃でマリを粉砕しようとする。これには流石のマリも魔法による防御に徹するしかなかったが、ここに来てあの将軍は考えを変えた。

 その考えは攻撃を緩くし、マリを捕獲しようと言う物だ。

 理由はマリが自分らナチスの理想の北欧系アーリア人、健康体である白い肌に長身、金髪碧眼と言う外見をしているからだろう。この将軍の指示は、直ぐに前線に居る隊長の元へ届く。

 

『隊長、あの総攻撃では肉塊になってしまう。せっかく見付けた貴重なアーリア人種の血は貴重だ。攻撃を緩めたまえ』

 

「し、しかし、十名足らずの超人兵を二挺の拳銃で殺した危険な女です! これでは我が隊の被害が…」

 

『少佐、これは厳命だ。直ちに実行したまえ』

 

「や、ヤヴォール…!」

 

 無線兵が背負う携帯式無線機の受話器から聞こえる将軍からの無理難題の指示を、流石に現場の隊長は断ろうとしたが、指揮官は強い権限を持っているのか、隊長は渋々、マリに反撃の隙を与える命令に従った。当然ながら、現場はやや混乱する。

 

「なに、正気か!? 相手は化け物だぞ! 純潔アーリア人な物か!」

 

「ゼッタ将軍からの指示だ。クソ (シャイセ)! あの豚野郎め! 俺たちもアーリア人だぞ! 純潔じゃないからか? あいつも他の血が混じっているのに!」

 

 攻撃を続ける将兵達は苛ついたが、上官の命令は彼らナチスにとっては厳命なので、指示に従う。

 無論、命令の遂行は現場の判断に任されている。彼らは狙撃兵に麻酔弾を銃に装填するように指示を出す。

 

「とにかく、我らはアーリア人、ゲルマン民族で兵士、上官の命令は絶対だ。特に奴のは総統閣下(マイン・フィーラー)に匹敵する。狙撃兵、麻酔弾用意! お嬢さん(フロイライン)を捕らえるぞ!」

 

 将軍からの指示に応じ、彼らは即座に現場指揮官の指示を実行に移した。

 大戦初期に電撃戦で無類の強さを世界に見せ付けたナチス・ドイツ軍のように、麻酔弾を込めた狙撃銃を持つ狙撃兵小隊が素早く行動し、指定された位置に着く。

 そこから対人用スコープやセンサーでマリの位置を特定し、攻撃が止んだ瞬間を待ちながら引き金に指を添える。撃つのは攻撃が止み、マリが魔法障壁を止めた瞬間だ。狙撃兵全てがマリを包囲する形の位置に着いたのを、手信号で確認した指揮官は、超人兵士部隊に攻撃を止めるように指示を出す。

 

『攻撃中止!』

 

 その指示は直ぐに理解した超人兵士たち全員は、エネルギー弾による攻撃を止めた。

 

「…攻撃が止んだ?」

 

 不老不死なのに魔法障壁で身を守っていたマリは、攻撃が止んだのを見てから障壁を解除した。

 

『ファイア!』

 

 それを確認した狙撃兵らは一斉に引き金を引き、マリに向けて麻酔弾を一斉に撃ち込んだ。

 だが、マリはこのことを予想しており、時間を止める魔法を使ってから空高く飛ぶ。彼女が止めた時間は五秒ほど。それで十分に麻酔弾の一斉射を回避することが出来た。

 

『よし、当たった…なにっ!?』

 

「い、一体どこへ消えた!?」

 

 時間の止まった感覚の無い彼らは、当たったと思っていたが、既にそこにマリの姿は無く、混乱し始める。

 

「くっ、位置の特定を急げ! 攻撃されるぞ!!」

 

 隊長は慌てることなく的確に指示を出すが、既にマリは攻撃態勢を取っていた。敵集団を一気に仕留められることが出来る技。背後から武器を生み出す無数の魔方陣を召喚し、一斉に敵集団へ向けて放つのだ。

 

「あ、あそこにぃ!!」

 

「な、なんだと!?」

 

