戦闘妖精雪風はストライクウィッチーズ世界の空を飛ぶ   作:ブネーネ

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10話 終

物言わぬオドンネル大尉を乗せたファーンⅡは管制機からの誘導を受けて見事な着陸を見せた、それを見届けた管制機も次いで着陸。

FAFロマーニャ基地、その滑走路には消防隊と救急隊がスタンバイ、ファーンⅡのエンジンが外部からの操作で停止された事を確認すると外部開閉ハンドルを回してキャノピーを開く。

「どいて!ヒュー!」

オドンネル大尉の秘書エイヴァ中尉が救急隊員を押しのけ、コックピットに力なく収まるオドンネル大尉を揺らしながら名前を呼び続ける。

「ヒュー!起きて!しっかりして―――ひっ…!!」

オドンネル大尉のヘルメットのマスクを外すとマスクと口から血が溢れるように流れ出る、呼吸は既に無し、支えを失ったかのように大尉の頭がぐらりと不自然に傾く。

「ヒュー…一言でいいの…大丈夫だって、聞かせて、ねぇ……」

その光景を遠くから眺めるだけの二人、ブッカー少佐は管制機の機体にもたれ掛かり懺悔のようにつぶやいた。

「俺が、間違っていた。無人機を、雪風を制御できるなんて考えは全部」

「ジャック、あんたの責任じゃない、誰が悪いわけでもない」

気落ちする親友にかける慰めの言葉は誰にとっても慰めにならない陳腐なものでしかなかった、銃声が一発、エイヴァ中尉が拳銃を握っていた。

「中尉!何をしている!!」

オドンネル大尉のGスーツに空いた穴から新たに血が流れていく、エイヴァ中尉は失われていく物をかき集めるかの様に大尉の体にしがみ付いていた。

「ファーンに、機械にヒューが殺されるなんて嫌。ヒューは私が殺したの……ファーンなんかに現を抜かす男なんて、死んでしまえばいい……」

エイヴァ中尉は錯乱した、死体を下ろす為に救急隊が近づくと彼女はヒステリックを引き起こし、退けようとする手を振り払い癇癪を起して耳が痛くなる様な甲高い声を上げ暴れた。

FAFロマーニャ基地上空から響くジェット音、雪風が帰って来た。

エイヴァ中尉はその瞳に狂気を宿らせて雪風を睨み、未だ上空を舞う雪風に向けて発砲、機体には掠りもしない。

「お前が!お前が殺した!ヒューを返せ!返せぇ!!!!」

弾切れを起こしてもなお引き金を引くエイヴァ中尉は取り押さえられ拘束、最早言葉にならない絶叫を上げながら運ばれていく。

雪風も滑走路が開いた事を確認すると着陸、ブッカー少佐が駆け寄りすぐさまキャノピーを開きコックピットからオートマニューバ・スイッチをオフ、ファーンⅡとのリンクも解除する。

雪風はそこで初めて目が覚めたようにディスプレイに警告を表示する、外部接続機器に異常あり、ハーネスやホース等の装備が正しく取り付けられていない―――。

ブッカー少佐は雪風に飛ばせる意思がない事を示すように動翼を動かす為に必要な油圧を系統から分離する様にスイッチを押す。

雪風がタキシングしてハンガーに戻されていく、オドンネル大尉が乗っていたファーンⅡもまた。

「ジャック、聞いてもいいかな」

「……何だ」

「俺は前に、ジャムとの戦争に人間が必要かどうか聞かれたんだ、俺は勿論必要だと思うが理由ははっきりしないんだ。あんたなら分かるのか」

「これは、人間とジャムが始めた戦争だ、それを今更別の奴に押し付けるのはおかしいという事だろう」

そう言うものかと、腑に落ちた深井中尉はしかし、と続けるブッカー少佐の言葉に耳を傾ける。

「だが俺は今こうも思う。零、人間が必要ないと本心から思っているのは、きっと機械の方なんだ。俺が雪風を無人で飛ばすなんて言わなければ」

「さっきも言ったが少なくともあんたのせいじゃない、オドンネル大尉だって雪風がファーンⅡを操作してなかったらミサイルで死んでいた」

「それでも話は違ってくる、雪風はあくまでもファーンⅡを守った、大尉は機械に弄ばれて死んだんだ」

「ここは戦場だ、そこでの死は戦死以外あるもんか、意味なんてない」

「しかし雪風はウィッチを助けた、死の意味がなくとも同じ生にどのような違いがあったと言うんだ、何が二人の生死を分けた、何であれ勝手な思惑に殺された事には変わりないんだ」

そう言ってブッカー少佐は黙ってしまった、深井中尉は何もない空を仰ぎ見ていた、妖精に拐われて命を奪われた男の魂は今何処を彷徨っているのか探すかのように。

 

 

 

 

――――戦技フライトは終了、試験内容に一切問題なし、ファーンⅡは実践配備が決定される。

 

 

 

 

「しかし良かったのか?」

「何がですか?」

501JFW基地を出て自分達の部隊に戻るトラック群、その内の一つに乗るグノー大佐はスクラップと化したジェットストライカーを足で小突いた。

「ええ、問題はありません。根回しは既に済んでいますし別チームのジェットストライカー研究はこれで致命的な遅れを産むでしょう」

「『フリップナイト・システム』、魔道回路はもう完成の目途はついているのか?」

「ええ、最終調整を済ませれば物になるでしょう。後は女王を用意するだけです、そちらこそ器の準備は出来ていますか」

「勿論だ、スーパーシルフを超える新たな妖精の女王、後は器に注ぐ中身だけだ」

「素晴らしい」

ウルスラ中尉は胸の前で手を組み神に祈るかのように目を閉じる。

「ジェットストライカーは素晴らしい、()()()()()()()()()()()()()()。ついに『我々』もここまで辿り着きました、故郷を凌辱した憎きネウロイを焼き払う日は近い」

 

 

―――終わらぬ戦争は続いて行く。




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チュートリアルも終わったのでここから色々やって行きますのでよろしくお願いいたします

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