嗚呼、「黄泉の艦隊」が往く   作:影鴉

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おまたせ(大遅刻)

漸く…漸く投稿出来ました。
今回は水野・函南連合艦隊と御劔艦隊の模擬戦になります。
尚、どっかで見た事あるようなキャラが出てくるけどスルーで…


 試合

「私達と……戦って欲しい」

 

 

 加賀の言葉に水野・函南連合艦隊メンバーだけでなく、御劔艦隊の他メンバーまでが目を丸くした。

 

 

「What's!? 加賀、急に何を言い出すデース!? 彼女達は味方なのデスヨ!?」

「……味方だからこそよ」

「……きゅ?」

 

 

 金剛が驚愕の表情で席から立ち上がって問い掛け、加賀が撫でているくちくいきゅうが不思議そうな声を上げる中、加賀は冷静に答える。

 

 

「貴女達は日本国近海および南西諸島海域を解放した。その際における沖ノ島海域での戦いを収めたデータは私達も視させて貰ったわ」

「きゅ? …きゅ~」

 

 

 一旦言葉を止め、加賀は近くでトコトコ歩いていたファランクスを載せているくちくいきゅうを抱き上げた。

 

 

「圧倒的……そんな感想しか浮かばなかった。そしてこれだけの力を私達も得る事が出来るのだと思うと、胸が高鳴ったわ」

「きゅ~♪」

「…きゅ♪」

「私達、艦娘は第2次大戦までの艦艇でしか無い。おまけに現状では兵装も当時までのモノしか開発する事が出来て無いと云うのに、一方で深海棲艦は未だに強力な新種が出現している」

 

 

 膝に乗せた2匹のくちくいきゅう達を優しく撫でながら、彼女が零すは自分達の限界。新たな戦力が出現している深海棲艦に対し、自分達が戦い続けても何時か限界が来るのではないかと懸念していたのだ。

 

 

「私達だけでは近い内に限界が来るであろうと薄々解っていたの。でも貴女達の御陰で私達はもっと強くなれる事が分かったわ。だからこそ…」

 

 

 撫でていたくちくいきゅう達をテーブルに置き、加賀は真剣な表情で電達に頼み込んだ。

 

 

「貴女達の力を実際に魅せて欲しいの」

 

 

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横浜鎮守府 演習海域

 

 

 横浜鎮守府近海には演習を行う為の特別海域が設けられている。この海域は基本時においては船舶の航行や漁業で利用されるが、実戦に模した訓練や艦隊戦を行う際に演習を行う場として利用している。こういった海域は各鎮守府や警備府、基地近海に存在し、それ以外でも艦載機の雷撃・爆撃訓練を行うのに最適な環境を持つ、鹿児島県の錦江湾等が指定されていたりする。

 

 そして現在、この海域では提督候補達が新たに建造されて間もない艦娘達を指揮しながら実戦に模した演習を行っていた。

 

 

「先輩っ! そっちに雪風の魚雷向かったっすよ!!」

【言われなくても分かってるゾ、と。萩風と嵐は旋回して雪風へと砲撃、魚雷は破壊しないで良いゾ】

【了解! 撃ち方、はじめ!】

【さぁやってやるぜ! 嵐巻き起こせ!】

「あわわっ!? 雪風はそう簡単に被弾しませんっ!!」

 

 

 日に焼けてこんがり小麦色になった肌が特徴的な女性が無線越しに演習相手からの攻撃を呼び掛ける。それを受けた坊主頭の男性が指揮下に置いている新任艦娘達へ指示を下す。

 

 

【幸運艦を残しとくと戦況が不利になるってハッキリわかんだね。じゃけん、速攻撃破ホラいくど~!!】

「あ、おい待てぃ……あーもう、考えていた作戦が滅茶苦茶だよ。初月に朝霜、鈴のヤツが突っ込んじまったからサポート頼むゾ」

【相変わらずだな、田所さんは…僕に任せて?】

【しょうがねぇな…よっしゃーいったろー!】

 

 

 鈴と呼ばれた女性、田所 鈴提督候補生が雪風に向けてマシンガンを模した12.7cm単装砲(ペイント弾)を放って牽制しながら突撃していく。単独で向かっていく彼女の姿に坊主頭で知的な雰囲気を漂わせる男性、三浦 俊之提督候補生が呆れながら駆逐艦秋月型4番艦 初月と夕雲型16番艦 朝霜に鈴を援護するように指示を下した。

 

 

【三浦先輩、僕は如何しましょうか?】

「木村はそのまま待機、相手空母が未だに艦載機を発艦させていないのが怪しいから何時でも対応できるようにしておけ」

【分かりました】

 

 

 続いて俊之に通信を掛けてきたのは同じく提督候補生である木村 直樹提督候補生。新たな提督を輩出している横須賀鎮守府において、次期提督候補として注目されているのがこの3人だ。

 

 

「あわわ、雪ちゃんの方に敵戦力が向かっちゃった」

【姫乃中佐、私が2隻ほど引き連れて雪風ちゃんの援護に向かいますから三浦さんの相手をお願いします】

「うん、分かった。鹿島ちゃん、お願いね?」

【任せてください。浦風さん、谷風さん、言われた通り雪風ちゃんを援護しにいきますよ!】

【【了解(じゃ)!!】】

 

