オラリオに剣客がいるのは間違っているだろうか   作:銀の巨人

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手負いの獣

総司を背負ったフィンは《黄昏の館》付近まで戻って来たところでロキとベートに遭遇した。

 

「おう、フィン。こんな所で何してんのやーーって! 総司きゅん!? どどどどうしたんやーー!?」

 

苦しそうに息を切らす総司に気づいていたロキは咄嗟に駆け寄る。フィンは静止を促すが聞く耳を持たない。

 

「だい・・・じょうぶ・・・ですよ・・・」

 

心配するロキに向かって苦し紛れの笑顔で答えるが、それが更に心配させる事になる。

 

「けっ、情けねぇ野郎だ」

 

「ベート、彼は今日初めてダンジョンに潜ったんだ。そこまで言わなくてもいいだろう」

 

「ならその程度の実力でダンジョンになんて潜るんじゃねぇ。雑魚は大人しくチャンバラごっこでもしてろ!」

 

あまりにも酷いベートの言葉にしばらく乱心していたロキも漸く落ち着きを取り戻し、怒りのオーラを溢れさせベートに飛びかかる。

 

「こらぁ! なんちゅう事言うんや!」

 

「うおッ! お、おい離れやがれ!」

 

飛びかかったロキはベートの頭をワシャワシャしている。そんなロキをひっぺがそうとしていると、ベートは自分に向けられた異常なまでの殺気に反応する。

 

「おいおいこりゃぁ・・・とても満身創痍とは思えへんなぁ」

 

「やれやれ、僕の背中でそんなに騒がないで欲しいんだけどね」

 

フィンの背中で静かに殺気を漏らす総司は、鋭い目つきでベートを睨む。

 

「覚えておいて・・・下さい・・・・・手負いの獣が・・・一番危険なんですよ・・・」

 

「・・・チッ、てめぇに言われるまでもねぇんだよ。雑魚が」

 

(一瞬とは言え、この俺があんな雑魚の殺気に固まっていただと・・・くそっ、気に入らねぇ・・・)

 

自身のプライドを傷つけられたベートは悪態をつきながら街の方へ歩いて行く。

ロキは殺気を抑えた総司に今回の件を注意する。

 

「まぁ、ベートは後でボッコボコにするとして・・・総司きゅん、新米の冒険者がいきなり7階層はさすがに無謀や」

 

幾らLv.1上位の実力が有るとは言え、総司が今まで相手にして来たのは人間だ。モンスターの大群を相手にするには圧倒的に知識が足りな過ぎた。

地の利が相手にある以上深入りは禁物なのだが、総司の経験して来た戦での常識とダンジョンでの常識の微妙なズレが今回の失態を招いた。

 

「まぁまぁ、その位にしてやってくれ。今回で彼も学んだ筈だ。ダンジョンの恐ろしさを」

 

「はい・・・ごめんなさい・・・」

 

ダンジョンの危険度がイマイチ理解出来ていなかったことを自覚する。

 

「分かったならええ! 以後気をつけるよーに!」

 

ビシッと釘を刺すとベートを追いかけて行った。

そしてフィンは黄昏の館の総司の部屋まで行き、ベッドで寝かせ掛け布団を掛ける。

 

「さて、総司は今日1日は安静にしているんだよ」

 

「はい・・・」

 

「出来ればダンジョンの知識を身につけるまでは、ダンジョンに潜らせるのは危険だけど・・・どうしても行くと言うのなら、一度ギルドに居るエイナ・チュールと言うハーフエルフの役員を訪ねるといい。リヴェリアが口利きしてくれているらしい」

 

フィンは溜息をつきながら最初からそうするべきだったとぼやいていた。

 

「それじゃあ僕はダンジョンに戻るよ」

 

フィンが部屋から退出した後、1人になった総司はベッドの上でダンジョンでの戦いを思い出す。

 

(僕の初陣・・・大勝利・・・とは程遠いな)

 

モンスターには勝利したがフィン達がいなければ生きてダンジョンから帰る事が出来なかった為、成功とは言えない。

 

(それよりも・・・さっきのは・・・)

 

1つ気がかりを思い出した総司は少し考え込むが・・・

 

(・・・いや、寝よう)

 

考えても仕方がないのでまだ早いが眠ることにした。

 

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