ア艦これショックもだけど、血界戦線で心の傷を癒していたのも原因だったり…
今回は日常? というか女性関係に悩む智明君的な回です。
しかし、今回の出来は酷い…
日本国海軍との交渉を成功させた智明と芳彦率いる水野・函南連合艦隊。
後は国内において、彼等を受け入れる為の準備が終わるまで待つだけとなり、定期的にある場所で報告を受ける事になっていた。
日本国が新たな希望として受け入れるのか、それとも危険な存在として滅ぼしに来るのか、答えは未だ判らない。しかし、何れの選択を選ばれても良い様に、その時まで智明達は資源の備蓄や装備の開発を進めている。
これはそんな待っている間に挟まれた休日での出来事。
日本国海軍と交渉を行って数日後
朝
旭日島海底基地 宿舎エリア 智明の部屋
「ん……朝か…」
「すぅすぅ…」
ベットから身を起こす智明。彼の横には昨夜、情事を共にして全裸で寝ている千歳の姿があった。
「ん……とも君…」
(どんな夢を観ているのかな?)
未だ寝息を立てながら智明の名前を呼ぶ千歳。シーツ越しからでも解かる彼女のしなやかな肢体に見惚れながら、智明は彼女の頬を優しく撫でた。
互いの初めてを体験した後、智明と千歳は数度身体を重ね合っていた。共に愛し合い甘々な夜を過ごしており、昨夜もまた熱い夜を過ごしていた訳だ。
智明は千歳を起こさない様にベットから出ると、汗を流す為にシャワールームへ向かった。
「それにしても…」
温めのシャワーを浴びながら智明はこの世界に来てからの自分を振り返った。
気が付けば人類が深海棲艦と生存を賭けて戦い続けている世界におり、自身には創作の世界の艦艇の力を与えられていた。
右も左も解からない状況、唯一の味方は海底基地の運用を任されていた妖精達のみ。艤装装着と共に流されてきた世界情勢から自身も深海棲艦と戦う事を決意し戦い続けてきた。
情報を得る為に深海棲艦を鹵獲したら何故か懐いてよく分からないまま仲間になった。
海域奪還と共に艦娘も仲間になった事で心細さも薄れていったが、それと同時に戦いで失ってしまわないかという恐怖が新たに生まれた。
確実に生き残れる様に資材を集めて強力な武装を開発し、万全の準備をして挑んだ海域攻略は大きな被害や犠牲無く成功していった。
そして自身と同じ存在と出会って更に仲間を増やしてゆき、南西諸島海域を完全に開放する事が出来た。
その途中で絶体絶命だった提督を救出し、遂には日本国海軍との協力的な繋がりを持つことが出来た。
「改めて振り返ると良く此処まで上手くいったもんだね。まるで物語みたいだ…」
シャワールームから出てシャツにズボンのラフな私服に着替えた智明は未だ眠っている千歳を眺めた。
「ふむぅ……ともくぅん、だぁい好きだよぉ…♥」
「……まぁ僕の女性関係も普通じゃ有り得ない状況なんだよなぁ…」
寝言で自身の名前を呼ぶ千歳の頬を指で突っつきながら、智明は何とも言えない顔になった。
自身の初めてを千歳に捧げ(彼女にとっても初めてを彼に捧げた訳だがそれは関係を持った全員に当て嵌まる)、他に夕張、電、ブティク、コーバック、ウィザードと6名もの女性と関係を持ってしまった。しかも今後、更に増えていくであろうと考えると、自身の女性付き合いが余りに爛れていないだろうかと頭を痛めていた。
関係を持った艦娘・新生海人はいづれも美女、美少女(電とウィザードとの関係は見た目上、元いた世界で知られれば即逮捕レベルであろうが…)で智明を好いており、彼もまた彼女達を愛している。
「ハーレム……なんだよね…」
