剣姫の弟の二つ名は【リトル・アイズ】   作:ぶたやま

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二回目の投稿となります。良ければ、よろしくお願い致します。


第一話 

「何? アイズがマシロにあんな事やそんな事やこんな事を……だと?」

 

「いや、こんな事は言ってへんけど……」

 

 

不穏な空気を漂わせる王族のエルフに、朱色髪の神は引き気味に突っ込んだ。

 

 

ここは、黄昏の館。

迷宮都市オラリオの最大派閥【ロキ・ファミリア】の本拠地……その執務室だ。

 

室内にいるのは主神のロキ、【勇者】フィン・ディムナに【重傑】ガレス・ランドロック。

そして、つい今しがた胡乱な声を上げた【九魔姫】リヴェリア・リヨス・アールヴである。

 

主神と首脳陣が集まるこの場で取り上げられている議題は、とある姉弟についてだった。

 

『アイズ・ヴァレンシュタイン』と、『マシロ・ヴァレンシュタイン』。

 

ファミリアの有する第一級と第二級冒険者の姉弟である。

今回の議題の提言者であるロキは、まず今朝姉の口から告げられた問題発言を彼らに伝える所から始めた。

その結果が、冒頭の穏やかでない空気に繋がるという訳だ。

目を細めるリヴェリアを宥める形で、ロキは続きの言葉を口にする。

 

「まあ、『あんな事やそんな事』に関しては天然アイズたんの下手糞な言葉の綾やろうけどなぁ。あの口振りだと、添い寝やら腕枕やらはしてても可笑しくないで」

 

「それでも十分過剰だ。アイズはもう十六、マシロも十二になるんだぞ。いい加減、弟に対する適切な距離感という物を―――」

 

「まあまあ。四つも年が離れていて、実年齢より遥かに容姿の幼い弟だ。アイズからしたら、可愛くて仕方がないんだろうさ」

 

ガミガミ小言を漏らすハイエルフを、団長の地位に就く男が宥める。持ち前の落ち着いた声音に少し困った色を乗せながら。

 

「それに、あ奴は普段嫌がられない様、極力接触を避けているのだろう? その反動もあろうて」

 

「だとしても、年頃の男の部屋に勝手に押し掛ける理由になるか! アイズには私からきつく言っておく!」

 

フィンの説得にガレスが援護射撃を加えても、リヴェリアは納得しきれないようだった。

これ以上言葉を重ねてもアイズの命運は変わりそうにない。そう判断したフィンは、心の中で彼女に合掌しつつ話題を切り替える。

 

「じゃあ、お説教は教育熱心なママに任せるとして……」

 

「誰がママだ」

 

「今後のアイズについて話し合おうか」

 

そう提案する【勇者】に対し、ロキが率直な感想を口にする。

 

「今後のアイズたんって……マシロたんにバレて盛大にドン引かれる未来しか見えへんのやけど……」

 

「アハハハ、そうだね。僕にもその最悪の未来が見えるよ。当日は親指が疼いて眠れなさそうだ」

 

「笑ってる場合か……。仮にマシロに嫌われた場合、アイズがどうなるか分からん。良くも悪くも、あ奴のスキルはマシロに影響される物が多すぎる」

 

苦笑するフィンに、ガレスが呆れながら指摘した。

そして、その指摘は大いに正しい。

この問題があるからこそ、ロキはわざわざ首脳陣を集めて会議を開いたのだ。

別にアイズのブラコンが行き過ぎているだけなら、ママに密告して終わりである。

 

しかし、ファミリアの主力の戦闘面に響きかねない問題となると、流石に話は別だった。

 

スキルは、本人の本質や願望を反映させたものが多い。故に、アイズはマシロへの愛情から、弟に関連づくスキルを多く持っていた。

スキル名と効果は以下の通りである。

 

 

・親愛庇護:親愛対象に対する慈愛に応じた防御能力の高域強化。現在の選定者は、マシロ・ヴァレンシュタイン。

 

・親愛包囲:親愛対象の探知効果を魔法に与える。使用した事は、親愛対象にも魔法を介して伝わる。現在の選定者は、マシロ・ヴァレンシュタイン。

 

