10階層にてオークの大群と対峙する総司とベル。それを別の入口から観察する者が3人。
フィン、リヴェリア、アイズだ。
地面から少し離れた場所にある入口からは総司達を見下ろせる上に見晴らしが良い、尤も今日は霧が濃い為それ程遠くは見渡せないが総司達の状況を確認するには十分だった。
「やれやれ、総司も厄介な相手とパーティを組んだものだね」
微笑みながら戦況を見つめるフィンにリヴェリアは疑問を抱く。
「・・・良いのか? 放っておいて」
「それはこの戦況かい? それともこの状況を作り出したサポーターの事? それでもなければ、下にいる”あれ”の事かい?」
フィンとリヴェリアとアイズはリリが10階層にトラップアイテムを仕掛けた犯人だと気づいていた。
ついでにまた別の場所から総司達を見張る数名の冒険者のことも。
「全てだ。このままでは総司だけでなく、あの少年も死ぬぞ」
「リヴェリア・・・あまり総司を舐めない方がいい。
ーー僕が認めた男は、この程度で折れやしない」
真っ直ぐ総司を見つめるフィンは嬉しそうな表情をしていた。その様子を見ていたリヴェリアは溜め息を吐き、黙って戦いを観戦する。
「あ・・・あの子・・・」
フィンとリヴェリアは総司の様子を見に来ただけだが、アイズはエイナにベルとリリに関しての依頼を受けたので此処にいる。
「アイズ、彼と知り合いかい?」
「確かあの少年は以前、ミノタウロスの件でベートが侮辱した少年だ」
およそ20日前、総司がオラリオに転生する前、ベルは5階層でロキ・ファミリアが取り逃したミノタウロスに襲われていた。
殺される既のところで駆けつけたアイズに助けられたが、返り血を真正面から浴びたベルはあまりの美しさに逃げるようにその場を立ち去ってしまった。
一部始終を見ていたベートからは酒場で酒の肴にされ”トマト野郎”等というあだ名までつけられる始末。
しかしその出来事もあり、ベルの冒険者魂に火をつけ、一般では有り得ないスピードで超成長して行った。
「なるほど、であれば後で謝罪をしなければいけないね。しかし、総司がいるとは言え、ここまで戦えるのは・・・」
「アイズが1人で10階層まで来れるようになったのは半年経ってから。それを考えると・・・速すぎる」
フィン、リヴェリア、そしてアイズもベルの急成長に驚いていた。
しかし必死に食らいついて来たベルもとうとうオークの一撃を受けてしまう。それを助けた総司もオークによってぶっ飛ばされ、正に絶体絶命だった。
「これ以上は許容為兼ねる・・・・・何のつもりだ? アイズ」
助けに行こうとするリヴェリアをアイズは片手で道を塞ぐ。
すると禍々しい剣圧が突風の様に吹き荒れ、その剣圧に3人は思わず目を見開く。
「あぁ・・・・・なるほど。道理で先程から親指が疼く筈だ。リヴェリアだけでなく、僕でさえも彼を過小評価していたようだね」
「明らかにLv.1の実力を越えている・・・! 総司、お前は一体・・・・」
2人が驚愕する中、アイズは興味深く総司の戦闘を観察していた。
「・・・・・・」
アイズは以前食人花と戦った際、総司の鬼子状態を見ている、しかも暴走状態の時よりも戦闘力は劣る為、フィン達程驚いてはいない。
(やっぱり・・・あの時の力はまぐれじゃない・・・!)
