戦闘妖精雪風はストライクウィッチーズ世界の空を飛ぶ 作:ブネーネ
5話
俺は再びFAF本部フェアリィ基地に召喚されていた、不名誉な話だが最近のイレギュラーに巻き込まれるスパンが周りと比較してもかなり短く、遂に情報軍団から半ば強制の事情聴取を受けさせられていた。
何を見て何を聞いたのか聞かれたら答えるだけ、俺は雪風の戦闘記録を見ろとしか言えなかった、少なくとも俺よりも確実だ。
「協力感謝するよ深井中尉、最近は随分愉快な事ばかり目撃しているようだな」
「不本意だし不愉快だ、どいつもこいつも自分勝手に俺を巻き込む、いい加減にしてほしい位だ」
俺の態度にも肩をすくめるだけの男、情報軍解析部司令のアンセル・ロンバート大佐は資料の束をデスクに置いた。
「君のおかげで無事にジャムのサンプルを回収する事が出来た、君達の予想通り例のジャムは炭化させた木材を材料に作られていた」
「それで何かが分かるのでしょうか」
「ジャムは元々占領した土地の鉱物等の資源を利用してジャム機に転用しているという説があったが、それがより真実味を帯びて来たという事だ」
「ロンバート大佐殿、退室の許可を頂けないでしょうか」
「不許可だ、落ち着き給えよ、先ほどの話はあくまでオマケに過ぎない、特殊戦はそれよりも重要な情報を持ち帰って来てくれた」
「それは何でしょう」
「彼らが資材等を現地調達するのであれば、ジャムが核兵器を使用したというなら彼等はそれを何処で手に入れたのだろうか」
微かに自分が抱いていた疑問がより大きな問題に直撃する時、俺はすぐに言葉を発する事が出来なかった。
「ジャムに与する裏切り者がいるとでも?」
「それは早計だよ、幸いにも彼らは流石に無から生み出す力がないようだ、まあ未だに輸送経路は不明なのだがね。ああそうだ、クーリィ准将が呼んでいたから顔を出していきなさい、退出してよし」
「失礼します」
俺は退室すると空調の効いた基地の廊下を歩き始めた、システム軍団が本拠地とする基地と特殊戦本部が所属する戦術戦闘航空団が詰めている基地は別にある為一度外に出てから陸路を使って移動する必要がある。
「ここまで本部と前線基地を行き来している特殊戦パイロットはお前位だな、気分はどうだ?」
「はい准将、非光栄であります」
「であればブッカー少佐が管理部で働ける人間を探していたぞ?お前の年齢もそろそろ限界が近づいているだろう、少しは考えてみてはどうだ?」
「俺はまだ飛べる、俺に数年後があるのならその時考えればいい」
分かって聞いているだけ性質の悪い人間だ、もしやここでも事情聴取をされると思ったのだが用件が違うらしい。
「お前はこのフェアリイ戦争をどのように考える」
「俺にはそんな事どうでもいい、ただ雪風と一緒に空を飛べれば」
「聞き方が悪かった、ではFAFはこの先フェアリイ星でどのように活動を継続していくか知っているか?」
「知った事か、俺には関係ない」
FAFが初めフェアリイ星に来た時は正規の従軍経験のある人間で構成された正統な軍隊だった。
しかし時が経つにつれて志願して来た人間以外では何かしらの犯罪歴を持っている島流しの人間だけになった、裁判を受けた重犯罪者やFAF送りに都合がいい将来的に収穫できそうな人材が半ば強制的に送られるのだ。
そもそも勘違いされる事もあるがFAFは正義の味方でもなければ植民地にする為の軍隊でもない、地球を守る為の軍隊ではあるがあくまで戦闘の為ではなく観察がメインの組織なのだ。
「なら覚えておきなさい、この先FAFが向かうのは現状維持かフェアリイ星を乗っ取るかのどちらかよ」
「フェアリイ星を乗っ取る?我々が第二のジャムとなってフェアリイ星に宣戦布告でもするのか」
「もっと静かに、そして狡猾に話しは進むでしょうね、フェアリィ星人やウィッチとやらがジャムと戦っている内にFAFがフェアリイ星にいくつの空中要塞と衛星を打ち上げたと思う?」
「そうだとして、そんな事が許されるのか」
「フェアリイ星に対してはありったけの爆薬を放り込めば一瞬でしょう、その気になれば戦闘機はいくらでも組めるし核だってある。この前深井中尉がFAF機を撃墜した件で向こうがあれ程騒いだのはFAFからの侵略を恐れての事よ、FAFは裏切り者を粛清したという有益な隣人だと示す為の回答を発表した」
俺が噛みつこうとしたのは見えざる獣の四肢の一本ですらなかったという事らしい。
正直に言ってうんざりした気分だった、俺はパイロットだ、俺の役職の領分を遥かに超えている。
「それに地球側が文句を言うとは思えないわね、大事なのはジャムの脅威を払う事、それさえ達成出来れば何も問題はない」
「特殊戦は、クーリィ准将はこれからどうされるのですか」
「これまで通りよ、あえて言うなら穏健派になるのかしらね。しかし急進派がいてこそこそと動いているのも事実、特にロンバート大佐には気を付けなさい」
クーリィ准将はデスクの引き出しの中から数枚のFAF軍人のプロフィール用紙を取り出した。
「俺にこの書類を見せるのが本題か?」
「そうだ中尉、彼女達の現在の所属は情報軍の情報収集団、そして――――彼女達はウィッチだ」
「何だと?フェアリイ星人がFAFに入隊したのか?」
「違う、彼女達の親はFAF軍人だったのだがフェアリイ星人との間に子をもうけた、地球に送る事も出来ずにFAFで過ごしていた際にウィッチとしての才を示したというのが彼女達の大まかなプロフィールだ」
「年齢は…10~16才、若すぎる」
「それでもシミュレーションフライト、実践飛行共に過程を修了しストライカーも各種扱う事が出来る。確かに
「これもロンバート大佐が関わっているのか」
「そうだ、キナ臭い動きをしていたから探ったらロンバート大佐が直々に特殊戦に押し付けて来た、本人は何かのデモンストレーションとでも思っているのだろう」
「受け入れるのですか」
「特殊戦は何時でも人手不足だ、都合がいい事に彼女は特殊戦の求める要綱をクリアしているから今後は各基地の特殊戦に配属される事になる、何かと世話を焼いてやれ。中尉は退出して良し」
「失礼いたします」
少なくとも管理部よりパイロットの方が飛んで逃げるには有利だなと頭の片隅で考えながら退室、憂鬱な気分のままロマーニャ基地へ帰投した。
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