梅屋での会合から二週間が経過した、今川神学園は2つの話題で盛り上がっていた。一つは二人の転入生、松永燕と円成寺要の事だ、それぞれ3-Fと2-Fに転入し松永は武神と組手とは言え互角に戦った事で、円成寺は与一、椎名と壮絶な弓での狙撃勝負をしてみせたことにより一躍有名人になったのだ。
そしてもう一つは模擬戦の復活である。150対150の中規模集団戦で数年前から凍結されていた企画だったのだが武士道プランで源氏トリオが編入してきた事と松永、円成寺らの西の武士娘が転入してきた事により生徒たちから復活を望む声があがり学長川神鉄心により模擬戦復活の生命が出されたのだ。
「模擬戦、なぁ・・・・」
食堂で昼飯を食べながら、葵、円成寺と模擬戦について話をしていた。
「既に英雄と義経さん、松永先輩と一年の武蔵さん、それに貴方のクラスメイトの福本君が現在軍の設立表明をしています」
福本育郎、通称ヨンパチと呼ばれる。学内でも有名なエロ専門のカメラマンで学内のありとあらゆるエロをカメラに撮るために命を賭けるある意味男なやつだ。
「ヨンパチが、ねぇ・・・・手段を選ばないつもりならかなり厄介だろうなぁ」
「模擬戦は全部で6つの軍で行うそうでして、最後の軍の大将を募集中だそうです」
「へぇー、川神学園は面白そうなことをやるねぇ」
少し違和感を感じる、そもそも一緒に昼を食べようと誘ってきたのは葵だ、葵は少々面倒な性癖は持っているが知力と頭脳の回転の早さは一級品だ。ただ世間話だけしに来るようなやつではない。
「そこで私からの提案ですが・・・・和泉君、貴方が軍を動かしてみませんか?」
「・・・・あ、俺?」
「はい、貴方ならば十分に行けると思うのですが・・・・どうでしょう?」
軍を指揮、か。色々と自分の中でも試したい事、考えたい事がある・・・・それらを成すには良い機会なのかもしれない。そう思うが早いか、今回の監督責任者の一人であるルー先生のケータイへとメールを飛ばした。
「今、ルー先生に申請のメール飛ばした」
パタン、とケータイを折り畳んでポケットにしまい込む。
「色々と思うことがあるんでな、最後の一軍は俺がやる」
「そう言ってくださると思っていました、それでですね。最初の一人・・・・まぁ参謀、軍師、副官などになりますかね、これに関しては即日勧誘可能なんですよ。他は来週からですね、今週末に水上体育祭がありますから」
成程、まぁある意味準備期間だろうなこの一週間は。最初に選んだ腹心と共に今後の人材選びに方針決め、勧誘の下準備など様々にやることはある。
「まぁそれに関してお願いがありまして」
「何だ?」
「和泉軍の最初の一人、私を指名していただけませんか?」
意外な申し出だ、てっきり葵のことだから九鬼のところだと思っていたんだが・・・・
「理由を、聞いても良いか?」
「・・・・まぁ深い理由は無いんですよ、ただ・・・・私と英雄はこういう催しの際にはセットで見られることが多いのは知っていますね?」
当然だ、学年一位と二位のコンビで有名である。
「その殻を破って見ようかと思いまして、要すると英雄と真っ向から戦ってみたい。というだけなんですけれどね」
意外だ、あんまりそう言うタイプじゃないと思っていたが・・・・
「いいね、そう言うガキらしい理由は好きだよ」
「おやおや、これは私のルートでしょうか?」
「それはないから安心してくれ」
擦り寄ろうとした葵を抑えながら笑う。
「そう言う事なら大歓迎だ、俺の右腕として期待する」
「はい、ご期待に答えてみせましょう」
この日、各軍の総大将が最初の一人を組み入れた事を表明した。和泉軍は葵冬馬を、九鬼軍は忍足あずみを、源氏軍は武蔵坊弁慶を、松永軍は風間翔一を、武蔵軍は黛由紀江を、福本軍は井上準をと言った形である。
