オラリオに剣客がいるのは間違っているだろうか   作:銀の巨人

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愚者の行進

「ん・・・」

 

アイズが24階層に向かって数十分が経った頃、総司が目を覚ます。

 

『おや、起きたのか?』

 

ぼやけた視界に入って来た全身黒いローブを纏った”死神”の様な人物。

 

「ーーッ!!」

 

意識がはっきりしない中でその死神に刀による横一閃を繰り出す。いつ抜刀したのか常人では見切れない程のスピード、本人の意識よりも本能で悟った”人ならざる者の気配”、腕を振り切った後正面を見るがその死神はローブの切れ端の様なものを残して消えていた。

 

『やれやれ、ロキ・ファミリアの連中は血の気が多くて困る』

 

背後の岩の上で此方を見下ろす死神。

人間かどうかはさて置き、人の言葉を流暢に話す事から少なくともモンスターではない事は分かった。

 

「モンスター、ではなさそうですね・・・」

 

『さてどうだか・・・でも君に対して敵意は無い事だけは伝えておこう』

 

怪しさ丸出しの風貌だが眠っている間、自分を警護していた事を理解した総司は、この死神の言う事に嘘は無いと判断すると刀を鞘に戻した。

 

『話しが分かるヒューマンで助かった。流石にロキ・ファミリアを敵に回したくはない』

 

「貴方は・・・何者ですか?」

 

総司の斬撃を躱せる者はざらにいるだろう、しかしそれはオラリオでの話しだ。元いた日本では数人いるかどうかだ。

という事は目の前にいるこの死神も紛れもない強者だ。

 

『愚者・・・分不相応の望みに手を伸ばし、結果大切な物を失った・・・ただの愚者だ』

 

「僕が聞きたいのはそんな事じゃーーー」

 

『まぁ落ち着け。ほら、お前の仲間が迎えに来たようだぞ?』

 

 

「総司ーーー!!!」

 

 

希望の返答を得られず目を細めるが死神は洞穴の方へ視線を向けると、ベルの声が聞こえて来た。

 

「ベルさん・・・良かった、無事だったようですね」

 

その声に総司も気を取られ死神と同じ方向を見る。

 

『役目は果たした。それでは帰るとしよう』

 

「ッーーー話しはまだ・・・」

 

総司が再び振り向くともう死神は居なかった。

そこに何かが居たと言う形跡は無くなっており、突風のみを残して死神は姿を消した。

 

『君とはまた何処かで会えるかもしれない・・・再会を楽しみにしているよ。沖田総司』

 

「・・・・・」

 

確かに聞いたその声は、まるで天から聞こえた様に錯覚する。

 

「総司! 大丈夫!?」

 

背後からベルの声が聞こえて来た。一先ず死神の事は置いて、ベルと合流する事を選んだ。

 

「えぇ、こっちは大丈夫です・・・その子はもしかして、リリちゃんですか?」

 

振り返った総司に真っ先に飛び込んで来たのは、ベルにお姫様抱っこされている小人族(パルゥム)だった。

 

「え? あぁ、実はリリは小人族(パルゥム)だったんだ」

 

今まで見せていたのは犬人(シアンスロープ)の姿だったが、それはリリの魔法で変身していた仮の姿で、実際は小人族(パルゥム)だったようだ。

 

「そ、総司様・・・」

 

「・・・・・・」

 

罪悪感からかリリは総司と目を合わせようとしない。そんなリリを冷ややかな目で見下ろす。

 

「ベルさん。ここにリリちゃんが居ると言う事は・・・”そういう事”なんですね?」

 

重く冷たい空気が漂う中、総司はベルに目を向ける。

 

「うん、僕はリリを許すよ」

 

冷たい目を向ける総司に対してベルは熱い意思を帯びた眼差しで答えた。

 

「納得行きませんね・・・僕達は殺されかけ、加えてベルさんのナイフまで盗んだんですよ? 僕もボロボロだし」

 

「確かにリリがした事は悪いことだけど、もう二度とこんな事はしないって約束してくれた。だから僕は許す!」

 

納得出来ない。そんな口約束、破ろうと思えばいつでも破れる。再犯の恐れも消えていない。もちろんリリを信用する事も出来ない。

 

でも・・・

 

「じゃあ僕も許します!」

 

にぱーと笑う総司にベルとリリは思わず言葉を失う。

先程まであれだけの殺気を放っていたのに関わらず、今度は打って変わって和やかなムードで愛嬌を振り撒いている。

 

「な、なんで・・・」

 

納得の行かないリリが総司に問いただす。

 

「ベルさんがそう決めたのなら、僕は何も言いません。でも・・・次裏切ったら斬っちゃうかもしれませんよ?」

 

微笑みながら言ったその言葉は重みがあり、リリを恐怖させるには十分だった。

 

「ご、ごめんなさい・・・! もう二度と裏切りません!」

 

慌ててベルの腕から降りて頭を下げる。

 

「と、所で総司様・・・モンスター以外に襲われたりは・・・?」

 

「いや、モンスターを倒した後直ぐに気絶したので・・・」

 

「そ、そうですか・・・」

 

質問に要領を得ない総司は?を浮かべる。

実は先程フィンに一蹴されたならず者達はリリがエルフの姿に変身して雇っていたのだ。

 

「とにかく今日はもう帰ろう。二人とも」

 

三人はそのまま帰路に着く。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「沖田総司・・・愛らしい見た目とは裏腹に時より見せる残忍な姿・・・非常に興味があるわ・・・」

 

『バベル』最上階で夕陽に照らされるオラリオを眺めならが妖艶な笑みを浮かべる女神。

 

「彼に存在する二つの色。一つは海の如く透き通る様な蒼、もう一つの色は火柱の如く燃え上がる紅・・・」

 

グラスに注がれたワインを飲み干し舌なめずりをする。

 

 

「一度会ってみようかしら・・・」

 

 

 

僕が考えた候補の中で総司のヒロインは誰が良いかのアンケートです。是非とも皆様の意見をお聞かせください。※このアンケートはあくまでも調査なので確定するわけではありません。予めご了承ください。

  • アイズ・ヴァレンシュタイン
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