 

 提督候補生達の演習相手となるのは織川 姫乃中佐と練習巡洋艦 香取型 2番艦の鹿島及び彼女達が率いる艦娘達。鹿島が駆逐艦 陽炎型 11番艦の浦風と14番艦の谷風を率いて鈴から攻撃を受けている雪風を援護すべく向かう中、姫乃は自身の艦娘達へ指示を下した。

 

 

「瑞ちゃん、爆撃機の発艦準備。準備が整い次第、鈴ちゃんと三浦くん達の両方へ発艦させて!! 淀ちゃんは磯ちゃんと一緒に木村君達の方へ進撃開始、砲雷撃戦のタイミングは任せるよっ」

「了解しました! 瑞穂、発艦開始いたします!!」

「お任せください。磯風、行きますよ!!」

「言われなくともっ!!」

 

 

 姫乃の指示の下、瑞穂は艦載機の零式水上観測機を飛ばし、大淀が磯風を引き連れて三浦達がいる場所へ進撃していく。

 因みにレクイエムは参加していない、理由は言わずもがな強過ぎる為である。

 

 

「木村、艦載機が来たから対空戦開始だ」

【了解です。高波さんと沖波さん、対空砲火始めてください!!】

【了解、です。打ち方……始め! てー!】

【大丈夫、よぉく狙ってください…そう…今です、てーっ!】

 

 

 向かって来る瑞穂の艦載機に対し、対空砲火を開始せよと宣言する直樹とそれに続く夕雲型駆逐艦 6番艦 高波と14番艦 沖波。

 ペイント弾による対空砲火を受け、機体をペンキまみれにした艦載機は撃墜判定として演習海域から撤退し、回避できた機体は三浦達へ雷撃や爆撃を開始しだした。

 

 

「ホラホラホラホラぁ!!」

「はうわぁっ!? あ、危なかったけど当たりませんっ!!」

「ちょっと、刃当たんよ~」

 

 

 鈴の砲撃を避け続けていた雪風であったが、そのまま接近を許してしまい鈴は腰から模擬戦用斬艦刀を抜いて斬りかかる。

 雪風は慌てながらも紙一重で躱していく。

 

 

【雪ちゃん、鈴さんに爆撃を行うからタイミングを見計らって退いて!!】

「了解ですっ!!」

「え!? ちょっ!!? これマジぃっ!?」

 

 

 そこへ姫乃から連絡が入り、雪風は鈴の隙をついて大きく離れた。

 それと同時に、鈴へ爆撃機がペイント爆弾を降り注いでいく。

 

 

「ンアッ――――――!(≧Д≦)」

 

 

 演習海域に鈴の咆哮とも受け取れる悲鳴が響き渡った。

 

 

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「強化兵一人相手に集中砲火し過ぎィ!!」

「おい鈴、もっと有利に戦況を進める事が出来た模擬戦だったのに、何て事してくれたんだゾ?」

 

 

 約1時間程経過して演習は終了した。

 結果は雪風に猛攻を仕掛けていた鈴を集中砲火して撃破し、浮き足立った候補生チームを雷撃戦で次々と撃破した姫乃と鹿島のチームが勝利した。

 

 

「ま、まぁこれも私の実力を恐れての事だってハッキリわかんだね」

「何言ってんだ、雪風1人に夢中になっていて絶好のカモだっただけだろ! いい加減にしろ!!」

「田所さんはもう少し反省すべきだよ? 海洋歩兵だからって、提督候補生としての演習なんだから本来の役割を疎かにするのは良くないな?」

 

 

 言い訳染みた鈴の言葉に対して朝霜と初月から容赦ない叱咤の言葉が落ちる。

 

 

「一寸待って、味方にまで集中砲火されてるじゃんっ!? 木村も黙ってないで助けてくれよな~、頼むよ~?」

「何言ってるんです? 100%先輩の責任じゃないですか」

「クゥ~ン…」

 

 

 後輩にもバッサリと切られショックの声を漏らす鈴。

 

 

「直樹さん、お疲れ様です♪」

「あ、鹿島ちゃん。お疲れ」

「艦隊指揮、お見事でした」

「いや、そんな…。結局負けちゃったし…」

「そんな事無いです。直樹さんの指揮は正確でしたし、その…格好良かったです」

「そ、そうかな…? 有難う」

 

 

 凹む鈴を余所に鹿島が頬を赤く染めながら直樹の奮闘を労い、直樹も照れながら感謝の言葉を告げる。そんな二人の姿に鈴はジト目で野次を飛ばす。

 

 

「オウオウ、行き成りイチャイチャストロベリやがって、彼氏に会えないアタシへの当て付けですかねぇ?」

「えっ!? いや…そのイチャついてる訳では…」

「アタシ知ってるんですよぉ~? この前隊舎裏でキスしてたの~?」

「な、何で知ってるんですか!!?」

「遠野に電話しようと訪れたらたまたま……。余りのイチャ付きっぷりに嫉妬でスマホに罅が生えた、訴訟」

 

 

