オラリオに剣客がいるのは間違っているだろうか   作:銀の巨人

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はい、メレン編は終わりです。

そういえばソシャゲで新しいダンまちのゲーム配信されたみたいですね。皆さんやりましたか? 僕はやってないです。



鬼昇華

食人花討伐から翌朝、ロキ・ファミリアの面々は宿へ一泊した後オラリオへ帰還するつもりだ。

もう何時でも帰れるのだがロキが今回の主犯であるニョルズや襲撃者の親玉カーリーと話しをしているため出発はまだだ。

因みにギルド支部長のルバートはと言うと、目が覚めた後にニョルズ・ファミリアの所で漁を強要されたのだが、泣いて喜んで漁仕事を行っている。しかし魚嫌いは治っていないため数十分に一回は嘔吐しているらしい。

 

「あ、総司! もう起きて大丈夫なの!?」

 

宿から出て来た総司を見つけるやエルフィ達が駆け寄って来る。

 

「皆さんお揃いで。おはようございま〜す!」

 

「そんな呑気な!? あの後倒れたのを忘れたんですか!?」

 

呑気に挨拶をする総司にレフィーヤは大声を上げて怒っている。確かに昨日の戦いが終わった後、鬼子や戦闘でのダメージが限界を迎えて気を失った。

 

「リヴェリアさんとフィンさんのおかけでもう大丈夫ですよぉ〜」

 

「全く、心配して損しましたわ・・・」

 

リヴェリアの回復魔法とフィンが手渡してくれたエリクサーで血液以外は完全回復したので総司はピンピンしている。その様子を見たアリシアは頭を抱え溜め息をつく。

 

「それにしても総司があんなに強かったとはねぇ」

 

「私も予想外でした。まさか本当にLv.1で食人花を倒すなんて・・・」

 

「完全に想像以上の実力でしたわ。この体の何処にそんな力が・・・」

 

エルフィとレフィーヤが褒める中、アリシアは総司の強さの秘訣を探ろうと体をベタベタとまさぐり始めた。

 

「アリシアさん、くすぐったいですよ〜」

 

「ハッ! わ、わたくしったらつい・・・」

 

疑問を解消するべく夢中になって調べていた。普段のアリシアなら男性に対してこのような事は絶対にしないのだが、総司相手だと男性と言うよりは幼児に近いと勝手に認識してしまいセンサーの精度が著しく低下するようだ。

 

「アリシアさんも大胆になりましたね!」

 

「アリシアさん・・・私はどんなになっても同族ですからね!」

 

「ち、違います! 2人とも誤解しています! 特にレフィーヤ! 貴方はわたくしを何だと思っているのですか!?」

 

誤解する2人に必死に弁解するが、エルフィはほっこりとした笑顔で左から右へ聞き流しレフィーヤは動揺のあまり聞こえていない。

 

「こ、これはアレです。 相手の強さを測るには直接手で触れるのが一番効率が良いのです良いですか触ると手の神経から脳に伝達し記憶力に良い刺激をーーー」

 

「はいはい、分かりましたから落ち着いて下さいよ」

 

「わたくしは落ち着いています! いいから続きを聞いて下さい!」

 

「大丈夫ですってぇ。スケベだなぁ、アリシアさんは」

 

「エルフィーーー!!!」

 

程よくアリシアで遊んだエルフィは殺気を感じたので全速力で逃げ出した。それをアリシアは赤面しながら追い掛ける。

 

「はぁ・・・何やってるんだかあの2人は」

 

「賑やかで良いじゃないですか」

 

「原因は多分あんたよ。総司」

 

実はそこにいたアキは追いかけっこをしている2人を見て溜め息をつき、他人事の総司に原因を指摘するが本人は傍観しているだけだった。

 

「それにしても総司が元の可愛らしい総司に戻って良かったわ」

 

「反抗期が終わった子供に対する気持ちってこんな感じなのかなぁ」

 

「あんな反抗期があってたまるか」

 

等と女子団員がしみじみしている。語弊が無いように言っておくが反抗期ではない。

 

その後総司は気の向くままに歩き出すとラウルやロイドと言った男性団員と出くわした。

 

「お、総司! 怪我はもう良いのか!?」

 

やはりエルフィ達と同じように気遣ってくれた。平気である事を伝えると、昨日の戦いに胸を熱くした男性団員は総司の頭をワシャワシャしながら労ってくれた。

 

「よく頑張ったな総司!」

 

「お前すげぇよ! 何だあの剣技、今度教えてくれ!」

 

「よぉし、今日は帰ったら団長やガレスさん達も誘って宴だ! 野郎共の宴を見せつけてやろうぜ!」

 

