嗚呼、「黄泉の艦隊」が往く   作:影鴉

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やぁ、約2か月ぶりだね。
活動報告にも書いてるけどリアル事情で地獄を体験してね、執筆が出来なかったんだ。
それでも3月中には投稿しようと頑張ってたんだけど…
そこで「アニメ艦これリアリティショック」に襲われてね、一時は本作を打ち切りたい位に「艦これ(というか、原作者)」に絶望してしまったんだ…
アニメと原作ゲームは別物だったらまだ救いはあったんだけどね…
でも書き出した以上、完結まで頑張るつもりだよ…



今回は、智明達がいずも船内で交渉している間に行われていた交流についてだよ。



あ、本作を読むうえで一つ…
艦これにアニメなんて無かった、良いね?


 交流

日本国海軍が交渉に指定された無人島に到着する数分前

 

 

「目的地が見えてきました!」

「あそこに例の艦隊が…」

「ドキドキ…します」

 

 

 源重郎達が乗る、いずもの前方を護衛している御劔艦隊は、既に智明達の姿をその視界に映し始めていた。

 情報では無人島である筈の目的地だが、岸部の岩場が綺麗にコンクリートの岸壁へと変わっており、エプロンには倉庫らしき建築物が並んでいる。港と化した岸辺の岸壁には制服姿の智明達、男性適合者と艦娘、そして新生海人達が立っていた。

 

 

「あれが男性適合者…」

「Oh! 思ってたより若い人達デスネー、でも提督の方が格好良いデス」

優しそうな感じ(   智明   )ワイルドな感じ(   芳彦   )の人ですね」

右の人( 芳彦 )はちょっと怖そうですけど…左の人( 智明 )は優しそう…」

「2人共艤装を装着していませんね、原子力空母の男性適合者はどちらなのでしょうか…?」

「艤装を着けてないから普通の海兵さんにしか見えないや…って、私達も艤装を外せば普通の女の子にしか見えないか」

 

 

 御劔艦隊以外の艦隊メンバーも同じく智明達の姿が見えてきた。

 

 

「提督、見えてきましたよ?」

「ほぉ~、ああ並ぶと圧巻やなぁ。それに…」

「川内姉さん、あれって…」

「嘘っ!? 那珂なの!?」

「雷と電がいるわ!! こんな所に居たなんて!?」

「ハラショー…」

 

 

 重なって並んでいるために全員の姿を確認する事は出来ないが、前列に立っていた那珂、そして雷と電の姿に姉艦である川内と神通、暁と響は驚愕する。

 

 

「奴さんは行方不明の艦娘を保護しとるんや、後で感謝せなアカンな?(書類やと飛鷹の妹艦である隼鷹も居る筈なんやけど、こっからじゃ見えへんな…)」

 

 

 向こうも視認出来たからか、此方に手を振り始めた。

 

 

「うわぁ、艦娘と深海棲艦が普通に並んで手を振ってる…」

「敵で無いと分かっていても、何かシュールだわ…」

 

 

 そんなコメントを零したのは川内と飛鷹。前列で雷達と手を振っているのは駆逐棲姫 秋月と高機動潜水艦鬼 ウィザード。尚、岸壁下の海水面上には軽巡洋艦のヴィルとシュトュルや、まだ輸送艦ワ級である春夏秋冬艦隊メンバーが手を振り、駆逐艦のノールとチェスはイルカと一緒に歓迎の意を表す様に飛び跳ねている。

 

 

「扶桑の横に並んで立っているのが原子力戦艦鬼の姉妹やな」

「深海棲艦にも姉妹艦がいるのね~」

「原子力戦艦……、実力はどれ程なのでしょうか」

「男性適合者の後ろにいるのは氷山空母鬼やね。しっかし…改めて深海棲艦は美人さんばっかりやな、お近づきになりたいわ…「「提督!!」」……痛い痛いっ!! 高雄に愛宕!? 何で頬っぺた引っ張るん!!?」

 

 

 双眼鏡越しから見える新生海人達に対して蓮がそんなコメントを言ったものだから、怖い顔をした高雄姉妹に両頬を引っ張られて彼は悲鳴を上げるのだった。

 

 

一方の銀牙艦隊はというと…

 

 

