前に書いた4話分までストーリー的には同じ流れな感じですが、全部消して表現する方法・文を変えてみています。
前より読みやすくなっていれば良いと思ってくれると嬉しいです。
やっと3話目まで書けました。
ヒロイン的艦娘に出会った後は、宿泊施設のチェックインに進んで、という感じです。
体調の関係で、投稿が予定より遅れてしました。
ヒロイン的艦娘の口調がちょっと違うかもしれないですが、海のような広い心で受け止めてくれると嬉しいです。
後半の宿泊施設のチェックインのシーンは、書くか迷いましたが、雰囲気作りの為に書いてみました。
赤い着物の少女は身だしなみを整えなおして、彼に少女の自身を伝える。自分は──
「私は『
──人では無いと、艦娘である事を伝える。海軍が定めた正式名称は
「艦娘!?あなたは艦娘なんですか!?」
「えぇ、そうよ。小娘……だなんて驚いた?ふふっ」
「いえ、そんな事は……」
頭を殴られたようだ言える新たな驚きが、彼に襲い掛かる。目の前の少女が妖精が見て話せると言った後に、自分は艦娘だとカミングアウトしたのだ。
心が揺さぶられるのも、これでは避けようがないだろう。なにせ彼の理解者と偶然出会い、そしてそれが待ち焦がれた憧れの艦娘という存在だったのだから。
なんというご都合主義な展開か、それとも避けられない運命という悪魔の囁きか。だが、少女の次の言葉で、否応無しに現実に引き戻される事になる。彼の身に関わる話題に移ったからだ。
「春日君で良かったかしら?提督候補生なら、あなたも明日出る
「はい、その予定で本日こちらに伺いました。あの……船の護衛は、神風さんが一人でやるんですか?」
「さすがに一隻じゃないわ。明日の護衛は、わたし含めて三隻であたるわよ」
艦娘が護衛してくれるとの話だが、このような少女がたった三人で、しかも海上での護衛が務まるのだろうか?
「三人ですか……、大丈夫なのでしょうか?艦娘が戦う姿を見た事が無いので、少し心配で……」
「何回か護衛任務を受けてるけど、これでも深海棲艦を数回か追い返しているのよ。心配し過ぎというのは、わたし達に失礼だと思わない?」
「こういう事って詳しくないので、良くわからなくて……」
「はぁ……、本当に知らないって顔してるわね。護衛を受けるのも、仕事の一つだと思えばいいわ」
「そうですね、そう思うようにしてみます」
彼としては、先日投げ捨てるように散乱した書類を、その時に見て知った馴染みの無い話だ。はたして、艦娘の力というのがどれほどか。そして、彼は実際に駆逐艦
そんな姿を晒しては、赤い着物の少女も不安を覚えてたのか、逆に励まされてしまったようだ。……とは言え、このままでは話が進まない。今回の話、彼の方が受け手になるならば、ここは素直に頼るのも一興であろう。
「じゃあ、明日の護衛、よろしくお願いします!」
「はい、任されましたっ。大丈夫よ!これでもわたし結構強いのよ?」
本来護衛任務というのはピクニックのようなものでは無く、ましてや遊び感覚の甘ったれた遠足のような話ではない。護衛対象の命を守れと言われているのだ。そして、状況次第では
目の前の少女──
2人の話が盛り上がり始めているが、残念ながらのんびりと話が出来る時間は少ない。彼等の宿泊先となる施設に、早々にチェックインしなければならないのだ。その受付終了時間が迫っている。その事を思い出し、彼は少し慌てながらも話を進める。
「っと、すみません、そろそろ移動しないと……」
「ごめんなさい、引き止めちゃったかしら?時間が無かったのね」
「急げば間に合うと思うので。ちなみにですが、この近くに
「えぇ、この公園を抜けて海岸側の方にあるわよ。良かったら案内するけど、どうかしら?」
「それは助かります!ぜひお願いしたいです」
「ふふっ、施設までの
どうやらこの
「おーい!みんな行くぞ!」
「はーい!あたい達以外の妖精、初めて会ったからイロイロ話したよ!楽しかった!」
「そうかそうか、それは良かった」
「あなたも楽しめたかしら?」
「……うん、楽しかった」
「それは良かったわね、」
お互いに
昨日と今日は、彼にはある意味激動の時であった。実家から勘当され、青森県まで長旅をして辿り着き、その先で名も知らぬ美少女に声をかけられる。しかもその正体は艦娘で、妖精まで連れていたというオマケ付きで、だ。なんという常識外れの出来事か。
