嗚呼、「黄泉の艦隊」が往く   作:影鴉

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書きたかった回でスラスラ執筆が進むので頑張った…
遣り過ぎな気がするけど後悔はしてない。


今回は智明、芳彦の建造回。
「嗚呼黄泉」、秋の建造祭りはっじまるよ~
皆はどれだけ元ネタを知ってるかな?


 建造

扶桑達が金剛達と模擬戦開始する数十分前

 

横須賀鎮守府 廊下

 

 

「それでは鎮守府内の案内をさせて頂きます!」

「「「「よろしくお願いします」」」」

 

 

 源重郎達との話し合いを終え、智明達は鎮守府憲兵総長である龍之介と情報課の美里の案内で横須賀鎮守府内を廻る事となっていた。

 

 

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工廠

 

 

「此方が工廠になります」

「此処が工廠…」

「おお~、広いっすね」

「流石、横須賀鎮守府。規模が違いますね…」

「日本国海軍の本拠地なんだから広いだろうとは思ってたけど、これはもう巨大な工場ね」

 

 

 初めに工廠へ案内された智明達はその広さに感嘆の声を上げる。

 目の前ではコンテナが天井から吊り下げられたチェーンクレーンで運ばれていたり、フォークリフトがカーゴから艤装や兵装のパーツを動かしていた。また至る所で作業服の職員や妖精達が忙しく動き回っている。

 

 

「元々は霊装の製造スペースでしたが、今は半分以上が艦娘関連のスペースになってます」

「まぁ、最近は新しい艦娘が召喚出来てないので艤装の研究だったりがメインですけどね…」

「じゃあ、なんでこんなにも慌ただしいんだ?」

「近代兵器が艤装化されたんだ、忙しくもなるわな」

 

 

 の説明に対し芳彦が疑問の声を上げるが、そこへ別な声が掛けられた。

 

 

「梧桐工廠長!」

「よう、そこの兄ちゃん2人が例の奴か?」

「はい、男性適合者の水野 智明さんと函南 芳彦さんです」

「初めまして、水野 智明と言います」

「函南 芳彦だ、宜しく頼む」

「此処の工廠長をやってる梧桐 甚助(ごとう じんすけ)っつぅんだ、宜しくな。アンタらのくれた兵装のお陰でここんとこ、てんてこ舞いだぜ?」

 

 

 オイルで汚れた作業服を着た初老の男性、甚助はニカッと笑いながら彼らに挨拶をする。

 

 

「……何だ夕張じゃねぇか久しぶりだな」

「私を知ってるの?」

「! っあ~、そういや行方不明になってたな。つまり、練度もろとも記憶も奪られたか?」

「そうよ。だから悪いのだけど、貴方との記憶は無いわ」

「なら仕方無ぇさ。俺とは艤装研究で色々議論してた仲だ、今後もその気があるなら宜しく頼むぜ?」

「ええ、宜しく」

 

 

 彼は嘗て日本国海軍に居た頃の夕張と知り合いだったらしい。

 その後、工廠の案内を甚助が引き受け巡る事となった。

 

 

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「此処が艦娘を建造する区画だ」

「なんか…儀式なんかやってそうなスペースだな?」

「事実、やってるのは儀式だ」

 

 

 工廠奥にある艦娘建造区画へと訪れると、直径30メートル位の大きな魔方陣らしきモノが一定の間隔で幾つも敷かれていた。

 

 

「艦娘の建造については知ってるのか?」

「一定の資材を消費する事で艦の御霊を召喚して依り代の少女へ憑依させるんですよね?」

「そうだ。ま、実際に見て貰った方が早ぇな」

 

 

 そう言って、甚助は人が集まっている魔方陣を指す。魔方陣の中心にはクレーンで運ばれてきたと思われる大量の資材が置かれており、周囲には式服を着た術者と思われる人と妖精達が囲む様に立って何やらブツブツと唱えていた。

 魔方陣の中心にある資材は薄く光っている。

 

 