 いつの間にか空高く飛び、背後の数十mの範囲に無数の武器を召喚したマリの姿を見て、ナチス軍の将兵達は死の危険を感じ、隊長の指示が出た瞬間に退避する。

 

「た、退避―っ!!」

 

「もう間に合わない」

 

 逃げるナチスの将兵らに向け、マリは背後に召喚した無数の武器を一斉に矢の如く放った。

 放たれた全ての武器は、外れることなく標的にした全てのナチス軍の兵士たちの背中を貫くか撃ち抜く。成す術がない一般兵士らはともかく、超人兵士ですらマリの攻撃に耐えられず、剣や槍に身体を貫かれて倒れる。

 

「全員、死んだ。あとは…」

 

 

 

 自分に攻撃して来たナチス軍の兵士達が全て自分の攻撃で全滅したのを確認すれば、将軍と三名の護衛に視線を向け、そこに先と同じ無数の武器による攻撃を行う。

 あの四人が通常の人ならこれで死んでいる筈だが、超人兵士を容易く殺したその攻撃を、四人は全て弾いた。肥満体の将軍はただ浮遊し、武器が透き通って地面に当たっている。三名は素手で弾いている。将軍は魔法のような力を使っているからして、男女三名は超人兵士の上位種と見える。

 

「ただの雑魚じゃないわね」

 

「ぬぅ、この私自らが出向かねばならんとは…! ジグムント、ジークフリード、ジークリンデ、先行せよ!」

 

『ヤヴォール!』

 

 部隊を全滅させられた将軍は、三名の護衛をマリに差し向けた。

 先ほど相手にした超人兵士部隊はあの波状攻撃を弾くことも避けられなかったが、あの三名はそれとは大いに違い、恐ろしい速さで迫る。四人をただの雑魚では無いと判断したマリは、無数の武器召喚による波状攻撃を行うも、三名は見えている様に避けながら近付いで来る。

 

「ジークリンデ、ブリッツで援護しろ!」

 

 黒髪の大男、ジグムントの指示で女性の超人兵士、ジークリンデは立ち止まると、自分の能力である雷をレールガンのようにマリに向けて放つ。

 凄まじい速さで来る雷をマリは寸での所で避け、頬を掠めて傷口が出来た程度で済んだ。

 

「能力者? 流石はナチスね。きゃっ!?」

 

 相手が何らかの技術力で生物兵器を開発したナチスであると褒めれば、マリは次なる攻撃に出ようとしたが、一気に近付いて自分の背後まで飛んできたジグムントに背中を強打され、地面に叩き付けられる。

 背後からの攻撃は警戒したつもりであったマリだが、ジグムントは彼女が気付くよりも早く背後に近付いたようだ。三名の超人兵士の速度は、マリの予想を遥かに上回る物だろう。

 

「(油断した。でも、こいつ等、今まで奴らとは違う?)」

  

 地面に叩き付けられ、建ち上がったマリは土を払い、鼻血を左手の袖で拭いながら本気で戦うしかないと判断する。

 追撃して来るジグムントに対し戦闘態勢を取る中、金髪の超人兵士、ジークフリートが彼女に接近して来る。

 

「グーデンターク、フロイライン」

 

 攻撃されるかと思って躱す姿勢を取ろうとしたが、ジークフリートと呼ばれる金髪の超人兵士は攻撃することなく、あろうことか笑みを浮かべながら挨拶をしてきた。

 これには流石にマリは警戒し、右手に拳銃を召喚して銃口をジークフリートに向ける。

 

「ん~? もしかして、ドイツ語が分からないのかな? フランス語かな? いや、もしかしたら北欧人かもしれない」

 

 銃口を向けられているのに何の動揺も抱かず、マリを何所の国の人間か悩み始める。

 そんな男に銃口を向ける中、ジークフリートの背後からRPG-7を持った共産主義者が狙っていた。当のジークフリートは全く気付いておらず、未だにどの言葉で挨拶すべきか迷っている。マリは巻き込まれないように、ジークフリートから離れる。

 

「この金髪碧眼で、ジークリンデよりスマートで出るとこが出ていて…」

 