これでは、出来損ないの小説に描かれた、三流の主役のようではないか。そう思えなくも無いが、残念ながら
そんな彼の不安を感じ取ったのか、
「そうそう、今日の護衛は明日の件とは別料金よ?」
「えぇぇぇ!?お金取るんですか!?」
「もちろんよ、お仕事には対価が必要なのよ?」
「いやー、案内してもらうのに対価と言われても……」
「あぁ、そうそう、この先にお気に入りの美味しいカレー屋があるのよね、それで手を打ってあげるわ」
「うぅ……美味しいカレー屋ですか、じゃあ今度ご馳走させてもらいます」
「ふふっ、期待して待ってるわ」
このやり取りのおかげで、彼の不安も少しは紛れた様子だ。笑顔で少女との雑談を進めながら、宿まで足を運ぶ事になる。早く一息つきたいものだ。
・
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「(それにしても、本当に驚いたわ)」
春日家と言えば、とある地方政治家で有名所の家系だと噂されている。その噂というのは、もちろん良い話だけでは無く、悪い方の話を含めてだ。その政治家の長男が、先月辺りに提督候補生に正式入学となったのだという。これは神風の耳にも届いてはいたが、知る程度はその辺りまで。
この手の"流し込み"は、何件か見た事がある。権力者の身内を、裏口から提督候補生として配属させるという単純な話だ。「UFF判定装置」の検査結果を偽る事は、常套手段の代表例だ。仮に「提督の力」を検知したとしても、不足した結果を捻じ曲げる。一部の権力者は、保身の為に政府の後ろ盾を得ようと、このような過ちを犯す。
そも提督候補生になる事は、後に政府の命で提督として死地に向かう事を意味する。知ってか知らずか、訳もらからず命を散らした者は、
それなら気を紛らわせばと、気分転換しに公園で佇んでいたのだ。今の彼女が、一時的に気を休めるにはこれで十分だった。
そこにあの男性がやって来たのは、本当の本当に偶然。しかも名を訪ねると、あの春日家の名を口にしたではないか。べつに少女は、この男性を待ち伏せしていたわけでは無いのだが……いや、ここまでくると必然と言える程の事。偶然にしては、余りに過ぎた話と言えるかもしれない。
そんな衝撃的な出会いをした男性の第一印象は、悪い噂なんて簡単に吹き飛んでしまう程の「普通の青年」。そして──
「(春日君の「提督の力」、今まで感じた事の無いくらいの力だった)」
──そう、今までに感じた事の無い、圧倒的なんて言葉が安っぽいと言える程の「提督の力」を感じた事。いや、そもそもアレは「提督の力」だったのだろうかと、自分の感覚を信じられなくなる程の強烈なもの。「UFF判定装置」が計測時に壊れてしまってはいないだろうかと、そう心配してしまう程のものだ。追い打ちをかけるように、女神クラスの妖精を連れて居た事に、彼女も本当に驚いた。それを必死になって隠そうとする程に。
「(女神クラスの妖精を3人も携えて、それも従わせてるんじゃなくて愛されてた)」
春日家の悪い噂が本当なら、妖精達にアレほど好かれていないだろう。場合によっては、弱みを握られて従わされているという場合もあるだろうが、そんな心配は要らなかった。雰囲気からも邪な考えを感じないし、3人の妖精を本当に大切にしている様子だった。
本当に良かった、こんな優しい人が提督に……司令官になってくれるなら、きっと艦娘を良い方向に導いてくれるだろう。そう期待感が持てるような男性だった。まるで白馬の王子様のようだ、そのような都合の良い事などあるはずは無いが。
「(春日君が指揮官になってくれたら、艦娘の皆を導いてくれるような人になるかもしれない……と期待してしまうわ)」
しかし、違和感もあった。確認したわけでは無いが、提督業に関する知識が乏しい……いや偏っているように見えた。
「(「提督の力」の事情を知らない、でもその本質は理解している、そういう感じだったわ)」
「提督の力」については、その歴史や関連する重要事項、艦娘の事もあまり良くわかっていない。いや艦娘を知らない様子だったのは驚いた。普通は
なのに、自身が持つ力そのものは知ってる様子で……いや違う。その力の本質を理解している……そう印象付ける感じだった。そうで無ければ、あそこまで妖精に懐かれる事は無いだろう。