「提督~。深海…じゃなかった、新生海人達の姿が見えだしたよ?」

「ああ、俺からもバッチリ見えてるぞ。しっかし、仲良く並んでんな」

「艦娘と元深海棲艦、本来なら有り得ない光景ですわ」

 

 

 鈴谷の呼び掛けに応じながら、ユーリは双眼鏡越しの光景に違和感を感じ、鈴谷の妹艦である航空巡洋艦 最上型4番艦 熊野が優雅な雰囲気を崩さずに頷く。

 

 

「岸壁下の駆逐艦とかイルカとじゃれてんぞ?」

「動画撮ってようつべに投稿したら凄い反響出そうだよね~」

「本当に撮影したらいけませんわよ、鈴谷? しかし…遠目から見たら、イルカとじゃれ合っている様子は可愛らしいですわね…」

「楽しそう…深海棲艦なのに、不思議不思議ー」

 

 

 双眼鏡の光景を岸壁下に映し、ノール達の様子を眺めるユーリ達。そんな珍妙な光景に駆逐艦 陽炎型10番艦 時津風は不思議そうな声を上げるが怖がってはいない様子。

 

 

「ん…司令官、大丈夫でしょうか?」

「見た事無い深海棲艦…怖いぴょん!」

 

 

 一方の駆逐艦 睦月型3番艦 弥生と4番艦 卯月は時津風とは対照的に不安そうな声を上げる。

 

 

「襲ってこないから心配すんなって。ほら、艦娘の傍で仲良く手ぇ振ってんだろ?」

「んむぅ…」

「ぴょん…」

「後連中は”新生海人”だからな、間違っても”深海棲艦”呼びすんなよ?」

「「「は~い」」」

 

 

 ユーリに注意を促された駆逐艦娘達は揃って返事した。

 

 

最後尾の鴉艦隊は…

 

 

「見えてきたな」

 

 

 強化兵士である為に身体能力が常人以上である蒼真は双眼鏡を使う事無く、岸壁に立つ智明達の姿を視認した。

 

 

「ああも並ばれると圧巻ですね…」

「しかし、仲良く並んで手を振ってる姿は何とも言えんな」

「しかも羽黒があの中に混ざっているのよね?」

「千歳お姉もあそこに…大丈夫かなぁ?」

「あっ、夕立が手を振ってる!!」

「皆、仲良さそうだね?」

 

 

 部下の艦娘達がそれぞれ感想を述べていく。

 

 

「列の後ろにいるのか、ステルス戦艦らしき姿は見えんな…」

「あの時のステルス艦か。あの時に姿を確認できなかったが、一体どんな姿なのだろうな?」

「始めっから姿が見えなかったりして…」

「えっ!? お化けって事?」

「…奴が立っていた場所には波紋が出来ていたから実体はある。だから怖がるな、白露」

 

 

 あの時に戦ったステルス戦艦鬼であるブラスの姿を探す中、足柄の発言に怖がる白露の頭を撫でながら、蒼真は落ち着かせる。

 

 

(まぁ、対面すれば会えるか…)

 

 

 蒼真がそう結論付けた時には、ボートは岸壁へ接岸しようとしていた。

 

 

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 いずも含む武装ボート全てが岸壁に接岸し、降りて来た源重郎達に挨拶した男性適合者の2人は、夕張と不知火を連れていずも船内に入って行った。彼等の姿が消えると並んでいた艦娘・新生海人達の中から一人の新生海人と駆逐艦 電が一歩前に出た。

 

 

「皆サン、此度ハ御足労有難ウ御座イマス。交渉ガ終ワル迄ノ間ハ御手隙デショウカラ此方デユックリシテイッテ下サイ」

「歓迎と今後の友好を兼ねて食事会の用意をしています。楽しんでいって欲しいのです」

 

 

 深海棲艦では有り得ない優しい笑みを浮かべながら、ブティクが蓮達に労いの言葉を掛ける。他のメンバー達は解散して、パーティ準備の続きを始めた。

 

 

「ご主人様達、大丈夫かな?」

 

 

 源重郎と重成の秘書艦である大和と漣は既にいずもから降りて金剛達と共におり、彼等は護衛も付けずに交渉を行っている為、漣は不安の声を上げる。

 

 

「4人共、艤装を着けていませんでしたから心配無いでしょう。提督が信じているのですから彼等を信じましょう?」

「私達の提督自身も強いしね」

「あれ…金剛さんと榛名さんは?」

「Hey! You達が噂の原子力戦艦デスネー?」

 