「ジークフリート! 後ろだ!!」

 

「あぁ? ジグムント、何を言って…」

 

 マリが離れているのに気付いたジグムントが叫んだが、既にRPG-7のロケット弾が発射された後だった。

 発射された弾頭は対戦車用ではなく榴弾の弾頭だ。標的にしたジークフリートへ向けて飛んで行き、彼に命中したが、爆発することなく片手で受け止められた。

 

「う、受け止めたァァァーッ!!?」

 

「ちっ、ナンパの最中に邪魔しやがって。歩兵や他は何やってたんだよ」

 

 普通の人間では受け止めることが出来ない弾頭を掴んだジークフリートに対し、共産主義者は絶叫して逃げようとする。

 だが、後からやって来たジグムントの雷による攻撃で塵となる。自分を攻撃した敵が木っ端微塵になるのを見て、ジークフリートはジグムントに感謝の言葉を掛ける。左手に持っていた弾頭は、何処か適当な場所へ捨てた。

 

「ダンケ、ジグムント。やっぱりあんたにぁ…」

 

「馬鹿ッ! 標的は既に攻撃態勢を取っているぞ!!」

 

「えっ? ぶごぁ!?」

 

 礼を言うジークフリートに対し、マリが既に顔面に蹴りを入れていることを注意したジグムントであるが、既に彼女の強力な蹴りが顔面に炸裂している頃であった。

 顔面に入れ込んだ右足には魔力を込めて威力を上げており、その威力は戦車の主砲、ドイツの重駆逐戦車であるヤークトティーガーに匹敵する。そんな蹴りをもろに受けたジークフリートは、歯の何本かを吹き飛ばしながら勢いよく吹き飛んで行く。

 並の人間なら、首がもげてもおかしくない所だが、ジークフリートやジグムント、ジークリンデは先の超人兵士の上位種だ。巡洋艦の主砲でも撃ち込まれるか、上から強力な爆弾が直撃でもしない限り、顎が外れる程度の痛みで済む。

 

「言った側から…!」

 

「これは、生け捕りが難しいわね」

 

 ジークフリートが油断しているとは言え、自分たち最高位の超人兵士一人を顔面に飛び蹴りを食らわせたマリに、ジグムントとジークリンデは警戒する。当のジークフリートは破壊された家屋に激突し、凄まじい激痛に耐えながら立ち上がり、外れた顎を元の位置に力尽くで戻す。

 

「なんとも手痛いお断り方法よ…ますます気に入ったぜ」

 

「ジークフリート、いい加減にしろ。さっきの蹴りの意味が分からんのか?」

 

「ひでぇ。それが顔面を蹴飛ばされ、顎を外された同胞に対する態度かよ。あんたには、慈悲がねぇのかい。それに俺はこういう女が、落としがいがあるのさ。あんた見てぇな堅物には分からんようだがな…!」

 

「…馬鹿は一度死ななければ治らんらしい」

 

 これほど攻撃を受けても、マリの事を諦めないジークフリートに対し、ジグムントは呆れる。

 

「そこで文句を言っている暇があったら、戦闘に加わりなさい」

 

「ぺっ、言われなくともやりますよぃ。アマゾネス殿」

 

 攻撃態勢を取りつつ、ジークリンデが戦闘に戻れと言われれば、ジークフリートは口の中の血を吐きながら両手にエネルギーを溜め始めた。

 この三人の敵は、先の超人兵士とは段違いの戦闘力を誇り、更には知性も高い。今までは気が遠くなるような思いをして編み出した技でどうにか倒して来たが、こいつ等には本気でやるしかない。自分の周りを囲むように立っている三人を見て、マリはそう思い、安定した呼吸を取りながらこの地の魔力を溜め込み始める。

 

「魔力を溜め込んでいるな! ジークフリート、ジークリンデ! 奴にその隙を与えるな!」

 

『了解!』

 