 鈴が見ていた事を知り、顔を真っ赤にする2人。

 鈴の言葉通り、直樹と鹿島はお付き合いしている関係である。また、鈴も彼氏持ちであるのだがヨーロッパへ留学中の身であり、中々帰国できない為に遠距離恋愛な仲であった。

 そんな様子を見ていた他のメンバー達は苦笑している。

 

 

「Hey! 姫乃~」

 

 

 そろそろ帰港しようかと皆に指示を下そうと口を開きかけた時、横須賀鎮守府方面から金剛達がやって来た。後ろには水野・函南艦隊の艦娘達の姿もあった。

 

 

「ちょっとお願いがあるネー!」

「はい?」

 

 

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「それじゃあ、ルールを説明するわね?」

 

 

 全員が集まったところで雷が声を挙げる。

 

 

「勝負形式は6対6の模擬艦隊戦。勝利条件は相手艦を全て轟沈判定させて全滅させるか、降参させる事。尚、被弾に因るダメージ及び轟沈判定は妖精さん達が逐一チェックするし、鹿島さんが教えてしてくれるから問題無いわ」

「対戦するのは金剛さん達、神宮寺大将の艦隊メンバーに対して私達、青の艦隊と青天艦隊から6名を選抜する事になるのですが…」

 

 

 雷に続いて対戦メンバーを説明しだした電が青の艦隊及び青天艦隊メンバーを見渡す。

 

 

「誰を選抜しましょうか…?」

 

 

 電の言葉を皮切りに、演習に参加したい娘が次々に声を挙げ出した。

 

 

「はいは~い! 私、出たいっぽい!!」

 

「此処は私じゃないかしら? 双胴水上機空母に成った上に水上ジェット機を艦載しているのだから、今後共に戦う空母の実力を知るのには適任だと思うの」

 

「夕立が出るのならイージス駆逐艦として、是非私も出たいですっ!!」

 

「当然、ウチは出させて貰うで? 生まれ変わった元一航戦の実力を見せ付ける良い機会や」

 

「此処は俺だろ? 艦娘は伊勢型や天龍型以外全く近接武器を持っていないからな、ここで俺が近接武器の有用性を教えてやる」

 

「スーパーアイドル那珂ちゃんの日本デビュー戦だね? 頑張らなきゃ♪」

 

「ふふふ…、金剛型2隻を撃破出来れば欠陥戦艦の汚名を返上どころでは無いわ…」

 

 

 声を挙げたのは夕立、千歳、浜風、龍驤、木曾、那珂、扶桑の7名。この時点でも総合的なバランスが良いが、今回出撃できるのは6名のみ。バランス的には同種艦の駆逐艦、軽巡洋艦、空母のペア内で一名を抜けば良い感じになりそうだが…

 

 

「う~ん、相手の艦種バランス的に千歳さんと龍驤さんの何方かが抜けて欲しいかしら?」

「正規空母の加賀さんとは云え、相手側は空母1隻だけなのです。航空戦艦の扶桑さんもいますから、じゃんけんか何かで決めて欲しいのです」

 

 

 雷達の言葉に扶桑以外のメンバー千歳と龍驤が表情を変える。どちらも出撃したい、しかし1名は外れないといけない。たかがじゃんけん、されどじゃんけん、2人は獰猛な表情で構えた。

 

 

「じゃ~ん、け~ん…」

 

 

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【それでは皆さん、準備は宜しいですか?】

「何時でも初めて良いわ」

「こっちも構わないデース」

 

 

【では、状況開始!!】

 

 

 鹿島の合図と共に両陣営が動き出す。

 因みにじゃんけんは龍驤が勝った。鹿島の隣にはじゃんけんに負けた事から不貞腐れてむくれっ面になっている千歳がおり、両陣営の戦況確認のお手伝いをする事となった。

 

 

「Hey 加賀! 戦域全体の確認は頼みましたヨ?」

「お空の方はシクヨロ~♪」

「解ってるわ、でも航空支援は不可能と思ってなさい。艦載機にジェット戦闘機を持ってる相手に何処まで通用するか、想像も付かないのだから」

 

 

 先陣を掛けながら軽く口を開く金剛と漣に対して真剣な表情で応えながら、加賀は戦闘機 零式艦戦53型(岩本隊)と艦上攻撃機 天山一二型(村田隊)を発艦させる。

 

 

「フフフフ。提督に褒めて貰えるチャンス…」

「扶桑さんがちょっと怖いんですけど、大丈夫ですか?」

「いざと云う時は俺が止めるから、龍驤は指揮を頼むぞ」

「了解。インシデント、発艦開始や!! 扶桑も笑っていないで開幕の一発を噛ましたってなー」

「言われるまでも!!」

 

 

 飛び立つ艦載機を眺めながら扶桑は背中の艤装を展開し、構える。

 元々は35.6cm連装砲等の主砲が備えられている箇所の一つに二股に分かれた長い砲塔があった。

 

 

「試製24cm電磁加速砲、砲弾装填、充電開始」

 

 

 『試製24cm電磁加速砲』

 所謂『レールガン』であり、電磁力によって弾丸を音速の約7倍の速さで射出する事が出来る。その射程は110海里(約204㎞)という驚異的な距離を誇る。

 但し、この強力な性能と引き換えに砲撃の際には大量の電力を必要とし、射出時の衝撃も大きい事から航行しながらの砲撃は出来ない欠点がある。

 

