南西諸島海域 カムラン半島
少し雲がある程度の良く晴れた空の下、爆音と共に水柱が何本も立ち昇り深海棲艦がバラバラになっていく。
「おらおら、どんどんいくぜ!!」
「ひゃっはぁー! 全力爆撃だー!!」
「沈みなさい!」
「私ノ魚雷ヲ受ケナサイ!!」
「レ!!」
「ホホーッ!」
芳彦と隼鷹、不知火、ブティク、ヴァーチ、ウィザードが敵主力艦隊を攻め立てていく。
智明と芳彦が同盟を結んだ2日後、智明達は合同艦隊を率いてカムラン半島エリアの各敵残存部隊掃討作戦を開始した。部隊を3つに分け、再編された敵主力艦隊、護衛空母群、そして残り残党の掃討を行っているのだ。
「フフフ、慌テフタメキナサイ」
装甲潜水艦鬼へと進化したブティクは海中からの魚雷攻撃に加え、積載数が6隻に増えたフリッパーによる攪乱攻撃によって主力艦隊は混乱。そこへ芳彦と龍驤が飛ばした艦爆仕様の散香と雷撃仕様の清影が襲い掛かる。
「敵は釘付けだ! 外したら赤っ恥だぞ?」
「はっはー!! 目を瞑っていても当てられるさ!」
散香、清影が放った爆弾、魚雷が水切り石の様に海面を跳ねながら攻撃する
旗艦達を援護しようとする重巡洋艦リ級や駆逐艦ハ級達にも同じ様に爆撃が行われており、更にヴァーチ、不知火とウィザードが追い打ちを掛けていた。
「此処から先は1機も通しません!」
「レ!」
不知火が新装備であるファランクスで次々と敵艦載機を撃墜し、ヴァーチも艦載機を飛ばして迎え撃ちながら、ル級に16inch三連装砲を叩き込む。
「ホホホー!!」
ウィザードが敵から放たれた魚雷を爆雷で除去しながら、お返しとばかりに22inch魚雷後期型を発射してハ級を吹き飛ばす。
自軍のペースに持ち込んだ芳彦達の前に敵主力艦隊は成す術が無く次々に撃破されていくのであった。
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南西諸島海域 カムラン半島 芳彦達とは別のエリア
【よし、敵は総崩れだ。一気に叩くよ!!】
「「「了解!!」」」
「タ!!」
「チチ!」
場所は変わり、敵護衛空母群を攻撃するのは智明、ヨハム、夕立、ビフト、羽黒、龍驤達。
前回の戦いで函南艦隊を苦しめた艦隊の編成とは少し異なっており、軽空母ヌ級3隻、軽巡洋艦ホ級、駆逐艦ロ級2隻の編成となってた。
艦載機による先制攻撃を仕掛けようとする護衛空母群であったが、智明による真下からの開幕雷撃によって早くも半壊状態に陥っていた。
「これ以上、発艦させる暇は与えないよ!」
智明が海中からヌ級達を魚雷で沈めていく。
「ぽいぽいぽいぽい────────っ!!!」
夕立が高速機動で敵を攪乱しながらファランクスの弾幕で既に発艦していた艦載機を撃ち落としていく。
「撃ち方、始めて下さーい!」
「タタタター!!」
「チッチ!」
羽黒の号令と共にヨハムとビフトが砲弾の雨を降らせ、ロ級達を穴だらけにする。
「攻撃隊、発進! 軽空母の強さ、とくと魅せたるでぇ?」
龍驤が飛ばす艦載機達が智明達をサポートし、爆撃でホ級に止めを刺す。
それぞれの役目を熟す智明達の前に護衛空母群は敵ではなかった。
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南西諸島海域 カムラン半島 芳彦、智明達とは別のエリア
「皆さん一気に片づけるのです!」
「新兵器の力、魅せてあげるわよ」
「ふふ、水上機母艦の強さを思い知らせてあげるわ!」
「ってー!」
「ふっ、負ける気がしないな」
「皆のアイドル。那珂ちゃん、いっきまーす!!」
「カカッカ!」
「ルルー」
「ヲヲッヲー!!」
電を旗艦とした別働隊は主力艦隊達へ援護しようと向かって来ていた艦隊と交戦していた。
智明と芳彦達が戦闘を行っているエリア周辺海域を9隻編成の大艦隊で哨戒していた電達。千歳やハクが哨戒機を飛ばして周囲を警戒していると、案の定他エリアから敵艦隊が智明達がいるエリアへと向かっている姿が確認された。
何度と掃討を行っていた筈の敵前衛部隊と護衛空母群、そして単独航行していた駆逐艦等の逸れを連れて来たのであろう、総数16隻規模の電達の2倍近い艦隊となって接近していた。
しかし電達は慌てる様子無く、千歳とハクを中心とした輪形陣で敵艦隊を迎え撃った。