 マリが本気を出そうとしているのを見破ったジグムントは、直ぐに二人に攻撃を命じた。

 これに応じ、ジークフリートとジークリンデは雷による攻撃を仕掛ける。

 生け捕りにするようにとの将軍からの命令であるが、マリの華奢な外見とは思えない殺意の波動に、三人は生前の時に感じた命の危機を感じ、手足の一本を吹き飛ばす勢いで攻撃している。ジークフリートは、マリを屈服させようとしているが。

 この回避不可能とも言える攻撃にマリは、飛び上がることなく地面に張り付くようにして回避し、視線に映ったジグムントへ向けて光の刃を放つ。足元からの攻撃であるが、三名の反射神経もまた常人を遥かに上回っており、同時に飛んで避け、再び電撃による攻撃を行う。その攻撃をマリはジークムントの左側に飛んで避ける。

 

「すばしっこい奴!」

 

 自分の側面に飛び、反撃を行おうとするマリにジークムントは少し苛立ちつつ、強力な拳を打ち込む。

 弾丸のような速さで来る拳に、マリは仰け反りながら避け、その勢いを利用して飛び上がり、全員に向けて空間より召喚した武器による攻撃を仕掛ける。

 今度は機関銃のように連続して放つが、それも三人の超人は両手を恐ろしい速さで動かして弾いて行く。並の人間なら千切れてもおかしくない速度である。だが、彼らはそれを平然とやってのけるのだ。

 

「とんだ化け物ね」

 

 お前がそれを言うかと言う声が聞こえそうだが、普通の人間から見れば、戦っている四人とも化け物だ。

 これ以上は無駄だと思って攻撃を止めれば、直ぐに三名は地面を蹴って跳躍し、マリに向けて凄まじい速さで拳を打ち込んで来る。

 銃弾の如く飛んでくるため、マリは防御が間に合わず、三方から来るMG42機関銃並の拳を防ぎ切れず、ジークリンデの拳を後頭部に受けてまた地面に叩き付けられる。

 

「また…! がはっ!」

 

 また地面に叩き付けられたマリは、文句を言いながら立ち上がろうとするが、ジグムントとジークリンデに背中を踏み付けられ、余りの痛みで口から吐血する。

 更に二人は背中を踏み付け、激痛で悶え苦しむマリが気絶するまで踏み続ける。

 

「がぁ、あぁぁぁ!!」

 

「お、おい! 何もそこまですることはねぇだろう。相手は魔女とは言え、マブくてグンバツな美女だぜ? ショックで死んじまうかも」

 

 余りにも痛々しい叫び声を上げるマリに、ジークフリートは良心が傷んだのか、徹底的に踏み付ける二人に止めるように告げた。

 そんなジークフリートに対し、ジグムントは手を抜けば自分等が殺されると返す。

 

「ジークフリート、お前は忘れたのか? 手を抜けばこちらがやられる。お前も何度も経験しているだろう」

 

「だがよ、あの時は連中の超人兵士共だ。美人なんて一人も居なかったし、ちょいと油断したが」

 

「そう言う事だ。ジークリンデ、声がしなくなった。脈を確認しろ」

 

「分かった」

 

 ジークフリートに応えている間に、マリの痛々しい声が聞こえなくなったので、ジークリンデに調べるように告げた。

 これに応じ、ジークリンデがマリの脈拍を調べようと右手首に手を触れようとすると、その手を掴まれた挙句に引き千切られた。

 

「グアァァァ!!」

 

「こいつ!? わざと!」

 

「撤回だぜ! ぶっ殺す!!」

 

 ジークリンデが右腕を引き千切られて絶叫する中、ジグムントとジークフリートは攻撃をしようとしたが、散々痛めつけられて怒っているマリは自分の感情を形相に浮かべつつ、引き千切った右腕で攻撃しようとしたジグムントの左脚に叩き付ける。

 仲間の右腕を引き千切ったマリに、屈服させようとしていたジークフリートはそれを撤回して電撃による攻撃を行おうとした。

 

「ぬぅ!?」

 

 魔法で重い鈍器に変わった引き千切られた右腕の打撃を左脚に受けたジグムントは、バランスを崩して倒れそうになる。

 それと同時にジークフリートの電撃による攻撃が行われたが、マリは寸での所で避け、右腕を棄ててから着弾によって発生した土煙で姿を眩ます。ジグムントは左脚の骨が砕かれそうになったが、咄嗟の判断で衝撃を逃がす方向に足を向けてなんとか骨折にならずに済み、バランスを崩すことなく立っていた。

