オラリオに剣客がいるのは間違っているだろうか   作:銀の巨人

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初めてのダンジョン

怪物祭の翌朝、総司はロキに用意してもらった一人部屋にて就寝していた。最初は目の前にあったベッドに戸惑っていたが、いざ寝てみると中々の寝心地で普段使っている布団よりも上質な素材で出来ている為、直ぐに眠りにつけた。

 

「おはよう総司きゅん・・・って、まだ寝とんかい。こら〜、もう起きる時間やで〜」

 

いきなりドアを開けるロキは呆れながら今だに眠っている総司を起こそうとベッドに近づき寝顔を拝見する。

 

「か・・・かかか、可愛ええーーー!!!」

 

あまりにも無防備で赤ん坊の様にあどけない総司の寝顔に思わずロキは絶叫する。

そして息を荒げ、手をわきわきさせながら更に総司に近づく。

 

「ち、ちょっとだけなら・・・」

 

寝ている総司の頬をつつこうと恐る恐る手を伸ばしていく。

 

「何をやっているんだ? ロキ・・・」

 

慌てて振り向くとそこにはジト目でこちらを見ているリヴェリアがいた。

 

「ち、違うんや! これは誤解や、誤解!」

 

明らかに無理のある言い訳にリヴェリアは呆れながら溜息をつき、ベッドの方へと歩いていく。

 

「起きろ総司。起床の時間はとっくに過ぎているぞ。朝食は持ってきてやったから早く食べろ」

 

漸く起きた総司は目をこすりながら欠伸をする。

 

「今日、私とフィンは私用で出かけることになった。だからそれを食べたらガレスのを訪ねろ。ダンジョンについて教えてくれるだろう」

 

「はぁーい」

 

朝食をテーブルに置き、リヴェリアは部屋を出て行った。

 

「さすがママ、面倒見がええなぁ」

 

「そう言えばロキ様は何してるんですか?」

 

「ええっ!? あ、あぁ、そうや。実は総司きゅんに渡す物があったんや」

 

何か持って来ていたロキに総司はクエスチョンマークを頭に浮かべる。

そうしてロキが差し出したのは一振の刀だった。

 

「これは?」

 

「アイズたんから聞いたで。昨日の戦いで刀が折れたんやろ? しばらくはこれを使うとええ」

 

ロキから刀を受け取り、鞘から刀身を抜いてみる。

その刀身は部屋の灯りに照らされ鈍く光る。業物ではないが粗悪品でもない、ありふれたごく普通の打刀だ。

因みにロキが持って来たその刀は武器屋で定価7000ヴァリス程で売っている物で、新米の冒険者には打って付けの刀だ。

 

「入団祝いや!」

 

「ありがとうございますロキ様! 大切に使います!」

 

無邪気に笑いながら抜き身の刀を振り回しながらロキにお礼を言う。

 

「ちょ、危ないから振り回さんといて〜!」

 

その後総司は急いで朝食を食べて身支度を済ませガレスの所へ行くとダンジョンに向かうよう言われた。

ガレス曰く「体で覚えるのが1番手っ取り早い」と言う。

なので総司は最低限の知識を教えてもらいダンジョンに向かった。

 

ダンジョンの構造は円錐形となっており1〜12階までが上層、13〜24階までが中層、25〜36階までが下層、それ以下が深層の4つに別れている。なので下層に行けば行くほどダンジョン内は広く、強力なモンスターが増える。

 

今総司がいるところは1階層、普通の洞窟の様な場所だ。

 

「お、あの小さいのがゴブリン・・・かな?」

 

前方に五体のゴブリンが屯していたのを確認すると、腰の刀に手を伸ばしゴブリンに奇襲をかける。

僅か1秒にも満たない時間の間にゴブリン達を始末する。

 

「斬れ味良し。動きも本調子に戻ったね」

 

刀を納刀し先に進もうとする。

 

「おっと、魔石を回収しないとーーッ!!」

 

殺気を感じ背後から来る攻撃を咄嗟に躱す。

 

「これがコボルトか・・・」

 

二足歩行で人型の狼、結構筋肉質の身体をしており鋭い爪や牙で攻撃をする構えを見せる。

 

『ギッーーー!!』

 

コボルトの目線で言えば目の前にいた人間が突然消え、いつの間にか間合いに入られ刺されていた。そして自身の急所である魔石を破壊され砂になって消えた。

 

「ーー土方さんに出来て、僕に出来ないわけないですよ」

 

総司が使った技は《虚狼(うつろ)》と言い、無念無想の境地から相手の間合いに一瞬で入り込み、恰も瞬間移動したかのように錯覚させる歩行術だ。

この技を使えるのは土方歳三と芹沢鴨のみだったが、総司は2回見ただけで完璧に真似して見せた。

 

「この調子でどんどん行こう!」

 

出て来るモンスターを夢中になって斬り伏せていると、気づいた時には7階層まで来ていた。

途中、新米殺しと呼ばれる《ウォーシャドウ》が数体出現したが難なく倒す事ができた。

現在総司が相手にしているのは《キラーアント》と言うウォーシャドウと同じ新米殺しと呼ばれるモンスターと《パープル・モス》と言う小型の蛾の様なモンスターだ。

 

「数が多いな・・・どんどん増える」

 

キラーアントの甲殻はとにかく硬く中々一太刀では仕留めきれない。そしてキラーアントは仲間を呼ぶ習性があり、早く倒さないとあっという間に増えて行く。

加えてパープル・モスは毒の鱗粉を撒き散らしており、即効性は無いが何度も浴びると状態異常『毒』になる。

 

「・・・しょうがない」

 

このままでは埒が明かない為、総司は鬼子を使用し一瞬の内にキラーアントとパープル・モスを始末する。

以前使用した時は暴走したが、今回は余裕があったので暴走せずに済んだ。しかし長くは持たず、数分で暴走してしまうだろう。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

倒したモンスターが砂化していくのを感じながら地面に膝を着き鬼子の反動から回復するのを待っていた。

 

「・・・ぐはッ!」

 

突然の吐血、しかしこれは鬼子の反動では無いことに総司は気づいていた。

 

「総司!!」

 

背後から聞こえた声はフィンのものだとわかったが振り向く気力は無かった。

駆けつけたのはフィン、リヴェリア、アイズ、ヒリュテ姉妹、レフィーヤだ。

 

「これは・・・毒、か?」

 

とりあえずポーションと状態異常回復の薬を総司に飲ませフィンが地上まで送り届ける事になった。

 

「それじゃあ僕は総司をホームまで送り届けるから、18階層で落ち合う。それまでリヴェリア、皆を頼んだよ」

 

「了解した。ガレスには聞きたいこともあったが、それは帰ってからでも良いだろう」

 

リヴェリアが怒りのオーラを露わにしている様子を見てレフィーヤとアイズは怯えていた。

 

 

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