真剣で剣聖に恋しなさい!   作:槍槓

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第十一話 『開幕』

六つの軍がそれぞれ人を集め、軍の体裁を整え終えた。川神学園と言う武の名門とも言うべき学び舎の者たちが、武勇を、権謀術数を駆使し干戈を交える。

 

そして模擬戦開幕当日を迎える――――――

 

―川神学園校庭―

模擬戦復活―――その報を聞きつけたOB、OGや元教師、各地の武術家たちを伝い広まった噂は日本全土どころか世界全域に広がり、異様な盛り上がりを見せている。

 

「既に各々、この戦いに挑むにあたり或いは鍛錬に望み、或いは智謀を奮い、この日を待ったと思う」

 

川神鉄心その人の声に、学生ばかりか集まった観客、来賓、心なしかこの光景をTVで見る人々も次の言葉を待つように静まり返る。

 

「これ以上の前口上は全て不要、後は己が武と知で全てを語れい!!これより模擬戦を開幕する!!」

 

ウォオオオオオオオッ!!!と世界全体が震え上がり早速観客向けのルール説明などが行われている。ちなみに初日の組み合わせは九鬼軍対松永軍、源氏軍対福本軍、和泉軍対武蔵軍となっている。

 

「それで恭也君、今日はどのような戦いをするのですか?」

 

冬馬が俺に問いかけてくると、俺は眼前で戦闘準備を展開している九鬼、松永両軍から視線をそらさないままに口を開く。

 

「示威、だな」

「と、言いますと?」

「今回の模擬戦、主な勝利条件は敵軍の牙門旗を奪う事だ。だからこそ、旗の守りに就く者の強さの質が問われる・・・・それは分かるな?」

「そうですね、旗を落とせないとはればもう一つの勝利条件である判定勝ちを狙う相手はどうしても足元が疎かになる可能性もあります」

 

そう、この戦いはいかに効率よく相手の動きを縛り自軍に悠理な状況を作り上げ勝利条件を満たすかが鍵となってくる。そのためには戦術、謀略の駆使など様々な手段が考えられるがその中でも最もシンプルで最も効果的な戦略・・・・それが。

 

「初戦の攻め手は俺が担う、残る全員で旗の防衛に当たれ。この初戦で武蔵軍の二戦目も縛り付ける」

「・・・・!成程、顔に似合わずエグい手を使いますね恭也君は」

「主力が一年坊な上にメンタルが弱い心がいるから使える手だ、黛がいようとも恐らく大将の次の戦いでうつでは自然と縮むだろうさ」

 

力を見せ付けることで相手の心を圧し折る、少し前の・・・・刀を握ることを拒否していた恭也では考えつかなかったであろう策。今の恭也に迷いはない、ひたすらにかつて己が志した頂を目指すためにまっすぐに手段を選ばずに戦う。

今回の策は簡単だ、武蔵軍の最高戦力である黛ごとその全てを『和泉恭也』と言うジョーカーで叩き伏せる。水上格闘戦をもってしても未だ『マグレ』で勝ったと評価されている『切り札(和泉恭也)』と言う戦力をハッキリと脅威と認識させるための策。

 

「・・・・どうした?妙な表情をして」

「いえ、この一週間ほどで何があったかは分かりませんが・・・・良い顔をしていると思いまして、支えがいがありますよ」

「そらどうも、まずは先の二戦をゆっくり見学して大まかな流れと雰囲気をつかむところから始めようか」

 

先ず戦いの場において重要なのは戦場の空気を知る事だ、当然本来ならばそのような暇など無いが今回はあくまで競技の枠組みに入る模擬戦だ。それをするだけの暇があるのならば成してしかるべきだ。

 

「初戦の松永軍と九鬼軍の戦い、恭也君はどう見ますか?」

「多分、松永軍が負けるな」

「なぜだ?確かに九鬼軍は数はいるが練度は松永軍に遥か劣るように大友は思うぞ?」

 

確かに、個々の力だけを見るならば松永軍が遥か上だ。しかしこれは団体戦だ、個よりも集の力が重視される上に・・・・

 

「見ろ、燕さんや大和は動く気は無い。となれば団結力があり戦術もある九鬼軍が勝つ・・・・まぁあれも作戦なんだろうがな」

 

おそらく、燕さんと大和は今後のことを考えてこの戦いを『敢えて棄てた』のだろう。無頼漢ばかりの集団を集めまとめるにはちょっとした工夫が必要という事だ。

 

「九鬼紋白は軍才に長けているな、軍師よりは知将派なのだろうが・・・・それでもカリスマがある知将など驚異以外の何者でも無い。九鬼軍と戦う以上最も厄介なのは彼女の存在だ」

 

九鬼、というとどうしても皆兄である九鬼英雄に注視しがちであるが九鬼紋白はその兄よりもカリスマでは劣るが軍才に勝る。そして最も問題なのはその劣るカリスマがそれでも並を遥か外れているということとその軍才が冬馬や大和ら軍師の名を冠する者に迫るだけのモノを持っていると言う事だ。

 

「成程、では九鬼軍と松永軍の事は置いておくとして源氏軍と福本軍はどうでしょう?」

「与一がイマイチやる気を出していない、が義経はやる気十分だし弁慶もそれに追従する気配がある。となれば押し切るのは簡単だ、福本軍に飛び抜けたエースクラスが一枚しか無い以上は勝ちきる事は出来んよ」

 

マントの人物のうち一人、あれはマスタークラスとまでは言わずともそれに迫るものがある。マルギッテとかそれに準ずる実力者だ、が壁一歩手前の実力者である源氏トリオが相手では分が悪い。島津や井上だって弱い訳じゃない、むしろ強者の部類に入るがそれでも足りないのだ。

 

「ではこれから戦う武蔵軍と言うのはどういった特色があるのだ?」

 

と、問いかけてきたのは長宗我部だ。

 

「若いな、年齢がじゃない。考え方が、経験が、若いが故に少ない。だから前半戦は伸び悩むし俺としては今回は悪いがそのまま伸び悩ませたい・・・・」

「?そこまで警戒する理由はなんだ?」

「若いがゆえに慣れるのが速い、喧嘩慣れしてしまえばあとは身体能力の差になりそれまでのハンデなど無意味になってしまうからな」

 

若さ、武蔵軍の武器は言ってしまえばそれなのだろう。黛由紀江と言う好カードもあれば弓道部主将の矢場先輩や心のようなそれなりの実力者もいる。大将である武蔵小杉も東西交流戦の事もあり猪突なイメージがあるが基本的に馬鹿ではない、経験さえ積めば素質はあるのだから良き将に成長するだろう。

 

「さぁ、まずは見学させてもらおうか・・・・」

 

戦いが今、始まる---




次回から本格的に模擬戦開始です。しかし本編と人材配置をいじりまくったから戦運びとか考えるの難しいですねー(笑)
まぁそれでも頑張りますけどね!ってか・・・・恭也君と燕ちゃんの距離を縮める機会が中々訪れないことに気づいてしまった!!
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