「総司もいっぱい飲めよ! 今日は寝かさんからな!」

 

「やったぁ! 僕甘い物が食べたいです!」

 

「おう! 好きなだけ食え食え! 今日の主役は総司だからな!」

 

と言うような具合で男性団員は過去最高クラスの盛り上がりを見せる。

 

「お昼はお風呂ぱーてぃ、夜は酒宴なんて最高の日ですね!」

 

「ん?」

 

「お風呂パーティ?」

 

「その話し詳しく」

 

不可解な単語に皆困惑する。そんな困惑も気にせず総司はついさっき女子団員と約束した事を伝えた。その内容とはエルフィ主催によるロキ・ファミリア女子団員*1と総司が風呂に入るという企画だ。因みにじゃんけんで勝った者は総司の頭を洗えるという特典も付いている。

 

「貴様ァァァァァァ!!!!!!」

 

「この前も言ったがもう一度言わせてもらう。なんて羨まけしからん奴だ!!!」

 

「何故お前は永遠の男の夢に容易く足を踏み入れられるんだ!」

 

「来世は総司になれますように!」

 

魔導書(グリモア)で体を入れ替える魔法とか発現しないかな・・・・」

 

「み、皆落ち着くっすーーー!!!」

 

野郎どもは総司の説明を聞いて発狂している。中には血の涙を流す者も現れそうな雰囲気を漂わせ、只管総司に対して羨望の眼光をギラつかせていた。

 

「見つけたわよ・・・」

 

どう収集をつけるか迷っていたラウルの背後から女性の声。振り返るとそこには大勢のアマゾネスが男性団員に負けないほど目をギラつかせていた。

 

「私と子作りしなさいよ!」

 

「いいやあたしとよ!」

 

「子供は10人くらい欲しいわね!」

 

次々と群れをなしてラウルと総司以外の男性団員に襲い掛かる。

 

「ゲッ! やべぇ奴らに見つかった!」

 

「総司、宴で土産話し聞かせろよぉ!」

 

「逃げろ逃げろ! 逃げるんだぁ! 捕まればおしまいだぁ!」

 

道のど真ん中で騒ぎが起きている中、総司とラウルの周りだけは物凄く静かだった。

 

「今説明するっす・・・」

 

「は、はい」

 

酷く落ち込む様子のラウルに総司は黙って聞くしかなかった。そう思わせるほどの悲壮感がラウルからは発せられている。

 

説明するとこのアマゾネス達はカーリー・ファミリアの団員で、昨日の戦いでロキ・ファミリアの男性団員に撃破されたアマゾネス達がその強さに惚れて恋愛一色になっている。

 

「ーーーと言うわけっす・・・」

 

「へぇ・・・え、じゃあラウルさんは?」

 

ラウルはロキ・ファミリア二軍メンバーではあるが実力は幹部メンバーに次ぐ強さを持っている。実力の面でカーリー・ファミリアのアマゾネスが惚れない理由は無いと思うのだが・・・

 

「自分だって頑張ったんすよ・・・ティオナさんやティオネさんに一刻も早く武器を届けようとして、メチャクチャ重いウルガを背負って、アマゾネスの猛攻を振り切って・・・なのに! 着いてみればもう何もかも終わった後・・・」

 

チラりとアマゾネスの方に目を向けると、あちらもラウルの視線に気づいたようで・・・

 

「こっち見んな」

 

「逃げ足だけの男は死ね」

 

まるで虫けらを見るような目でラウルを睨み猛毒の如く捨て台詞を吐き散らす。

 

「酷すぎるっすよ〜!!!」

 

そうして蹲りながら泣くラウルの肩をポンと叩き、総司は刀に手を掛ける。

 

「あの2人斬ります」

 

「いや、良いんすよ。総司は病み上がり何すから大人しくして欲しいっす。グスッ・・・」

 

「ラウルさん、優し過ぎますよ・・・」

 

今にも動き出そうとする総司はラウルの声で静止した。

その夜の宴ではロキ・ファミリアの良心であるラウルを全力で慰める総司の姿があったとかなかったとか。

 

因みに討伐数1位だったガレスはアマゾネス達に群がられて困ってはいたが満更でも無い様子を見せていた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

男性団員がアマゾネス達に襲われるのを一頻り傍観した後、それに飽きた総司はまた街を歩き出す。辺りを見渡すと家屋に昨日の戦いの傷が残っていた。それをニョルズ・ファミリアの漁師や住民で復興作業を行っている。

 

「あー! 総司だー!」

 

後方から大きな声で呼び掛けたのはティオナだった。

 

「元気そうで良かった。総司」

 

「貴方は・・・バーチェさん!?」

 