「カッカッカ!」
海底深く潜航し、電達が交戦するより先に敵艦隊へ接近したコーバックはフリッパーと共に有りっ丈の魚雷で奇襲を掛け、軽空母1隻と駆逐艦2隻を撃沈。生き残りにもダメージを与えた。
「とも君謹製の水上戦闘機の力、その身に味わいなさい♪」
「ヲヲーヲ!」
コーバックの奇襲によって臨戦態勢となった敵艦隊は早くも艦載機を大量発艦し、襲撃に備えていた。電達を発見した偵察機によって直ぐ様反撃すべく飛んで来るが、それを千歳とハクの艦載機が堂々と迎え撃つ。
ハクの艦上戦闘機が敵艦載機達と激しいドッグファイトを繰り広げる中、甲型へと改造された千歳の艦載機もそれに加わるが、その姿は艦娘が装備する従来の水上偵察機・爆撃機とは大きく異なるモノであった。
「さぁ、暴れるわよ『海零』!」
海零と呼ばれた水上戦闘機だが、まずフォルムがエンテ翼の後退翼でシャープな機体となっており、なにより噴式エンジンを搭載していた。そしてアフターバーナーまで装備している為、現代のジェット機に通じる機能を持ち合わせていた。 千歳から発進した海零は高速艇の如く海上を突き進みながら飛翔し、その機動性で瞬く間に敵艦載機を撃墜していく。
「ミサイル駆逐艦の力を見るのです!」
「お姉ちゃんだって負けないわ!」
ファランクスで対空弾幕を張りながら、電と雷が零式ハープーンで遠距離攻撃を開始する。
「さぁ、新兵器の力を思い知りなさい!!」
夕張が敵艦隊の上空へ3発のミサイルを発射する。艦載機すらにも当たらない方向へ飛ばされたミサイルに敵艦隊は何をしたいのか解らないでいたが……
ミサイルは敵艦隊の真上中心に到達すると爆発。すると大量の破片の様なモノが拡散しながら敵艦隊へと降り注いでいく。降り注ぐ破片は敵艦や海面に当たると突如爆発した。
対空特殊弾頭ミサイルに続き、夕張が開発した『クラスターミサイル』。一定の高度でミサイルは爆発し、中に詰まった小型爆弾が下方へ広範囲に爆撃する兵器だ。本来は陸上戦の部隊が密集している地帯や航空基地の破壊などに使われるが、対艦として使用すれば、艦橋や砲塔といった武装の破壊に繋がるので無駄では無い。
現に敵艦隊の武装の多くを使用不可能にしてみせたのであった。
「いいぞっ! もっとだ!」
「どっかぁーん! 木曾ちゃん、あんまり無茶しちゃだめだよ?」
「ルー!」
敵艦の砲撃を千歳達に届かせない様に木曾、那珂、ブラスがミサイルや砲撃による攻撃を行う。接近する迄に軽くないダメージを負った敵艦隊に容赦無い攻撃が襲い掛かる。
木曾が先陣を切って殴り込み、新たな武装である近距離ロケットランチャーと20.3cm連装砲を射ちまくり駆逐艦や軽巡洋艦達を葬ってゆく。
同じく那珂も20.3cm連装砲で敵陣を突き進む木曾を援護砲撃しながら61cm四連装(酸素)魚雷でリ級を大破させ、ブラスは両腕の16inch三連装砲でヌ級の船体を撃ち抜いて真っ二つにした。
数の差等なんのその、2倍近い数の敵艦隊は電達の技量や新兵器に次々と討ち取られていった。
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【此方、芳彦。敵主力艦隊を全滅させた】
【こちらも殲滅を終えたのです】
「皆、お疲れ様。僕達も問題無く終わったから集合場所に集まって下さい」
【【了解(なのです)】】
こうして、約3時間に渡ったカムラン半島海域解放作戦は成功に終わった。
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南西諸島カムラン半島 隠れ基地近くの海域
「皆、お疲れ様。怪我は無い?」
「なぁに、ブティクの御蔭で楽勝だったから問題無いさ」
「大事ナ仲間達ヲ怪我サセル訳ニハイキマセンカラ当然デス」
「電達も問題無いのです」
指定場所に集合した水野及び函南艦隊。
誰も沈む事無く返って来れた事に智明は喜ぶ。
「そういえば、鹵獲はしなかったのですか?」
「ん? ああ、撃破する事に夢中になってしまってな…」
そう言って芳彦は申し訳なさそうに後頭部をガシガシ掻く。
「まぁ、資源が貯まっているから戦艦か空母が欲しいとこだんだがな。そういやウィザードの奴がよ…」