──と、ここまで考えてはみるが、突拍子の無い事が多すぎて、つい余計な事まで考えていまう。これ以上の要らぬ詮索はここまで。深く知るのは、明日でも遅くはないだろうという事だ。
そのような事を
「ここが受付所よ、さぁ入りましょう」
「案内ありがとうございます、助かりました」
さっさと受付所で手続きを済ませて、早く妖精達を休ませたい。もう少しの辛抱だ。
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神風の案内で大湊湾に着くと、何やら大掛かりなテントに、一目散に歩いていく。
近づいて良く見ると、入り口前にディスプレイモニターが設置されていて、そこには「提督養成学校 候補生受付所」と表示されていた。どうやら、ここが今回の目的地らしい。
「失礼致します!『
──何かを宣言するかのように、中の人に伝えていた。
彼もそれに続くと言わんばかりに、入り口付近に居る警備員に、候補生の受付票を提示して入り口に立ち、神風と同じように挨拶をする。
「失礼致します!提督候補生
彼はこのような挨拶になれていないが、自分なりに失礼が無い様に挨拶し、神風に続いて中の人に伝えて入室する。
・
・
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これ以降は、彼が専用船に乗る為の手続きが、淡々と進められるだけ……とはならず、一悶着あるようだ。書類手続きの作業、態度や口調も、思いのほか乱暴に進めてられていく。
これら手続きが行われている場所は、臨時で設置されている「提督養成学校 候補生受付所」と呼ばれているテントの中だ。
テントと言うより「素材が布で出来た家」と言った方が、より近い表現と言える程のものだ。お遊びのキャンプ等とは違う、軍事野営を行うに適した移動出来る施設と言えよう。
そのテントの中は、外見だけでなく内装も豪勢だった。とてもテントとは思えないしっかりした作りで、内装だけ見たら普通の建物の中と思える程だ。
「おまえが提督候補生か、ここは何時から託児所になったんだ?」
開口一番、決して友好的とは言えない態度で、担当の男たちは接してきた。一見すると歴戦の戦士と言えば頼もしい者を印象付けるが、人は誰しもが優しい心を持っているわけでは無い。目の前で対峙する男たちは、威圧を込めて彼と応対する。少なくとも、優しい心は持ち合わせていないようだ。
「さっさと受付表を出せ、早くしろクソガキが!」
「はい、すみません、こちらになります」
受付表を含めた複数の書類を、急かす目の前の男に渡す。すると、眉間にしわを寄せて嫌味を口にした。それもそのはず、彼は──
「へぇ、あの春日家のおぼっちゃんか。こんな奴が
「UFF判定──
「いえ、そういうわけでは……」
──あの悪名高き春日家の長男なのだから。
表に公表されていないが、海軍と繋がりのある、あの
男たちは渡した書類をペラペラ捲っていくと、再び口を開く。先ほどより強い嫌味を添えて、相手を馬鹿にし軽蔑する口調で。
「それで?そのクソガキは、提督に就く為に家族との縁を切ったと……。なんともまぁ、
「ハッ!どうせ「提督の力」なんか持ってない偽者だろ。将来の約束された役職に、目でも曇らせたかってか?提督なんて、命が幾つあっても足りないってのにな!」
「そうだそうだ、提督ってのは怪我したら辞めるじゃ済まねぇ仕事だ。切り傷で泣いちまうお子様は、さっさとママの所にでも帰んな!」
「……いえ、もう家には帰れませんので、手続きをお願いします」
なんとも手厚い歓迎のようだが、今の彼には逃げるという選択肢は存在せず、這ってでも先に進まなければならない茨の道のみ。世間を味方につけた父親に勘当をされたのだ、もう
「……ちっ!まぁいい、おまえがいくら困ってようが、もうパパにおねだりは出来ねぇぞ?」
「あの船に乗ったら、今までの生活は望めないぞ?せいぜい、痛い目見て後悔するんだな」
中学高校に進学してからは、妖精が見て話せるという話を広めた事が、彼を孤立させる最大の起因だった事は明白。しかしその本質は、春日家という政治家の息子だという色メガネ、そして偏見。これを通じて見られている事の全て、それが「
「はい、肝に銘じておくようにします」
それまでと同じく、ここでも春日家と言われるだけで奇怪な目を向けられた。
そう、これは良くある、彼が差別を受けただけという話。