 

 春雨が金剛の姿が無い事に気付いて周囲を見回すと、彼女は妹艦の榛名を連れて何時の間にか新生海人達の元へ行っており、ヨハムに声を掛けていた。

 

 

「ソウダケド、ソウイウ貴女ハ巡洋戦艦ノ金剛ネ?」

「YES! 御劔艦隊旗艦の金剛デース♪」

「私ハ青ノ艦隊所属、原子力戦艦・烈ノよはむヨ。宜シク」

「よはむ御姉様ノ妹艦ニナリマス。原子力戦艦ノびふとデス!」

「Oh! You 達も Sisters デース!?」

 

 

 そう言って金剛は隣に立っていた榛名を前に出して紹介する。

 

 

「この娘は私の2番目の妹、榛名デース」

「は、始めまして、金剛型3番艦の榛名です…」

「3番艦? 2番艦ハドウシタノカシラ?」

「2番艦、つまり私の1番目の妹である比叡は3番目の妹である霧島と一緒に南方海域の基地に勤めてマース」

「離レバナレニナッテ寂シクナイデスカ?」

「それは寂しいデース。でも、2度と合えない訳では無いデスシ、連絡も毎日取り合っているので No problem デース!」

「ソウ、仲ガ良イノネ?」

「Yes! 大事で大好きな妹達デース♪」

 

 

 榛名を抱き締めながら答える金剛にヨハムは微笑んだ。

 

 

「そう言えば You 達以外にステルス戦艦もいると聞きマシタが何処「呼ンダ?」…Wow!?」

「っ何時の間に!!?」

 

 

 金剛がブラスの事を尋ねようとしたところ、彼女の後ろからブラス本人が現れて驚かす。

 

 

「貴女ノ御指名シタすてるす戦艦鬼ノぶらすヨ、宜シク」

「気付きませんでした…」

「Amazing なコートデスネ? それがステルス機能を持っているデース?」

「ソウイウ事、さいれんときるハオ手ノ物ヨ?」

 

 

 榛名は気配すらも消して背後に現れたブラスに驚き、金剛はその姿に興味深々である。ブラスがフードを被りステルス機能を起動させ、姿を消して見せると驚愕の声が上がった。ある程度ステルス能力を見せた後、ブラスはステルスを解除して金剛に握手を求めた。

 

 

「戦艦同士、仲良クシマショウ?」

「立チ話モナンデスシ、オ茶デモ飲ミナガラ、ネ?」

「食事モ出来マスカラ是非」

「Oh! それではお言葉に甘えマース♪」

「失礼しますね?」

 

 

 ヨハム達の案内で金剛と榛名はテーブルへと案内され、他の御劔艦隊メンバーも後に続くがそこへ蒼真がブラスの前へやって来た。

 

 

「お前があの時のステルス戦艦か?」

「エエ、ぶらすトイウノ。姿ヲ見セテイナカッタトハイエ、アノ時以来ネ提督サン?」

「そうだな。あの時は負けたが、次は負けんぞ?」

「フフ、りべんじスルナラ演習デネ。今ハ友好ヲ兼ネテ楽シミマショ?」

「お言葉に甘えさせて貰う。こっちにはお前達、艦隊メンバーの姉妹艦がいるんでな」

 

 

 そう言って蒼真は鴉艦隊メンバーを見やる。羽黒の下には妙高型姉妹、夕立の下には白露と時雨、千歳の下には千代田が駆けつけて色々と話し掛けていた。

 

 

「元気そうで安心したわ」

「しんか…新生海人と一緒で大丈夫なのか?」

「大丈夫よ、皆優しいから」

「改二になっているのね。見た事無い武装を装備しているけど、それは?」

「司令官や智明さんが考えた武装を夕張さんが開発してくれたモノなの」

 

「夕立、その背中のミサイルは何だい?」

「ぽいぽいミサイルだよ、私が考えたの!」

「ぽ、ぽいぽいミサイル…」

「夕張が造ったハープーンよりも性能が良いっぽい。お姉ちゃん達も装備したら良いよ!」

 

「お姉、その艤装は!?」

「双胴艦に改造して貰ったの。水上ジェット機を搭載しているとはいえ、他の空母と比べて限界がきていたから」

「双胴艦に水上ジェット機って…、千歳お姉は何を目指しているのっ!?」

 