 

「充電完了。目標、金剛型3番艦 榛名…撃てえっ―――!!」

 

 

 扶桑の声と共に電磁加速砲からペイント弾が放たれる。ペイント弾とはいえ音速を優に超える速度、衝撃波によって水飛沫を飛び散らせながら遥か遠くにいた榛名に避ける暇も与えないまま直撃した。

 

 

「っ!? ………え?」

 

 

 全身をペイントの赤色に染める榛名。

 

 

【榛名さん、主砲直撃に因る大破轟沈判定。戦域から離脱して下さい】

「なっ!?」

「What`s happen!? 何も見えなかったデースっ!!?」

「一体何が起きたの!?」

 

 

 神宮寺艦隊のメンバー達はこの突然の事態に対し理解が追い付かないでいた。模擬戦開始から数分足らずの現状、未だ砲撃は届かない距離であるのに突然の榛名の轟沈判定。ペイント弾が直撃した榛名は尚更自身の身に起きた事が理解できずに呆然としていた。

 

 

「お、お姉さま…? 榛名は一体…何にやられたんですか…?」

「この圧倒的な射程距離に弾速……どうやら相手はレールガンも実戦配備出来てる様ね…」

「こマ!? 幾等なんでも武装が未来染みて無い!?」

「じゃ、じゃあ私達、撃たれ放題な状況って事!?」

「そ、そんな兵装の攻撃…どうやって避ければ…」

「Be quiet!! 皆、落ち着くデース!!」

 

 

 混乱しかけたメンバー達に旗艦である金剛が一喝する。

 

 

「私達は何デス? 誇りある御劔艦隊デース!! なのにこの様は何デスカ!? 敵のレールガン1発で狼狽えて如何するというのデス?」

 

 

 彼女達は日本国海軍最強と謳われる神宮寺 重成率いる御劔艦隊なのだ。これまでも多くの強敵と戦い、勝利して来た。自分達よりも強力な武装を持っているからと言って負ける訳にはいかない。

 

 

「榛名、今回は私達が相手が見せて貰ったデータから超距離兵装がミサイルだけだろうと油断していたのが Failure cause デース」

「金剛お姉様…」

「榛名は戦域から撤退しなサイ。加賀、誰がレールガンを持っているか視認は出来ましたカ? 大方、扶桑だとは思いますガ…」

「扶桑で間違いないわ、でも他の娘達にも警戒した方が良いと思う」

「All right 全艦、最大限に警戒しながら進むデース」

「「「「了解」」」」

「榛名、撤退します。皆さん、お気をつけて」

 

 

 榛名が戦域から離脱し、金剛達は単縦陣を組んで進撃を開始。両陣営を挟んだ中央域では互いの艦載機が航空戦を開始していた。

 

 

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「目標に着弾、撃破判定で離脱するようね。フフッ、まず1隻♪」

「航空戦も開始したで? 相手は単縦陣で向かって来とる」

「相手の武装じゃまだ接近しないと砲雷撃戦が出来ないからな」

「なら今の内にぽいぽいミサイルで攻撃だね!!」

「ならば、私もいきますっ!!」

 

 

 夕立と浜風が対艦ミサイルを発射し、ミサイルは向かって来る金剛達へと真っ直ぐに飛んで行った。

 

 

「じゃあ、俺も行くぜ? 近接戦の強さを教えてやるっ!!」

「あわわっ!? 木曾ちゃん、単独特攻は危ないってば!! 夕立ちゃん、木曾ちゃんの援護に行って!!」

「了解っっぽい!!」

 

 

 超振動斬艦刀を抜刀した木曾が突撃し、その様子を見た那珂は慌てて夕立に援護を頼む。木曾達が向かう先では発射したミサイルが漣達駆逐艦のファランクスによる対空射撃によって全て撃墜されていた。

 

 

「既にファランクスは使い慣れている様ですね?」

「これだとミサイル兵装は乱戦にならへん限り期待出来へんなぁ。おまけに対空特殊弾頭も持っているやろし、爆撃機も射程範囲に入った途端に墜とされるやろうし」

「となると砲雷撃や木曾さんの接近戦が要になると?」

「いや、向こうには海洋歩兵最強の神宮寺提督の艦娘やさかい、近接戦の経験は遥かに上やろうから怪しいとこやな。できればあと1隻扶桑が仕留めてくれれば楽なんやけど……相手は大将指揮下の百戦練磨な艦隊やし、練度はウチ達より上。互いに撃ち合う距離に入ったらどう転ぶか分からへん」

「扶桑さん、充電が完了するまでどれ程掛かります?」

「あと数分といったところかしら?」

「なら後1発は向こうの射程範囲外から撃てるんやな? それまで浜風と那珂は扶桑の護衛を頼むで~?」

「「了解」」

 

 

 扶桑達に指示を下した龍驤は後ろに下がり、式紙符を展開して新たな艦載機を発艦させた。

 

 

「さぁ仕切るで! 第2攻撃隊、発進!」

 

 