智明はハーレムという状況を快く思っていない。多数の女性から好かれるのは男冥利に尽きるのかもしれないが、彼は甲斐性も無い男が多数の女性を侍らす資格は無いという考えを持っている。自身は複数の女性を囲う甲斐性を持つには足りない。そもそも元居た世界では恋人どころか女性と付き合った事すらも無かったのだ。1人の女性とちゃんと付き合っていけるかも解からないのに、ちゃんと付き合って行けるのかが不安だった。そんな自分が複数人を囲って1人も蔑ろにしないようにやっていける自信が有る筈も無く、不安は募り続けているのであった。
「まぁ……、ハーレムOKなご時世となっているのは唯一の救いと言える…のかな?」
元居た世界の様に法律的にもハーレムはアウトであろうと思っていた矢先、日本国海軍との会食時にハーレムは問題無いとの発言を聞いた。なんでも一夫一婦制が基本ではあるものの、深海棲艦との長い戦いによって人口が激減した事によって『産めよ増やせよ』と出産奨励の風潮が高まりだし、経済的等問題が無ければ複数人と結婚が可能な法案(但し、既に結婚している相手との重婚は禁じられている)が通ったそうだ。これによって一夫一婦制に固執しない風潮がここ数年あり、それは戦いの泥沼化と共に高まっている。
だからといって、元居た世界が一夫一妻制であった為にそう簡単に納得は出来ないでいる訳だが…
「芳彦さんみたいにあっさりした性格なら悩まないで済むんだろうけどな…」
芳彦は特に悩む事無く好意を持ってくれた娘は遠慮なく受け入れる肉食系なので、部下になった艦娘や新生海人達が求めたらどんどん関係を持つ様になっている。それでいてどの娘にも不満を抱かせていないのだから大したものだと智明は思った。
そんな事を考えていた所、部屋のドアがノックされる。
「智明さん、起きていますか?」
どうやら大鯨が起こしに来てくれた様だ。
ドアを開けると、大鯨が可愛らしい笑みを浮かべながら挨拶をしてきた。
「お早うございます、智明さん♥」
「うん、お早う大鯨ちゃん」
「朝ご飯が出来ましたあ。皆集まっていますよ?」
「分かった。千歳ちゃん、起きて!」
「うぅん……と、もくん?」
「千歳さんがいるんですか?」
寝ている千歳を揺すって起こしていると、大鯨が顔を出してきた。
「大鯨ちゃんが朝ご飯出来たって、シャワー浴びて着替えて」
「…うにゅう…お早ぅ…とも君…」
「うん、お早う。僕は先に行くけど大丈夫?」
「うん…、大丈夫。先に行ってて~」
まだ眠そうに瞼を擦りながら千歳は体を起こし、その豊満な裸体を隠す事無くシャワールームへ向かって行く。
二度寝をする事は無いだろうと確信した智明は大鯨と共に先に行こうとしたが、ふと背後に気配を感じたので振り返ると千歳が立っていた。全裸のままで…
「千歳ちゃん?」
「朝のキスを忘れてた~」
そう言って千歳は智明に抱き着いて唇を重ねる。
「お早う、とも君♥」
「…お早う」
お早うのキスは何時もしていた事だったが、突然の事だったので目を丸くする智明。顔を離した千歳は微笑むと今度こそシャワールームへと向かって行った。
その後、食堂に向けて歩いて行く2人。暫くは無言で歩いていたが、ふと大鯨が口を開いた。
「昨夜は千歳さんと一緒だったのですか?」
「うん」
「そうですか…」
そんな質問をして暫く沈黙する大鯨は心無しか不満そうな表情に見えた。
「智明さん?」
「なに?」
「ちょっと身を屈めて貰えますかあ?」
大鯨の御願いに首を傾げながらも智明はその身を屈める。
すると…
「こう? …「ん…♥」…っんむ!?」
大鯨はそのまま自身の唇を智明の唇に重ねてキスをしたのだった。
「えへへぇ…初めてのキス、しちゃいました♥」
