戦闘妖精雪風はストライクウィッチーズ世界の空を飛ぶ   作:ブネーネ

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七章 オペレーションニフ
40話


俺達が不当に拘束されていたストライクウィッチーズを解放したことで大義名分を得たFAFと各国の政府は人類連合軍を強制的に掌握し、人類連合軍の解体を決行した。

しかし一夜明けて慎重に行われたFAFは西郡方面軍との協議の結果、総攻撃の為に配置した方面軍を今更戻す訳にもいかずオペレーションニフは通常通りに決行される運びとなった。

しかしフェアリィ星の経済、政治、軍事において多大な影響を及ぼしていた人類連合軍の接収、それは民間人の預かり知らぬ所で世界の構造が変わろうとしていた。

「秘密結社ね、陰謀論信者の口癖だと思っていた」

「秘密結社というのはそう珍しいものではない、ごく普通に世界の至る所に存在している」

「もしかしてあんたも陰謀論信者とか言わないだろうな」

「そうじゃない、隠し事というのは誰だってあると言う事だ。むしろ秘密結社が結成されるのは至極当然とも言える。零よ、何故人類連合軍が秘密結社だったのか理由が分かるか?」

「バンシーⅣを落とす組織はまともじゃない、まともじゃないなら秘密結社にもなるんだろう」

「それもそうだが……人類連合軍は世界のどの国にも所属していなかった、もしも何処かに所属していれば利権が絡んで実現しなかったからだ」

何時もの様に知識をひけらかすジャックの姿に俺はいつものが始まったのだと思った、この男は哲学の信奉者で物事の真実の姿を求めている。

それは恐らく本当に信じられる物がないと言う事の裏返しである様にも思う、ジャックにとって目に映り耳で聴き自ら触れる物は恐らく真実ではないのだ。

だからこそジャックは生きているし俺も特殊戦も未だベネツィア戦線で戦い続けて居られるのだ、潔癖な生き方にも思えるが彼はそれが出来る男だった。

「リン・ジャクスンも言っていたな、地球人やフェアリィ星人という人類の代表者が居ないのは人類同士で未だに歩み寄れていないからだって」

「そうだな、国家に中立というのは難しい、統一政府などはほぼ不可能と言ってもいい。つまり世界に対して中立である為に人類連合軍は秘密結社でなければならなかった、そして目的は不明だがこのフェアリィ戦争に貢献していたのは確かだ」

「真のフェアリィ星人の先駆けか、それが何故バンシーⅣを落とす」

「俺にも分からん。しかしこれが切っ掛けで人類連合軍が各国が無視できない脅威となり、各国が介入して解体されるわけだが組織は残った。人類連合軍は例えるならグローバルな株式会社になった訳だが、問題は誰がどれ程の株を買い占めたかだ」

「その口ぶりだと……FAFか?」

「その通り、貿易会社となった人類連合軍の株の50%をFAFが保有する事になった」

「馬鹿げている、それをフェアリィ星が認めたのか?」

「人類連合軍が落としたバンシーⅣ一機を建造するのにいくらかかると思っている、と主張したいところだが各国はバンシーⅣの件については無関係を主張するだろう。しかし各国の将官の多くが関わっていた以上無視することは出来ない。そして歴史を重ねた分FAFは最早この世界の一部だ、世界のパワーバランスを崩してはならない。だから各国の味方ではなくジャムを敵視するFAFが適任だと認めさせたらしい」

「FAFはフェアリィ星での経済的活動を禁止されている筈だろ?その為に態々俺達の給料をFAFが独自の通貨で管理してるじゃないか」

FAFに所属する人間は非戦闘員や派遣された企業のスタッフであっても軍属という扱いでありFAFから給料が出る。

これは巨大な需要を生む事で地球の経済に利益を齎すし、自給自足をさせない事でFAFの反乱を防ぐ意味合いがある。

「そりゃあ人類連合軍の金をFAFがくすねたら問題だが稼いだ分をフェアリィ星に還元する分には問題ではない。それに地球の資源だって無限じゃない、いずれは自給自足に切り替わるか独立するかで結果は変わらない。FAFはいずれ起こるであろう事態に備えて保険を用意したいって考えなのかもな」

「それを国連がFAFに反乱の兆しありと認めたら、FAFは自ら国連を裏切った事になるんじゃないか」

「それは……そうなるだろうな」

「狂ってる……しわしわ婆さんは、ミーナ大佐は何か言っていたのか」

「准将曰く、『ジャムに負けないならば何でもいい』と。ミーナ大佐は自分達を脅かすようなら手段を択ばないだとさ」

「楽観的だな、羨ましいよ」

「俺達が悲観的過ぎるのさ、そろそろブリーフィングに向かうぞ。全てはこのミッションが終わってからだ」

 

 

 

 

 

FAFロマーニャ基地の大会議室にて関係者を集めてブリーフィングが行われる、特殊戦も今回は戦力の一部として集められ会議室の中程の列の席に収まっていた。

様々な事件が起きたがオペレーションニフは遂に決行に移る事になる、作戦の大まかな要綱は以下の通り。

 

1、決戦兵器『大和』を投入、その防衛と露払いとして501JFW及びFAFの戦力を投入する。

 

2、決戦兵器によってジャムの巣のコアを破壊しベネツィア及びロマーニャを解放する。

 