 

「くっ、何をやっているジークフリート!? これでは奴の思う壺だぞ!!」

 

「だからって、そんなに器用じゃねぇよ俺は!!」

 

「周囲を警戒しろ! お前はジークリンデの援護だ! 奴は何をして来るか分からんぞ!!」

 

 怒りに駆られ、マリの行動を助ける行為をしたジークフリートを叱りつつも、指示を出して周囲を警戒するように命じる。土煙が晴れるまで、周囲に殺気を放って警戒していた三名であるが、マリの姿は何所にもなかった。

 

「消えた…?」

 

「ハッ! 俺たちに敵わねぇから逃げたんじゃねぇのか?」

 

「いや、そんなはずはない。私の右腕を引き千切るような女よ。何処かに隠れて…」

 

 これにジークフリートは、自分等に敵わないから逃げたと思っていたが、ジークリンデは何処かでチャンスを窺っていると周囲を警戒しながら口にする。

 

「っ!? 避けろ! ジークフリート!!」

 

「えっ…!?」

 

 数秒後、それを証明するかの如く、右手に自分の剣を携えたマリがジークフリートの背後から物凄い速さで出て来た。

 気付いたジグムントは知らせたが、既にジークフリートは上半身と下半身を切断された後であった。斬られたジークフリートは、自分に何が起きたかも分からず、驚いた表情のまま地面に横たわる。

 

「ぬぁぁぁ!!」

 

 ジークフリートを両断したマリに対し、ジークリンデは渾身の攻撃を食らわせた。

 

「かはっ!?」

 

 その怒りに任せた拳の速さは、マリに次の行動も回避行動を取らせること無く華奢な腹に食い込み、更には貫通して背中まで飛び出た。

 常人ならこれで死んでいるだろう。だが、三人はまだマリが不老不死であることに気が付かない。

 

「こんな化け物、生かして捕らえるのは無理なんだ!」

 

 腹を拳で貫かれ、青い二つの瞳から生気が失せたマリの表情を見たジグムントは、無残に死ぬのを待っているジークフリートを見ながら、生かして捕らえることは不可能だと上司である将軍に告げる。

 

『ちっ、貴様たちでも生きて捕らえることは不可能か。ならば…』

 

「いや、こいつ…生きてる…!?」

 

 ジグムントからの報告に落胆する将軍が言い終える前に、マリが死より目覚めた。気が付いたジークリンデは拳を引き抜こうとしたが、引き抜く前にマリに首を刎ねられ、即死した。

 仲間を殺されたジグムントは怒りに任せることなく、電撃で正確に頭を破壊しようとするも、マリは身体を動かして身体に突き刺さっている左腕を引き抜き、目にも止まらぬ速さで彼の懐に入り、両脚を剣で切断し、更には胸を突き刺す。

 

「ぐぁぁぁ!!」

 

 両足を切断され、胸に突き刺された剣による激痛でジグムントが叫ぶ中、マリは先にいたぶられた恨みなのか、それを強く突き刺し、感情的になって殺そうとする。

 だが、脳裏にルリ姿が思い浮かび、自分が殺そうとしている大男が彼女の行方を知っているのではないかと思い、剣の柄に込めた力を弱め、左手からルリが写っている写真を取り出し、何所へ行ったのかを問う。

 

「この娘、何所?」

 

「ふん、知らんな…それよりも早く殺してくれ…」

 

 写真を見せて問うマリだが、ジグムントは知らないと答えた。次に剣を引き抜き、死を待つだけの状態となったジークフリートに問うが、彼も知らない。

 

「へへっ、そんなカワイ子ちゃん…一度見たら忘れられねぇよ…!」

 

「我々は、その少女と出会ったことなど一度も無い…! お前が首を刎ねたジークリンデもだ…! 少女が何を秘めているのなら、我々にも追跡命令が出るはずだ…!」

 

