楽しんでいただけると幸いです。
それではどうぞ。
そして迎えた本番当日。
「ああ、助かった! 羽沢さん、列整理のヘルプお願い!」
「わ、わかった!」
生徒会のメンバーに列整理のヘルプを頼まれたつぐみ。
「う、わあ……すごい人……! 気をつけないと、本当に流されちゃいそう……!」
宣伝ポスターの効果もあるのだろうか、予想以上の人数に驚く。
「よ、よーし……頑張らなきゃっ! 『ロミオとジュリエット』を見たい方は、2列に並んで、ゆっくり入場してくださーい! ゆっくりにゅうじょ……ひゃっ!」
早速、列整理を行うつぐみだが、我先に良い席を取って見ようと人が押し寄せてきた。
「あわわ、人の波に流されて……! ふんばれ、ふんばれ私……っ! お、押さないでー! 押さないでくださーいっ!! わ、わあ~!!」
なんとか人だかりに巻き込まれないように、必死に列整理を行うつぐみだったが、劇を早く見たくて聞こえてないのか、どんどん人は押し寄せて来る。
……というか、人だかりが収まる気配が全くないのは気のせいか?とつぐみは思った。
「ち、千聖さん、瀬田先輩、悠里先輩、麻弥先輩……がんばってくださ~い~!」
人だかりに巻き込まれながらも、つぐみの応援は徐々に小さくなっていくのであった。
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「「……」」
「……(今、入口辺りで、つぐみちゃんの頑張ってくださいって声が聞こえた気が……)」
本番前に千聖、薫が集中してる中、悠里はつぐみの声を受信していた。
正確には、気配を察知したという表現が正しいのだが。
「千聖さん! 薫さん! 悠里さん!」
「麻弥ちゃん。どうしたの?」
「本番前に応援しに来ましたっ。……お邪魔でしたか?」
麻弥も裏方で忙しいだろうにと思いながらも、ありがたい事だと3人は思った。
「いいえ。ありがとう。私は
「あはは……千聖さん、がんばってくださいっ。ジブンも裏方でガッチリ支えますからっ」
「ええ、ありがとう」
千聖と麻弥が話してると、部員がそろそろ本番ですので、準備お願いしますと伝えに来てくれた。
「千聖ちゃん、薫ちゃん。僕はそろそろ持ち場に行くけど……後はよろしく」
「ええ、悠里もね?」
「ああ、任せてくれ。悠里の物語進行も楽しみにしてるよ」
その言葉に悠里は、2人にこう言った。
「……ん。大丈夫、色々と鍛えてますから」
右の手首を回しながら敬礼の仕草し、壇上に上がるのであった。
そして部員が只今より、演劇部による特別公演『ロミオとジュリエット』を上演いたしますの合図と同時にスポットライトが照らされ、悠里が登場する。
「この本によれば、ロミオとジュリエットは様々な困難に直面し……おっと、先まで読み過ぎました」
突然の悠里の登場に、ざわざわする観客の人達。
キャーイケメンよ! とか、もしかしてあの人が物語進行役の人!?等……様々。
「さて。皆さんはともかく、ロミオとジュリエットの2人には少し先の未来の出来事でしたね……」
その言葉を紡ぐと、スポットライトが消えて物語が開始されるのであった。
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「『ああ、ロミオ、ロミオ! どうしてあなたはロミオなの?』」
「『ジュリエット! 私はここだ!』」
「その時、ジュリエットの下にロミオが現れた! 突然の事にジュリエットは驚愕せざるを得ない……」
物語は後半。
千聖と薫が演じ、悠里が登場人物の心境を入れる……
「『ロミオ! どうしてここへ? 家の塀は高くて、乗り越えるのは難しいはず。それに、家の者に見つかればあなたは……っ!』」
「『恋の翼があれば、こんな塀なんてことないさ』」
「『ロミオ……あなたが敵だといっても、それはあなたの名前だけ。モンタギューの名前を捨てようが、あなたはあなた』」
ここから先は千聖が悩んでいたところのシーンかなと……進行役である悠里は見守る。
「『……名前がなんだというの? 薔薇は他の名前で呼ぼうともあの甘い香りは変わらないわ』」
「『……そう。名前など無意味なもの。僕は僕。君は君だ。』」
「『……っ! ロミオ……っ!』」
また意味深いセリフを言っちゃって……と内心思いながらも悠里は最後の進行に移る。
「祝え! 家柄の対立や掟の壁を壊し、愛する人の下に駆け寄るその姿。その名前はロミオ! 今ここにジュリエットと再会した瞬間である!」
舞台を終えると、麻弥がやって来た。
「千聖さん、薫さん、悠里さん、すごい歓声ですよ!」
「本当だね……すばらしい」
「鳴り止まないわね」
「ここまで歓声がなるのなんて中々ないよ……寧ろ、盛り上げすぎたかな?」
悠里の言葉に千聖と薫も、それもあるかもねと言った。
そんな話をしていると部員がカーテンコールをしましょうとやって来た。
「もちろんだよ。行こう、千聖、悠里。歓声が私達を待っている」
「ええ、もちろんよ」
「そうだね。それじゃ早く行きますか」
カーテンコールをするため、観客の下に向かう3人なのであった。
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本日はありがとうございました。