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 扶桑の砲撃によって榛名が撃破判定を下された事により戦端の火蓋が切って落とされ、相対する両艦隊の間では艦載機達が激しいドッグファイトを繰り広げていた。

 まずぶつかったのが龍驤の散香マーク2改と加賀の零式艦戦53型(岩本隊)だった。武装サンプルの1つとして散香が提供されていた事から加賀自身、そのプッシャタイプの戦闘機についてそれなりの知識を得る事は出来ていたが、そのトリッキーな航空性能から慣れるには大分時間が掛かると実戦配備を断念した代物だ。況してや自分が飛ばしてみた機体は初期型であり、その改良型である散香マーク2改の性能に対し、装備妖精達は若干翻弄されている様子であった。

 そして何より…

 

 

「……っく、また後ろを獲られたと云うの…!?」

 

 

 自分の艦載機達が悉く後ろを取られる事態が発生していた。

 

 

(機体の性能だけなら負けないと思っていたけど、厄介な飛行技術ね)

 

 

 武装等の技術レベルは向こうが遥かに高い事は解かっていた。しかし、練度や実戦経験に関して加賀達御劔艦隊の方に一日の長がある。加賀が操る艦載機の装備妖精達はトップガンクラスの技量を持っているのだ。

 しかし、龍驤の指揮する艦載機達は曲芸染みたアクロバット飛行によって銃撃を躱し、回り込み、そしてペイント弾を確実に撃ち込んできていた。

 

 

(でもこれを取得出来れば今後の航空戦に於いて確実に有利になる)

 

 

 航空戦が始まった十数分間は艦載機達が入り乱れる中、自身の艦載機達が後ろから撃たれて撃墜判定を次々と受けていたが、次第に慣れてきたか回避出来るようになってきていた。

 

 

「……ここでたっぷりと学ばせて貰うわ!!」

 

 

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「いくぞっ!! お前達に白兵戦の強さを教えてやる!!」

「ぽいぽいぽいぽ~い!!」

 

 

 ファランクスで弾幕を張りながら木曾は御劔艦隊との距離を一気に詰めていた。彼女の後を追う夕立もファランクスの弾幕と共にぽいぽいミサイルで攻撃を行う。

 

 

「はあっ!!」

「ところがぎっちょん!!」

 

 

 木曾が模擬戦用の模造刀を漣へと振り下ろすが、漣は腰に下げていたコンバットナイフを引き抜いてそれを受け止めた。

 

 

「この漣、接近戦もお手の物なのですっ!」

「ほう…俺の一撃を受け止めるか、上等だ!!」

 

 

 木曾は不敵な笑みを浮かべ、再び斬り掛かる。打ち合う事数合、漣は模造刀の刃に触れないように注意しながら打ち合っていたが、遂に刃部分に触れてしまう。

 

 

【漣ちゃんの近接武装損壊判定、以降使用できません】

「ファッ!? な、何で!!?」

「俺の刀は超振動斬艦刀だ、本物なら姫級だろうとバターの様に切り裂くっ!!」

「ちょっ!? 近接武器も超兵器かなぁとは思ってたけど……ほわぁっ!? 模擬戦とは云えスライス判定で撃破されるのは勘弁っ!!」

 

 

 コンバットナイフが使用不可となり、近接武器を失ってしまった漣は慌てた様子で木曾の斬撃を避けながら逃げようとする。後方の春雨や能代が援護砲撃をしようにも漣と木曾の距離が近く、フレンドリーファイアを恐れて手出しできなかった。

 そしてなによりも…

 

 

「どんどんいくよ~っ!!」

「あくぅ~、当たらないっ」

「は…早すぎますっ!!」

 

 

 木曾の援護で付いて来ていた夕立が持ち前の高軌道力で能代達を翻弄していた。能代や春雨が放つ砲撃や雷撃を躱しながらも木曾へ攻撃が向かないようにこまめに攻撃を続けていく。

 

 

「Burning Love!!」

「わわっ!? 危ないっぽい!!」

 

 

 しかし、相手は歴戦の御劔艦隊。金剛が夕立の航行先を予測し、そこへ砲弾を撃ち込んでいく。まだ命中こそしていないものの、あわや後数 cm で命中と云う危ない場面が目立ち始めていた。

 

 

「照準を追わせては駄目デース! 相手の航行先に置いて撃たないと当たりませんヨ!!」

「「了解!」」

「むむむ~、これは拙いっぽい…」

 

 

 御劔艦隊のメンバー達が自身のスピードに慣れつつある事に夕立は焦りだしていた。このままでは自分の動きを抑えられるどころか砲撃が命中して撃破されるかもしれない。

 そうなれば、木曾が危ない。

 

 

「っ!? 扶桑のレールガンと思われる砲塔に動き有り! 厳重警戒!!」

 

 

 艦載機で扶桑の様子を逐次確認していた加賀は彼女の電磁加速砲が砲撃準備する様子を確認するや、艦隊メンバーに注意喚起を促す。

 

 

「来るっ!! 目標は能代、横に避けてっ!!」

「木曾ちゃん、一旦下がろう!!」

「む…、仕方ないか」

 

 