 死に行くジークフリートが笑みを浮かべながら答えた後、ジグムントはナチスの上層部がルリを知っているなら、追跡命令が出ると答えた。

 情報を得たところで、将軍の元へ行こうとした時、その将軍が直々にマリの居る場所まで来てくれた。

 

 

 

「理想的なアーリア人女性な上に不老不死とは。これは血を無限に吸い取れ続けるぞ」

 

 マリが不老不死であると知り、地を無限にすい続けられると意気揚々と口にする将軍に対し、彼女は嫌悪な目線で睨みつける。

 ジグムントとジークフリートは既に息絶えたが、将軍は奮闘した彼らに何の敬意も抱いていないようだ。

 

「更には超人兵士三名を倒してしまうとは、圧倒的な魔力を秘めているようだな。だが、この私には通じない」

 

 そればかりか、自分には攻撃が通じないとまで言い始める。本当に攻撃が通じないかどうかを試すべく、マリは相手が喋っている間に、右手に召喚したFNハイパワー自動拳銃を数発ほど撃ち込んだ。

 発射された弾は全て将軍に当たったが、弾は全てすり抜けてしまう。どうやら本当に攻撃は通じないらしい。

 

「フロイライン、相手が話している間に銃弾を撃ち込むとは…どうやら中身は蛮族らしい。しかし、これで私に全ての物理攻撃ならび、魔法攻撃が通じないことは確かになったことだ。大人しく我々に投降したまえ」

 

 自分は不死身だと言わんばかりにその特性を自慢げに話す将軍は、マリに投降するように命じるが、彼女は投降する気など一切ない。自分が不老不死になるのにどれほどの苦労を重ねて来たのに、目前の中年の将軍はつい最近ばかりに力を手に入れ、粋がっている様子だ。おそらく何の苦労もしていないようだろう。

 それだけが見抜けたマリは、数百年も掛けて蓄えた知識で将軍の弱点を探す。

 

「ふむ、考える辺り、かなりの知性を持っているようだが…」

 

「ぐ、ぐぅ…! 別世界だ…奴の本体は…別世界にある…!」

 

 必死で考えるマリの様子を見て、将軍はかなりの知識を持っていると言ったが、彼女は全く聴いていない。

 そんな時に、何所からか死に掛けの男の声、それも将軍を攻撃する方法があるヒントを伝えようとする声が耳に入った。

 

「ぬっ? この劣等人種(ウンターメッシュ)のスラブ人め。まだ生きていたか。まぁ良い、後で息の根を止めてやる」

 

 声がした方向を見れば、数人の男が血だらけで倒れていた。どうやら現地住民がナチスに攻撃される前に、止めようとして挑み、返り討ちにされたようだ。自分が殺してない数十名のナチス兵士の遺体が転がっていることから、彼らも英霊のようだ。

 やられた英霊の一人である長い髪を後頭部に纏めた髭面のロシア人は、生きている限り依然としてマリに将軍に対するヒントを伝え続ける。

 

「別世界を見るのだ…そうすれば、奴の本体が見え、攻撃が出来る…!」

 

「っ!? このスラブ人め、能力者か!」

 

 別世界を見ろと伝えたロシア人の男に対し、将軍は少し焦った表情を見せ、とどめを刺そうとした。

 自分にヒントをくれた男に、マリは防御魔法をかけて守った。

 

「貴様、何のつもりだ!?」

 

「別世界を見ろ…別世界を見る…別世界を…」

 

 この行動に将軍が問う中、マリは先の男が与えたヒントで攻撃方法を考える。

 答えは数秒足らずで出た。それは別世界、つまり何らかの魔法的な能力でその別世界を見ろと言うのだ。彼女は空のように青い瞳を、魔法で煌びやかな緑の瞳に変えた。

 その緑色の瞳で別世界を見れば、将軍が人からおぞましい外見に変わった。どうやらあれが将軍の本体の様だ。直ぐにマリは剣で近付き、攻撃して来るおぞましい怪物に剣を振り下ろす。

 