・親愛支心:精神力の超域強化。親愛対象が存在する限り効果永続。親愛対象の消失、または親愛対象に嫌われた際は効力を発揮しない。親愛対象の死亡時の精神負荷超域増幅。現在の選定者は、マシロ・ヴァレンシュタイン。

 

 

攻撃力を高める効果はないが、防御能力は勿論、精神を安定させるスキルの存在は馬鹿に出来ない。ダンジョンの中では僅かな動揺一つが命取りになるからだ

 

だというのに、よりにもよって精神安定スキルには、弟に嫌われた際のデメリットが明言されてしまっている。

他のスキルは特に明言こそされてはいないが、そもそもスキルは本人の精神性が現れたものだ。

全く影響がないという事はないだろう。

 

何より、精神がネガティブになる事で何かマイナスなスキルを覚えてしまうかも知れない。

 

加えて、『あのスキル』にどのような影響を与えてしまうか……。想像も出来ないし、したくもない。

だからフィン達は頭を捻った。

どうしたら爆弾の爆発を回避できるモノかと……。

 

「ンー、一番良いのは、危険な橋渡りは辞めて貰う事なんだけど……。アイズだって、限界だからそんな事をしているんだろうしね……」

 

「頭ごなしに禁止するのは還って危険か……。実際マシロの方はどうなんじゃ? 案外アイズが一緒に寝ておっても喜んで受け入れるなんて事は……」

 

「ある訳ないだろう。幼い子供なら悪戯で済むが、アイズぐらいの歳の者が知らぬ間に同じ布団に入っているなど恐怖でしかない」

 

「そうかー? ウチにはご褒美やけど―――」

 

「黙れ」

 

ロキの軽口を一蹴し、リヴェリアは続ける。

 

「ともかく、この事実を知ればマシロは確実に引く。そして、アイズに気を遣う事もないだろう。十中八九あの娘の気を沈ませる事を言う」

 

「それを責める事も出来ないしね。変態行為をしているのはアイズだ」

 

フィンも同意を示し、その横で伸びをしながらロキが呟いた。

 

「あーあ、マシロたんがドシスコンやったら、こないややこしくならんのになぁ。リヴェリアママの心労は増えそうやけど」

 

ニィッと笑うロキは、リヴェリアの視線を躱し、更に自分の考えを口にする。

 

「結局アレかぁ? 夜這いなんかせんとストレス発散できる様に、程良く構わせるしかないっちゅう事かぁ?」

 

「簡単に言うが出来るのか? それが出来なかったから今こうなっておるんじゃろう?」

 

ガレスの見解は最もである。

この件は元々、アイズが余りにもマシロに構うものだから、見かねてロキが介入したというのが始まりだ。

 

実際、当時ベッタリくっついて来る姉に、弟は鬱陶しそうな顔を見せる事が多くなっていた。

案の定、当時のアイズはその様子に気付く素振りはなく……。

 

だから、『あまり構いすぎると嫌われるぞ』と、マシロが本格的に思春期に突入する前に忠告したのである。

 

アイズは涙目になりながら訊いてきた。

『どうすれば嫌われずに済むの?』と。

その問いに対し、リヴェリアは可笑しそうな顔で答えた。

 

『程良く付き合えばいい。それこそ、普通の姉弟の様に』

 

『まあ、君の場合は敢えて冷たく接した方が丁度良いかも知れないけどね』

 

親切心からそんなアドバイスを送ったのはフィンだ。

 

『ガハハハ、それもそうじゃな。そう意識しとらんとその内ベッタリに戻りそうじゃ!』

 

豪快に笑うガレスに対し、誰も否定や反論をしなかった。

全くどこにもツッコミどころのない推測だったからだ。

 

誰も彼も、アイズが本気で弟に冷たく接せられるとは思っていなかったのだ。だから、それくらいの気持ちで接するのが丁度良いと。

 

けれど次の日から、アイズはマシロと口を利かなくなった。

 

全く。

一言も。

 

リヴェリア達は焦り、矯正しようと努力したが、すべて無駄に終わり……。

 

結局は『殆ど弟と会話をしない姉』に落ち着くしかなかった。

 

それ以外は、

 

『全く一切弟に興味がない姉』

『弟を溺愛し過ぎて過剰過ぎるスキンシップを繰り返す姉』

『弟を溺愛し過ぎて過剰なスキンシップを繰り返す姉』

 

