真剣で剣聖に恋しなさい!   作:槍槓

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第九話 『川神一子の才能』

―和泉家道場―

今日は爺さんも仕事が休み、と言う事で爺さんからの指導を受けていた。

 

「百代ちゃんは・・・・力はあるが技のキレが悪いのぉ、技が荒いと持ち前のパワーも持ち腐れじゃぞ?」

「うっ・・・・」

「燕ちゃんは・・・・普通の武器がメインじゃあないね?ちょっと特殊な武器なのかのう。それでも普段は使わないなら普通の武器の扱いを鍛えるのも手じゃぞ?」

「はーい」

「由紀江ちゃんも義経ちゃんもこれから先が楽しみじゃなぁ、まだまだ伸びしろタップリじゃし」

「はいっ!」

「さすがまゆっち、褒められたZE~♪」

「かの剣聖に褒められるとは!義経は頑張るぞ!!」

 

要と与一は道場外で的あてをしている。

 

「さてさて、壁越え組は組手じゃな。さぁーて!行くぞガキんちょ共!!」

「おっしゃあっ!!行くぜぇえええ!!」

「くっ!やってやる!!」

 

モモ先輩、燕さん、義経、由紀江ちゃんが組手のために移動すると今度は翔一と大和が爺さんにしごかれている。あの二人、基礎能力は一般人よりも上だしモモ先輩や武士娘たちとじゃれているだけあって回避能力が高い、翔一は元々蹴り技があるから大和の方だ・・・・まぁあれも攻撃手段を得ればかなり強いだろう。

 

さて、そして俺はと言えば・・・・

 

「足運びが甘い!」

「きゃうん!?」

 

一子と二人で組手中、と言っても俺が一子に稽古をつけている状態である。一子は薙刀、俺は木刀、まぁ主に俺が刀を振るう感覚を少しでも取り戻すためだ。

 

「一子、お前少し体が前に出過ぎだ。薙刀を尊重しろい、そんなんだと薙刀持たない方がマシだぞ」

「うぅー、難しいけど頑張ってみるわ」

「おう、取り敢えず素振りだな」

 

と、一子に素振りをするように指示を出せば壁に背を預けて座り込む。しかし何時ぶりだろうか、これだけ真面目に武術の鍛錬に取り組むのは。

 

「きょ~お~や~♪たったかおー♪」

「だが断る」

「え~!?いいじゃんか、ケチ!!」

「どうとでも言って下さいよ、こちとらまだ錆落とし中なんすから」

 

錆落としも終わらないうちからモモ先輩相手なんて組手だろうがなんだろうが御免こうむる。そんなのは自殺行為以外のなんでもないからだ。

 

「つまらないなぁー、模擬戦もジジイから参加禁止を言い渡されたし」

「そうなんすか?」

「ああ、水上格闘戦でお前に速攻でやられただろ?そしたら『お前に足らんのは精神修練じゃ!』とか言って模擬戦の中盤あたりは山篭りになるんだ」

「成程、まぁ他にも必要そうな奴はいるが・・・・」

 

視線を向けたのは燕さんと翔一だ。まぁあのふたりは自由さ故にあれだけの能力が発揮できるからむしろそういうのは逆効果か。

 

「誰の精神修練が必要なのかな~?」

「え?燕さんですが?」

「うわ、即答だよ」

 

あんまり凹んでなさそうな笑顔で笑っている燕さん。

 

「でもさ、一つ聞きたいんだけど?」

「なんです?」

「どうして一子ちゃんの稽古を恭也君がやってるわけ?」

「ああ、それは私も気になった」

「・・・・では、川神院総代候補である川神百代と西で随一と言われる武人、松永燕に問おう。川神一子の才能は川神院師範代と言う領域に届き得るか?」

 

その言葉に押し黙る二人、やがて口を開いたのはモモ先輩だ。

 

「姉として応援してやりたいという気持ちはある・・・・だが総代候補としての意見をいうならば正直、無理だと思っている」

「うーん、そうだねぇ・・・・全体的に平均以上の能力値があるけど今一歩足りないよねぇ?何か一つ、格上と互角に渡り合うだけの武器が欲しいかなぁ?」

 

二人の意見は至極最もだ。

 

「俺は、一子には得がたい才能があるんじゃないかと思っている」

『え?』

「昨日の水上格闘戦、俺の行動に対し反応できたのは一子一人だけだった。あの日の俺はとにかく最速の攻めを念頭に置いて動いていた、それはモモ先輩も燕さんも分かるだろ?」

「そうだな、パワータイプの私はともかくテクニックタイプの燕ですら反応出来なかったもんな」

「うんうん、気がついたら浮いてたし気がついたら着水だもんね」

「そう、一子はそれに反応し避けて見せた。切り返しの一撃はよけられなかったが初撃を避けれた」

 

