海底基地
南西諸島防衛線海域解放の為には空母ヲ級を旗艦とした敵機動艦隊を撃破しなければならない。智明達は航空戦力の確保と対空戦に慣れる為、敵前衛艦隊への襲撃を繰り返していた。しかし、軽空母はダメージ調整が難しく、中々戦闘不能状態に出来ず、鹵獲出来ないでいた。ただ、積極的に敵軽空母と戦わせた為か、元々経験豊富であったのかヌ級ことハクは仲間になって2週間でヲ級に進化した……進化の際コンテナ4つ分が空になったが…。
他に夕張と夕立が改に強化され、ウィザードが軽巡洋艦ホ級に進化した。
「ヲ、ヲヲ」
「ヨッヨヨヨ」
「リリ?」
「ル~ル」
上陸可能なメンバーが増え、ブティク達は仲良く会話していた。ヌ級は手足が生えているので陸に上がる事は出来たのだが、水中の方が良いのかハクはコーバック達とドックのプールで遊んでいた。
「ホ、ホホ~」
「ヲヲ?」
コーバック達に呼ばれ、ハク達はプールへ駆けていった。
その様子を見ながら智明は呟く。
「ハクがヲ級に進化したのは良いけど、どうしたものかな?」
「こちらが空母1隻に対して相手は2隻なのです」
「1:2じゃ辛いっぽい?」
電と夕立が現状について意見する。因みに智明は艦娘3人とドックに置かれているテーブルで一服している。
「そんなに気にする必要は無いんじゃない?」
そう言うのは夕張、緑を基調としたセーラー服の上に科学者が着るような白衣を纏っている。
「確かに航空戦力に差はあるけど、新しい対空武装を開発したでしょ?」
「それはそうだけど…」
「智明はネガティブ過ぎよ。慎重なのは良い事だけど、過ぎたら皆の志気に影響がでるわ」
「う…ごめん……」
夕張の言葉に智明は申し訳無さそうに謝る。
「でもその考えが悪い訳でも無いわ、時と状況を考えれば良いの。智明の考え方は貴重だから」
「電達の事を心配してくれるのは嬉しいのです。でも背負い過ぎて欲しく無いのです」
「私達も頑張るっぽい!」
「皆……」
「ヨ、ヨヨ~」
智明の後ろからプールへ行っていた筈のブティクが抱き付いてきた。テーブルの回りにヴァーチ達もやって来た。
「リ~」
「ル、ルルル」
「ヲッヲ」
プールにいる上陸出来ない娘達も含め、智明を元気づける様に皆が声を上げる。智明は胸が暖かくなった。
「皆、有難う…」
彼女達に智明は微笑んだ。
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南西諸島防衛線
雲一つ無い快晴の下、智明達はこの海域の制圧を指揮している機動部隊と相対した。
敵の規模は空母ヲ級2隻、重巡洋艦リ級2隻、軽巡洋艦ヘ級、駆逐艦ニ級の6隻。既に艦載機が飛び立っており、ヲ級の回りを飛び回っていた。
対する智明達の編成は電、夕張、夕立、ブラス、ハクの6隻だ。
空母ヲ級達の回りを旋回していた艦載機が智明達へ向かって来る。その数は100機はくだらないだろう。
【夕張ちゃん、指揮は頼んだよ?】
「大丈夫よ智明、貴方は自分のやるべき事をやって」
【ああ……】
智明は先に潜航しており、敵艦隊の真下から攻撃するべく移動していた。
「心配しないで、私達は負けないわ」
【…信じてるよ】
まだ不安そうな声であったが、智明からの無線はそれっきりだった。
「皆、『対空特殊弾頭』準備。ブラス、ハクは後ろで待機、良いわね?」
「はいなのです!」
「了解っぽい!」
「ルル!」
「ヲ!」
智明の無線からの指示に電達はロケットランチャー射出口を展開する。狙うは敵飛行隊の中央部、飛行隊は夕張達を沈めるべく迫ってきている。
「撃てぇ!!」
「特殊弾頭を受けるのです!」
「ステキなパーティ、始めましょっぽい!!」
夕張、電、夕立がミサイルを放つ。ミサイルは飛行隊へ真っ直ぐと飛んでいくが、敵艦載機は撃墜するのは弾丸の無駄と思ったか射線上に載らない様にずれただけであった。そしてミサイルが飛行隊を通り過ぎようとした時………
ミサイルが大爆発した。
夕張達艦娘が放った『対空特殊弾頭』は対空武装として智明と夕張が開発した燃料気化爆弾搭載ミサイルだ。3カ所で発生した3000°近い高温と爆風による衝撃波によって100機近い艦載機達は一瞬にして消滅した。
「次! 『零式ハープーン』準備、ハクは艦載機を発射と同時に出撃!」
夕張の号令に各自が直ぐさま準備をする。ハクは艦載機を周囲に展開し、何時でも敵を攻撃できる様にしていた。
「放てぇ!!」
再び艦娘3人がハープーンを2発ずつ発射する。放たれた『零式ハープーン』は智明が開発したハープーンの廉価版である。射程距離や火力、索敵の精密性が落ちているが60~70kmの射程距離は十分通用する。