僅か数秒ほどのキスであったが、離れた大鯨は頬を赤く染めながら悪戯が成功した様な笑顔を魅せた。
「キスって、良いですね。ドキドキして、とってもポカポカします」
「た、大鯨ちゃ…「と・も・あ・き・さん?」…?!」
話した顔を再び近付ける大鯨。
「私も智明さんの事がとっても好きなんですよ?」
「うん…」
「勿論、千歳さん達も智明さんの事を好きなのは解かってます。だからその……え、エッチな事もしたくてしてるのも…」
大鯨は染めてた頬を更に赤くしながら言葉を続けていたが、最後辺りがしどろもどろになる。
「大鯨ちゃん?」
「だ、だから覚悟していてくださいね!!」
そう言って大鯨は食堂へと駆けて行った。
そんな彼女の姿を見送り数秒後、智明も後に続くのだった。
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食堂
「お早う皆」
《お早う御座います、智明さん》
食堂に入った智明は先に着席している青の艦隊及び青天艦隊メンバーに挨拶をする。大鯨は羽黒他数名と料理をテーブルへと運んでおり、智明と目が逢うと少し頬を赤くしながらも微笑んでくれた。
「あれ? 芳彦さんはまだ来てないのかい?」
「先程、お姉ちゃんが起こしに行ったのです」
智明が席を見回しながら芳彦が来ていないことに気付き、厚焼き玉子を運んで来た電がそれに答える。
「うい~っす、お早うさん」
「お早う皆」
料理が並び終える頃、寝惚け眼の芳彦と木曾が雷に連れられて現れる。木曾はピョコピョコと歩き方が変である事からどうやら昨夜は夜伽もとい夜戦(意味深)を行っていた様だ。
「あ~、寝足りねぇ…」
「もうっ、司令官ったら夜戦は程々にしてちゃんと寝ないと駄目よ?」
「ハッスルし過ぎた反省はしてる。だがそれはきそちんが可愛かったのが悪い、オレワルクナイ」
「ちょっ!? 他の奴らの前で何言ってんだ!!」
未だ眠そうな芳彦に雷が注意すると、昨夜の夜戦における木曾の反応を理由にして彼女の顔を真っ赤にさせる。
「な? 可愛いだろ?」
「確かに今の木曾さんは可愛いけど、ヤり過ぎは駄目よ?」
「おいっ!?」
「まぁまぁ、いかずっちん。そう言うなら今夜夜戦するか?」
「もう、司令官ったら♥」
「俺を無視するなよ!!」
芳彦の誘いに雷が頬に手を当てながらクネクネしだし、木曾は話を聞いていない彼の肩をポカポカと叩きだす。唯、芳彦が痛がっていない事から本気で怒っていない事が判る。
「芳彦さん! 朝から皆の前でそんな話をしては駄目なのです」
「……ソレニ食事ノ準備ガ出来テル…」
「早ク着席シテクレル?」
「へいへい」
電とハク、コーバックに窘められ、芳彦達は席に着く。
「皆、揃イマシタ?」
「千歳さんがまだ来てませんよ?」
「遅れて御免~」
ブティクが全員が揃ったか尋ね、羽黒が千歳が来ていない事に気付くと丁度、彼女が現れた。シャワー後の為か火照って赤みを帯びた肌と完全に乾いていないしっとりとした髪の毛が色っぽい。
「千歳が最後だぜ、何してたんだよ?」
「朝シャンしてたら遅れちゃった」
「皆揃った事だし食べましょう?」
全員が揃い、食事が始まった。今日の朝食メニューは和食でご飯と味噌汁、おかずはメインが焼き鮭、そしてピーマンと塩昆布の和え物や厚焼き玉子といった小鉢が揃っている。
味海苔を巻いた白ご飯を口に運びながら智明は味噌汁を啜っている芳彦を見やる。
木曾との遣り取りから昨晩、彼も彼女と夜戦をした事が判る。
(芳彦さんも昨夜は夜戦をしたのか…。しかも木曾ちゃんか、彼女は初めてじゃあ無かったかな?)
