真剣で剣聖に恋しなさい!   作:槍槓

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第十五話 自覚

と、まぁ再度喧嘩を売ってみたが自分の身体の状況を整理しよう。

 

腕、折れてはいないがダメージ過多。

 

脚、こちらも折れてはいないが筋がやられている。

 

内臓系、呼吸が少し苦しいぐらいで他は問題なし。

 

他骨など、折れてる様子も無い。ヒビぐらいなら問題も無い。

 

意識もしっかりしてきたし霞んでいた視界も元に戻ってきた、手先足先の感覚も同様だ。

 

結論、俺は戦える。

 

しかしなんだろう、倒される前よりも力があふれ出ている。まるで項羽の一撃がキッカケで枷が一つ外れたような・・・・

 

――――――

side ヒューム・ヘルシング

 

和泉の孫が項羽に討たれた、マープルの部下からの報告を聞いたときは情けない赤子だと思ったが・・・・中々どうして面白い事になっているな。

 

「っ・・・・ははっ・・・・」

「貴方が笑うとは珍しいですね、ヒューム」

「ああ、そこまで面白い事だったのか?あの男が」

 

両側からクラウディオとゾズマに語りかけられ、俺は一層に笑みを深める。当たり前だ、世の中に『強者と戦い討つ事で強くなる』武術家、武人は数多いるが『強者に討たれる事で強くなる』武術家、武人がどれだけいると思う?いいところ片手ぐらいしかいないだろうな・・・・あの将監もその一人だ。

将監も、不思議な事に敗れるたびに恐ろしいほどの成長を見せ瞬く間に壁を越え、瞬く間に世界最高峰に数えられるような実力者にまでなった。まるで今のアレを見ているとあの頃を思い出すようで・・・・

 

「それに・・・・」

 

そんな和泉に触発されたように項羽が、一人の武人として相対している。マープルには悪いが俺にはあの娘には今の方がイキイキしているように思える、そしてそのほうが鍛えがいがある。

 

「良いだろう、見届けてやる」

 

――――――

 

「俺が、立会人をしてやろう」

 

そう言いながら尊大な態度で現れたヒュームさんを見る俺と項羽。

 

「是非、お願いしたいところですがね」

「ふん、まぁ貴様ならば公平だろう・・・・構わん!許す」

 

互いに、それだけを言えば俺は再び刀を構え、項羽は戟を構える。

 

「なんだ?少し構えが違うな?」

「ああ・・・・だろうな」

 

今まで使ってきたのは和泉流の三つある型の一つ、『風輪』。疾さに重きを置いたスタイル。今俺が使っている型は『天魔』、パワー重視のスタイルで・・・・

 

「これが俺の本来の戦い方なんだ」

 

――――――

side 項羽

 

「これが俺の本来の戦い方なんだ」

 

なんだと?今までのが本気ではなかった、とも聞こえるが・・・・和泉の口ぶりからすればそうじゃない、どれも本気を出せるがその中でも・・・・特に自分に適合した戦い方がそれなんだろう。

 

「・・・・ちゃんと受け止めろよ?・・・・和泉流、『降魔』」

 

初動を見る限りは何の変哲も無い抜き打ちに見える、ならば受け止め、押し返し、返す刃で再び斬り捨て・・・・

 

「っ!!!?」

 

何が起きた?なぜ俺の両腕は戟ごと『跳ね上げられている』?いや、自問せずとも答えは出ている。目の前の和泉がやったのだ、和泉の放った抜き打ちが俺の防御の戟ごと俺の両腕をはね上げたのだ。

 

「体勢を立て直す暇は与えねぇ・・・・和泉流『地擦り』・・・・」

 

一歩下がってから切先を地面に押し付ける和泉、一体何を・・・・

 

「『雷霆』!!」

 

押し付けられた状態から一気に地面を抉りながら振り上げられた刀身は熱量と雷の闘気を纏う必殺の刃となって・・・・

 

「あ・・・・」

 

俺の意識を一撃で刈り取っていた・・・・

 

――――――

 

「っ・・・・あー、もうだめ」

 

項羽が地面へと倒れふしたのを見届けてから俺も後ろへと倒れこむ、やっぱしろくすっぽリハビリもしてねぇのにコレ使っちゃキツイわ。足元から大地に闘気を流し、刀身にまとわせた闘気との摩擦から熱と雷を生み出しまとわせ斬る。

気の消費は荒いし隙はデカイし、何より本来はボロボロの身体で使っちゃいけないほどに負担がかかる。つまりは俺の身体のボロボロ度合いが加速って事で。

 