―放課後―
偶然校門で一緒になった九鬼妹と一緒に歩きながら模擬戦の話を俺はしていた、今日はヒュームさんが不在らしく代わりにクラウディオさんが数歩後ろから付いて来ている。
「フハハハハッ!しかしお前が軍を起ち上げるとはな!」
「まぁ思うところがあったのさ、で・・・・妹は九鬼軍に行くのか?」
「うむ!我が兄上を支えるのだ!・・・・しかし葵冬馬がお前の軍とは予想外だったな」
「ま、当人なりに考えての事らしいからなぁ」
そんな調子でしばらく話を続けていると、訪れたのはしばしの無言。そして・・・・
「なぁ和泉よ、お前にとって我はなんだ?」
「何だ突然、友達だと思っているが?」
「で、あろう?ならば妹、と呼ばず紋白と呼んでくれ!」
「紋白、ね。なら俺は恭也で良いさ」
「うむ!改めてよろしく頼むぞ恭也!」
「ああ、よろしくな紋白」
ちなみに後日、互いに呼び方を改めてから話しているところを井上に見られて翌日血涙流しながら詰め寄られた。
――――――
川神学園には幾つか変わったシステムが存在する、その中でも一際異彩を放つのが『競り』だ。学園内にはトラブルシューターを請け負うグループが幾つか存在しており、学園内でのトラブルを仲介の教師を介し逆オークションで競り落とすのだ。
今日も案件が一つ、舞い込んだ。
「今日の案件の報酬は上食券300枚だヨ」
報酬はほとんどが学内で使える食券で支払われ食券の質、枚数で難易度はおおよそ測れる。
「久しぶりの大きな依頼だな!」
「ユキが暇をしていますので」
風間率いる風間ファミリーや葵率いる葵ファミリー、弓道部、水泳部、骨法部などチーム、部活単位で組む者が多い中、まぁ俺は唯一単独でやっているわけだが・・・・
「依頼は我々教師かラ、内容なんだけどネ。水上体育祭前日にSクラスの編入試験が行われるのは知っているネ?」
確かSクラスから一人、親の転勤を理由に転入していったため空席が発生し成績上位者から有志を募りSクラス編入試験を急遽執り行うって言ってたな。俺は面倒だから辞退したけど。
「その受験者たちが闇討ちに会う事件が発生していてネ、その犯人を捕らえてほしいんだヨ。ちなみに犯行時刻は他の受験者たちは授業への出席が確認されているから外部の協力者の可能性もあるからネ。では300枚かラ!!」
「99枚!!」
初っ端から相場破壊で来たのは風間だ、こと危険そうな依頼となると全力で競り落とすよなコイツ。
「market defense!!」
「おや、最初から飛ばしてきましたね」
「悪ぃな、大和も受験者だから狙われてるかもしんねーんだ」
なるほど、ならば任せた方が良いかも知れない・・・・が、そしたら何で99枚なんだ?一人11枚にしたって標的の直江を省く以上一人分多いんじゃ・・・・
――――――
「というわけだ!大和の護衛を頼む!!」
と、風間が競りが終了するなり頼み込んで来た。そう言うことか・・・・
「分かったよ、直江の護衛だな?」
「ああ!大和は寮に押し込むからゲンさんと協力して護衛して欲しい!」
「まぁ頼まれたからには任されてやる」
「ありがとう!!恭也ぁ!!」
後日、直江の護衛をしながら風間について愚痴をこぼしつつ茶を飲んで休日を過ごした俺。無事犯人も捕まったらしく、直江も無事合格しSクラスに昇格したらしい。
そして明日は水上体育祭!男のロマンだね!とか島津やヨンパチが騒いでいた、まぁわからんでもないなうちの学校美女率高いし。まぁともあれ明日は全開で行こうか!!
仕事中も執筆中もトイレに入っていてもヒロイン候補に悩む日々、感想欄で得票率の高い燕か、作者も大好きな義経か、色気たっぷりの弁慶か・・・・もうちょい妄想しながら悩んでみたいと思います。