「お? 如何したよトモ?」
智明の視線に気付いた芳彦が食事の手を止めて彼に笑い掛ける。
「いえ、昨夜はお楽しみだったようで?」
「お? トモも言う様になったじゃねぇか。でもそっちもちとりんとだったんだろ?」
「まぁ、はい」
「何だ? 余裕無さそうな面してっけど、千歳と何か有ったのか?」
「そうでは無いんですが…僕達、ハーレム街道まっしぐらな状況じゃないですか? 如何したものかなって…」
「何だよ、潜水艦鬼3人娘と4Pしておいてまだ悩んでんのかよ?」
「ゔ…」
エロゲー展開宜しくな経験を指摘され、踏まれたカエルの様な声を漏らす智明。そんな彼に芳彦は呆れながら言葉を続ける。
「好いてくれる女が沢山なら皆に返すべきだろ?」
「しかし…」
「あ、もしかして皆平等に愛する自信が無いんだろ?」
「恋愛経験が0だったのですが、それは…」
「細かい事考えたら負けだぜ?」
納豆を混ぜながら答える芳彦に、智明は眉間に皺を寄せながら悩むのだった。
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開発ガレージ
「はぁ~」
ガレージ内にあるデスクトップに向かいながら智明は大きく溜息を吐いた。
溜息の理由は朝食時における芳彦の言葉である。
「智明さん、お疲れ様です」
ふと後ろから声を掛けられて椅子を後ろに回すと、浜風がお盆を片手に立っていた。お盆の上にはコーヒーが入ったマグカップとクッキーが盛られた皿が有る。どうやら差し入れに来てくれた様だ。
「丁度10時ですし、一休みしませんか?」
「有難う、浜風ちゃん」
差し入れのコーヒーを啜りながらクッキーを齧る。サックリした歯応えの後にバターの良い香りが口中に広がる。
「これは浜風ちゃんが?」
「はい。午後から装備開発でずっとガレージにいると聞いてましたので」
「そうなんだ、とっても美味しいよ?」
「ふふっ、有難う御座います♪」
クッキーの味を楽しみながら智明と浜風は開発妖精達を囲んで暫く世間話をした。
「そう言えば浜風ちゃん、装備の調子はどうだい?」
折角ガレージに来てくれたのだから、武装の感想を詳しく聞いとこうと、智明は浜風に装備の調子について尋ねてみた。
対潜、対空と専用武装が各自異なってはいれど、駆逐艦達は戦艦や空母とも渡り合える様に皆がイージス艦として改造強化を施してある。そして最近、原子力空母である芳彦の原子力機関のデータを応用して遂に、小型艦にも装備出来る原子力機関が完成したのだった。
「はい。最初こそミサイル兵装の扱いには戸惑いましたが、今は問題ありません」
「そっか、良かった。不具合があったら直ぐに言うんだよ?」
「不具合…ですか?」
「うん。実戦の時に問題が起きたら大変だからね、何か気になったらちゃんと報告してね?」
「気になる……」
ふと考える仕草をして俯く浜風。しかし直ぐ顔を上げて智明を見詰める、何故か頬を染めながら…
「そういえば智明さんに確認して欲しい装備があるんです」
「僕に?」
「はい。お願いできますか?」
「良いけど…、夕張ちゃんや装備妖精達の方が詳しいと思うけどな…」
「智明さんにお願いしたいんです!」
「何か必至だね…? まぁ、僕で良いなら構わないけど、どの装備を確認すれば……っ!?」
浜風の御願いに了承した途端、彼女は智明の右腕を掴んで彼の右手を自身の胸元にある豊満なタンクに押し当てた。
「私の胸部装甲の調子は如何ですか?」
「いや…その…、其処は装甲じゃないから」
「異常が無いかもっと触って確認してください♥」
「いやいやいやいや…っ」
智明の右手の甲を抑えて自身の果実に押し付ける浜風。ムニムニと物凄く心地良い感触が現在進行形で掌から堪能できている訳だが、感触を楽しめる訳無くこの現状に大慌てである。
「浜風ちゃん、僕の手を押し付けないで! そして手を放してっ!」
「あんっ、智明さんの手があったかいです…」
浜風の胸元から手を放そうとするが、思いの外彼女の掴む力は強くそのまま捏ね回す様に智明の腕を動かす。顔が真っ赤になった智明へ浜風は微笑む。
「智明さん、大好きです♥」
「さ、流石にこれ以上はだ…「智明さんっ!!」…おわぁっ!?」