「ふん、まだ分からんのか? 私には攻撃は効かんッ! 遂に脳味噌までウンターメッシュになったか!?」

 

 将軍は攻撃が効かない自分に、攻撃して来たマリを馬鹿だと思って回避することもせずに向かう。

 ここが彼の油断であった。既にマリは別世界、不気味な生物が漂う薄暗い緑色の空間で将軍の本体を発見しているのだ。彼女が敢えて反応しなかったのは、この油断を誘うためだ。

 そうとは知らず、マリを攻撃するために右手を翳した将軍は、彼女が降り下ろした剣でその右手を切断される。

 

「う、ウゲァァァッ!? な、なんで奴の攻撃が私にィッ!?」

 

 将軍は右手を切断されたことによる凄まじい激痛と、同等の物を使わなければ自分を攻撃することが不可能なのに、自分に攻撃を通じさせたマリに対する驚愕が入り混じった叫び声を上げる。

 切断された将軍の右手はマリの近くに落ち、怪物から元の人間の右手へと戻る。手の甲には、赤い何かの紋章が浮かんでいた。

 

「そこの死に掛けのおじさんがヒントをくれたの」

 

「あ、あの意味不明なヒントで、このベイルの世界を見たと言うのかッ!?」

 

「まぁ、見れるかどうか心配だったけど、見れちゃった」

 

 切断された右手から噴き出る血を抑えながら、将軍はマリにどうして自分を攻撃できたのかを問えば、彼女は少女のように軽く答えた。

 どうやらそのベイルと言うのは、それに関する物を使わない限り入れないらしく、それを所持してないマリが、ベイルの世界を見ることは賭けに等しかったらしいが、奇妙な運の良さで賭けに勝ったようだ。

 

「ふ、ふざけおって! 再起不能までしてから、不死身なことを後悔するまで存分に犯し尽してくれるわッ!!」

 

 今までは不死身だった自分の自信を打ち砕いたマリに対し、激昂した将軍は怒り任せに彼女に突っ込んだが、既に動きは見破られており、物凄い速さで全身を切り刻まれ、攻守が一転してしまう。

 防御や回避の態勢を取ろうとするも、彼女が余りにも早過ぎて間に合わず、次第に追い込まれて戦意を喪失していく。やがては死亡寸前までに至る。

 

「う、うぅぅ…ベイルを、ベイルを補給せねば…!」

 

 最初の威勢は完全に消え失せた将軍は、回復手段であるベイルのエネルギーを補給しようと自分等が乗って来た次元航行船に這いずりながら行こうとするが、マリに尻尾を踏み付けられ、止められてしまう。

 彼女の姿を見た将軍は生への執着心が湧き、悲鳴を上げて命乞いを始める。

 

「ひっ、ひぃぃ!? た、助けてくれ! 私は命令されてやっているだけなのだっ!」

 

「そっ。じゃあ、この娘知らない?」

 

 命乞いを始める将軍に対し、マリはルリの写真を出して居場所を問う。ルリの写真を見た将軍は、何処か見覚えがあるのか、助かりたいがためにその情報を洗い浚い話し始める。

 

小鳥(フェークライン)ではないか…! 私の担当では無いので良くは知らんが、フリードリヒ・ケラーの部隊が追跡している! 本当だ! さぁ、話しただろう? 頼む!」

 

 情報を得たところで将軍は助けてくれるように懇願してきたが、彼女は受け入れるはずがなく、その場で首を切断して息の根を止めた。

 

「さぁ、探しに行きましょ。っ?」

 

 大した情報では無いが、ルリの手掛かりを手に入れたところでこの場を後にしようとしたが、切断された将軍の右手の甲にある紋章が光っていることに気付いた。

 直ぐに右手を取り、マリがその紋章が何かを確認する中、英霊の男がそれが何かを教えようと口を動かしているのが見えた。

 

「そ、それは…」

 

 マリは何なのか確認する為、倒れている英霊たち全員に回復魔法で傷を癒させ、戦闘可能な状態へと戻す。彼女の回復魔法を受けた英霊たちは回復し、戦闘態勢を取る。

 