ミサイルと共にハクの艦載機が敵艦隊へ突き進む。100機近い艦載機を一瞬で全滅された事に流石に驚いたか、若干の混乱が起きている。其処へ零式ハープーンが容赦なく襲い掛かる。いち早く反応出来たヘ級が6inch連装速射砲で、ニ級が5inch連装砲を使って迎撃し、6発中3発が敵艦隊間近で爆発、残り3発がヲ級1隻、リ級2隻に直撃した。火力が落ちているため、轟沈にまでいかなかったが、直撃した敵艦はいづれも中破。更にヲ級は艦載機を搭載している頭部に直撃した為、装備を全て無くしていた。
ダメージを受けた敵艦隊へハクの艦載機達が襲い掛かる。装備が無事だった方のヲ級は慌てて艦載機を飛ばして迎え撃つ。
「空母1隻を無力化出来たわね、ブラスを先頭にして突撃!」
夕張の声に進撃を開始する。
リ級、二級達が21inch魚雷前期型で反撃を始めるが放たれた魚雷は夕張達に届く前に爆発する。
「やらせはしないさ…」
潜航中の智明がグランパスを出撃させて破壊したのだ。
「一気に片付けるわよ、ブラス!!」
「ルルルルー!!」
夕張の指示に従いブラスの16inch三連装砲が火を噴く。真っ直ぐ飛んでいく砲弾が艦載機を迎撃しているヘ級に直撃し轟沈させる。
「命中させちゃいます!」
電の放った61cm魚雷がリ級を大破させる。
「ぽぽい!」
夕立が10cm連装高角砲でニ級を真っ二つに撃ち抜いて沈める。
「重巡洋艦だからって負けないわよ!! どーぉ、この攻撃はっ?」
夕張が14cm単装砲で牽制しながらリ級を『近距離ロケット弾』で吹き飛ばす。
「ヲヲッヲー!!」
ハクが敵ヲ級の艦載機を攻撃し、夕張達を護る。
「皆が頑張っているんだ、僕だって!!」
グランパスを用いて敵の魚雷を無力化しながら、智明の53cm艦首(ポンプジェット)魚雷が装備を破壊したヲ級を撃沈させる。輪形の陣形を組んでいた敵機動部隊の陣形は崩れ、乱戦となっていた。
爆撃しようと迫ってくる敵艦載機をファランクスで撃墜していた電はある影を視界に捉えた。
「智明さん! 向こうから新たな敵影が!!」
「やっぱり来たか……」
水平線の上に映る艦影に智明が舌打ちする。
その数は6つ、戦艦ル級を旗艦とする敵支援艦隊だ。
「警戒していて正解だったね。ブティク、作戦の通りだ。連中の迎撃を開始してくれ」
【ヨヨー!】
無線からブティクの返事が聞こえる。
智明はもしもの時を考え、グランパスとフリッパーを用いて警戒していたのだが、敵の支援艦隊が本来の周回ルートを外れ、敵機動部隊の近くに位置していたのだ。この事を警戒した智明はブティクを旗艦とした艦隊を深海棲艦狩りに行かせず、後方に待機させていた。
「後少しだ、畳み掛けるよ!!(頼むよ、ブティク達……)」
「「「了解!!」」」
「ルル!!」
「ヲ!!」
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「ヨヨッヨー!!」
ヴァーチ達と激しい砲撃戦を繰り広げる敵艦隊の真下からブティクが必殺の魚雷攻撃を行う。戦艦ル級を旗艦とした、雷装巡洋艦チ級2隻、軽巡洋艦ヘ級、駆逐艦ロ級2隻の艦隊は死角からの攻撃に大打撃を受ける。続いてヨ級が搭載しているフリッパー2隻が追撃を行い、ロ級1隻が轟沈しもう1隻は大破、ル級やチ級、ヘ級も中破以下のダメージを受けた。
「リ! リリ!」
ヴァーチが固まっていたへ級とロ級へ8inch三連装砲と21inch魚雷前期型を叩き込み、大破状態のロ級は為す術も無沈み、ヘ級も撃破される。
「チッチチー!」
ヴァーチを攻撃しようとするル級をヨハムが5inch単装高射砲と21inch魚雷前期型で攻撃し、武装を破壊する。
「ホホホ!」
「ホホー!!」
同じ軽巡洋艦ホ級であるコーバックとウィザードが敵チ級へ魚雷を放ち、チ級は同じく魚雷で迎撃するも2隻同時の攻撃を防ぎきれる訳も無く轟沈する。
「ヘッヘッヘ!!」
チ級の砲撃を避けながらビフトが6inch連装速射砲を撃ちまくる。そこへフリッパーが援護に30cm魚雷を放ち、仰け反ったところを近距離ロケット弾で止めを刺した。
「ヨヨヨヨヨー!!」
「リリリー!!」
残ったル級をブティクは海中から魚雷で、ヴァーチは飛び掛かって上から8inch三連装砲で挟み撃ちにして撃沈した時、戦いは終結し、南西諸島防衛線海域は開放された。
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「助けてくれて有難う、私は……って深海棲艦!?」
「ま、待って欲しいのです!!」
「この娘達は味方っぽい!!」