そう言って後ろを指さした先には黙りこくって動かないウィザードの姿がある。此処まではブティクが抱えて連れて来た様だ。
「成程、ウィザードが」
「智明さん、こっちもブラスさんが」
「え? ブラスも!?」
ウィザードと同じ様にブラスも黙りこくっている。此方はハクの艦載機がワイヤーで固定して吊るしながら連れて来た様だ。
「戦艦か、進化するってなると鬼だが過去のデータじゃ姫しかいなかったよな?」
「となると未だ見た事が無い『戦艦棲鬼』を拝める事が出来るのかしら?」
芳彦が率直な疑問を、夕張が未知との遭遇に期待した声を上げる。取り敢えず、皆の無事が確認出来、このまま此処に居ても埒が明かないので隠れ基地へ帰還する事にした。
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南西諸島カムラン半島隠れ基地 ドック
「進化ですか、何に成るのか少しワクワクします」
「でしょ? 私も何に成るのか気になるわ♪」
羽黒が食事を続けているウィザードたちを見ながらそう呟き、夕張が嬉しそうにうんうんと頷く。
現在、解放戦で撃破した深海棲艦の残骸をウィザードとブラスに与えており、智明達はその姿を見学している。今回の解放戦でコンテナ10個分の資材の元が集まったが、それを2人は瞬く間に平らげていく。因みにハクが一定の技量に達した為に、フラグシップから改二へと改造された。
「今回の収入はこれで0だな」
「まぁ、貯蓄している資材は減っていませんから」
「だとしても今回消費した弾薬と燃料で消費するしよ?」
「今回は解放戦のみだったから仕方ないでしょ?」
「減った分はまた集めれば良いです」
今回の収入が無くなる事に芳彦が残念がり、智明と雷、不知火が慰める。実際の所、智明と芳彦がいる基地で無いと深海棲艦の残骸を資材に加工出来ないので、本来の鎮守府だと大きく資材が減るだけであったのだ。それに比べれば補給が無いにしろ貯蓄していた資材を大きく減らす事が無かった智明達は良かった。
「何に進化するっぽい?」
「ウィザードはまた戦艦かしら?」
「潜水艦カモ知レマセン」
「じゃあブラスは?」
「戦艦だから夕張さんが言っていたみたいに戦艦棲鬼でしょうか?」
夕立達が進化先の姿を予想する中、食事を終えたウィザードとブラスの2人。
そして彼女達に変化が起きる。
まずウィザードだが、胸元から下を覆っていた艤装が全てポロポロと崩れ落ちて無くなり、その白い裸体を露わにした。頭に被っている部位だけは崩れる事無く肥大化、四ツ目の陣笠の様な形となり、てっぺんには砲塔が生えていた。
「潜水艦ソ級ですか」
「ソ~」
潜水艦ソ級となったウィザードは長い黒髪を整える。
そんな姿を鼻を伸ばしながらマジマジと眺めるのは芳彦。深海棲艦の潜水艦種に言える事だが、全員が素っ裸である。
「ほほ〜、中々良いモノをお持ちで」
「芳彦さん、何時まで見てるんですか。誰かウィザードに服を…」
「分かったのです」
「案内するわ」
「ソ〜ソ?」
電達に連れられウィザードは退場。次にブラスだが…
「予想が外れたな」
「見た目は余り変わって無いけど……、ニューモデルかな?」
芳彦と那珂の言葉通り、ブラスの姿はブティクの時と同じ様にデータに無い姿であった。ノースリーブの黒服に黒いズボンという服装であったが、その衣装の上に漆黒のフード付きコートを纏っている。
「ブティクに続く新種か……ブラス、その姿は?」
「ソウネ、『ステルス戦艦鬼』ト呼ンデ頂戴」
ブラスはそう言うとフードを深く被り、コートの前を閉じる。
すると、
「!? 消えた!!?」
「ぜ、全然見えません!?」
「すっげぇ、リアル攻殻機動隊じゃねぇか!!」
「でもブラスの匂いはするっぽい」
「……夕立じゃないと解らないぞ、それ…」
姿が見えなくなった事に周囲から驚きの声が上がる。どうやらブラスが纏っているコートは光学迷彩の効果があるらしい。
皆が驚く中、ステルスを解いたブラスは得意気な笑顔を浮かべていた。
「如何、智明?」
「まるでプレデターですね。しかし、ステルス戦艦ですか……、敵側にもやはりいるのかな?」
「イイエ、ソレハ有リ得ナイト思ウワ」
「それは、どういうことだい?」
ブラスの言葉に疑問の声を上げる智明。ステルス戦艦が敵として現れないとはどういう事なのであろうか?