「資材が光ってるだろ? ありゃ資材に呼び出された艦艇の御霊が宿ろうとしてんだ」

「艦艇の御霊が…」

「建造は術者が艦艇の御霊を呼ぶ『口寄せの儀』を行う事から始まる。因みに艦娘の艦種によって資材に宿る時間は異なってな、駆逐艦や潜水艦は早いんだが、戦艦や空母となると何時間も掛かっちまう。今回は軽空母だから3時間ってとこだな」

「その待つ時間の間、術者の人はずっと呼び続けるんですか?」

「ああ、儀式中はずっと術式を唱えっぱなしになる。艦娘を建造する為の大事な工程だからな、お陰で連中は高給取りだ」

「因みに最長でどれくらい唱えたんです?」

「最長は大和型の8時間だったな」

「は、8時間も…」

 

 

 甚助が説明をしている内に光っていた資材が強く輝き出し、小さな光球となって浮かび上がった。

 

 

「完全に宿った状態があれだ、そして…」

 

 

 魔方陣を囲んでいた術者の一部が退き、そこから白い着物姿の少女が方陣の中に入り、光球へと向かう。

 

 

「艦娘の適性者ですか?」

「そうだ。そしてこれからあの娘に艦艇の御霊が憑依する」

 

 

 甚助が智明の質問に答えている内に光球は少女の身体に吸い込まれ、彼女自身を光の奔流が包み込む。しかしその輝きも数秒の内に収まりだし、光が消えた後には黒い髪を項で束ね、上は白、下は赤の袴姿の少女が立っていた。左手には(エガケ)を付けており、彼女の兵装と思われる艦載機が載っていた。

 

 

「特設航空母艦『春日丸』と申します。不束者ですが、務めを果したいと思います」

「初めまして春日丸、此処は横須賀鎮守府です。これからの事を説明されますので此方の職員に付いて行って下さい」

「解かりました、宜しくお願いします」

 

 

 春日丸と名乗った少女はリーダーと思われる術者と会話をした後、職員と一緒に工廠を去って行く。

 

 

「彼女は何処へ行ったのですか?」

「艦娘用の教練区画だ。そこで一定期間教練を受けて、慣熟したら鎮守府や泊地へと派遣される」

 

 

 職員と共に去って行った春日丸の行先について質問してきた不知火に返答しながら甚助はふと、ある事を思いつく。

 

 

「そうだ、オメェ等建造やってみねぇか?」

「僕達ですか?」

「建造される艦娘の種類は、”奉納する資材の量”以外に”口寄せの儀に居合わせた人員”でも変わるのさ」

「人員ですか?」

「おう、簡単な例を挙げるなら”とある艦娘が居合わせたらその姉妹艦が召喚された”とかある訳だ。男性適合者のオメェ等なら変わった奴が呼ばれるかもしれん」

「遣るのは問題無いけど、良いのか?」

 

 

 甚助から建造をしてみないかと誘われる智明達。

 彼らの基地では建造施設だけは無かったので有り難い申し出なのだが…

 

 

「まだ、呼び出せる艦艇は有る筈なんだが……ここの所色々試しても最近は中々呼び出せなくてな。呼び出せても駆逐艦ばかりがずっと続いていて、さっきの空母なんか本当に久々だった。資材については備蓄が沢山あるから気にすんな、これも実験だから色々試してぇ」

 

 

 斯くして智明達に依る建造が始まった。

 

 

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「そんじゃ、準備は良いか?」

「準備と言っても近くに立っていれば良いんですよね?」

「する事無いから問題無いわな」

「まぁ、そうだがな? じゃあまずは駆逐艦レシピでいこうかね」

 

 

 魔方陣2つにそれぞれ術者と妖精達が囲み、そこへクレーンで運ばれてきた資材が置かれた。

 甚助の合図の下、術者達が口寄せの儀を唱え始める。すると方陣が薄っすらと輝き出した。

 

 

「お、呼び出されたか。さてさて…何が呼び出されるか…」

 

 

