真剣で剣聖に恋しなさい!   作:槍槓

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第二話 『武士道プラン』

東西交流戦から週が明けて月曜日、川神・・・・否全世界がとある話題で湧いていた。

 

『武士道プラン』

 

過去の偉人のクローンと共に切磋琢磨し競争意欲の向上をはかると言うものだ。源義経、武蔵坊弁慶、那須与一の三名がテレビでも紹介されており更にこの三名に加え関係者も含めた六名がこの川神学園に転入してくると言う。

 

まぁそんな状況でも俺は相変わらずマイペースなわけで。

 

――――

とまぁ当然これだけビッグな転入生となればお嬢の時みたいに「歓迎したいやつが歓迎しろー」みたいな真似はできないわけで、現在全校生徒を校庭に集めて紹介中である。

 

「先ずは3-Sに一人、葉桜清楚じゃ・・・・挨拶せい」

「はい。こんにちは、初めまして。葉桜清楚です・・・・皆さんとお会いするのを楽しみにしていました、これからよろしくお願いします」

 

葉桜清楚、彼女も武士道プランの申し子らしいのだが正体不明と言う事でみんながざわついて・・・・いるうちに「可愛くて清楚だから正体なんかどうでもいい!」と言う結論に至ったらしい。まぁそういう単純思考もこの学園の生徒の特徴だろう。

ちなみにそんな事を言い出した筆頭に立つのは三年の川神百代、川神院総代候補であり既に『武神』の名を冠する武術家。自他ともに認める美少女なのだが女なのに女癖が悪いと言うわけのわからない人だ。

 

「次に2-Sに三人、で先ずは源義経に武蔵坊弁慶、どちらも女子じゃ」

 

武蔵坊弁慶が女、と言う情報に一部が露骨に嫌そうな顔をする。まぁパワー系と言うイメージだからな、どうしてもゴリラみたいな女を連想したんだろうが・・・・お前ら甘いな、あの武神ですらあの見た目であのパワーだぞ?ならば・・・・

 

「こんにちは。一応、弁慶らしいです、よろしく」

 

すんごい美女が出てきました、はい。ウェーブのかかった黒髪に切れ長の目、そして何より凄い!何がとは言わないが凄い!普段異性相手にがっつくタイプではない俺が見ても凄い!!

 

「源義経だ、性別は気にしないでくれ。義経は武士道プランに関わる人間として恥じない振る舞いをしていこうと思う・・・・よろしく頼む!」

 

そしてこっちが源義経、なんだろう・・・・犬子ちゃんに似たオーラを放つなこの娘。髪型も近しいものがあれば眼が放つ光もどことなく似ているものがある。

 

「そして武士道プラン唯一の男子、那須与一!出ませい!!」

 

シーン、と言う効果音が聞こえた気がした。いきなりブッチするとは度胸あるな・・・・。うちの委員長・・・・甘粕真与が与一に恥ずかしがらないで出てくるように呼びかければロリコンがすんごい反応してるし。

 

そうこうしているうちに義経が与一を擁護するように弁明を始め、弁慶がその後ろで川神水を飲み始めた。本当に騒がしいやっちゃ。

しかし川神水を飲みたいがために常時学年五位以内とは・・・・現在上位は葵に九鬼に俺にマルギッテの四人が独占中だ・・・・俺も引きずり落とされるつもりは無い以上、最低限マルギッテだけでも超えなければならないわけだ。

 

「最後に1-Sに二人じゃ!」

 

しかし流石は九鬼、全員Sクラスとは・・・・なんだありゃ?執事服来た連中がゾロゾロと、しかも登場BGM付き。俺は・・・・いや、この学園の若干二名を除いた全員が嫌な予感を感じた。

執事服たちが肩を組んで作った道の上を歩いていくる少女、銀髪、額の×、そして笑い方・・・・あれは間違いない。

 

「我!顕現である!!」

「フハハハハッ!!何を隠そう、我が妹だ!!!」

「分かっとるわー!!」

 

九鬼紋白、少女はそう名乗った。そして何故かその姿を見たロリコンが・・・・いや何故かじゃない、あれがやつがロリコンたる所以なんだろうが・・・・その場で土下座してひれ伏している。