「私達、深海凄艦ハ進化スル際ニ強クいめーじシタ姿ニ進化スルノ」
ブラスが明かす深海凄艦の新たな真実に智明達は驚く。
「初メノ駆逐艦コソ知能ガソコマデ発達シテイナイカラ、人間ヤ艦娘ヘノ強イ憎シミノミニ拘ッテ”多クノ艦娘ヲ沈メル為ニ強クナリタイ”ト云ウいめーじデ軽巡洋艦ヘト進化スルケド以降ハ様々ネ。嘗テ海ニ沈ンダ人達ヤ船ノ沈ンダ際ノ怨念ガ強ク影響シテクルノ」
「怨念ですか?」
首を傾げる羽黒にブラスは頷く。沈んだ怨念が深海凄艦を産み出しているのは解っていたが、まさか進化の際にも影響を及ぼしているとは。
「ソウ。例エバ戦時中ニ魚雷デ沈メラレタ船トカダッタラ雷撃戦ニ特化シタ艦、大体潜水艦ヘト進化スルワ。航空機ニヨル爆撃ヤ雷撃ダッタラ空母トイッタ具合ニネ。中ニハ仲間ヲさぽーとシタイト云ウ仲間意識ガ高カッタリシテ輸送艦ニ進化スル個体モイルケドネ」
「成程ね、沈められた原因が進化に影響を与えている訳ね? でも戦時中以外の事故なんかで沈んだ場合はどうなるの?」
「駆逐艦ノ頃ノいめーじノママガ大半ネ。殆ドガ重巡洋艦ヤ重雷装巡洋艦ヲ経テ戦艦ニ進化スルワ。ソシテ技量ヲ上ゲ、力ヲ得タ個体ガ鬼ヤ姫ニ進化スル。此処迄ガ従来ノ進化似ニツイテネ」
「従来のって事はブラスは違うのか?」
夕張の質問に答えながらブラスに芳彦が新たな質問をする。
「エエ。本来ノ深海凄艦ガ進化スル影響ヲ与エテイルノガ怨念トカノまいなすノいめーじダッタラ、私達ハ憧レミタイナぷらすノいめーじガ影響シテイルワ。ソウヨネ、ぶてぃく?」
「ハイ。私ハ智明ノ姿ニ憧レテ潜水艦ヘト進化シマシタ」
ブラスがブティクに同意を求め、ブティクは頷く。
「私ハ”戦艦トシテ戦ッテイキタイ”ト云ういめーじを抱イテイタワ。デモ、私ノ場合ハ少シ特殊ナノ。進化スル際ニ持ッテイタ抗電探装甲ガ反応シタノ」
「つまり、ブラスの進化には装備が影響していたって事?」
「ソウイウ事。ダカラソンナ装備ヲ持ッテイナイ連中ガすてるす艦ニ進化スル事ハ無イッテ事」
「成程な」
「私トシテハ嬉シイ誤算ダケドネ」
相手に気付かれる事無く、外す事の無い場所から砲撃出来る様になるステルスは、効率的な行動を好むブラスにとって有難い能力であった。
「兎ニ角、すてるすニヨル奇襲ガ可能ニナッタワ。潜水艦ニ負ケルツモリハ無イカラ宜シクネ♪」
そう言って、最後にブラスは笑顔で締めたのだった。
現状報告
・新武装を開発した!
・千歳は改造によって千歳・丙(Lv.35)になった!
・芳彦は改造によって飛天・改(Lv.45)になった!
・雷は改造によって雷・改(Lv.31)になった!
・不知火は改造によって不知火・改(Lv.30)になった!
・木曾は改造によって木曾・改(Lv.29)になった!
・羽黒は改造によって羽黒・改(Lv.29)になった!
・那珂は改造によって那珂・改(Lv.27)になった!
・龍驤は改造によって龍驤・改(Lv.26)になった!
・隼鷹は改造によって隼鷹・改(Lv.21)になった!
・カムラン半島を開放した!
・ハクは改造によってヲ級改フラッグシップになった!
・ウィザードは進化して潜水艦ソ級になった!
・ブラスは進化してステルス戦艦鬼になった!
・深海棲艦に関する新たな情報を得た!
『邂逅』時、函南艦隊の平均レベルは23位でした。低過ぎですかね?
千歳は特殊改造によって千歳・甲→千歳・乙→千歳・丙と経ています。
またしてもオリジナル深海棲艦登場、戦艦棲鬼の登場は何時ですかね?
感想コメント、意見・質問お待ちしております。