彼らの世界   作:タビラプターの小説

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一部修正点

・アンタレス改Ⅱ → アンタレス・Ⅱ(アンタレス・フェーズツー)

お待たせしました。それではどうぞ!!






クーデター後

 

 

 第1~第4艦隊が引き起こした軍事クーデターが終結してから3日がたとうとしていた。

 

 今回の騒動の被害状況は極めて深刻なものだった。

 

 やり過ぎたというのが、悔いはない。

 

 復旧には陸海空宇宙軍以外にも連邦軍が委託している建設会社や、民間の警備会社等あらゆる会社が名乗りを上げた。

 

 復旧に優先順位をつけた。まず第一に軍事機密を問われるものには軍関係者及び連邦軍が信頼を置ける建設会社が請け負うこととなった。

 次に海上基地など危険性が伴う作業は海軍をメインに請け負った。

 民間の会社には破壊された道路や家屋などをメインに復旧を試みることをお願いした。

 

 また、その間地球の防衛が手薄になってしまうということを懸念していた司令部はガミラス及び友好ガトランティス軍に一時的な支援を要請。両先方はそれを承諾した。

 そして地球人類初の異星人による地球支援艦隊 "ガミラス・ガトランティス地球特別支援艦隊" が結成された。

 

 話は地上に戻るが、今回最も被害が多かった施設は地球連邦軍のかなめの要所である総司令本部だ。

 クーデターによって総司令本部の注目ポイントである難攻不落要塞という特徴を我々は無理やり破壊したからだ。

 総司令本部はたった数時間で何もない貧弱なただの城へと変貌したのだった。

 

 災害復旧マニュアル通りに進めるのであれば軍が抱える3つの時間断層をフル稼働し復旧を試みるところだが、今は第5艦隊壊滅させられた第1~第4艦隊の艦艇と地上の固定兵器などの補充に手一杯な為、組み立て等は全て人力でやらざる負えなくなった。

 このまま順調に第1~第4艦隊の補充が終えれば2日後には時間断層を民間の復旧部隊に回すことができるだろう。

 

 宇宙軍が開発した発展予測型人工知能の見解では、全ての防衛設備の復旧完了時間は170時間を超えるとの予測がされた。

 その他宇宙軍が保有する全艦艇(主力艦を含む)も復旧作業に投入することを宇宙艦隊司令本部が発表。

 残存兵力が多い第5艦隊を中心に水星沖艦隊、金星沖艦隊、火星沖艦隊、月面基地駐留艦隊、アステロイドベルト艦隊、地球第二次防衛ライン艦隊、ソーラ・レイ駐留艦隊を招集。これは地球艦隊の約6割に達する数だ。

 その間手薄になる防御は特別支援艦隊と地球最終防衛ライン艦隊、各増援艦隊が担うこととなった。また、第5艦隊所属の第一デス・スター、第二デス・スター、シージ・ドレッドノート、スプレマシーは防御のほうに回ってもらうこととなった。

 

 復旧中と同時並行で行われていたのが、第1~第4艦隊への修復艦と新造艦の譲渡だった。

 もちろん第5艦隊にも譲渡される。ただし、後回しだが。

 

 各艦隊に、修復艦と新造艦の引渡が開始され、全ての工程が終了したのは1日半がたとうとしていた。

 

 次の日の早朝から第5艦隊への引渡が開始された。

 ただこの引渡を批判するものも多くいる様で時間断層の造船場の区画から通じる巨大なトンネルの近くでは民衆の大規模ではないがデモが行われていた。

 

 第5艦隊の引渡艦についての話に戻ろう。

 今回最も隊外を騒がせたのは、第四分艦隊に引渡予定がなされている艦艇だ。

 まず外観から見ていこう。

 外観は艦首に何らかの穴ができた少し大きめのヴェネター級スターデストロイヤーに見える。ただあるところを除いて……

 

 名称は、ウェーブキャノン級スターデストロイヤー

 従来のヴェネター級から大型化し1300m。その大きさにも目がひかれるが、それよりも目を引くのが、我々もも計画艦予定図を見て驚愕したのを覚えている。

 

 それは、艦首に搭載された巨大な穴 = 波動砲口だ。

 この波動砲は地球連邦防衛軍から技術提供を受けヴェネター級に搭載されたものだ。

 従来のヤマトの波動砲は収縮波動砲、アンドロメダ級やドレッドノート級の波動砲は拡散波動砲、アリゾナの波動砲は拡大波動砲と、さまざまな種類があった。が、今回新たに開発された「多弾拡散砲」を正式採用した。

 

 多弾拡散砲とは、

 第1段階は従来の拡散波動砲同様一条の光から拡散する方式(アンドロメダ、ドレッドノート風)。

 第2段階は、第1段階で発射された一条の光が拡散したエネルギーが更に拡散する(アリゾナ風)。

 第3段階は、第2段階で拡散された波動砲が更にスプレーの様に広範囲に広がり敵を殲滅する(新規)。

 

 

 ただしこの兵器にはいくつかの問題点もある。それは波動砲口や機器、制御装置が未だ小型化に成功しておらず巨大なことだ。

 つまり通常の波動砲を搭載している艦艇に搭載するには、大型な選管が必要だということだ。そこで開発陣の目に留まったのが時間断層にて建造中だったウェーブキャノン級スターデストロイヤーの前身であるヴェネター級スターデストロイヤーだった。