「さぁ、ナチ公共! この俺が皆殺しに…あれ?」

 

「助かった魔女よ、その赤い紋章は令呪。我々英霊を操るためのものだ」

 

「操る…? あら?」

 

 戦闘が出来るまで回復した一人の英霊が持っている銃をそこら中に向けたが、そのナチスは既に全滅した後であった。

 空振りした英霊を他所に、髭面の英霊は令呪についての情報をマリに伝える。それが分かって右手を切断された右手に近付けてみれば、赤い紋章が自分の右手の甲に移る。

 

「私はカーン、モンゴルの偉大な征服者チンギス・ハーンの生まれ変わり。どうやら、君の魔力の強さで令呪が君に移ったようだ」

 

「困るんだけど。ずっと出てたら…」

 

「案ずるな。英霊に対し命令を出すとき以外には出ない」

 

「おい、ナチ野郎共は何所へ行った!? なんだ、みんな死体になってるぞ! クソッタレ! さっきの倍以上にやり返してやるのによ!」

 

 右手の甲に紋章が移ったことに、マリは傷物になると嫌がるが、カーンと名乗る英霊は命令を出すとき以外に浮かび上がらないと言って安心させる。

 英霊の一人が生きているナチス兵士が居ないことで騒ぎ始めた為、マリは鬱陶しく感じて試しにその英霊で令呪を試してみた。

 

「うぉ!? これは、なんだかこの女の命令を聞かなくてはならなくなったぞ! 一体何の用だ?」

 

「へぇ、こうなるんだ。少し黙ってて」

 

「あぁ、黙るよ。それで、生きているナチを探してくる」

 

 試しに使った令呪で素直に命令を聞いた英霊は、生きているナチス兵士を探す為にその場を離れた。

 一方で直ぐに英霊が命令を聞いたことにカーンは驚き、マリがとてつもない魔力の持ち主だと判断して、その令呪について語り始める。

 

「凄いな。あのゼッタは三名を従わせるのに苦労したと言うのに。君はとてつもない魔力の持ち主の様だ。それは何度も英霊に命令を出すための特別製の令呪だ。元々はカルディアと言う場所で、組織が定めた人間のみしか使えない物だが、ナチスはそこを襲い、奪った。奴は君のようにとてつもない魔力を持っていなかったが、今は君の手にある。適任者だよ、君は」

 

 殆どカーンの言葉を聞いていなかったマリだが、自分に誂え向き物であると分かった。

 

「君ならいかなる英霊を従わせることが可能だろう。今は混迷の時代だ、神は様々な英霊をありとあらゆる世界に派遣して秩序を保とうとしている。それがあれば、仲間を探すのには苦労しないはずだ」

 

 カーンは未だに令呪について説いていたが、当のマリは話の殆どを聞いていない。

 死体でも復活させることは可能かとカーンに聞く前に、マリは試しに自分が殺したジグムント、ジークフリート、ジークリンデの三名の超人兵士を復活させてみた。

 

「こ、ここは…!?」

 

「い、生き返っているぜ!」

 

「私は死んだはず…?」

 

「な、なんと!? 死した英霊まで蘇らせたのか!? 君は一体何者だ!?」

 

 死んだのは復活させることは出来ないだろうと思ったが、結果は予想を遥かに上回り、三名を蘇らせることが出来た。

 これにカーンはマリに何者なのかと問い掛けて来るも、彼女は無視して何も答えず、生き返ったばかりの三人に近付き、仲間になれと命令する。

 

「あんた等、今日から私の仲間ね」

 

「おい、姉ちゃんよ。俺は…いや、なんだか従わなくちゃならなく…あぁ、いいとも」

 

「あなたが我々の新しい指揮官ですか。ジグムント、任務に邁進します」

 

「ジークリンデです、貴方の指揮下に入ります」

 

 令呪を使って命じれば、彼らはあっさりと命令に従い、マリの指揮下に入った。

 こうして彼女は英霊を従わせることが出来る令呪を手に入れ、尚且つイマイチ信用できない謎の情報屋であるミカルよりも、ある程度は信頼できる仲間を得ることに成功した。

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