所属不明機の襲撃によって有耶無耶になってしまったクラスリーグマッチ当日の夜。
愛のs……二人の寮部屋に帰ってきたセシリアはエイダの膝で泣いていた。
エイダの与り知らぬところでブリュンヒルデに何やら虐められたらしく、珍しく自信を引っ込めてしまっていた。
「(これは後で抗議しなければ……!)」
流石に泣く子に不埒を働く気にはならないのか、純金の髪に手櫛を入れながらブリュンヒルデに対峙する決意を抱いたエイダはキリリと顔を引き締めた。
しかし、その為にもまずは何があったのか聞き出さなければならない。
腰をホールドする腕をやんわり解いてから寄り添うように寝転がると、頭まで布団を被せて二人だけの空間を作る。
涙に濡れた青い瞳に見詰められるとエイダの愛が込み上げてくる気がしたが、今はそれを抑えてセシリアの涙を袖で拭った。
背中を撫でながら極力柔らかく優しい声を心掛ける。
「何と言われてしまったんですか?」
「ぐす……織斑さんを助けに行こうとしたらっ……織斑先生にお前は集団戦の訓練もしてなければ機体も向いてないから足手纏いだと……私何も言い返せなくて、友人の危機に何もできず……」
宥めながら今日何があったのか聞いている内に事情が呑み込めたエイダは少し強めに抱きしめてセシリアの頭に何度もキスをした。
「悔しかったのですね。よしよし。大丈夫ですよ。確かに私たちは先生や先輩方に比べて訓練が足りてません。今回は力及ばずでしたが、明日からどんなことも対応できるように一緒に訓練しましょう?」
「ぐす、はい……」
「それに織斑先生も肉親の危機や予想外の事態で言い方が厳しくなったのかと。現に最後は援護できたんですから」
エイダの谷間に顔を埋めて愚図っていたセシリアも気分が落ち着いたようだ。
随分と気が緩んでいるのか、初めてセシリアの方から積極的なスキンシップをしている。
そんな甘えたな彼女がよほど嬉しいのか、笑顔十割増しのエイダはつい手癖でブラのホックを外してしまった。
不意にふっと胸が楽になり、思わず顔を上げたセシリアは今までになく笑顔のエイダと顔を突き合わせることになる。
唇に感じるエイダの吐息で覚悟を決めた彼女が顎を上げようとした瞬間、人差し指が間に割り込んできた。
とろんと垂れていたセシリアの目がショックで見開かれる。
「これでは私が弱みに付け込んで誑かしたみたいです。続きはま・た・こ・ん・ど」
リップノイズを立てて頬にキスしたエイダに恨めし気な視線が突き刺さるも意に介さず。
ひょいと身を起こした彼女はセシリアの手を取ってエスコートするように浴室へ向かった。
もう大浴場の使用時間は過ぎてしまっているから、個室のシャワーを使おうということだろう。
もちろん一人用のユニットバスで二人で入ったりした窮屈極まりないのだが、気にせず入るつもりらしい。
「二人きりで裸の付き合いもいいではないですか。最も、直ぐにベッドでもお付き合いすることになりそうですね」
「エ、エイダさん!?」
流石に雰囲気で流せる範囲を超えたらしい。
真っ赤になったセシリアは非難の声を上げた。
「いいじゃありませんか、今更。ある意味ベッドでの裸のお付き合いしてますし。セシリア様も私の気持ち分かっておられる癖に」
俯いてしまったセシリアの制服を肩まではだけさせたエイダに今度は本気の非難の眼差しが刺さり、小声でズルイだと言われてしまっていた。
しかし、どの道今更。
飄々とセシリアの上着を脱がせると、外れていたブラがぱさりと落ちた。
するとどういう訳か、今まで着替えや何やらで散々全裸を見せ合ってきた彼女が乳房を隠してしゃがみこんだのだ。
可愛らしい悲鳴も上げて。
「セ、セシリア様?何を今更……メイドに見られたくらいで」
「…………れませんわ……」
「はい?」
「もうメイドとしては見られませんわっ」
それはつまりそういうことで。
エイダにとってもこれは不意打ちだったのか、カッと赤面した彼女はセシリアの制服で顔を隠して立ち尽くした。
「エイダさん、タオルを下さいまし」
「は、はい。ただいま」
ここに来てこんな空気になると誰が予想したというのか。
もぞもぞと背中を向けて服を脱いだ二人は狭いシャワールームで居心地が悪そうに眼を逸らしたまま背中を流し合った。
無言のまま、冷えないように寄り添って静々と洗い合う。
いつもの癖でエイダがセシリアの洗髪を始めると、手持無沙汰のセシリアが真似をして、面と向かって髪を洗う滑稽な二人。
結局、寝るまでそんな様子で、にも関わらず同じベッドで寝るという不可解さ。
「セシリア様……?」
「なんですの……?」
「おやすみなさいませ」
「おやすみなさい、エイダさん」
「セシリア様……?」
「な、なんですの……?」
「明日の朝、私の思いを告げてよろしいでしょうか……?」
「…………寝坊は許しませんわよ……?」
「はい」