 魔方陣傍に置かれた計器がカタカタと作動し出し、何やらパネルに文字と時間が表記される。

 

 智明達はそのパネルを確認すると、

 

智明側は『艦種・駆逐艦 建造時間・00:15:00』

 

芳彦側は『艦種・駆逐艦 建造時間・00:18:00』

 

 と表記されていた。

 

 

「完全召喚まで15分と18分で両方駆逐艦か。過去のデータ通りなら18分は睦月型なんだが……15分は初めて見るな。取り敢えず適合者がいるなら連れて来てくれ」

 

 

 甚助の指示を受けた妖精は専用のバイクに乗るとその場から去って行った。

 

 

「彼女は何処へ?」

「今呼んでいる艦艇と相性が良い適性者がいるか確認しに行ったのさ。妖精さんは見るだけで今呼びだしてる艦と適合するかを見分ける事が出来てな」

「居なかった場合はどうするんですか?」

「その時は基本、適合者が見つかるまで待って貰うさ。昔は適合者が中々集まらない為に呼んだ艦艇の魂が待ちぼうけを喰らう事が多々あったな…」

 

 

 甚助が嘗ての建造事情をぼやいていると妖精が帰って来た。適性者はいたらしく、金髪と薄い紫髪をポニーテールにしたローティーン位の少女達が後を付いて来ていた。

 金髪の娘は智明側、ポニーテールの娘は芳彦側の魔方陣に立つ。時間差が余り無いので芳彦側の艦艇の魂が完全に召喚されたら纏めて憑依して貰う事になった。

 18分後、駆逐艦の魂が完全に召喚されたので、適合者の少女達と一つとなる。

 

 輝きが止むとそこには…

 

 

Royal Navy(大英帝国海軍) から来た Torpedo-ram(水雷衝角艦)、『Thunder Child(サンダー・チャイルド)』だ。自慢の衝角は火星人共の兵器すら屠った、Nice to meet you(宜しく頼むぞ)?」

 

 

 サンダー・チャイルドと名乗った艦娘はネイビーブルーと基調としたセーラー服を着ており、水兵帽を被っている。その手に持っているランス(馬上槍)を模した衝角が何より目立つ。

 

 

「駆逐艦睦月型 13番艦の『峰月(みねづき)』だよ。座礁しても見捨てたりしないでね?」

 

 

 一方、峰月と名乗った艦娘の姿は睦月型の睦月、如月が着ている艤装服と同じ白とモスグリーンを基調としたセーラー服であった。

 そんな彼女達に甚助が首を傾げる。

 

 

「イギリスの水雷衝角艦と睦月型の13番艦で峰月だと…? 聞いた事無いし、過去のデータにも無いな…」

「ってことは架空艦が呼ばれたって事ですか?」

「架空艦である事もですが、英国艦娘が凄い事を言いませんでしたか…?」

 

 

 架空艦の艦娘が建造された事に龍之介と美里が驚きの声を上げる中、智明と義彦は建造された彼女達へ歩み寄る。

 

 

「貴殿が Admiral(提督) か?」

「うーん…提督よりも旗艦って立場が正しいかな? 僕自身、艦艇の力を持ってる身だから艦娘の男的立場なんだ」

「Woh! 私を呼んだ Admiral は凄いのだな!!」

「水野 智明、潜水艦『竜王』の力を持って……って知らないか。青の艦隊の旗艦を務めてます。兎に角、宜しくね?」

「なに、これから教えてくれれば良いさ」

 

 

 智明はサンダー・チャイルドと軽く挨拶をし、握手を交わす。

 

 

「貴女が私を呼んだの?」

「おう。函南 芳彦だ、宜しくな”みねっち”」

「一生懸命頑張るから、置いて行ったりしないでね?」

「さっき見捨てるなとか言ってたが、何かトラウマなのか?」

「うん。敵艦載機からの爆撃を避けてたら座礁しちゃって、そのまま艦籍を抹消されちゃったんだ。だから……きゃっ!?」

 

