オラリオに剣客がいるのは間違っているだろうか   作:銀の巨人

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策士策に溺れる

総司とベルがオークの大群と戦闘を開始した様子を木の陰から見ていた。この霧のお陰で上手く姿と気配を消しトラップアイテムを設置する事に成功した。

 

(ここまでは順調、後はあの崖まで行って時を待つだけ・・・!)

 

9階層へ続く階段付近まで移動し、ベルからヘスティアナイフを奪える瞬間まで隙を伺う。

 

 

 

一方総司達はオークの大群相手に背後を取られないように互いに背中を預け、守りあっていた。

 

「数が多過ぎる! 早くリリを見つけないと行けないのに!」

 

「まずはこの局面を何とかしなければ行けませんね!」

 

ベルがオークの足を斬り機動力を奪い、総司が首を刎ね、又は魔石を刺突で破壊する。

 

「ファイアボルト!!」

 

ベルが新しく発現した魔法。その名の通り走る稲妻の様な爆炎を放つ。詠唱を必要とせず撃発音声だけで放てる《速攻魔法》だが、その分威力は低めで大型モンスターには牽制にしかならない。

しかし、今はそれで十分。オークが怯んでいる隙を見て確実に命を刈り取る。

 

「キリがありませんね・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・ぐあッ!」

 

次第に疲れが出てきたベルにオークの棍棒が炸裂する。ぶっ飛ばされたベルは地面を転がり直ぐに立ち上がろうとするが、背後には既に別のオークが棍棒を振り上げていた。

 

瞬時に総司は脇差しを投げオークの喉元に命中する。怯んだオークにベルの両刃短剣(パゼラード)が魔石を破壊した。

 

「くッ・・・!」

 

投擲によって出来た隙をつかれてオークの拳による大振りをまともに喰らってしまった。

 

ベル同様ぶっ飛ばされてしまった総司は木に激突し悶絶する。

総司は冒険者になってからは殆どモンスターの攻撃を受けずに戦って来た為、耐久力に欠けていた。

 

そしてその隙をリリは見逃さなかった。

矢に紐を括りつけたボウガンでベルの草摺を射貫き、それを手繰り寄せる。その草摺にはヘスティアナイフが帯剣してあった。

 

「リ、リリ!? 一体何を・・・!?」

 

草摺は捨ててヘスティアナイフだけを取り除いてベルを見下ろす。

 

「ごめんなさい、ベル様・・・もうここまでです」

 

驚愕するベルに対してにこやかにそう告げる。

 

「ベル様はもう少し人を疑う事を覚えた方がいいと思います。総司様には申し訳ないですが・・・せめてベル様だけでも逃げ出して下さいね・・・もう会う事は無いでしょう・・・さようなら・・・」

 

そう言って立ち去ろうとするリリにベルは待つよう叫ぶが、その言葉を遮るかのように突如衝撃波が走る。

堪らずリリも尻もちを着き衝撃波が発生した出処を探ると、そこには瞳を炎の様に紅く染め此方を睨む”鬼”がいた。

 

総司の禍々しい剣圧にいち早く危険を察知したリリは急いで背後の階段を駆け上がる。

 

「逃がさない・・・!」

 

高速でリリの後を追うが偶然にもオークの大群が進行を防ぐ。この時ベルを狙っていたオーク達も全員総司へ集中した。”この人間は最優先で殺さなければいけない”とモンスターであるオークも察した様だ。

 

「邪魔をーーーするなッ!」

 

鬼子(おにご)を使用した総司は最前線にいたオーク6体を瞬殺し、そのまま他のオークに斬り掛かる。

 

その様子を見ていたベルは唖然としていた。

 

「凄い・・・」

 

鬼人の如く戦い、オーク達を殲滅していく総司に対して恐怖心を覚えたがそれ以上に強く尊敬していた。

そんなベルにオークが四体接近していたが、総司に気を取られていたせいで反応が遅れてしまった。

 

ベルの危機を察知した総司は両足でオークの腹を蹴り、ベルを取り囲むオーク達の首を刎ねる。

 

「そ、総司、ありがとう! 総司・・・?」

 

鬼子の反動で膝から崩れ落ち地面に手を着く。

吐血し辛そうに呼吸する総司の体をベルは支える。

 

「総司! 大丈夫!? 何で急に・・・あっ、まさか今の反動で・・・?」

 

「・・・大丈夫です・・・回復ポーションがありますから・・・」

 

フィンに言われてダンジョン攻略に必要なアイテムを買っておいた。回復ポーションもその1つだ。

回復ポーションを飲み干した総司は刀を杖代わりにして立ち上がる。

 

「よし・・・ベルさん、先に行って下さい」

 

「え・・・駄目だよ!」

 

「大丈夫です。回復ポーションはまだあります。それに、あのナイフ、取り返さないといけないでしょう?」

 

総司の言う通り、あのナイフは主神であるヘスティアに貰った大事な物。絶対に失う訳にはいかなかった。

拳を強く握り、迷っていたベルは決意する。

 

「分かった。総司を信じる!」

 

「では、突破口を開きますのでその隙に行って下さいね」

 

ニコッと笑った後、再び鬼子を発動させ総司は刀を構え前方を塞ぐオークを斬り伏せる。

 

「今です!」

 

合図と共にオークの壁を突破するベルは全力ダッシュでリリを追う。

 

「ありがとう総司! 直ぐに助けに戻るから!」

 

ベルの声を聞いた総司はオークの相手をしながら薄く微笑む。

 

(良かった。素直に行ってくれて・・・もし僕が行っていたら・・・きっとリリちゃんを殺していましたからね・・・)

 

ベルがリリを追って数十分が経つ。鬼子が暴走する直前で解除し回復ポーションを飲む。それを繰り返して漸く最後の1体を倒す。

回復ポーションは底を尽き、何回も鬼子を発動させたので総司の身体はもう限界だった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・少し、無理をし過ぎましたね・・・」

 

ベルの事を思うと多少心残りがあるが、ベルが総司を信じてくれた様に総司もベルを信じる事にしたので、岩陰に隠れ一休みすることにした。

 

(ベルさんなら・・・きっと殺す以外の解決方法を思いつくでしょう・・・・・僕と違って・・・ね・・・)

 

そう確信する総司は安心した様に眠りにつく。

 

 

僕が考えた候補の中で総司のヒロインは誰が良いかのアンケートです。是非とも皆様の意見をお聞かせください。※このアンケートはあくまでも調査なので確定するわけではありません。予めご了承ください。

  • アイズ・ヴァレンシュタイン
  • アミッド・テアサナーレ
  • アリシア・フォレストライト
  • ティオナ・ヒリュテ
  • リュー・リオン
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