3、失敗した場合は随時対応、衛星兵器やICBM等の武装も許可され最大戦力を以てネウロイの巣のコアを撃破する。

 

他にもミッションの詳細な説明が加えられるが、幾つか疑問を覚えた俺は隣に座るジャックに小声で問いかけることにした。

「ジャック、何故戦力を逐次投入するような真似をするんだ。決戦兵器とやらはFAFの総力よりも優秀なのか?」

「俺もお前も随分と聞き飽きた地球国際条約の影響だろう、フェアリィ星人が自分でジャムを倒せなきゃどの道この星に未来はないんだからな」

「フェアリィ星がFAFに乗っ取られるって話か、前にも聞いたよ」

「ほう?誰からだ?」

「しわしわ婆さんだよ。FAFが行きつく先はフェアリィ星を乗っ取るか、あるいは現状維持かとな。現状維持などあり得ない、お互いに銃を持てばいずれ暴発するに決まっている」

「そういう話題はここでは黙っておけ。しかしお前がFAFとフェアリィ星の未来について話るなんてな、どういう心境の変化だ?」

「俺は目の前の敵だけを倒せばいい、それでジャムに勝てると思っていた。しかしジャムに勝つためにはそれだけでは駄目だと思っただけだ」

「フムン、お前は成長したな。それが特殊戦にとって喜ばしい変化だといいのだが」

「他人の理想を押し付けられても俺の知った事ではない。俺は俺だ、やりたい様にやる」

「前言撤回だ、お前は立派な特殊戦の戦士だよ。今となっては羨ましくもある」

そう話している間もブリーフィングは続くが結局決戦兵器の詳細な情報は不明のままであった。

もしかしたらFAFの中に紛れているであろう何れかの勢力に所属するスパイや人型のジャムを警戒しているのかもしれない、バンシーⅣで地球のスパイ疑惑が流れた後だから警戒するのも無理もないだろう。

実際少なくとも人型のジャムは間近に存在するのだ、それが何処まで侵食しているかは分からず終いだが既に地球まで侵攻していたとしても誰も気づくまい。

最終的に特殊戦はまずレコンウィッチ隊『ミラージュ』と特殊戦機五機を戦闘偵察任務に従事する事となった。

作戦決行は決戦兵器大和の最終調整が終わる二日後、それまでは特殊戦がネウロイの巣の警戒にあたり非常事態には前倒しでスクランブル発進もあるという事になった。

ブリーフィングは説明のみで終わりとなりそのまま解散となった、俺達はそのまま特殊戦のブリーフィングルームに再集合し501JFWの面々と改めてブリーフィングを行った。

 

 

 

バンシーⅣ事件によってジャムが核武装を行っている可能性が高い、しかし核の放射能に耐えられるのはウィッチとウィッチの魔力を利用できる兵器のみである。

つまりネウロイの巣に接近して活動が可能なのはFAFの中でもミラージュ隊だけだ、よって他のFAFの攻撃はアウトレンジからの遠距離攻撃かベネツィア、ガリア、ロマーニャ方面に向かうジャムの撃墜に絞られる。

また強力な放射線はいくらRX-00が他の機体と比べて電子機器を厳重に防御していたとしても電子回路を焼かれる可能性があるので注意する事、パイロットの健康被害は言わずもがなだ。

「つまりネウロイの巣に私達10人だけで攻め込むのね」

「あくまで陽動がメインだ、それにレコンウィッチ隊も協力する」

「えー、戦闘機でネウロイに勝てるのー?FAFの機体って結構ネウロイに負けてない?」

ルッキーニ少尉の言う事も確かだ、この戦争でFAFが優勢になった事は一度も無い。ベネツィア戦線でもFAFは多数の機体を失っている。

「俺達はスペシャルだ、特殊戦だからな。それにアンタ達の隊長を救出したのは俺達、いや深井大尉の功績だぜ?」

「それは……まあ、感謝しているがそれとこれとは別だろう」

「まあアンタ達の戦闘機がスゴイってのは分かるけどねぇ、ネウロイの巣でちゃんと掩護できるのか?」

「それは私から説明します」

「あー!!ウルスラァ!!!!」

「ウルスラ?私は特殊戦の秋津風( あきつ ふう)少尉です。人違いでは?」

「どうみてもウルスラじゃん!」

「お姉さまは細かい事を気にしすぎですよ」

「ホラお姉さまって言った!!」

いつもの見慣れた白衣を纏うウルスラ・ハルトマン中尉、しかしストライクウィッチーズからすれば彼女達を裏切った人物だ。

彼女は現在特殊戦所属のパイロット兼特殊戦のメカニックとしてレイフやメイヴ等の魔導エンジンの調整を行っている。

彼女は元々協同技術開発センターの所属ではあるが、それ以上に人類連合軍の下で暗躍していた過去があるが元々FAFは彼女を取り入れる予定だったようで特殊戦に匿われていた。

「ウルスラ中尉……よくもまあ色々とやってくれたわね」

「ちゃんと助けたじゃないですか、私だって大変だったんですよ?」

「いい加減にして貴女の正体を明かしなさい、一体本当の貴女は何者なの?」

 

 

 

「……では改めて。私はノイエカールスラント合同技術開発センター、FAF特殊戦第五戦隊、そして507JFW『サイレントウィッチーズ』所属のウルスラ・ハルトマンです」

 

 

 




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