 

 艦艇だった頃の自身の境遇を語る峰月を芳彦は抱き上げてニヤリと笑う。

 

 

「心配するな、俺達は絶対見捨てねぇ。むしろみねっちだけで戦艦なんかをブッ飛ばせるようにしてやるからよ?」

「ふ、ふぇ!? そんな事出来るの?」

「はは、青天艦隊に任せろってんだ」

 

 

 不敵な笑みを浮かべながら芳彦は峰月を下ろすが、彼女の顔は真っ赤だった。

 

 

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「それじゃあ、次いくか。軽巡・重巡洋艦レシピだ」

 

 

 口寄せの儀が始まり、再び計器がカタカタと作動し出してパネルに艦種と建造時間が表記される。

 

智明側は『艦種・楔艇母艦 建造時間・01:28:00』

 

芳彦側は『艦種・軽巡洋艦 建造時間・01:30:00』

 

 と表記されていた。

 

 

「なんだこりゃ、『楔艇母艦』だと? 聞いた事の無い艦種だ。軽巡洋艦の方もこの時間で出たデータは無ぇな…」

 

 

 甚助が驚きと困惑交じりの声を出す。

 しかし、その表情は面白そうな笑みを浮かべていた。

 

 

「1時間以上待つのも面倒だ。頼むぜ妖精さんよ?」

 

 

 甚助の指示でガスボンベを背負った妖精達が魔方陣を囲っていた妖精達と変わる形で配置に着くと、中央の資材に向けてバーナーから炎を吹き掛けた。

 突然の事に目を丸くする智明、炎が消えると艦艇の御霊が浮かんでいた。

 

 

「あ、あの…今のは?」

「高速建造って奴でな? 御霊の召喚時間を早める事が出来るのさ。ま、初めて見る奴は驚くのも無理はないがな」

「火炎放射って…ワイルド過ぎだろ…。というか、これ使えば長時間口寄せしないで済むんじゃ?」

「回数に制限があってな、何時でも使える訳では無ぇんだ。今回は実験だから余裕分は使わせて貰う」

 

 

 智明達が高速建造の様子を驚く中、呼ばれた適合者達へ御霊が憑依して光が消えると…

 

 

「帝国海軍 楔艇母艦『来光』で~す。楔艇の娘達と頑張りまぁ~す♪」

 

 

 綺麗な青色の髪を後ろで結い、青と水色のストライプ柄の着物に割烹着を纏った姿で大鯨の様に野菜やらが入った鍋を片手に持っていた艦娘、来光は間延びした口調でニッコリ笑っていた。

 

 

「日本国海軍 石狩級軽巡洋艦『石狩』です! 高い防空能力が自慢ですので、空母護衛ならお任せくださいっ」

 

 

 一方、茶髪をショートカットにし、白のカッターシャツに下は青色のプリーツスカートと黒ストッキングを履いて緑のパーカーを羽織った艦娘、石狩は真剣な表情で挨拶をする。

 

 

「軽巡も過去データ、ペーパープランにも無し…か。再び架空艦と来たか、面白ぇ…」

 

 

 彼女達の姿に甚助は彼らに建造をさせたのは正解だったと笑みを浮かべる。

 

 

「貴方が提督ですかぁ~? 宜しくお願いしますね~?」

「初めまして、水野 智明です。ところで楔艇ってどんな船なんですか?」

「楔艇というのはですね~、”安価で量産できる軍艦”をコンセプトに建造された船なんですよ~?」

「それってつまり、駆逐艦サイズに戦艦級の武装を載せた船って事?」

「もっと小さいわぁ~。全長35m の船体に20cm 三連装砲を載せてるんだから~?」

「にっ…20cm 三連装砲ぉぉおお──────っ!!?」

 

 

 ぽややんとしたお姉さんといった感じの来光に楔艇の説明を受ける智明と夕張はその特徴に驚愕の声を上げた。

 

 