3人はベルが退場した後も黙って観戦する。
総司は鬼子を解除してはポーションを飲み再び鬼子を発動させる。これをひたすら繰り返してオークの大群と戦っている。
(総司のあの状態が何かは分からないが、少なくとも魔法の類いでは無いな。詠唱した様子も無ければ魔力も一切感じなかった。となるとベートの獣化と似たスキルか・・・解除→回復→再発動を繰り返している、という事は恐らくあの状態は身体に相当な負担がかかっている。更に一定時間で解除している点。これは推測に過ぎないがあの力には制限時間がある)
深い考察を行っていたフィンに何も言わずにリヴェリアは下へ降りようとする。
「リヴェリアーー」
「案ずるな。別に邪魔をするつもりは無い。ただ下にいる冒険者達が気になったので見に行くだけだ」
「なら、僕も行こう。アイズはどうする?」
「私はもう少しここにいる」
そう言うとフィンとリヴェリアは飛び降りる。
ーーーーーーーーーーー
総司から少し離れた岩陰で総司を見張る冒険者6人。5人がLv.1、残り1人はLv.2でこの集団のリーダーであろうヒューマンだ。
「頭、本当にアレを襲うんですかい?」
「”依頼”だからな。それに駆け出しとは言えロキ・ファミリアだ。アイツを倒せば俺達の名にも箔が付くってもんよ!」
この冒険者達は
人を襲って金品を奪ったり、冒険者が他の冒険者を貶める時、立場上自ら手を下す事が困難な場合殺し屋やならず者に実行させ、その報酬金で生計を立てている。
「しかしこんな事したらロキ・ファミリアが黙っちゃいないんじゃ・・・」
「馬鹿野郎! 勇者が怖くて犯罪が出来るかってんだ!」
「ーーーへぇ、いい度胸だね」
不安がる手下に啖呵を切るリーダー格だがその背後から少年の様な声が聞こえたので全員が振り返る。
そこには槍を担ぐ
特にフィンは笑顔を浮かべているが体には真っ黒いオーラを放っていた為冒険者達は震え上がっている。
「ブ、
「えぇと、確か総司を襲うって話しだったかな? 気にせず話しを続けると良い」
「ま、待ってくれ! 俺達はただ依頼されただけなんだ!」
「それは誰だ?」
「名前は知らねぇが小汚いローブを来たエルフのガキだ! 本当にそれしか知らねぇんだ! 頼む見逃してくれ!」
「ローブを来たエルフ・・・? まぁいいだろう。ただし、これからは犯罪は犯さずに真っ当に生きること。分かったら行け」
手下達が蜘蛛の子を散らすよう逃げる中フィンはリーダー格の肩に手を置き耳元で呟く様に・・・・・・
「ーー次は無いぞ」
と、ドス黒い声で脅すとリーダー格は泣きながら悲鳴を上げて逃げて行く。
「逃がして良かったのか?」
「あぁ、構わない。それよりもあっちの戦いはもう終わったみたいだし、僕はもう帰るよ。遠征の準備をロキと進めなければ行けない」
「ならば私も行こう。総司の方はアイズが居れば十分だ」
総司の方へと近づいて行くアイズを確認したフィンとリヴェリアは地上へと帰ろうとしていた。
ーーーーーーーーーーー
オーク達との戦いを終えたダンジョンは至る所がオークの血で汚れていて、トラップアイテムも真っ二つになっており、総司の奮闘ぶりが伺えた。
「・・・・・・・・」
この惨状を見たアイズはここでどれ程の激闘が繰り広げられたか、第1級冒険者であれば理解するのは容易いだろう。
改めて辺りを見渡すと近くにモンスターは居らずあれだけ荒れていた空気も今では信じられない程静かだった。
そして岩陰で気絶している総司の姿を発見し歩み寄る。
(何でここまで戦えるの?)
内心で強く思う。
自分がLv.1だった時、きっとここまで戦うことは出来なかっただろう。
寧ろLv.2でも1人では難しい戦況を総司は全て倒しきった。
(何でこんなに早く強くなれるの?)
ベルの成長速度も異常だが総司の成長速度も並外れたものだ。
それは希代の天才、沖田総司だからと言う言葉だけで片付けるには無理があった。
「何で・・・・・・君はそんなに強いの?」
思わず声に出してしまった事に自分でも一瞬気づいていなかった。
それ程までに”鬼”の力はアイズにとって魅力的に感じていた、そしてモンスターの大群に対してたった1人で立ち向かえる強さにも。
眠り続ける総司に手を伸ばすと背後に何か異様な気配を察知し総司を守る様に自身の武器《デスぺレート》を構える。
『やはり気付かれてしまうか。お見逸れする』
霧の中からまるで空間から出て来た様に現れた全身黒いローブを着ている、明らかに怪しい人物がそこにいた。
『初めまして《剣姫》アイズ・ヴァレンシュタイン。突然で申し訳ないが
剣を構え警戒心を解こうとしなかったが相手に悪意が無いと確信すると剣を降ろした。
そのクエストに以前ダンジョン18階層《リヴィラの街》で起こった事件が関わっている可能性がある事を知ったアイズは警戒しながらも承諾する。
「分かりました・・・」
『恩に着る。出来れば直ぐにでも向かってほしいのだが・・・いいだろうか?』
「あの・・・総司を・・・」
今すぐ行こうと思えば行けるがさすがに総司をこのまま放置する訳には行かない。
『む? あぁ、ロキ・ファミリアの新人か。ならば心配は要らない、彼の仲間が来るまで私が見ておく』
後はファミリアへ伝言を頼むと目的地の24階層に向かい出した。
(あの子は・・・きっと大丈夫。あの瞳にはもう冒険者としての力が宿っていた。過度の干渉は逆効果・・・行こう)
ベルへの気がかりは消えたアイズは走り出す。
僕が考えた候補の中で総司のヒロインは誰が良いかのアンケートです。是非とも皆様の意見をお聞かせください。※このアンケートはあくまでも調査なので確定するわけではありません。予めご了承ください。
-
アイズ・ヴァレンシュタイン
-
アミッド・テアサナーレ
-
アリシア・フォレストライト
-
ティオナ・ヒリュテ
-
リュー・リオン