自身の胸を揉ませながら恍惚とした表情で微笑む浜風を前に、智明は脂汗を滲ませながら現状況を如何に打開すべきか懸命に頭を回すが、突如彼女が彼を押し倒した。
「もう、我慢出来ないんです。”好き”って想いが…」
「その想いは十分嬉しいけど、時と場所を考えて欲しいな!!」
智明の両頬に手を添え、浜風は顔…というか唇を近付けてくる。
彼の声は聞こえていない様だ…
「智明さん…んっ♥」
「浜か…んむぅ!?」
「智~、新しい武装案が完成したんだけ……っ!? 一寸、何やってるのよ浜風!! 智から離れなさいっ!!」
結局、智明はそのまま貪る様なキスをされてしまったが、その最中に夕張が来たのでそれ以上の事態に至ることは無かった。
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お昼は過ぎて…
旭日島 隠れ港
「はぁあ…」
「いやぁ、今回のいなずっちんも凄かったなぁ?」
「黒いオーラが3割増しだったもんね~」
其処まで強くない日差しと心地よい潮風を浴びながら、智明は桟橋にへたり込み、芳彦は那珂と一緒にベンチで新たな歌の歌合せをしていた。港の入り江では夕立や新入りのワ級達が遊びに来たイルカと遊んでいる。
「ぶっちゃけよ、トモが奥手なのも問題だぜ?」
「僕ですか?」
「はまっちがお前に対して恋愛寄りの好感を持っている事には気付いていたんだろ?」
「それは……まぁ…」
「解かっていたんだったら1対1の場所に呼び出してさっさと受け入れれば良かったんだ」
「………」
「戦いでも、今回の恋情でも、自分の心の内で悩み続けている。お前の悪い癖だぜ?」
「プロデューサーさんは其処等辺キッチリしてるもんね~?」
芳彦の指摘に智明は黙り込む。しかし、彼自身千歳に告白される迄、恋愛毎に興味が無い訳では無かったとはいえ、経験0であったのだ。しかも、千歳以降に告白してきた娘達は皆が攻めであり、彼は全て受けであった訳だから仕方ないと言える。
芳彦の方は大雑把だったりするが物事の判断はキッチリしているし、恋愛経験も豊富であったので恋愛感情を持ってくれた娘は直ぐに対応した。そんな彼の性格を理解している那珂の発言に対し、芳彦は笑いながら彼女の腰を掴んで傍に引き寄せた。
「俺は好いてくれた娘は皆受け入れると決めてっからな♪」
「も~、プロデューサーさんったら欲張りさんなんだから~。でもそんな所に那珂ちゃんムネキュンだったり♥」
そのままイチャイチャし始める2人。
互いに肩を寄せ合い、幸せそうに笑い合う姿は正に恋人同士のそれだ。これが他の娘達でも同じなのだから凄いモノである。しかし、第3者視点から視ると口の中が砂糖100%であり、現に畑仕事や休憩がてらに散歩をしている妖精達は芳彦達の姿を極力見ない様にしている。
「ともさんお疲れっぽい?」
「ん~。疲れていると言うのか、何と言うのか…」
自身の口内も甘ったるくなってきたので視線を逸らしてぐったりしていると夕立が心配そうに声を掛けて来た。どうやらイルカ達と遊んでいた所を抜けてわざわざ来てくれたらしい。
そんな彼女に労いの気持ちを込め、智明は起き上がると彼女の頭を優しく撫でる。
「でも心配してくれて有難う夕立ちゃん」
「えへへ~♪」
夕立の気持ち良さそうな表情に智明は癒される。彼直属のメンバーの中で彼女は唯一恋愛感情まで至って無く、智明に対しては憧れや友情寄りの感情を抱いている。その為、恋愛毎に未だ慣れてない智明にとって付き合いやすい相手だった。
心地良いからか桟橋に座っていた夕立は次第に身体を倒し、自分の頭を智明の膝に乗せてきた。膝枕の状態になった訳だが、ふと夕立の艤装服の上が捲れておへそが見えている事に気付く。そのまま服を伸ばして整えようかと考えたが、悪戯心が働いて彼女のお腹を撫で始めた。
「ぽきゅっ!? くすぐったい~♪」
おへそ周りを優しく撫で回され、そのくすぐったさに夕立は声を上げるが、心地良いからかされるがままで抵抗はしなかった。智明の方も夕立のお腹の肌がすべすべしていて撫で心地が良いので、そのまま撫で続けている。
「ぽいぃ…気持ち良い…」
「♪」
撫で続けていると次第に、夕立はうっとりとした表情で感嘆の声を漏らす。
そこへ大鯨がバスケットを片腕に下げて現れた。
「皆さ~ん、オヤツですよ~」