しかなく、それが一番マシな選択肢だったからである……。

 

リヴェリアは当時を思い出し頭痛を感じていた。

どう口で言ってもピーキーな強弱しか付けられない幼い【剣姫】。

当時の彼女を深層の階層主クラスに難敵だと感じたのは【九魔姫】だけではない筈だ。

けれど……。

 

「確かに難しい。だが、やらせるしかないだろう。アイズもあの時より成長している。もっと上手く調節できる筈だ」

 

リヴェリアはアイズを信じて宣言する。

それは決して無謀な提案ではないと、彼女は確信していた。

勿論、フィン、ガレス、ロキも同様だ。

 

「そうだね。けれど、前回と同じ轍は踏みたくない。今回は予めどの程度まで態度を軟化させるのか具体的に決めておこう」

 

「具体的に?」

 

首を傾げるリヴェリアにフィンは答える。教鞭とる教師の様に、朗々と。

 

「うん。前回はその場でアイズにダメ出しをしただろう? 『もっと優しく!』とか『それじゃあ、甘すぎる!』とか。当時は僕らもその都度の調整で矯正できると思っていたけれど、出来なかった」

 

「だから先んじて『理想像』を決めておくという訳か?」

 

「その通りだよ、ガレス。勿論、アイズが直ぐにそれを演じられるとは思えないけど、理想像を作ってそれを目指させれば、自然と普段の態度も改善するだろう?」

 

「確かに……目標を与えた方があの子には分かり易いかも知れないな。前回は『程良い接し方』などと抽象的な事を言いすぎた」

 

フィンの策に納得したらしいリヴェリアは、鋭い眼光で悪知恵の回る小人に訊いた。

 

「それで、その理想像というのはどんなものだ?」

 

彼女の問いに、考える素振りを見せるフィン。

そして、彼の明晰な頭脳は、これまでの状況を加味して、アイズの目指すべき理想の姉像を叩きだした。

 

 

「『たまには弟と買い物に出かける友達の様な姉』……なんてどうだい?」

 

 

 

:  :

 

 

早朝にダンジョンに潜っていたマシロ・ヴァレンシュタインは、現在本拠地の自室で睡眠を取っていた。

 

戦果である魔石は既に換金済み。

あとは、早起きした分の睡眠時間の埋め合わせをし、午前九時くらいから街に繰り出す。

そういう予定を立てていたのだ。

 

だが……。

 

「おっはよー! マシロたーん! 朝やでェ! 雲一つない快晴や! 可愛いお顔みしてぇや!」

 

ドンドンドン! と、無遠慮なノックと主神の叫び声が、彼の安眠を見事に妨害した。

モゾッと動き、マシロは時計を確認する。

そして、ロキの要求を無視する事にした。

 

けれど、弾幕の様なノックは全く収まらない。

 

「まっしろ〜!」

 

一応現在時刻は午前八時十三分。

殆どの団員達は既に起きて朝食を摂っているのだろう。だからこその無遠慮なノック。

 

耳を塞ごうと聞こえて来るその爆音に、マシロは遂に寝続ける事を断念した。

その代わり、苛立ちに任せてドアを蹴破る。

瞬間、神のハイテンションな悲鳴が鼓膜に轟いた。

 

「うわぁ、危な⁉ 扉の前に人がいるって分かってる奴の開け方ちゃうやろ、ソレ!」

 

「なんの用だ、ロキ。朝っぱらから随分なご挨拶だな……」

 

「なんちゅう表情しとんねん! 可愛い顔が台無しやろ、ホラホラ笑って~?」

 

「……」

 

左右の人差し指で頬を突き、二ッと口角を上げて見せるロキ。

そんな主神の態度を見て、マシロは鼻を鳴らして扉を閉めた。

バン! という音が響くと同時に、扉の外で再びロキが喚き出す。

 

結局、「分かった分かった! 要件言うから開けてや~!」という懇願を聞き入れ、朱色の主神と顔を合わせた。

 

すると、ロキはマシロに金子袋を一つ差し出す。

受け取り中身を見ると、かなりの金額が詰まっている様だ。少なくとも、今日一日くらい羽目を外しても懐が淋しくなる事はない程度には……。

 

「なんだ、コレは?」

 