 加賀が叫んだ瞬間、扶桑が立つ位置が光り輝くと共に衝撃波が通り過ぎる。

 この隙を好機と見た夕立は木曾と共に撤退する。

 衝撃波と共に舞い上がった水飛沫も消えて周辺が見えるようになった時、能代の姿はペイントで染められていなかった。紙一重ながらも避けることが出来たようだ。

 

 

:::::

 

 

「すっげぇ――――――っ!! 三浦さん、見ましたアレッ!! レールガンっすよ、レールガンっ!!」

「そんなに叫ばなくても解かるゾ、と。しかし、等身大レールガンか…イレイザーを思い出すな」

「そういえばあの映画、ライフルサイズのレールガンが登場してましたね。シュワちゃんがダブルトリガーでぶっ放してたのは爽快でした」

「はぇ~智明さん達、もうレールガンまで開発したんだ~」

 

 

 扶桑の電磁加速砲が火を噴いた様子に興奮しながら叫ぶ鈴。彼女の様に叫ばないまでも驚いた表情で感想を漏らすは俊之と直樹の2人。そして姫乃は2人程では無いものの、感嘆の声を零す。

 

 

「あ、あの…姫乃中佐?」

「なぁに、鹿島ちゃん?」

「この子達は何なのでしょうか?」

「………きゅ」

 

 

 戸惑いの様子で鹿島が姫乃へ尋ねるは自身を囲むくちくいきゅう達だった。鹿島の足元で彼女を見上げながら鳴き声をあげており、中にはレクイエムの艤装の上に載り、しっぽにポンポンを付けて応援している子もいる。

 

 

「心配しなくても良いよ。この子達はくちくいきゅうって言って、智明さん達の新生海人の妖精さんポジションなんだ」

「きゅ~♪」

「くちくいきゅう…ですか?」

「平仮名呼びにしてあげてね?」

「きゅっ、きゅ」

 

 

 姫乃が抱き抱えていたくちくいきゅうが鹿島へニッコリと笑顔を向ける、その可愛らしさに鹿島は頬を染めた。

 

 

「可愛いゾ~コレ。妹のペットに貰っちゃ駄目か?」

「残念だけど、この子達は家族だからダメよ?」

「大事にするし、三食昼寝と3時のおやつ付きでもか?」

「駄目なものは駄目よ」

「三浦さんしつこいっすね…。まぁ可愛いから気持ちは解かるっすけど」

「きゅ~♪」

 

 

 一匹のいきゅうを抱え上げて撫でる俊之は能代と同じ様に貰えないか尋ね、千歳に断られる姿に鈴は呆れながら自身もくちくいきゅうを抱き上げて愛でていた。

 

 

:::::

 

 

 

「くぅっ、こうも短時間で学習されるんはキッツイなぁ…」

 

 

 加賀の艦載機達と航空戦を開始して十数分後、相手の艦載機達も龍驤のアクロバット飛行に慣れたからか、撃墜判定を取れないでいる上、中には飛行技術を真似し出す機体もあった。また、数機は乱戦を潜り抜けて扶桑へ爆撃を加え始めていた。

 

 

「扶桑~、海零発艦宜しゅう」

「良いんですか?」

 

 

 扶桑が放った2射目の電磁砲は避けられてしまっていた為、龍驤はここで彼女に海零の発艦を指示。

 

 

「時間が過ぎれば過ぎる程に勝ち目が薄くなる状況や、これ以上時間を掛けたら何時均衡が破られるか判らへんからここで一気に畳み掛けるで?」

「分かりました。海零、発艦開始!!」

 

 

 扶桑の艤装背部からクレーンとカタパルトが展開し、海零の発艦準備を進めていく。

 

 

(ウチも千歳並の改造をせぇへんとアカンなぁ…)

 

 

 扶桑の艤装から発艦し、飛び立っていく海零を眺めながら龍驤は内心で呟いた。

 

 

:::::

 

 

 扶桑による海零投入によって戦況は大きく傾いた。

 加賀が相手する艦載機の量が倍近くに増えたばかりでなく、相手はジェット戦闘機なのだ。そして何より、今回搭載した武装が彼女を大きく苦しめていた。

 

 

「また墜とされた…対戦闘機ミサイル装備なんて此方の艦載機スペックじゃ避けきれないじゃない!!」

 

 

 扶桑から発艦した海零は空対空ミサイルであるサイドワインダーが装備されており、逃げ惑う加賀の艦載機達をロックオンして次々と喰らっていた。

 

 

「金剛、残存艦載機数が4分の1を切ったわ。制空権が完全に奪われるのも時間の問題ね」

【All right 向こうは完全に勝負を決めるつもりデスネ。なら此方も大きく動きマショウ】

 

 

 加賀から制空権を完全に奪われる事を聞いた金剛は艦隊メンバーへ指示を下す。

 

 

「全艦に通達しマス。加賀の現存艦載機が4分の1を切り、制空権は完全に奪われるものとの事デス」

 

 

 金剛の言葉に皆が歯噛みする。

 艦隊にとって制空権は命綱、その制空権を奪われると云う事は上部全方向から敵の脅威が降り注ぐと云う事だ。

 

 

「このままではジリ貧デース、なので一気に斬り込みマス」

 

 

 金剛は制空権を完全に奪われる前に突貫し、乱戦の中で決着を付ける事を提案する。

 