「石狩か、俺は反応動力推進航空母艦『飛天』の力を持つ函南 芳彦だ。宜しく頼むぜ?」

「おぉ…あの噂の空母にお目に掛れるとは。空母直衛艦としての務めを果たしますっ!!」

「確か妹艦がいたよな?」

「はいっ! 『網走』、『十勝』、『天塩』の3隻がいます」

「なら後で呼ばなくちゃな?」

 

 

 芳彦は自身の艦名を石狩が知っていた事から彼女が『レッドサン・ブラッククロス』に登場した艦である事を知り、今後妹艦を建造する事を考える。

 

 

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「ハハっ、テンションが上がるな。じゃあ次は空母か戦艦でいくが…いっそ”大型建造”でいってみっか」

「大型建造ですか?」

「おう。大和とか大鳳なんかの大型艦を建造する際に必要でな、要するに資材を大量に使うことで強力な艦を建造する訳だ。まぁ、何故かまるゆとかあきつ丸なんかも大型建造じゃねぇと建造出来ないんだけどよ…それはいいとして、いっそ纏めてやるか」

 

 

 4つの魔方陣を使用して3回目の口寄せの儀が始まる。

 計器のパネルには、

 

智明側は『艦種・装甲空母 建造時間・06:50:00』及び『艦種・潜水戦艦 建造時間・09:00:00』

 

芳彦側は『艦種・軽空母 建造時間・03:50:00』及び『艦種・砕氷戦艦 建造時間・04:45:00』

 

 と表記されていた。

 

 

「装甲空母も軽空母も過去の建造時間データには無いな…これも気になるが、何より砕氷戦艦と建造時間大和越えの潜水戦艦かぁ……これは凄ぇのが来そうだなぁ、おい!!」

 

 

 先程から架空艦娘が次々と建造され、テンションの上がっている甚助だったが更なる架空艦建造の予感に目が輝かせる。

 適性者を呼びに行った妖精が帰って来る。連れてきた適性者は4人、適合者は揃っていたようだ。

 再び妖精達が資材へとバーナーの炎を吹き掛けて召喚時間を早め、召喚された御霊が適合者へ憑依する。

 

 

「関ケ原級航空母艦『関ケ原』、推参しましたわ」

 

 

 長い黒髪をポニーテールにした艦娘、関ケ原は妖艶な笑みを浮かべている。

 黒を基調とし、下がスリットになっている着物姿は艶めかしく、右手にクロスボウを持ち、腰の艤装には甲板を模した矢筒が取り付けられている。

 

 

「大日本帝国海軍の超力戦艦『オオマガツ(大禍津)』であります! これより貴官の指揮下に入りますっ!!」

 

 

 赤を基調とした軍服に赤いマントを羽織り、腰に軍刀を佩いている艦娘、大禍津は軍帽下の長い黒髪を靡かせ、堂々とした声で自己紹介しながら敬礼をする。何故かマントの下からは尻尾の様なモノが伸びていた。

 

 

「防空軽航空母艦『尊氏』と申します、御館様の下に参上仕りました」

 

 

 尊氏と名乗る艦娘は時代がかった物言いをしながら、芳彦の前に立つと跪く。

 白を基調とした着物に丈が膝上までしかないが赤紫色の袴姿で、右肩に矢筒、片手に和弓を持っており、肩まで伸びている赤髪は癖毛なのか先が軽く跳ねていた。

 

 

「余は東露西亜帝国海軍が誇るピョートルI世級砕氷戦艦『Пётр I Алексеевич(ピョートル1世)』である。悪しき赤共に正義の鉄槌を下してくれよう!」

 

 

 白雪の様な銀髪を靡かせ、その頭に王冠を被りモスグリーンを基調としたスーツに白いマントを纏う艦娘、ピョートル1世は尊大な口調で笑う。その手には戦斧に似たハンマーが鈍い光沢を放っていた。

 

 