主神の意図を汲みかね、直接訪ねる。

しかし、ロキはヘラヘラとした笑みを浮かべるばかりだった。

 

「今日自分の誕生日やろ? ウチからのお駄賃や。パーッと遊んでき」

 

「いらん」

 

「まあ、そう言わずに」

 

「くどいぞ。金には困ってねぇ」

 

「そりゃそうや。今日朝早くダンジョンに潜って稼いで来たんやもんなぁ」

 

「……」

 

その言葉を聞いて、マシロは目を細めた。

そんな眷属の様子が可笑しいのか、ロキは頭をポンポン叩きながら陽気に続ける。

 

「わざわざ遊ぶ金稼ぎに行ってたんやろ? 今日は誕生日やから自分にご褒美って訳や。全くぅ、可愛いトコもあるんやなぁ。ウチ、キュンキュンしてまうわ」

 

頬を染めながら体をくねらせる主神に、マシロの機嫌は急降下していく。

ここで違うと突っぱねても意味はない。神々は下界の民の嘘を見抜く。

 

「成程……わざわざ俺を笑い者にしに来たのか。ご苦労な野郎だ」

 

誕生日に遊ぶ金を稼ぐ。

それは物凄く子供っぽい行為だと、まるでそう言われている様で、マシロは酷く気分を害した。

実際彼自身もその自覚があった為、第三者に指摘されると余計に羞恥心が沸いて来る。

けれど、ロキは眷属に睨みつけられたまま「ちゃうちゃう」と両手を振った。

 

「そんなイジワルしに来た訳とちゃうわ。ウチは純粋にマシロに楽しんで来て貰おう思ってなぁ。なんたって、可愛い子供やし」

 

そして、数回彼の頭を撫で回し髪をくちゃくちゃにした所で、「ほなな~」と片手を上げて去って行く。

 

その間、マシロはロキに噛みつかなかった。

いや、噛みつけなかった。

 

『超越存在』とは良く言ったもので、ロキが声音を正し、真摯な手付きで頭を撫でただけで、マシロに伝わってしまったのだ。

彼女の行動に揶揄いや嘲りが含まれていない事が。

ただ純粋に、自分を思っての行動だと言う事が……。

 

マシロは廊下で一人立ち尽くし、自分の手に残った金子袋を一瞥する。

そして、見事に此方の心理を見透かし、自分の心理は見透かさせて帰って行った主神に対し、微妙な表情で悪態をつくのだった。

 

「くそっ……、相変わらず喰えない女神だ……」

 

 

 

: :

 

 

同時刻。

アイズ・ヴァレンシュタインはリヴェリアに呼び出されていた。

 

【九魔姫】の私室にて、正座させられている【剣姫】。

彼女は何故自分が説教を受けるのか、その心当たりに見当を付けられずにいた。

 

「あの……リヴェリア……?」

 

その問いかけが合図だったように、麗人のエルフは口を開く。

 

「ロキから聞いた。アイズ、夜な夜なマシロの部屋に侵入しているそうだな……?」

 

「……!」

 

アイズは全てを察した。

そうだ、今朝ロキへの捨て台詞として、その秘密を暴露していた。

 

自身の迂闊さを呪いつつ、アイズは盛大に冷や汗をかく。

彼女とて、流石に非常識な行動である自覚はあったのだ。

 

「ち、違うよ⁉ たまになの……週に一回くらい……」

 

「想像より多いわ、馬鹿者!」

 

「ご、ゴメンなさい……」

 

シュンとする【剣姫】の姿に、リヴェリアは咳払いをしつつ尋ねる。

 

「因みに、ロキには『あんな事やそんな事をしている』と言っていた様だが……具体的に何をしていた」

 

「あ、頭を撫でたり……ギューッてしたり、ほっぺスリスリしたり……」

 

「それだけか……?」

 

「う、うん」

 

「本当に誓ってか?」

 

「……? 本当……だよ?」

 

何を確認しようとしているのか分からない。

そういう反応を見せるアイズに、【九魔姫】は安堵する。

 

分かってはいた事だが、やはり一線を越えるような行為はしていない様だ。まあ、ほっぺスリスリは普通にアウトゾーンな気もするが……。

 

「なら良い。では、アイズ。何故そんな事をしていた?」

 

