月の少年の儚世に咲く薔薇の名は   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
楽しんでいただけると幸いです。

それではどうぞ。


第5話 不意のアドリブ

そして迎えた本番当日。

 

「ああ、助かった! 羽沢さん、列整理のヘルプお願い!」

「わ、わかった!」

 

生徒会のメンバーに列整理のヘルプを頼まれたつぐみ。

 

「う、わあ……すごい人……! 気をつけないと、本当に流されちゃいそう……!」

 

宣伝ポスターの効果もあるのだろうか、予想以上の人数に驚く。

 

「よ、よーし……頑張らなきゃっ! 『ロミオとジュリエット』を見たい方は、2列に並んで、ゆっくり入場してくださーい! ゆっくりにゅうじょ……ひゃっ!」

 

早速、列整理を行うつぐみだが、我先に良い席を取って見ようと人が押し寄せてきた。

 

「あわわ、人の波に流されて……! ふんばれ、ふんばれ私……っ! お、押さないでー! 押さないでくださーいっ!! わ、わあ~!!」

 

なんとか人だかりに巻き込まれないように、必死に列整理を行うつぐみだったが、劇を早く見たくて聞こえてないのか、どんどん人は押し寄せて来る。

……というか、人だかりが収まる気配が全くないのは気のせいか?とつぐみは思った。

 

「ち、千聖さん、瀬田先輩、悠里先輩、麻弥先輩……がんばってくださ~い~!」

 

人だかりに巻き込まれながらも、つぐみの応援は徐々に小さくなっていくのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「「……」」

「……(今、入口辺りで、つぐみちゃんの頑張ってくださいって声が聞こえた気が……)」

 

本番前に千聖、薫が集中してる中、悠里はつぐみの声を受信していた。

正確には、気配を察知したという表現が正しいのだが。

 

「千聖さん! 薫さん! 悠里さん!」

「麻弥ちゃん。どうしたの?」

「本番前に応援しに来ましたっ。……お邪魔でしたか?」

 

麻弥も裏方で忙しいだろうにと思いながらも、ありがたい事だと3人は思った。

 

「いいえ。ありがとう。私は(あや)ちゃんと違って、本番に強いから」

「あはは……千聖さん、がんばってくださいっ。ジブンも裏方でガッチリ支えますからっ」

「ええ、ありがとう」

 

千聖と麻弥が話してると、部員がそろそろ本番ですので、準備お願いしますと伝えに来てくれた。

 

「千聖ちゃん、薫ちゃん。僕はそろそろ持ち場に行くけど……後はよろしく」

「ええ、悠里もね?」

「ああ、任せてくれ。悠里の物語進行も楽しみにしてるよ」

 

その言葉に悠里は、2人にこう言った。

 

「……ん。大丈夫、色々と鍛えてますから」

 

右の手首を回しながら敬礼の仕草し、壇上に上がるのであった。

 

そして部員が只今より、演劇部による特別公演『ロミオとジュリエット』を上演いたしますの合図と同時にスポットライトが照らされ、悠里が登場する。

 

「この本によれば、ロミオとジュリエットは様々な困難に直面し……おっと、先まで読み過ぎました」

 

突然の悠里の登場に、ざわざわする観客の人達。

キャーイケメンよ! とか、もしかしてあの人が物語進行役の人!?等……様々。

 

「さて。皆さんはともかく、ロミオとジュリエットの2人には少し先の未来の出来事でしたね……」

 

その言葉を紡ぐと、スポットライトが消えて物語が開始されるのであった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「『ああ、ロミオ、ロミオ! どうしてあなたはロミオなの?』」

「『ジュリエット! 私はここだ!』」

「その時、ジュリエットの下にロミオが現れた! 突然の事にジュリエットは驚愕せざるを得ない……」

 

物語は後半。

千聖と薫が演じ、悠里が登場人物の心境を入れる……

 

「『ロミオ! どうしてここへ? 家の塀は高くて、乗り越えるのは難しいはず。それに、家の者に見つかればあなたは……っ!』」

「『恋の翼があれば、こんな塀なんてことないさ』」

「『ロミオ……あなたが敵だといっても、それはあなたの名前だけ。モンタギューの名前を捨てようが、あなたはあなた』」

 

ここから先は千聖が悩んでいたところのシーンかなと……進行役である悠里は見守る。

 

「『……名前がなんだというの? 薔薇は他の名前で呼ぼうともあの甘い香りは変わらないわ』」

「『……そう。名前など無意味なもの。僕は僕。君は君だ。』」

「『……っ! ロミオ……っ!』」

 

また意味深いセリフを言っちゃって……と内心思いながらも悠里は最後の進行に移る。

 

「祝え! 家柄の対立や掟の壁を壊し、愛する人の下に駆け寄るその姿。その名前はロミオ! 今ここにジュリエットと再会した瞬間である!」

 

舞台を終えると、麻弥がやって来た。

 

「千聖さん、薫さん、悠里さん、すごい歓声ですよ!」

「本当だね……すばらしい」

「鳴り止まないわね」

「ここまで歓声がなるのなんて中々ないよ……寧ろ、盛り上げすぎたかな?」

 

悠里の言葉に千聖と薫も、それもあるかもねと言った。

そんな話をしていると部員がカーテンコールをしましょうとやって来た。

 

「もちろんだよ。行こう、千聖、悠里。歓声が私達を待っている」

「ええ、もちろんよ」

「そうだね。それじゃ早く行きますか」

 

カーテンコールをするため、観客の下に向かう3人なのであった。




読んでいただきありがとうございます。
次回も頑張りますので、よろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました。
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