 

 姉妹艦達の質問に羽黒達は笑顔で答え、安堵したり驚愕している。

 一方、大和の前にはヴァーチが立ち塞がって何か叫んでいた。

 

 

「レ、レレ、レレーレ!」

「あ、あの…、この娘は何て言っているのでしょうか?」

 

 

 ヴァーチが叫んでいる言葉が解らない為に大和は困惑する。

 

 

「ヴァーチさんは『日本国海軍最強ノ戦艦ナンデショウガ、私ニハ勝テナイ!』と言っているのです」

 

 

 そこへ新生海人との付き合いが長い電が駆け付け、ヴァーチの言っている事を大和へ伝える。

 

 

「む…、鬼だろうが姫であろうが大和は負けません!」

「レ! レレレーレ!」

「はわわっ、ヴァーチさん挑発は程々にして欲しいのです!!」

 

 

 挑発的な笑みを浮かべながら更に言葉を続けるヴァーチに電が慌てた様子で止めに入る。良く見るとヴァーチの砲塔付きの艦首を模した尻尾までが舌を出して挑発していた。

 

 

「…貴女ハ正規空母ヨネ?」

「ええ。加賀型1番艦だけど、なにかしら?」

 

 

 そんな大和達の様子を眺めていた加賀へハクが声を掛け、彼女は怪訝な表情になる。

 

 

「…私ハ氷山空母ノはく…宜シク」

「あ、自己紹介だったのね? 私は加賀よ、宜しく頼むわ」

「…貴女ノ艤装……、弓デ艦載機ヲ飛バスノ?」

「そうよ」

「一度ニ何機飛バセルノ?」

「それは…」

 

 

 ハクは和弓で艦載機を発艦させる方法について色々と加賀に質問をする。

 彼女の知っている空母は式神式と水上発艦式、良くて芳彦がカノンボウガンから射出するぐらいであったので気になるようだ。

 

 

「此方ニドウゾ」

「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど?」

「何デスカ?」

 

 

 席に案内される銀牙艦隊メンバーの弥生が秋月に声を掛ける。

 

 

「君の艦種は何なんだい?」

「あー、それ気になってた」

「俺も気になるな。っつぅか、その姿どっかで見た事ある気がするんだが…」

「話せるから鬼か姫だってのは解かるけど…」

 

 

 ユーリも同意の声を上げたが、弥生は秋月の艦種が気になる様だ。

 

 

「私ハ駆逐棲姫ノ秋月デス」

「駆逐棲姫? データにある姿とはだいぶ違うけど?」

「それに秋月って…秋吉んとこにいる駆逐艦と同じ名前だろ。…見た事ある気がしたのはそういう理由か」

 

 

 実際の駆逐艦 秋月型1番艦 秋月はブルネイ泊地所属の提督、篠原 秋吉大佐の下におり、駆逐棲姫の秋月がどこかで見た事が有る気がした理由をユーリは理解した。

 

 

「ソウデスネ。確カ既存ノ駆逐棲姫でーたデハ駆逐艦 春雨ノ姿ニ類似シテイマシタカ、私ハ与エラレタ名前ガ秋月ナノデ姿ノいめーじガ参照サレタノデショウ」

「参照……ああ、深海棲艦の進化におけるプロセスか」

「提督の方は御存知の様ですね。まぁ、私達ノ特徴ニツイテノ詳シイ話ハ席ニツイテカラシマショウ」

 

 

 話を締めくくり、秋月はユーリ達を席へ案内した。

 テーブルの上には様々な料理や飲み物が並べられていた。妖精さんと大鯨お手製のサンドイッチやお菓子といった軽食からローストチキンやサラダ、パスタといった本格的な料理が美味しそうな香りを漂わせていた。

 

 

「さぁ、冷めない内に食べて下さいね♪」

 

 

 笑顔の大鯨が席に着いた各々に呼び掛ける。

 交渉組はいまだいずも船内で交渉中だが、交流パーティが始まり用意された食事や飲み物に舌鼓を打つ。アルコールも用意されていたが、流石に任務中なので日本国海軍組は手を付けなかった。

 

 