 この艦を少し巨大化し航空機搭載能力を削げば、理論上は搭載できるということになった。

 

 以上の問題点を踏まえた上でメリットだけを見た場合はかなり優秀な兵器だといえる。

 

 今回の軍事バランス崩壊に伴い宇宙軍内での部隊の再編も多く行われた。

 一番規模が大きかったのは、第一方面艦隊に所属していたブルーアース艦隊と第三方面艦隊に所属していたレッドマーズ艦隊の両艦隊が規模拡大により独立だった。

 

 ここで各艦隊の特徴に触れよう。

 ブルーアース艦隊は、全ての艦の船体色が青色に統一され、紺色のラインが入っている。

 レッドマーズ艦隊は、ブルーアース艦隊とは違い船体は赤色に統一され、紅色のラインが入っている。

 

 この2艦隊は各方面艦隊で請け負っていた任務を継続しながら独立という形なったが、直属部隊は第5艦隊になっている。

 

 それぞれが引き継いだ任務は、

 ブルーアース艦隊が地球軌道上の防衛。

 レッドマーズ艦隊が火星軌道上の防衛をメインにしていた。

 

 -艦長室-

 

「ブルーアースとレッドマーズはどうしてあんなに折り合いが合わないんですか?」

 

 どうやらブルーアースとレッドマーズの仲はものすごく仲が悪いらしい。

 

「私にも存じ上げませんが、指令がその仲を一時的に取り留めたのは知っています」

 

「半ば無理やりだがな……」

 

 この会話から数年前……

 

 第一~第七方面艦隊が設立された。その際どこにどの艦隊を振り分けるかで揉めていた。1番揉めていたのは、どの方面艦隊が地球の防衛に入るかだった。

 今思うとこんなことの為に艦隊間ので仲が悪化するなんてバカバカしく思ってしまう。

 

 話は戻すが、第二、第四~第七方面艦隊は全く話が進まないことに痺れを切らし、それぞれが妥協し、希望以外の場所を選んだ。が、第一方面艦隊と第三方面艦隊は頑なに地球に固執していた。

 

 -現在-

 21:10頃

 第一から第九分艦隊司令官達が行きつけの喫茶店に集まっていた。今回はいつものメンツ以外に佐伯大将を筆頭に第十分艦隊の将兵数人と何故か、副司令のカイル大将も誘われていた。大将は見届け人ということになっている。

 

「まさかゼネラル・レビルの中にこのような商業施設があるとは知らなかったな」

 

「2番艦以降はないんですよ! 副司令!」

 

「2番艦以降は銭湯になっているんです」

 

「そうなのか。ここで珈琲のうまい入れ方を学ぼうかな……」

 

「副司令。それは後程で宜しくお願い致します」

 

「あぁ、すまない。続けてくれ」

 

「はい」

 

「ここでは、階級無しで話すことがルールとなっています」

「まぁ、ここにいる人たちはみな階級がほぼ同じだからいけるでしょう」

 

「わ、私少将なんですが……」

 

「お前、上級少将だろうが」

 

※上級少将 ……元秘匿艦隊、現第十分艦隊が使用していた階級制度。上級少将は他艦隊の中将と同等の権限を持つ。

 

「ばれましたか」

 

「そら、ばれるわ!」

 

(チッ)

 

「チッ、じゃない!」

 

「心読めるんですか?!」

 

「副司令の前で喧嘩すんじゃないよ」

 

「これは失礼いたしました」

「失礼いたしました」

 

「気にするな。これが日常なんだろ?」

 

「まぁ、はい」

 

「ふむ」

「(指令に各分艦隊の将校たちの日常を探ってほしいといわれたがどうして私なんだ……。諜報機関もあるのに。その道のプロに任せれば早くないか?)」

 

「副司令? ...副司令? 。副司令官殿!」

 

「ん? あぁ、どうした」

 

「大丈夫ですか? 何か考え事をなされてたようにも思えますけども」

 

「大丈夫だ。気にしないでくれ」

 

「了解致しました」

 

 -深夜-

 

 第5艦隊旗艦アンタレス改Ⅱ 司令長官執務室

 

 ドアをノックする音

 

「入れ」

 

「失礼します」

「カイル大将。ただいま戻りました」

 

「ご苦労」

「ゼネラル・レビルの喫茶店はどうだったかな」

 

「あの喫茶店をご存じなのですか?」

 

「まぁ、行きつけだからな」

 

「そうだったのですか……」

 

「それはそうと、先ほど司令部から勅命が下されてな。すぐ立たなければいけなくなった」

 

「ハッ! それで目標はいったいどこでしょうか?」

 

「目標はガミラスだ」

 

「ガミラスですか、でも一体どうして」

 

「今はまだ教えることはできん。だがガミラス・ガトランティス地球特別支援艦隊はガミラス星に急行したと だけ言っておこう」

 

「!?」

 

「今すぐにチラッばっている兵たちを招集してくれ。出発予定時刻は明朝5:30だ」

 

「了解しました!」

 

 明朝5:00

 各地にチラッばっていた第5艦隊の将兵たちは、出発時間に遅れることなく全員到着した。

 

 目的地はガミラス本星。

 

 第5艦隊 出撃







最後までお読みありがとうございます。

最近はリアルが忙しくなり投稿ペースがとんでもなく遅くなってしまい申し訳ございません。

これからいくつも投稿していきますので首を長くしてお待ちください!


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