「そ、それは……。私も良く分からなくて……。ただ、たまに胸の奥がキューってするの。そうなると、どうしてもあの子に会いたくなって……ギュってしたくなって……。でも、起きてる時にしたら嫌がられるから……」

 

どうやら、フィンの読みは正しかったらしい。普段触れ合えないが故に、限界が来ている。

 

「それは、『思春期の弟に構いすぎるな』という私達の忠告を守っているという事だな?」

 

「うん……」

 

「つまり、お前が全力でマシロに構えば嫌われると、他でもないお前自身がそう感じているという解釈で構わないか?」

 

その問いに、アイズは更に肩を落として頷いた。ともすれば、泣き出してしまいそうな表情にも見える。

 

「ティオネやティオナ達を見ても、他のきょうだいの冒険者たちを見てても、私のはちょっと行き過ぎって思う……」

 

「ふむ。きちんと自分を客観視出来ている様だな。それならば、思ったほど心配せずとも良さそうだ」

 

「え?」

 

うんうんと嬉しそうに頷くリヴェリアに、アイズは呆けた顔を晒す。

そんな【剣姫】に【九魔姫】は訊いた。

 

「では、お前の夜這い擬きがマシロに知られれば、どうなるかの想像もつくな?」

 

「……本気で気持ち悪がられて、思春期抜けてももう喋ってくれなくなる……と思う」

 

答えるアイズは本当に苦しそうだった。

 

「そうだな。だから、もうやめろ。週一で忍び込んで、まだバレていないのは奇跡だぞ」

 

「あの子、寝たら本当に起きないんだよ? 赤ちゃんみたいにグッスリで、凄く可愛い……」

 

ポッと頬を赤く染めるアイズに、やはりコイツはもう駄目かも知れないと思いつつも、リヴェリアはフィン達と決めた決定事項を伝える。

 

「とにかく、もうやめろ。ただ、それではいずれお前がパンクするだろう事も分かっている。そこで、お前のマシロへの接触度合いを少し解禁する」

 

まあ、そもそも私達が禁止していた訳でもないのだが……。

そうボヤキつつ、リヴェリアはピンと、綺麗な細指を一本立てた。

 

「アイズ。お前に一つ使命を課す。今日が何の日かは分かるな……?」

 

「シロの誕生日。十二歳になったんだよっ?」

 

嬉しそうに身を乗り出すアイズを、リヴェリアは手で制す。

 

「そうだな……。そこでだ、今日マシロは街に出かけるつもりでいる。お前も一緒についていけ」

 

「……え? でも、嫌がらない?」

 

「嫌がるだろうが、そこは私達もサポートする。二人で出かけてガス抜きをしろ。そして、もう夜な夜な部屋に侵入などしなくても良い程度に、話せる関係になっておけ」

 

その言葉にアイズは目を輝かせたが、直ぐに曇る。

 

「で、でも、一緒にお出かけなんかしたら、私一瞬で嫌われそうな気がする……。いつも通りにしてても、『なんでついて来たんだ』ってなるし、仲を深めようとしたらやり過ぎちゃうと思うから……」

 

「……本当に、思ったより自己分析が出来ているじゃないか、アイズ」

 

「むぅ……」

 

感心された事に頬を膨らませるアイズ。

そんな彼女に対し、ママはクスリと笑いながら「大丈夫だ」と言い切った。

何が大丈夫なの? と、視線で告げる【剣姫】に【九魔姫】はとある紙を見せる。

そこには『アイズ理想の姉化計画』と書かれており、細かい字が用紙一杯に綴られていた。

 

「これは……?」

 

「フィンからの指令だ。お前には今後、『たまには弟と買い物に出かける友達の様な姉』を目指して貰う。今回はその足掛かりだ……」

 

「え?」

 

「他でもない、【勇者】直々に立案した作戦だ。不安に思う事などないだろう?」

 

「……!」

 

 

 

それを聞いたアイズは、目を輝かせて作戦を聞く体勢に入るのだった。

 




お読み頂きありがとうございました。


そして、アイズさんが大分ヤバイ事になってますね。すみません、自覚はありますが俺得の自己満小説ですのでご容赦ください。

そして、弟がクソガキ過ぎますね。その内誰かにボコらせますのでどうか御自愛を。

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