「大鯨は料理が作ったんかいな? 美味いわ~」

「大鯨サンハオ料理ガトッテモ上手ナンデスゥ。ダカラうぃざーどハ何時モオカワリシテマスゥ」

「ふふっ、ウィザードちゃんは何時も御代わりしてくれて嬉しいわ♪」

 

 

 真鯛と香草の蒸し焼きを食べた蓮が褒めるとウィザードが自慢し、大鯨は笑顔で返した。

 

 

「美味しい~」

「このパスタやサラダも美味しいわ♪ 御代り貰うわね」

 

 

 高雄と愛宕も料理に舌鼓を打ちながら笑みを浮かべている。

 

 

「私も御代わりを戴きますね?」

「美味しいですね、私も御代わりを」

 

 

 自分の皿にこれでもかと盛られていた料理をあっという間に食べ終わった大和と加賀は御代わりをお願いしていた。

 

 

「んぐ、んぐっ、ぷはぁ~!! 飛鷹は飲まないのかい?」

「今任務中なんだから駄目だってば!!」

 

 

 隼鷹がお酒を勧めるが飲めない飛鷹は断っている。

 

 

「それはそうと、2人共」

「「何(ですか)?」」

「2人の指に付けてる指輪って何なの?」

 

 

 ふと妹艦に対し、暁が気付いた事を尋ねる。

 

 

「これですか?」

「司令官に貰った指輪に決まってるじゃない!」

《!!?》

 

 

 雷の返答に日本国海軍所属の艦娘全員の顔が驚愕に染まる。良く見ると他に千歳、羽黒、那珂、龍驤、隼鷹、ブティク、コーバック、ウィザードの薬指にも填められていた。因みに此処には居ないが、智明達といずもで交渉を行っている夕張と不知火も指輪を所持している。

 

 

「し、司令官って…?」

「あの夕張さんを連れていた優しそうな人?」

「違うわ。智明さんは電のリーダーで、私はもう一人の方よ」

「じゃあ、不知火さんを連れていた方?」

「はい。お姉ちゃんの司令官は芳彦さんなのです」

 

 

 電の答えを聞きながら暁と響は改めて雷と電の指輪を眺める。雷の指輪には虹色の光沢を放つ半透明の石、電の指輪には紫色の水晶が填め込まれていた。

因みに他のメンツの指輪には…

 

千歳:ルビー

 

夕張:カーネリアン(紅玉髄)

 

不知火:ラピスラズリ

 

羽黒:ダイヤモンド

 

那珂:トパーズ

 

龍驤:ダイヤモンド

 

隼鷹:エメラルド

 

ブティク:アクアマリン

 

コーバック:ガーネット

 

ウィザード:アレキサンドライト

 

以上の宝石が填め込まれている。

 

 

「ケッコンカッコカリの指輪じゃないわね……プレゼントして貰ったの?」

「…でも姉さん、2人共薬指に付けているんだよ? つまり…」

「智明トノ愛ノ証デス」

 

 

 暁の疑問にブティクが答え、その言葉によって日本国海軍の艦娘勢に衝撃が走る。

 この指輪、菫とボルガが発見した宝物の中で小さかった宝石とプラチナインゴットを加工して作られたもので、智明と芳彦に対してレンアイカッコガチな関係となったメンバーに送られたものである。

 

 

「あ、愛の証…?」

「ハイ。指輪ハ智明カ芳彦ト”身モ心モ”繋ガッタ証トシテ填メテイルノデス」

《!!?》

「ソウ、言ウナラバ『レンアイカッコガチ』!! 其方ニハ『ケッコンカッコカリ』ト云ウしすてむガアルヨウデスガ、コッチハ”カリ”デハ無ク”ガチ”ナノデス!!」

「What!? ガチ!? 身も心も!? な、何て羨ましいデース!!」

 

 

 ブティクの”身も心も”と云うワードに各々が想像を走らせる。

 

ある者は傍に寄りそうい合う男性適合者と艦娘の姿と云う微笑ましい様子を想像してほっこりし、

 

またある者はR-18展開全開の濡れっ濡れな光景を想像して顔を真っ赤にし、

 

また別の者は純白のタキシードを着た男性適合者とウェディングドレスを着た艦娘がキスをして愛を誓い合う姿を想像し、頬を染めながら羨ましそうな表情になっていた。

 

 