「今日は何かな?」
「林檎ケーキを焼いてみました。どうぞ♪」
午後3時になると食堂では日替わりでオヤツが配られる。大鯨が加入してからは彼女もオヤツ作りに参加しているのだが、彼女は作業等で手が離せない妖精達の為にバスケットにオヤツを入れて配りに行くようにしている。
智明は夕立を撫でていた手を止め、大鯨から林檎ケーキを受け取った。
「はい、夕立も」
「わ~いっ! 有難う♪」
林檎ケーキを受け取る為に夕立も体を起こし、ケーキにパクつく。
「美味しい~♪」
「うん、とっても美味しいよ大鯨ちゃん」
「ふふっ、有難う御座います♪」
林檎ケーキの感想を聞いた大鯨は嬉しそうに微笑むと、他の妖精達に配る為に芳彦と那珂にも渡してから去って行った。
「あ~美味しかった♪ ともさん続きやって!」
「もう食べ終えたの!?」
去って行く大鯨の姿を見送っていた智明だったが、ケーキを食べ終えた夕立が撫でる催促をしてくる。
「早く、早く♪」
「っちょ!?」
智明の腕を掴み、自身のお腹に誘導する夕立。上目遣いでおねだりする姿は可愛らしいが何か積極的過ぎる気がする。
「フラグが立ったな」
「そうだね」
そんな智明と夕立の様子を眺めながら、芳彦と那珂はポツリと呟いた。
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夜
大浴場
「はぁ~、疲れた~」
夕食も終わり消灯時間までの自由時間。
因みに浴場の利用は夕食前に時間が設けられているのだが、女性陣や妖精さん達を先に入らせている為に智明や芳彦は自由時間になりがちであり、智明はガレージで開発した装備の確認をしてから来たので芳彦は既に入浴済み。結果、彼一人で入る事になる。
~♪ ガラガラ
「ん?」
洗い場で頭を洗っていると、浴場の扉が開かれる音がした様な気がした。しかし、自分以外全員が入浴を終えていた筈…
そんな事を考えながら頭の泡をシャワーで流す智明。そんな中、お湯の流れる音と共にヒタヒタと誰かの足音が聞こえてくる。しかもその足音は近づいてきており…
「と・も・あ・き・さん♪」
「わひゃあっ!?」
突然、耳元で名前を呼ばれた智明は驚いて飛び上がってしまう。慌てて後ろを向くと、其処にはタオル一枚で体を覆っただけの大鯨の姿が有った。
「もう、驚き過ぎですよ?」
「な、何で!? 僕以外、お風呂には入ったんじゃ?」
「智明さんが一人で入る姿を見つけたので来ちゃいました♥」
可愛らしい笑みを浮かべながら、そんな事をのたまう大鯨に智明は眩暈がした。これまで寝室に突撃してくる娘はいたが、まさか風呂にまで来るとは…
「今日は休みだったのに武装開発でガレージに長く居たじゃないですか? お疲れでしょうし、智明さんを癒そうと思って」
「あぁ…、その気持ちは嬉しいけど…」
「じゃあ、お背中洗いますね♪」
そのまま智明の背中を洗おうとする大鯨。追い出すのも悪い気がしたので石鹸とタオルを渡し、任せる事にした。
「~♪ お加減は如何ですか?」
「うん、良いよ」
「良かった。じゃ、洗い終わったので流しますね?」
桶にお湯を溜め、背中の泡を流す。
「それじゃあ、次は前ですね?」
「…もう洗ってるから良いよ…」
なんとなく予想が付いていたので前もって他の部位を洗い終えていて良かったと、智明は心から安堵した。その後に聞こえた「そうですか…残念です」という大鯨の言葉をスルーしながら…
「僕は湯船に浸かるけど、大鯨ちゃんは?」
「私も入ります♪」
何時もは腰にタオルを巻いたまま湯船には浸からないのだが、羞恥心から巻いたまま浸かる智明。一方の大鯨は巻いていたタオルを外して浸かっていた。
つまり、全裸である。
「如何しました、智明さん?」
「…何が?」
大鯨がいる位置と反対側を向く智明に対し、彼女は不思議そうに尋ねてくる。
「何故、背中を向けるんですか?」
「いや…大鯨ちゃん、タオルを巻いていないじゃないか…」
「入浴時は何時もこうしてますよ?」
「そうでなくって…僕がいるのに…」
「? …あっ、ふふっ♪」
大鯨は智明が背中を向けている理由を察するや否や、彼の背中に抱き着いた。
大鯨は全裸である。よって智明の背中には非常に柔らかい果実がダイレクトに当たっている訳で…