 

「おいじじい、あと一人は?」

「さっきから紋ちゃんの後ろにおるじゃろう」

 

武神の言葉に何を言っている?と言わんばかりに学長が応える。九鬼妹の後ろ・・・・

 

「初めまして、ヒューム・ヘルシングです」

「そんな老けた学生はいない!」

 

九鬼妹の後ろで控えていた金髪の老執事の自己紹介とともに、武神が叫んだ。まぁそうなんだろうけど・・・・あ、なんか武神の後ろに瞬間移動した・・・・で直ぐに消え・・・・

 

「お前が和泉恭也か」

「っ!!?」

 

まったく見えなかった、感じることすらできなかった。だが声に反応して後ろへと振り返ればさっきのヒュームさんがそこにいた。

 

「ふむ・・・・おい、何故剣の道を辞めた」

「アンタにゃ関係無いだろう」

「貴様の才能がもったいないと言っている」

「うるせぇ」

 

他人様に首突っ込まれたい問題でも無い、何より過去の傷ほど弄られて面白く無いものなど無いのだ。

 

―――

そんなこんなで時は放課後、周囲はかなり騒がしいがこちらには関係無い。そう思いたかったのだがそうもいかないらしい。

 

「フハハハハッ!我顕現である!!」

「・・・・」

 

九鬼妹とヒュームさんに下駄箱のところで捕まりました。

 

「何用だ、俺は今から帰って飯の支度をしなきゃならないんだがな」

 

特に今日は駅前のスーパーで特売がある、全速力で帰らなけりゃならないというのに。

 

「少し付き合え、飯ぐらいならば奢ってやる」

「すまんな、だがこちらもそれ相応の用事だと思って欲しいのだ」

「わかったよ」

 

俺の返事を聞き直ぐに歩き出した二人を追うように俺も歩き出す。

 

―――

多摩川流域を歩き続ける三人。

 

「で?こんなところまで連れてきて何をさせる気だ?」

「お前ととある男を戦わせる」

「・・・・相手は?」

「釈迦堂刑部、川神院の元師範代だ」

 

まてまて、なんで俺がそんな強者を相手どらなけりゃならない。

 

「ちょっとした確認をしたいだけだ、木刀を使え」

「・・・・刀は握らねぇっつったろうが」

「今回だけ握れ、それで納得が行けばこれから先は決して無理強いはせん」

 

有無を言わさぬ雰囲気をしている、握るしか無い・・・・か。そう結論に至った頃、到着した場所では中年の男が一人と少女が三人、ガタイのいい男が一人の五人が何故か鍋を囲んでいる。おそらくは中年の男が件の男なんだろう。

 

「おい釈迦堂、お前の相手を連れてきてやったぞ。この男に勝てばこれから先俺はお前らの行動に口出しはせん」

「俺は冗談で『お前以外の実力者連れてこい』っつったのに本当に連れてくるのかよ」

 

中年の男・・・・釈迦堂刑部がめんどくさそうに立ち上がる。

 

「まぁいい、その坊ちゃん倒せば俺らは自由だろ?やってやるよ」

 

巻き起こる闘気の渦、分かる。元とは言え川神院の師範代だけあって強い、荒々しく突き刺すような闘気がそれを証明している・・・・が負けるのは嫌いだ、だから・・・・手渡された木刀を握り締め構えを取る、鞘が無いので左手は腰に添え、右手だけで木刀を持ちダラン、と力なくぶら下げた状態だ。

 

「始め!!」

 

ヒュームさんの合図とともに、俺は昔の記憶と感覚を呼び戻す。元々、和泉流の技は少ない・・・・その中でも最速にして最多の一撃を・・・・感覚だけで打ち出す。

 

「『神威』・・・・!」

「―――っ!!?」

 

――――――

side 釈迦堂刑部

 

ったくよぉ、どうせ連れてくるなら百代とか九鬼のお嬢ちゃんとか連れてこいっつーの。なんだってこんな若造連れてくるんだか・・・・

 

「まぁいい、その坊ちゃん倒せば俺らは自由だろ?やってやるよ」

 

体中に押し込めていた闘気を俺は満ち溢れさせる、まぁこいつ倒すだけで自由になれるならやらない手はねぇわな。っと・・・・こいつ、木刀握った瞬間に気の質が変わりやがった・・・・確かに強ぇ、が多分俺の方がまだ強ぇな・・・・もう二、三年してたら分かんねぇけどよ。

 

「始め!!」

 

ヒュームのじじいの合図とともにどう攻めるかを考えた、まぁ久しぶりの実戦だ。どうせやるなら楽しまなけりゃならねぇよなぁ?・・・・―――!!なんだこいつの気は、俺の第六感が告げてやがる!『今潰さなけりゃこっちが殺られる』ってよぉ!!