「どれもデータ無し。砕氷戦艦の方はロシア艦か? にしても大禍津たぁ、凄まじい名前だな…」

「おぉ… Admiral 達の呼んだ艦はどれも凄そうだな!」

「ふわぁ…とても強そうです」

「あらあら、いっぱい呼んだのね~?」

「空母も戦艦も強そうですね…直衛艦としてしっかり働きたいです!」

 

 

 4隻共に架空艦である事そして智明の建造した戦艦の名前に驚く甚助、更に建造された艦娘達も各々感想を零す。

 

 

「新しく空母を建造できたのは嬉しいね」

「宜しくお願いしますわ、旦那様?」

「ちょ、ちょっと!?」

 

 

 青の艦隊所属の空母は千歳とハク、そして鹵獲した軽空母ヌ級の3隻。新人のヌ級は兎も角、強化改造や進化によってその性能は非常に強力ではあるが数が少なかったので新たな空母の建造は有難かった。

 そんな智明に関ケ原は妖艶な笑みを浮かべながら彼の腕に抱きついてくる。黒い着物を着崩している為に肩や豊満な胸が大きく見えており、胸元の大きな果実が智明の腕に当たってふにゅりと凹んでいる。

 

 

「ちょっと! 智に気安く抱き着かないで!!」

「あら? わたくしのリーダーとなる旦那様に軽いスキンシップをしてるだけではありませんか?」

「す、スキンシップにしては過激な行為であると判断するであります! すわっ!!」

 

 

 すかさず夕張が関ケ原を智明の腕から引き剥がそうとするが、彼女は離れようとしない。そんな様子を見ながら大禍津は顔を赤くしてアワアワしている。

 

 

「宜しく頼むぜ、2人共?」

「はっ。護衛空母としては当然の事、対空巡洋艦としての役割も兼務出来る故に対空戦闘はお任せを」

「おう、頼りにさせて貰うぜ」

「ふむ、タカウジといえばЯпония(日本)の有名なВоенный командир(将軍)の名前であったな? その様な名前の艦と肩を並べられるとは余も鼻が高いぞ!」

「そういう貴女も初代ロシア皇帝の名を冠していましょう? 北方の厚い氷が覆う海をも突き進む砕氷戦艦の姿、魅せて貰いましょう」

「フハハハハハ! 良いだろう。余の雄姿、篤と魅せてやろう!!」

 

 

 互いに歴史上の偉人の名を与えられている尊氏とピョートル1世。尊氏の言葉にピョートル1世は豪快に笑って見せた。

 

 

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 甚助は智明と義彦を自分が立っているパネルの前に呼ぶ。

 

 

「期待以上の最高の結果だ。そんじゃあ次で最後にするとして、オメェ等がレシピ考えてみてくれや」

「お、俺達がか?」

「過去に建造した艦のレシピデータはここにあるからよ、参考にしてくれや」

 

 

 過去のレシピデータを参考にしながら智明と芳彦は投入資材量を設定する。

 

智明は『燃料・3500,弾薬・4500,鋼材・4500,ボーキサイト・2000』

 

芳彦は『燃料・4000,弾薬・5000,鋼材・6500,ボーキサイト・6500』

 

 と設定した。

 

 

「ほう、智明は戦艦と伊401が建造できたレシピで…芳彦は空母…いや戦艦かどっちになるんだ?」

 

 

 甚助が確認すると共にクレーンに吊るされたコンテナが運び込まれて来る。運ばれた資材が魔方陣に設置され口寄せの儀が開始される。

 計器のパネルには…

 

智明側は『艦種・潜水艦 建造時間・03:20:00』

 

芳彦側は『艦種・航空戦艦 建造時間・06:40:00』

 

 と表記されていた。

 

 

「潜水艦の方は過去のデータ通りだが、航空戦艦を建造で呼び出すのは初めてか…はてさて、何が呼ばれるやら?」

 

 

 甚助の指示で妖精さん達が資材へバーナーの炎を浴びせ、完全に召喚された御霊と適合者が一つになる。

 

 