「何で抱き着いているのかな…?」
「逞しい背中ですね、それにあったかいです…」
「あの…、放して欲しいな…」
「嫌です。こっちを向いてくれるまで放したくありません」
そう言いながら自身の身体をギュウギュウと押し付けてくる大鯨。女性の裸体については千歳や夕張達と抱き合った事から慣れているとはいえ、関係を持っていない女性の裸体を見るのは戸惑ってしまう。
「……分かったよ、ちゃんと向くから放してくれるかな?」
「フフっ、解かりました♪」
このままでは逆上せるまで放してくれないだろうと察した智明が観念すると、大鯨は簡単に放れてくれた。
改めて彼女の方を向くと其処には裸の大鯨、水面が揺らめいでいる為に大事な所が見えていないのが唯一の救いであろうか…
「気持ち良いですね~」
「そうだね」
智明の肩に頭を傾けながら大鯨が気持ち良さそうに声を漏らす。智明は彼女の言葉に同意しながら、彼女の行動について思考を巡らせていた。
今朝方に彼女が言っていた事を此処でやってのけたのであろう。覚悟はしていたが、まさか風呂で行うとは思いもしなかった。
「智明さん?」
「何?」
「大好きです♥」
再び声を掛けられ、彼女から告白される。頬を染め、可愛らしい笑顔で放たれた告白はとても魅力的だった。
(ウジウジするのはもう止めるか…)
「智明さん…っ!?」
智明は首を傾げる大鯨の両肩を掴み、彼女の唇へと自身の唇を重ねた。
「有難う、大鯨ちゃん」
「あっ…」
彼からキスをされるとは思っていなかったのであろう、驚いた表情で固まっている大鯨を微笑みながら優しく抱き締める。
「大鯨ちゃんの気持ちはとても嬉しいよ。その…僕自身はまだ大鯨ちゃん達皆を愛していけるか不安だけど…、こんな僕でも良いかい?」
「智明さんだから好きなんです。不安なのは真剣に考えてくれてるからでしょう?」
「うん、そうだね」
「とっても嬉しいです」
今度は大鯨が抱き着いて来る。
智明が彼女の髪を梳く様に撫でていると上目使いで見詰めてきた。
互いの想いが昂ぶっていく。
「大鯨ちゃん…」
「智明さん…」
互いに顔を近付けていく。
あと少して再び唇が重なろうとした時、浴場の扉が開かれる音が聞こえ、抱き合っていた2人はパッと放れる。
「智明さん、お背中でも流しま……」
「浜風ちゃん!?」
新たに入って来たのは浜風だった。
大鯨と同じくタオル一枚の姿である彼女は目を丸くしていた。
「な、何で大鯨がいるん…「智明さんと一緒にお風呂です♥」…なっ!?」
「ちょっ!?」
浜風の問いに対し、智明の腕に抱き着きながら答える大鯨。胸元にある豊満な二つ果実に挟まれた訳だが、それよりも大鯨の回答に驚愕する。
「休日なのに智明さんは頑張っていましたから、こうして♪」
「ひゃいっ!? 大鯨ちゃん!!?」
「な、ななななな────ッ!!」
大鯨の行動は更にエスカレートし、腕に当たっていた果実は上に移動してゆき…
智明の頭を胸元に抱き締める形となっていた。
「気持ち良いですか、智明さん?」
「大鯨ちゃん、わぷっ! これは余りにも…」
「いっぱい気持ち良くなって下さいね♪」
「も、もう耐えられませんっ!!」
「浜風ち…ぶもうっ!?」
「やん、浜風さんったら大胆ですね?」
顔を真っ赤にして口をパクパクしていた浜風であったが、大鯨の大胆過ぎる行動に遂には我慢出来なくなり、巻いていたタオルを剥ぎ取ると智明へと飛び掛かった。
「私の胸の方が気持ち良いですよね、智明さん?」
「そんな事無いですよね? 私の方が柔らかくって気持ち良いでしょう?」
「こ…、これ以上は止め……アッ────────!!」
その夜、大浴場から智明の悲鳴が響き渡った。
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その後、数日が経ち智明達を受け入れる準備が整ったと連絡が入る事になる。
それは深海棲艦との戦いの新たな幕開けとなる瞬間であった。
現状報告
・新武装を開発した!
・芳彦と木曾の絆がより深いものとなった!
・智明と大鯨の絆がより深いものとなった!
・智明と浜風の絆がより深いものとなった!
次回より水野・函南連合艦隊が横須賀入りします。
感想コメント、意見・質問お待ちしております。