海域解放後、何時も通りに捕まった艦娘がいないか確認したら近くの島に捕らわれていた。
案の定、ブティク達の姿を見た時に一悶着あったが智明と夕張達の説得でなんとか納得してくれた。
「…それじゃあこの娘達は味方な訳ね?」
「ああ、理由をちゃんと説明出来ないから信じられないと思うけど…」
「良いわ、助けてくれた恩人だもの。信じるわ」
「そっか…有難う」
「それじゃあ改めて、千歳です。日本では初めての水上機母艦なのよ。よろしくね!」
新たに水上機母艦 千歳型 1番艦『千歳』が仲間になり、智明達は海底基地へ帰還した。今回の解放戦でコーバックが潜水艦カ級に、ヨハムが戦艦タ級、ビフトが雷装巡洋艦チ級に進化した。御陰でコンテナの残骸が殆ど無くなり。収入はほぼ0であった。
戦力が強化された事に喜びながら、今後の遣り繰りに頭と胃袋が痛くなってくる智明であった。
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南西諸島海域 カムラン半島
「第3攻撃隊、出撃」
青年の言葉と共に艤装の甲板から戦闘機と爆撃機が飛び立っていく。青年の視線の先には艦娘達が敵護衛空母群と激しい戦闘を繰り広げていた。
敵艦隊が6隻に対し、艦娘達は4隻。更に敵艦隊には軽空母ヌ級が2隻おり、艦娘達を沈めるべく艦載機を飛ばしている。しかし、艦載機達は艦娘へ攻撃する事無く撃墜されていく。
何故なら、艦娘達の周囲を青年が飛ばした戦闘機達が飛び交い、爆撃、雷撃しようとする敵艦載機を直ぐさま撃破しているからであった。青年が率いる飛行隊は数では劣っているが、その技量の高さで片っ端から敵艦載機を撃墜していく。更に隙を見てはヌ級達に魚雷を放ってダメージを与えている。
そんな飛行隊の援護も相まって艦娘達も奮戦し、敵艦隊は壊滅した。
「皆、被害は無いか?」
「大丈夫よ司令官」
「羽黒さんが小破した位です」
「アレ位大した事無いさ」
「そっか、”いかずっちん”に”ぬいぬい”、”きそちん”もお疲れ」
青年に渾名で呼ばれ、応えるのは駆逐艦 暁型 3番艦『雷』と陽炎型 2番艦『不知火』、軽巡洋艦 球磨型 5番艦『木曾』。そして彼女らの後ろから巡洋艦 妙高型 4番艦『羽黒』が付いて来た。
「”はぐろん”も有難う、大変だったろう?」
「そ、そんな…私なんて被弾して小破してしまったのに感謝なんて…」
「も~、はぐろんはネガネガし過ぎだっての!」
「ひゃあ、し、司令官さん…」
青年が笑いながら羽黒の頭を撫でる。
羽黒は顔を真っ赤にしながらも嬉しそうに撫でられていた。
「司令、捕らえられていた艦娘を救出しました」
「ん、報告有難う。ぬいぬい」
不知火が敬礼をし、青年に報告をする。その後ろから髪の両脇をお団子にした元気そうな女の子が青年の元にやって来た。
「君が新しい艦娘か?」
「艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー。よっろしくぅ~! ええと……マネージャーさんも艦娘なの?」
「男だけどな、空母をやっている」
「男の艦娘なんて初めて見たよ! いや男だから艦男かな? う~ん語呂が悪いな~」
「まぁ、宜しく頼むよ”なかちん”」
「な、なかちん!?」
「那珂だからなっちん。渾名だよ」
「う~ん、那珂ちゃんはアイドルだから渾名もアリだけど~」
「断っても無駄よ、司令官は渾名でしか呼ばないから」
う~んと悩む様子の那珂に雷がそう言う。彼女達は青年に出会った際、皆が渾名を付けられ、その渾名で呼ばれていた。一部の艦娘は抗議したが彼は断固として渾名以外の呼び名で呼んでくれなかったので皆諦めた。
「良し、では『函南艦隊』、これより基地へ帰還する」
「「「「了解!」」」」
「ヒテン? それがマネージャーさんの名前なの?」
「俺と言うよりこの艤装の名前だな。詳しい説明は基地へ帰ってからだ」
そう言って青年は二カッと笑いながら、那珂に手を差し出した。
「俺の名前は
現状報告
・新武装を開発した!
・ハクは進化して空母ヲ級になった!
・ウィザードは進化して軽巡洋艦ホ級になった!
・夕張は強化して夕張・改になった!
・夕立は強化して夕立・改になった!
・南西諸島防衛線を解放した!
・水上機母艦 千歳型 1番艦『千歳』が仲間になった!
・コーバックは進化して潜水艦カ級になった!
・ヨハムは進化して戦艦タ級になった!
・ビフトは進化して雷装巡洋艦チ級になった!
・南西諸島海域へ出撃可能となった!
正直遣り過ぎた気がする……
最後に登場した
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