Bonjour(こんにちわ), tout le monde(皆さん)Croiseur sous-marin(巡洋潜水艦)の『Surcouf(スルクフ)』よ。母国で1隻だけ作られた大型潜水艦でもあるの、宜しく頼むわ」

 

 

 金糸の様な輝く金髪をウォーターフォールにし、側面に赤いラインが伸びる灰色基調のダイバースーツ姿の艦娘スクルフは笑顔を智明達に向ける。

 

 

「日本国海軍戦艦 虎狼型航空戦艦『虎狼』だ、宜しくな!」

 

 

 褐色肌で灰色のショートヘアに巫女服姿の艦娘、虎狼はV字型の甲板を模したボウガンを構えながら不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

「フランスの潜水艦に……変わった航空戦艦だな。お? フランス艦はデータがあるな」

 

 

 ここにきて智明が史実艦を呼び出した事に意外そうな表情になる甚助。しかし、すぐさま嬉しそうな表情に変わる。

 

 

「ま、何にせよ実験は大成功な訳だ。これから建造スペースも忙しくなるぜ!」

 

 

 斯くして、智明達の初となる建造は大成功に終わった。




現状報告
・建造に挑戦した!
・駆逐艦『サンダー・チャイルド』を建造した!
・駆逐艦『峰月』を建造した!
・楔艇母艦『来光』を建造した!
・軽巡洋艦『石狩』を建造した!
・装甲空母『関ケ原』を建造した!
・潜水戦艦『大禍津』を建造した!
・軽空母『尊氏』を建造した!
・砕氷戦艦『ピョートル1世』を建造した!
・潜水艦『スルクフ』を建造した!
・航空戦艦『虎狼』を建造した!


ユニットデータ
艦名:サンダー・チャイルド
艦種:水雷衝角艦(史実におけるA級駆逐艦がモデルの一つ)
原作:宇宙戦争
サイズ
・全長 61.0m
・全幅 6.2m
・基準排水量 320t
・機関出力 4800馬力
・速力 27.0ノット
・航続距離 11ノットで1170浬
武装(A級駆逐艦を参考)
・衝角
・40口径7.6cm砲:1門
・40口径5.7cm砲:3~5門
・45cm単装魚雷発射管:2基

艦名:峰月
艦種:睦月型13番駆逐艦
原作:真珠湾ようそろ
サイズ
・全長 102.0m
・全幅 9.0m
・基準排水量 1,315t
・機関出力 385,00馬力
・速力 37.0ノット
武装(尚、睦月型後期の基本武装である)
・12cm45口径砲:2基
・12.7mm機銃:27基
・61cm魚雷発射管:6基

艦名:来光
艦種:楔艇母艦
原作:暁の鎮魂歌
サイズ
・全長 152m
・基準排水量 6880t
・速力 25ノット
武装
・10cm連装高角砲:4基
・25m三連装機銃:8基

艦名:石狩
艦種:石狩級軽巡洋艦(空母直衛艦)
原作:レッドサン・ブラッククロス
サイズ
・全長 195m
・基準排水量 12,100t(13,300t)
・速力 35.7ノット
武装
・65口径10cm連装砲:10基 20門

艦名:関ケ原
艦種:関ケ原級航空母艦
原作:装甲空母「関ヶ原」
サイズ
・全長 269.0m
・全幅 40.5m
・基準排水量 38,200t
・機関出力 180,000馬力
・速力 33.0ノット
・航続距離 18ノットで12000浬
・甲板装甲 飛行甲板:50mm程度+20mm
・舷側装甲 127mm
武装
・40口径12.7cm連装砲:6基 12門
・25mm 三連装砲:10基 同単装21~63基
・艦載機(約70機)

艦名:オオマガツ(大禍津)
艦種:超力戦艦(潜水戦艦)
原作:葛葉ライドウ対超力兵団
サイズ
・全長 230m
・全幅 31m
・基準排水量 45000t
・機関 衛星タイイツから送られる永久機関のエネルギー
武装
・2連装30cm砲塔:5基 10門
・15cm副砲:12門
・酸素魚雷:4門
・超力光線(指向性荷電粒子領域発生器または拡散式荷電粒子砲) 2基

