「何あれ!? 新種!?」
「ガネーシャ・ファミリアはあんなモンスターまで・・・!?」
地面から突き出てきた植物型のモンスター、オラリオでも上位の実力を持つ冒険者の彼女らも初めて見たようだ。
「考察は後! あっちには確か、避難した住民がーーってあんた!?」
先んじて行動したのは総司。思考よりも早く身体がモンスターの所まで運んで行った。
後れてアイズがその背中を追走する。それを見て3人が走る。ただしレフィーヤは魔法に特化している為、4人とは少し離れた後方に位置する。
総司は刀を抜き斬り掛かると、それに反応したモンスターは地面から蔓を数本伸ばし総司を迎え撃つ。
「・・・え?」
その蔓は異常に硬く、総司の斬撃では傷1つ付いていなかった。しかも刀が折れている。
あまりに予想外の出来事だった為、一瞬動揺してしまった。
その隙を見逃しては貰えず、鋼の硬度を誇る蔓に一蹴された。
「がぁッ!!」
叩き落とされた総司は地面をバウンドして壁に激突する。この時点で左腕と右脚、肋骨が何本か折れ、激痛で何とか意識を保っていた。
(ぐッ・・・息が・・・)
悶絶していると、追撃を加えんと遠心力に身を任せた攻撃が迫り来るが、既の所で間一髪アイズの助けが入り、蔓を真っ二つにする。
「君は下がって。後は私がやる・・・君?」
様子がおかしい、それをアイズは見ただけで分かった。
ここで総司の剣圧が増幅する。
瞳の色が紅く燃える様に変化し、体温が上昇した。
この状態は【
「コロス・・・コロス・・・コロス・・・」
殺戮本能のままに動く殺人鬼な人格で狂気じみた笑みを浮かべながら、片手片足で何とかバランスを保つ。
完全に暴走していた。
二度目の芹沢戦で鬼子を制御出来ていたが、それは何の為に闘い、誰の為に闘うのかが見えていたからだ。近藤亡き今、それを制御するには心に余裕が無さ過ぎた。
口元に付着した自身の血をぺろっと舐め、飛躍的に上昇した総司のスピードでアイズを横を通り過ぎ折れた刀を抜刀する。モンスターも総司の禍々しい剣圧に反応したのか、今度は数本で迎撃する。
しかし蔓による大乱舞を全て躱し空中へ逃げる。
「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」
数本の蔓が総司を襲うが身を翻し、蔓を足場にして花の方へ接近する。高速で真横を通り過ぎ地面に着地する。そして超高速による斬撃は花弁1枚を切断する事に成功していた。
「・・・何ですか、アレ・・・?」
怪物よりも怪物な人間を見た様な表情で屋根の上で待機していたレフィーヤは呟いた。
その呟きは誰にも届く事はなかったが、他3人が見てもレフィーヤと同じ感想を抱いていた。
「強い・・・・」
アイズが呟く。
もちろん単純な実力はアイズ達の方が数段上だ。しかしこの威圧感、第一級冒険者でも簡単に出せるものでは無い。
片手片足を骨折し更に肋骨も折れた状態にもかかわらずこの強さ、この迫力に驚愕する。
特に強さに固執するアイズにとっては総司のあの強さはかなり興味深かった。
「ガッ・・・!? ギッ・・・!」
徐々に総司が押されて来た。鬼子状態とは言え、満身創痍には変わりない。殺戮衝動のみで致命傷の体を誤魔化し続けるのは限界があった。
それでも負けじとモンスターに飛び掛かると、ティオナが空中で総司をキャッチした。
その代わりにアイズとティオネがモンスターと戦闘を開始する。
「ガァァ!!」
「暴れないで! 死んじゃうよ!」
殺戮本能のままに暴れる総司に手を焼いていたが、それを見てため息をつきながらティオネが総司の額にデコピンを当てて失神させる。
「ティオナ、早くその子を連れて行きなさい」
失神した総司抱えて戦線を離脱する。
「
詠唱とともに自身と武器に風を纏わせるアイズの魔法【エアリアル】
武器に纏えば攻撃力と攻撃範囲の拡大、体に纏えば触れる事すら出来なくなる鎧にもなる。
ティオネは今は武器を持っていない為素手で交戦し、レフィーヤは隙を見て魔法撃ち込める様に詠唱の準備を怠らない。
ティオナも総司を安全な場所に避難させたらすぐに戦闘に戻る予定だ。
「リル・ラファーガ!」
エアリアルを発動した状態で、武器に風を纏わせて放つアイズの必殺技を合図に戦闘を再開する。