「クッ、一番早ク仲間ニナッタぶてぃくハ兎モ角、こーばっくトうぃざーどガ何デ私ヨリモ先ニ…」

「私達ノ方ガ先ニ青ノ艦隊ニ入ッタノニ…」

「オ姉様、ぶらす落チ着イテ!!」

「レ、レレレーレッ!!」

 

 

 悔しそうに声を上げるのはブラス達戦艦組。

 

 

「あの、ヨハムさん達は何で悔しそうなんですか?」

「私モ含メテよはむ達ハ智明ガ率イテイル青ノ艦隊所属ナンダケド、仲間ニナッタ順番ハぶてぃくノ次ハよはむナノ。ソノ次ガこーばっくデ、ぶらす、びふと、ゔぁーちノ順番デ続イテうぃざーどガ最後ニナルノ」

「ヨハムはコーバックに、他はウィザードに先を越されたから悔しがっている訳です(私も智明さんから指輪が貰いたいのですが…)」

 

 

 榛名の疑問にコーバックと浜風が答える。

 

 

「成程…(でも気持ちは解かります。榛名も提督とケッコンカッコカリ…出来るなら結婚したいです)」

「ケッコンカッコカリは既にしてるけど、私もご主人様と本当に結婚したいな♥」

「う~ん、私はまだケッコンしてないからなんとも……したいけど…」

「司令官とケッコン、結婚、けっこん……」

 

 

 彼女達の説明に納得しながら榛名(Lv. 99)は重成とのケッコンへと思いを馳せ、彼の初期艦にして御劔艦隊一番の練度を持っている漣(Lv. 140)はもっと彼と親密になりたいと願い、能代(Lv. 99)と春雨(Lv. 99)は榛名と同じくケッコンの事を考えて頬を染めた。

 艦娘とて、元は一般人。好きな男性と恋をし、何時かは結ばれる事を夢見ている。御劔艦隊メンバーこそ全員が提督である重成へと好意を寄せているが、恋愛状況は艦娘によってそれぞれである。所属している鎮守府にて働いている艤装整備士や憲兵、強化兵と恋仲になっている者もいれば、休日に街へ出掛けた際に知り合った男性とお付き合いしている者もいる。果ては、クローン個体で無いオリジナル体のままで戦い続けている艦娘は艦娘に成る前から付き合っている、好意を寄せていた男性と結ばれたりしているのだ。

 実装された始めこそ、儀式の形式からケッコンカッコカリは本来の結婚の様な憧れを多くの艦娘から持たれているが、現在では自身のスペック向上の為にケッコンカッコカリを行うと割り切っている艦娘も少なくない。

 

 

「……羨マシイ」

「貴女も提督…其方の場合リーダーと行った方が良いのかしら? リーダーが好きなの?」

「ン…。智明ハ私達ニトッテ新生海人トシテ救ッテクレタ恩人。ソシテ仲間トシテ平等に愛シテクレル、愛シイヒト…」

 

 

 指輪を見せつけるブティク達を羨ましそうに眺めるハクに対し、加賀(Lv. 118)がリーダーである智明についてどう思っているのか尋ねると、ハクは微笑みながらそう答えた。

 

 

「そう、愛してるのね…」

「…ウン、愛シテル。貴女ハ如何ナノ?」

「え…、私?」

「貴女ノ提督ヲ愛シテル? ソレトモ友愛?」

「私は…」

 

 

 逆にハクから尋ねられ、加賀は頬を染めながら考える。

 御劔艦隊は艦娘が配備された当初から結成された古い艦隊だ。メンバーの変更はあったにしろ、重成からケッコンカッコカリの指輪を授かった彼の初期艦娘であり、古参である漣、そして金剛、加賀の3名は長い間彼と共にいる。

 

 

「そ、それじゃあまさか…千歳お姉が填めているその指輪も…!!?」

「智くんから貰った指輪よ♥」

 

 

 プルプルと指を震えながら千代田が千歳が填めている指輪を指すと千歳はうっとりとした表情で肯定し、彼女は口をあんぐりと開けて呆然する。

 

 

「は、羽黒貴女…結婚したのぉ!!?」

「まぁっ…」

「な!? 私はみ、認めんぞ!!」

「お、お姉ちゃんっ、”ガチ”は恋愛であって私はまだ司令官さんとは結婚までまだいって無いから…」←(但し夜戦はした)

 

