【Skill&Level ONLINE】   作:柊 紗那

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ログアウト不可能

広場は喧騒に包まれていた。それもそうだ。ログアウトボタンが消え、ログアウトが出来なくなり、しかも強制転移だ。戸惑う人もいるだろう。その中でも俺は、なぜログアウトボタンが無くなったか、そしてこれからどうするかを考えていた。

 

「おい!あれはなんだ!?」

 

一人のプレイヤーが指差す。他のプレイヤーもブレイヤーが指をさした方を向く。

 

「なっ!?」

「どうなってんだ!?」

「あいつは誰だ!?」

 

そこには、だれもいなかったはずの空中に、赤いローブを来た男が浮いていた。フードを被っているため、顔を見えない。

そして、男が口を開いた。

 

「諸君。もう気付いているかと思うが、メニューからログアウトボタンが消えていることをご存知だろうか?これは事故などではない。繰り返す。これは事故などではなく、このゲーム本来の遊び方だ。なお、このゲームでの死は、現実世界には影響しない。このゲームで死んだ場合、装備しているものと特殊アイテムを除く、その他に持っているアイテムを全ロストし、この広場又は直前に泊まった宿に死に戻りする。現実世界に帰りたくば、この大陸を含め、八つの大陸に存在する無数のフィールドにいるボスをすべて倒し、その後に出現するラストボスを倒す事だ。なお、このゲームはハラスメント行為をした場合、ハラスメント行為を行ったプレイヤーを強制ログアウトさせ、そのブレイヤーのアカウントを削除する事となっていた。が、それは解除された。このゲームのフレーズを覚えているだろうか?『このゲームはもう一つの現実』というフレーズを」

 

まさかッ!?

 

「そのまさかだ。現実と同じく性行為が可能となる。そう、強引にという事も出来るのだ。そして、PKされて死んだ場合のみ、被っているヘッドセットから電流がながれ、脳がショートする。つまりは死ぬ。だが、プレイヤー諸君に悪いものばかりではない。このゲームにユニークスキルと称号、そして妖精を追加した。ユニークスキルは特定の条件を見たしたプレイヤーのみに送られる特別なスキルだ。得られる可能性が少ないため、かなり強力なスキルとなっている。称号も同様に、特定の条件を見たしたプレイヤーのみに送られるものだ。称号一つ一つに効果がついており、その効果はステータス強化や色々だ。妖精は、【調教(テイム)】に関係無く、一プレイヤーに一匹だけ妖精と契約出来る。ただし、妖精からよってこないと契約出来ないがな。そして契約出来る確率はかなり低い。だがこれは、LUKが高ければ確率が上がるという事ではない。いっただろう?もう一つの現実だと」

 

男の口から信じられないことが飛びだし、全プレイヤーに混乱がはしった。

 

「それはどういうことだよ!ここから出せ!!」

「そうよ!ハラスメント行為が認められるってどういうことよ!!」

「そんなの知るか!!さっさと出せよ!!」

「なんだよ、それ。嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない!」

「意味わかんねぇよ!!クリアまでどのくらいかかんだよそれ!!早く出せよ!!」

 

次々とプレイヤー達が怒鳴り声を上げる。そして混乱はどんどん広がって行く。だが、そんな中で俺は随分と冷静だった。俺は、一つだけ男に質問したいことが出来た。

 

「幾つか質問いいか?」

 

「ほお。いいぞ」

 

俺がそう男に問いかけると、あんなに騒がしかったのがシーンと静まりかえり、こちらを向く。

 

「お前はさっき「これはもう一つの現実」だといった。それはどういう意味だ?」

 

「どういう意味だ、とは?」

 

「例えばNPCとかだ。事務的な、しかも決められた会話しかしないとなると、それはもう現実じゃないだろ。そんな人間いないんだから」

 

「こんな状況でこれほどの質問ができるとはな。まぁいい。答えよう。そうだ。お前の思ったとおり、NPCは、もうプレイヤーとかわらない。プレイヤーの諸君に忠告しよう。金輪際NPCに暴力的な行為や荒っぽい態度を取ると痛い目にあうぞ。この世界のNPCには感情があり、プレイヤーと同じように考えていて、行動する。つまり、今までと同じ扱いをすると、ものを売ってくれなくなったり、殺されたりする。NPCーーいや、この世界の住人と言った方が正しいか。この世界の住人に殺された場合も、PKの時と同じく、脳がショートする。十分気をつけることだ」

 

俺の考えは正しかったな。となると、この世界の全てが現実と同じようになると考えた方が良さそうだ。それだけわかっただけでも大収穫だな。

 

「答えてくれてありがとな」

 

「お前をこの世界に閉じ込めた奴に礼を言うか。不思議な奴だ。最後にプレイヤー諸君に餞別だ」

 

男がそういい、何かを操作する。すると、プレイヤー達が光に包まれた。

 

「おい、どういうことだよ!現実と同じ顔だと!?」

「戻せよ!こんなことする必要なんかないだろ!」

「戻しなさいよ!!」

 

プレイヤーを包んでいる光が消えると、プレイヤー達は、このゲームで作ったキャラではなく、現実の顔になっていた。静まり返っていたブレイヤー達が、再びざわめき出す。

 

「それではプレイヤー諸君。この世界を存分に楽しみたまえ」

 

と言い残し、男は消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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