艦名:尊氏
艦種:軽空母(護衛空母)
原作:旭日の艦隊
サイズ
・全長:213.5m
・水線幅:23m
・排水量:17,200t(基準)・20,200t(満載)
・機関:艦本式COSAD(8万馬力)
・最大速力:29ノット
・飛行甲板(全長:204m、幅:24m)
武装
・15cm65口径成層圏単装高角砲:3基(前:1・後:2)
・10cm65口径連装高角砲:8基
・25mm3連装対空機銃:10基
・17.8cm25連装対空噴進砲:4基(飛行甲板後部に格納装備)
・電波妨害用金属片発射機:2基
・熱戦放射欺瞞弾発射機:3基
・艦載機:37機前後

艦名:ピョートル1世
艦種:ピョートル1世級砕氷戦艦
原作:双頭鷲の紋章
サイズ
・全長 160m
・全幅 35m
・基準排水量 24.200t
・主機 ターボエレクトリック3軸
・機関出力 40.000hp
・速力 20.0ノット
武装
・35.4cm 45口径連装砲:4基
・15cm 50口径連装砲:6基
・10.2cm 連装高角砲:4基


艦名:スルクフ
艦種:巡洋潜水艦
原作:??
サイズ
・全長 110m
・全幅 9m
・吃水 7.2m
・基準排水量 2880t(水上)、4304t(水中)
・機関 水上:ズルツァー式ディーゼル機関2軸、水中:電動モーター
・出力 水上:7600馬力、水中:3400馬力
・速力 水上:18.5ノット、水中:10ノット
・航続距離 水上:10ノットで10000浬、水中:5ノットで60浬
・テスト深度 80m
・乗員 118名
武装
・550mm固定式魚雷発射管:4門(前部)
・550mm旋回式魚雷発射管:4門(後部)
・400mm旋回型雷発射管:4門
・203mm50口径連装砲:1基
・オチキス 37mm(50口径)単装機関砲:2基 2門
・オチキス 13.2mm(76口径)連装機銃:2基 4門
・MB411水上機 1機


艦名:虎狼
艦種:航空戦艦
原作:旭日の艦隊
サイズ
・全長:219m
・水線幅:29m
・基準排水量:27,900t
・最高速力:32ノット
・機関:艦政本部式COSAD
・軸馬力:13万馬力
・飛行甲板
・全長:160m(両舷)
・幅:16m
・エレベーター:1基
・カタパルト:2基
・装甲
・飛行甲板主要部:102~127mm
・司令塔、主砲、弾火薬庫、揚弾筒:150~350mmCNC鋼板

武装
・36cm45口径3連装主砲:2基(前面)
・15cm65口径成層圏単装高角砲:2基
・10cm65口径連装高角砲:8基
・25mm3連装機銃:11基
・61cm長魚雷発射管:5門(前:1・後:4)
・32cm3連装対潜短魚雷発射管:2基
・前甲板噴進弾垂直発射機:10基
・Y型爆雷投射砲:1基
・爆雷投下装置:2基
艦載機
・艦上攻撃機
 ・噴式攻撃機『光武』(光武改)
 ・噴式攻撃機『天鬼』(カンダラクシャ基地攻撃時)
 ・レシプロ雷撃機『雷華』
 ・対潜攻撃機『稲妻』
・電子作戦機
 ・警戒管制機『星鵬』
 ・警戒管制機『飛鴎』



本作における建造の工程
1.術式を書き込んだ魔方陣に必要数の資材を置く。
2.術者達が魔方陣を囲み、艦艇の御霊を召喚する『口寄せの儀』を行う。
3.必要時間が経過すると呼び出す御霊が資材に宿る(確実に呼び出せる訳ではない)。
4.艦娘の適性者の中から御霊に適合する者に御霊が憑依する。
5.艦娘建造完了。


次回は横須賀鎮守府見学の予定。


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