 

「『神威』」

「―――っ!!?」

 

速ぇ!?が止められないほどの斬撃じゃねぇわな!!まぁ木刀だしよ・・・・え?

 

「がぁあああああっ!!?」

 

おいおいなんだ今の!?肩口を狙った一発目を防ごうと思った瞬間に首、胴、肩、顎に衝撃が・・・・ああ、俺やられてんのか?畜生、体が傾いて行きやがる・・・・なんなんだ今の?五発の斬撃が『同時』に襲いかかって?人間業じゃねぇよ・・・・なんだあのガキは・・・・

 

――――――

九鬼妹に他の四人は何が起こったか分かっていないようだ、がヒュームさんだけはニヤリと笑っている。

 

「成程な、面白い技を持っているな赤子・・・・いや和泉。それで何故刀を捨てた」

「・・・・出る杭は打たれる、俺は打たれるのが面倒だっただけですよ」

「ふん、それで腕が錆び付いていたらどうしてくれようかとも思っていたが・・・・錆び付いてはいなかったようで一安心だ」

「錆びてなくても鈍ってるよ」

「・・・・痛てて・・・・」

 

起き上がった中年を指差しそういう、元々古武術と柔術の鍛錬はしていたのだ。それに加え過去の記憶と感覚を呼び戻せば最低限の動きは再現可能なのだ。

 

「おい兄ちゃん、なんださっきの剣は?」

「和泉の剣だ、つっても鈍った・・・・だけどな」

「あれでかよ・・・・ってことは俺もなまってるなぁ・・・・」

 

少し、悔しそうにしている中年に金髪執事が歩み寄る。

 

「お前の就職先をリストアップしておく、その中から選ぶんだな」

「おいヒュームのジジイ、あのガキ何者だ?」

「・・・・元剣聖十段、和泉将監の孫だ」

「あの妖怪ジジイのか・・・・納得だぜ」

 

妖怪ジジイ・・・・まぁ間違っちゃいないけどさ。

 

「で?これでいいのかヒュームさん」

「ああ、『俺は』な」

「は?」

 

意味深な言い方に首をかしげた瞬間、袖を引っ張る感触。そう言えば九鬼妹がいたような・・・・なんだろう、すっごい眼を輝かせている。まるで面白いおもちゃを見つけた子供のような眼だ。

 

「フハハハハッ!!今のはすごかったぞ、和泉!」

「そらどうも」

「我は人材のスカウトが趣味でな」

「はぁ・・・・」

 

なんだろう、嫌な予感がするが・・・・

 

「お前、九鬼で働かぬか?」

 

予感はおおよそ当たり、ではあるが魅力的な誘いでもある。世界で一、二を争う企業に就職となれば給料や福利厚生もしっかりしているだろう、下手な会社に就職するよりはずっと安定した生活を送れる。

 

「なんで俺です?」

「お前は剣だけではなく体術そのものもかなりのものと聞く、兄上からも聞いたが成績が常に三位だというではないか!それだけ優秀な人材は早めに確保せねばな!」

「んー・・・・しばらく、考えさしてもらってもいいですかね?俺の将来を左右する話だ」

「うむ、我の連絡先を教える」

 

赤外線で九鬼妹と連絡先を交換すると無い胸を張って九鬼妹が俺を見上げている。

 

「我はお前の事を待っているぞ、和泉恭也」

 

そろそろ進路真面目に考えなけりゃなーとか考え始めたのが、この時からだった・・・・




ちなみに恭也は九鬼財閥に就職させるつもりです、となると本来の主人公である大和君をどの√に進ませるかで悩みますね。
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