 

 妙高はあらあらと驚いた表情になるのに対し、那智と足柄は肩を掴んで激しく揺らすものだから羽黒は目を回している。

 

 

「な、那珂ちゃん、”身も心も”ていうのはその…」

「えへへ~、那珂ちゃんは夜だけはプロデューサーさんだけのアイドルだったり~♥」

「夜? ってことはそっちの提督としょっちゅう夜戦に出てるの!? 良いな~」

 

 

 神通は頬を赤く染め、恥ずかしそうに尋ねると那珂は照れながら答えたので顔を真っ赤にし、一方の長女である川内は意味を間違えて受け取って羨ましがっていた。

 

 

「い、妹達が先にレディになっちゃった…」

「姉さん、元気出して…(でも竣工日は確か雷達の方が早かったよね…)」

「お姉ちゃん!?」

「はわわっ」

 

 

 先を越された事にショックを受けた暁はガックリと頭を垂れてしまい、妹達が慌てだした。

 

 

「色々と想像させられる言葉やけど、結局どっちの意味なんや?」

「そりゃあアンタ、男女2人きりでの夜戦(意味深)、つまりセ…「食事の場所で何言おうとしてるのよ!!」…アダッ!?」

「あー、把握したわ。しっかし、艦娘と言い、新生海人と言い選り取り戻りやね。男冥利に尽きるっちゅうの? 羨まし…「「提督!!」」…あだだだだっ!? 何でまた引っ張るん!?」

 

 

 詳しい内容を大声で説明しようとする隼鷹(飲酒済み)を姉艦の飛鷹が引っ叩き、其れにコメントする蓮に対して再び嫉妬した高雄姉妹が彼の頬を引っ張りあげる。

 

 

「わーお、リアルハーレムキタコレwww」

「ってかエロゲー展開じゃん?」

「ふ、不潔ですわっ!!」

「不潔? どういう事だぴょん?」

「ねぇ、秋月。どういう意味?」

「え?! あの、その…秋月は解からないです…」

「サンドイッチ美味し~♪」

 

 

 ハーレムという状況に感嘆とした声を上げるユーリと鈴谷、手で抑えながら顔を真っ赤にしている熊野の年上組に対し、よく分かっていない駆逐艦組(御馳走に夢中な時津風除く)は秋月へと質問を投げ掛け、秋月は回答できないでいる。

 

 

「しれぇ、つまり如何言う意味なんですか?」

「えぇと……その、ね? (雪ちゃんにエッチな意味だよなんて言えないよ~)」

「……雪風はまだ知らなくて良い」

「そ、そうよ。雪風ちゃんには早すぎるわっ!!」

 

 

 銀牙艦隊の駆逐艦達と同じく、意味が分かっていない雪風が姫乃に質問して回答に困らせている。意味を理解している磯風と大淀は顔を赤くしながら姫乃のフォローに回っていた。

 

 レンアイカッコガチについて騒がしくなってきた所で、交渉を終えた智明達がいずもから降りて来た。

 

 

「…随分と賑やかになってます「Hey っ! 提督ー!!」…金剛!?」

「私とケッコンカッコガチになりまショウっ!!」

「………は?」

「カッコカリと云う仮の関係なんて insufficiency(物足りない) デース! 今後は身も心も愛し合う関係を希望しマース!!」

「え、えぇと……何が有ったのかな? って……漣と加賀は何故腕を掴んでいるのかな?」

 

 

 飛び掛かる様に前に駆け寄って来た金剛に戸惑う重成だったが、彼の両腕に漣と加賀が抱き着いてきた。

 

 

「ケッコンも結婚も私が一番よね、ご主人様?」

「ケッコンこそ漣に一番手を取られましたが、結婚は譲れません」

「Hey ユー達!! 何勝手な事を言ってるデース!!? 提督の隣でウェディングドレスを着飾るのは私デース!!」

「お姉様…」

 

 

 金剛が吠え、榛名は姉を抑えるべきかどうかでオロオロしている。

 状況がよく分からない重成は如何すべきか戸惑う中、交流会はさらに賑やかになっていくのだった。




現状報告
・日本国海軍の艦娘と水野・函南連合艦隊メンバーの友好関係が良くなった!


指輪持ちメンバーの付けている宝石は竣工月を誕生石に当て嵌めたものとなっております。

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