 

「本来なら撤退すべき状況ですガ、これは模擬戦。今回は何処まで行けるのか試すのも兼ねて派手にいきマース。彼女達に神宮寺提督直伝の『海洋近接戦闘』をたっぷりと味わって貰いまショウ!!」

『了解っ!!』

「Let's party!!」

 

 

 金剛の号令と共に最大船速で相手艦隊へと向かいだす。同時に加賀は自身の艦載機に敵艦載機の迎撃から味方艦の援護へと指示を変える。

 

 

「皆向かって来るよ!!」

「撃って出たか、面白いっ!!」

「決着を付ける気やな…、那珂と浜風も前に出てや」

「「了解!!」」

「扶桑、砲撃戦開始や!」

「ふふ、了解」

 

 

 牽制の砲撃をしながら向かって来る金剛達に対して扶桑が長距離砲撃で迎撃を開始し、木曾達が前に出る。

 

 

「羽衣弾、Fire!!」

 

 

 金剛が羽衣弾を前方へと発射し、前面上空を白い霧が覆う。彼女達を迎撃しようと向かって来た龍驤と扶桑の艦載機は慌てて旋回して離脱しようとするが、数機は間に合わず霧に突っ込み、更にこの隙を見逃さなかった漣や春雨の対空砲火が旋回して隙を見せた機体へ撃墜判定を与えた。

 

 

「かぁ~、此処で使って来るかいな!!」

 

 

 龍驤が悔しそうに呟きながらも羽衣弾の効果範囲外から爆撃や雷撃を行う様に艦載機へ指示を下す。しかし、遠距離・高高度からの雷撃・爆撃は察知されて悉く避けられていく。扶桑の海零が放つミサイルもファランクスが墜としている為に有効打を中々与えられずにいた。

 

 

「こうなると砲撃及び接近・白兵戦が勝負、相手さんの有利な状況に持ち込まれてもうた…ヤバいで」

 

 

 龍驤の視線の先では接近する相手艦隊に対し、木曾が白兵戦を仕掛けようとしていた。

 

 

「いくぞっ、今度こそ討ち取る!!」

「さぁ~て…さっきは驚きでペースを獲られたけど、漣ちゃんの全力全快バトルを見せちゃいますかー!」

 

 

 木曾に向かうは漣。再び相対する2人であり、木曾は正眼の構えで超振動斬艦刀を相手に向け、漣も手甲装着型120mm連装砲を右手に構える。

 

 

「はぁああああっ!!」

「なんのぉ!!」

 

 

 漣に斬りかかる木曾だが、漣は手甲装着型120mm連装砲を裏拳の形で超振動斬艦刀の刀身に叩き付けて弾き、そのまま砲身を木曾に向けて砲撃を行う。

 木曾は身体を捻る事で間一髪、砲弾を避けるが続け様に放たれる砲撃に下がらざる得なくなる。

 

 

「そりゃそりゃそりゃあ!!」

「くぅっ、嘗めるな!!」

 

 

 砲撃に交じって魚雷を放つ漣に対し、距離を放さない様に回避行動を行いながら木曾も157mm単装砲を放って応戦する。

 なんとか接近して白兵戦に持ち込みたい木曾に対し、砲撃と雷撃を行いながら距離を上手く離す漣。一進一退の動きに変化を起こしたのは漣の方であった。

 木曾と撃ち合う中、ふと120mm連装砲を装着していない左腕を振り上げ、ナニカを彼女へと投げ付けた。自身に飛んで来る投擲物に対し、木曾はソレを157mm単装砲で打ち抜いてしまった。

 

 

 木曾が撃ち抜いたソレは…

 

 魚雷だった。

 

 

「っな…!!?」

「いっししぃ~、戴きましたぁん♪」

 

 

 撃ち抜いた事に因って爆発する魚雷。爆炎が二人の間で広がり、互いの姿を隠す。突然の事態に木曾は驚きを隠せないでいたが、次の瞬間にはその驚愕の表情を更に大きくする事になる。

 目の前で爆炎が広がっている状況、その爆炎の中から新たに魚雷が飛んできた。

 その数3本。

 

 

「魚雷を手榴弾代わりに使うかっ!!?」

 

 

 飛来する魚雷に当たらぬ様、後方に下がりながら一本の魚雷を撃ち抜いて爆破する。残り2本の魚雷も爆発に巻き込まれて誘爆した。

 

 

「その手は悪手なんじゃな~い?」

「――――っな!?」

 

 

 再び起こる爆発に顔を腕で覆う木曾だったが、彼女の横から漣の声が聞こえた事からその顔が驚愕に染まる。爆炎でその姿を隠した漣は迂回して木曾の死角である左側から飛び出してきたのだ。当然右腕の120mm連装砲を構えており、木曾に砲撃を行う。

 砲弾を避け切れない事を悟った木曾は超振動斬艦刀で弾くが、この隙が漣の更なる接近を許してしまった。

 

 

「これで…フィニッ―――シュッ!!」

「!? しまった、これでは動けな―――」

 

 