直感、第六感とでもいうべきか?一子はそれが優れているように見える、そしてそれは最も得がたい才能なのだ。鍛える事が出来ず潜在値が絶対数になる・・・・それだけに先天的に備わっている者にとって最大の武器となるのだ。

 

「川神に戻ったらその事も含めルー先生と話すつもりだ」

 

アレだけ一生懸命なんだ、報われなければ努力と言う行為そのものの否定にすら思えてしまう。

 

「・・・・ありがとな、恭也」

「なんです?急に」

 

しおらしく礼をいうモモ先輩を俺はつい訝しげに見る。

 

「恭也のおかげでワン子が夢をあきらめなくて済むかも知れない、それが嬉しいんだ」

「モモちゃんは妹思いだねぇ?」

「当たり前だ、私はお姉ちゃんだぞ?妹を可愛がって何が悪い」

 

それでも、一子次第ではあるのだが・・・・だが可能性は限りなく高い。

 

「そう言えば模擬戦、明後日から勧誘解禁だろ?燕と恭也は・・・・」

「私の最初の一人は風間君だよん」

「俺のところは葵だ」

「燕のキャップ採用はわからないでもないが・・・・なんで恭也のところが葵冬馬なんだ?」

「んー・・・・色々とあるのさ、誰しもな」

 

しかし模擬戦か、軍師が確保済みなんだから後は将だよな。出来ることなら猛将、知将、万能と三人揃えたいところだな・・・・

 

「そう言えば他の軍は最初の一人はどうしたんだろうな?」

「えっとね、義経ちゃんが弁慶ちゃんで、武蔵さんが黛さん、で九鬼君が忍足さんで福本君が井上君だったかな?」

「成程ねぇ・・・・そうすると与一の源氏軍、九鬼妹の九鬼軍、んで多分島津の福本軍加入は確定だな」

「そなの?」

「そうなんです」

 

・・・・ああ、そっか。

 

「一子、カムカ~ム」

「呼んだ~!?」

 

まるで本当の犬のように駆け寄ってくる一子。

 

「来週からの模擬戦なんだけどさ、俺の軍に来ないか?」

「へぇ!?」

「ありゃま、勧誘期間前の勧誘は違反だよ?」

「勧誘と言うよりは事前交渉みたいなもんだ、正式な期間突入で正式表明してくれるようにの・・・・ね」

 

グレーゾーンすれすれだけど構うものか。

 

「あ、アタシ!?」

「そ、俺の軍には一子の力が必要だ」

 

最初は、お嬢とも考えた。お嬢を誘えば必然的にマル公も付いてくるからだ、しかしお嬢は葵とは合わないだろう・・・・だから自分で決めれば指揮者が誰だろうが異論を挟まない一子が適任なのだ。

 

「うーん・・・・少しだけ考えさせてくれるかしら?」

「構わんよ、明後日の勧誘期間開始後に答えをくれ」

「うん!わかったわ!」

 

取り敢えず確定ではないが一人目、後は・・・・あー、外部助っ人も考えなけりゃなぁ・・・・一人はもう決めてるけど。

 

「何か色々考えている顔だね?しかも時々悪い顔だ」

「いやいや、燕さんには負けるって」

「それはどういう意味かなぁ?」

「別に?」

 

あと二人も・・・・まぁアテはある。そして一番相手にしたら怖いのはとなりにいるこの人だから・・・・対策は可能な限りうっておこうか。

 

「のぅ百代ちゃんや、うちの孫と燕ちゃんなんじゃが・・・・」

「あ、将監さんも思いました?どう見てもフラグですよね?」

「うむうむ、じゃがベッピンさんじゃし、明るいし、家事も出来るんじゃろ?あの子が嫁に来てくれれば和泉の家も安泰なんじゃが・・・・それに恭也と燕ちゃんの子供なんか生まれたら可愛いと思うんじゃよ」

「ああー、それもそうですね。そうなったら抱きに来ても良いですか?週十四で」

「日に二回とは・・・・やるの!」

 

将監とモモ先輩が、何やら話したあとにがっしり手を組んでいる。二人とも下心丸出しの顔をしているからロクな話ではないんだろうが・・・・

 

「?燕さん?」

「へっ!?な、何かな?」

「顔、赤いですよ?」

「だ、大丈夫!なんでも無いから!」

「?・・・・はぁ・・・・」

 

なんだろうな・・・・まぁともかく週明けから模擬戦だし、頑張りますか・・・・




一子の強化フラグ立てました。そして最後に燕さんが恭也を意識している描写を出してみましたが・・・・どうでしょ?作者が非リア充ですから妄想丸出しになる可能性もありますが・・・・
で、次回から模擬戦編突入。Aー2では源氏軍に所属した一子が恭也の言葉にどう答えるのか・・・・次回をお楽しみに!!
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