「ふん、無様な姿だな『恭也』」

 

割と聴き慣れた越えから明らかに聞きなれない呼び方が聞こえたので首だけでそちらへと振り向く。

 

「だが最後の一撃は見事だった・・・・それだけ言いに来た」

 

本当にそれだけ言って身を翻すヒュームさん、だがまぁ褒められたんだ。悪い気はしない。

 

「恭也君!!」

「和泉君!!」

「え?あ・・・・おごふぅっ!!?」

 

声を認識したと同時に凄まじい衝撃を受け俺のHPが急激に削られた、「なにしやがる!」と怒鳴りつけようとしたその瞬間に俺は息を飲む。俺に縋り付いて泣きじゃくる燕さんと涙目で俺を見下ろす要。

 

「ホントに無茶ばっかりして!死んじゃったらどうするの!?」

「あ・・・・その・・・・」

「言い訳が、おありですか?」

「いえ、無いです」

 

ダメだ、俺はきっと今の状態ではこの二人に反論出来ない。心配かけたし・・・・

 

この後、ボロボロになった俺は病院はおろか保健室にすら運び込んで貰えず燕さんと要の二人から三時間程説教を受け続けました。

 

「色恋も構いませんが・・・・怪我をしたならば直ぐに病院に来ていただかなくては」

 

と、病院に運び込まれてからも冬馬に説教されてしまった。

 

――――――

side 松永燕

 

うー///なんで私あんな事しちゃったんだろう・・・・泣きながら、恭也君に・・・・だ、抱きついたりして・・・・

 

「あーもう!!わっかんないよ!!」

「何がわからないんだ?」

「うひゃっ!?・・・・モモちゃん?」

 

振り返ればモモちゃん、いつの間にか戻ってきてたんだね。

 

「ああ、さっきなんとかな。ノリ良く『せ・い・そ・ちゃ~ん!再戦だ♪』って登場したらもう恭也が倒したって言うし」

 

ああ・・・・

 

「で?何がわからないんだ?」

「う・・・・」

「燕、私たちは友達だろう?そりゃあ勉強とか?お金の事だけは相談に決して乗る事は出来ないが」

 

勉強とお金と言う単語にすんごい力が入ってたよ?

 

「それでも悩みぐらいは聞いてあげられるぞ?」

「やだ、イケメン」

「まさかこれはフラグ!?」

「大丈夫、立ってないから。まぁいいや、聞いてくれる?」

 

通学路の河川敷の土手に座って私はモモちゃんに話す、最近恭也君のことばっかり考えちゃってる事とか、恭也君が最初にやられちゃった時の事とか、その・・・・だ、抱きついた時のこととか・・・・

 

「それでね、って聴いてるモモちゃん?」

「ああ聴いてる、なんというかご馳走様だな」

「何の話?」

 

げんなりした表情をしているモモちゃん、私の頭にはハテナマークしか浮かんでこないよ?

 

「お前・・・・自分でそこまで言ってて分からないのか?」

「分からないから相談してるんでしょ?」

「・・・・重症だな」

「もう!モモちゃん一人で納得しないでよ!」

 

なんかすんごく面倒そうなため息ついてるし―――

 

「燕、お前はな・・・・きっと恭也に『恋』をしてるんだよ」

「・・・・・・・・へ?」

 

恭也君に?私が?恋?

 

「最近、ずっと恭也の事が頭に浮かぶんだろ?」

「うん」

「でもって恭也がやられた時、ガラにもなく感情に任せて真っ向から戦っちゃったんだろ?」

「・・・・うん」

「最後には恭也が無事だったのを知って、思わず嬉しくなって泣いちゃったんだろ?」

「・・・・・・・・うん」

「まぁろくに経験も無い私が言っても説得力が無いだろうがきっとそれが好きって事なんだろ?お前時々考えてる事とか顔に出るからな・・・・」

 

もうここまで来たらモモちゃんの言葉は耳には入らない、好き?恭也君を・・・・うん。好きなんだと思う、でもそれを自覚したら自覚したで今度はどうしたものかと考え始めてしまう。

 

「ねぇモモちゃん」

「ん?」

「もう一つ、相談乗ってくれない?」

 

――――――

乙女たちの談義は続く・・・・・・




そろそろ本格的に恭也君と燕さんにキャッキャウフフさせたいなーと考えた結果です!百代は以外と自分が絡まなければ恋愛関係は強いと思うんですよね。
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