 漣は砲撃で釘付けにした木曾の横を最大船速で通り過ぎると同時に彼女へ置き土産を残していく。

 木曾を囲む様にばら撒かれたのは…またもや魚雷。

 魚雷に囲まれて動けない木曾へ漣は止めとばかりに1本の魚雷を砲撃した。

 撃ち抜かれた事に因って弾け散る魚雷のペイント。更に残り2本の魚雷も誘爆判定でペイントを撒き散らした。

 

 

【木曾さん、超至近距離での魚雷爆破に因る船体誘爆からの大破轟沈判定。戦域から離脱して下さい】

「くっそぉぉおおお――――っ!!」

 

 

 鹿島からの轟沈判定に木曾は悔し気に叫びながら戦域を離脱した。

 

 

:::::

 

 

「木曾が脱落かぁ、アカンなこれ…」

 

 

 木曾が戦闘海域から離脱する姿を眺めながら龍驤は顔を顰めた。

 

 

「まさか、魚雷をあんな使い方するなんて思へんな」

 

 

 現状で唯一近接戦を熟せる彼女が脱落した以上、このまま接近されれば自分達の有利になる状況は全て引っ繰り返される。

 

 

「扶桑、プランBの準備は出来とるか? 出来とるなら始めてや」

「了解よ。戦略プランB開始、魚雷搭載の機体は海上戦闘に切り替えて!」

 

 

 扶桑の指示により、雷撃機の海零は海面に着水し海上戦闘を開始した。

 海上を奔る海零はジェットエンジンで進む超高速魚雷艇として金剛達、御劔艦隊へと殺到した。

 

 

「魚雷艇!? ……違う、扶桑さんの艦載機がっ!!? きゃあっ!!」

【能代さん、魚雷被弾により中破。航行速度低下判定】

 

 

 縦横無尽に海上を駆ける海零が肉薄しながら放ってくる魚雷に慌てた能代は被弾。左脚をペンキ塗れにし、中破判定を受ける。

 

 

「能代!? くぅっ!!」

「Hey! 加賀、気を付けるネー! 」

 

 

 同じく加賀や金剛にも海零が殺到し、容赦ない雷撃を加えてきた事から回避に専念せざるを得なくなる。

 

 

「夕立ちゃん、これって…」

「プランBが開始されたっぽい! 相手の前進を拒みつつ下がるよっ!!」

 

 

 那珂と夕立は戦術プランの変更を察知し、後退戦闘から御劔艦隊の前進を妨害する迎撃戦へと変更した。

 プランBは何らかの理由で制空権を完全に奪えない場合に海零を魚雷艇として代用した雷撃を主攻撃とし、艦娘達は相手の動きを妨害しながら撃破していく作戦である。

 これによって状況は大きく傾いた。

 周囲から襲って来る魚雷を旋回、跳躍しながら回避していく御劔艦隊。されど、避けるにしても限界があり、航行速度を上げる事が出来なくなった能代が遂に被弾して撃破。

 

 更に…

 

 

「行っけ―――っ! 那珂ヴァルキリーズ!!」

「霧を抜けて…きゃあっ」

【春雨ちゃん、艤装に被弾。雷装破壊判定】

 

 

 那珂が指揮する2機の海零『那珂ヴァルキリーズ』が羽衣弾の霧と弾幕を回避しながら御劔艦隊へと攻撃を行っていく。芳彦によってパイロット妖精達はいづれも熟練クラスの技量を得ているが、那珂ヴァルキリーズのパイロット妖精達はその中でもトップガンに選ばれた者が搭乗している。

 彼女達は羽衣弾の霧を恐れる事無く、霧が漂っていない僅かな隙間を抜けてミサイルを発射して素早く離脱する。ミサイルは春雨の魚雷管と加賀の左腕に装備されている甲板に命中し、ペイント塗れにした。

 

 

【加賀さん、甲板に被弾。大破判定】

「っく…ここまでね…」

「加賀!?」

「行きなさいっ! 行けるところまで挑むのでしょ?」

「… Sorry ネ、加賀」

「金剛さん。私も速度が出せない以上、付いて行くのは無理です。砲撃支援は出来るので行ってください!!」

「能代も Sorry デス。漣、春雨行きマスヨ!」

「合点、承知の助!」

「雷撃は出来ませんが、がんばります。はい!」

 

 

 大破判定を受けた加賀と中破ながらも航行速度低下判定によって速度を出せない能代を残し、金剛達3人は扶桑達の元へと向かった。

 

 

:::::

 

 

 果敢に挑んだ金剛達だったが、海零の艦爆、雷撃そして夕立達のミサイル攻撃に押し切られ全滅し、青・青天連合艦隊の勝利となった。

 しかし、彼女達の猛攻は凄まじく、夕立と浜風、那珂は金剛達の砲撃で大破。扶桑と龍驤も砲撃に曝される事は無かったものの、加賀の艦載機の攻撃で小破近いダメージを受けていた。

 

 この試合により、御劔艦隊メンバーは兵装の強化によって更なる力を得る事が出来るという確信を得。連合艦隊メンバーは御劔艦隊の武装性能の差が有りながらも喰らいける技量の高さを知り、更なる鍛錬の必要性を感じたのだった。




現状報告
・御劔艦隊と模擬戦をし、勝利した!


次回は遂に智明と義彦が建造に挑戦!

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