ティオナと行動を共にしていたのは昨日の昼頃、総司完膚無きまでに叩きのめしたバーチェ・カリフであった。

2人は元々いがみ合っていた訳では無い。ティオナがテラスキュラにいた時の師匠の様な立ち位置だったみたいで戦いが終わったら仲良くなっていた。

 

「昨日はすまなかった。カーリーの命令とは言え、お前達を傷つけた。特にお前にはな・・・」

 

「気にしないで下さい。僕の方が弱かっただけですから」

 

ぺこりと頭を下げて謝罪をした。どうやらレフィーヤやエルフィ達にも謝罪して回っているようだった。しかし総司は全然気にしておらず、なんだったら今まで忘れていた。

 

「貴方が言っていた“僕の恐怖“・・・その正体は結局わかりませんでした。でも次は絶対に勝ちますので覚悟しておいて下さいね」

 

「私はテラスキュラにいる。いつでも来い」

 

再戦の約束をする2人の横から何やら騒がしい声が聞こえて来た。

 

「さぁフィン、お前となら強い子を産める。私が喰らった命の分も2人で産み増やそう! 何ならここで始めてもよいぞ!」

 

「て、てめぇ! 団長になんて要求してやがる!?」

 

「ははは・・・ティオネ、後は任せたよ」

 

バーチェの姉、アルガナはフィンに負けた事によって惚れていた。子作りを迫るアルガナとそれを止めるティオネ、豹変ぶりに同様隠せないフィンはそそくさとその場を立ち去ろうとしている。

 

「あれってバーチェさんの姉上ですよね? 変わりましたね」

 

「あぁ・・・私は姉さんが怖かった。いつ殺し合わされるか分からなかったから、私は姉さんから私を守るのに必死だった。でも、あの姉さんなら怖くない」

 

テラスキュラの性質上、いつかは儀式の為に殺し合わされるだろうと言う恐怖に耐えながら生きて来たようだ。しかし変わり果てたアルガナを見てバーチェの中の“恐怖の象徴“消えていた。

 

「僕とは逆ですね・・・」

 

「何か言ったか?」

 

「いえ、なんでもありません」

 

風に溶ける程の小さな声で発した言葉は誰にも届いていなかった。バーチェの話しを聞いて思い出した自身の姉の存在、あの怯えた目は今でも心の奥底に刻まれていた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「さてフィン、総司についてなんやが・・・」

 

「わかってる・・・」

 

メレンから帰還したその夜。宴を抜け出して来たフィン、ガレス、リヴェリアがロキの部屋に招かれていた。

 

「どうしたもんかのぉ・・・」

 

「異例と言えば異例だが・・・」

 

ロキが頭を抱える中で3人が総司のステイタスを写した紙を見ていた。

 

 

 

Lv.1《ランクアップ可》

 

力 G 233 → B 703

耐久 H 175 → C 658

敏捷 C 612 → S 999

器用 F 317 → A 822

魔力 I 0 → I 0

 

《魔法》

 

《スキル》

 

鬼ノ魂(オウガ・ソウル)

・殺戮衝動に駆られる度、又は鬼子を使用すると全てのアビリティを大幅強化。

 

【武士ノ道】

・跳躍する。

・格上との戦闘時に自動発動。

 

 

 

「何処から突っ込もうかのぅ・・・」

 

「俊敏がカンストしとる・・・」

 

見ただけで頭がおかしくなりそうなステイタスに一周回って冷静になる。

 

「ランクアップやアビリティは置いといて、問題はこの新スキルだ」

 

「跳躍・・・とは、おそらく最後に見せたあの光の粒子の事だろうな」

 

下の文を見てもそう考えるのが自然だ。そして総司が光の粒子を纏った瞬間、爆発的に強くなった。

アイズとベートの証言によると総司と同じ光の粒子を纏ったフリュネの強さは“Lv.6“と同等だった。しかし彼女は現在Lv.5なので何者かが魔法で強化した事がわかる。

 

 

つまり・・・

 

 

擬似階位昇華(スードウレベルブースト)

 

 

「おそらくこのスキルを発動した総司はレベルが1段階上昇する」

 

フィンの考察に一同は驚きのあまり声を出せずにいた。

強化や補正ではなくレベルそのものが上昇する。ベートの様に獣人でもない総司が発現させたスキルの上昇率は間違いなくオラリオでもトップクラスに位置するだろう。

 

「フリュネを強化したと言う魔法もかなり希少な上、それをスキルで再現したとなれば・・・」

 

魔法で出来たその所業をスキルで成し遂げた。これが公表されればまず間違いなく注目されるだろうし、噂を聞き付けた他の神も寄ってくるだろう。

 

擬似階位昇華(スードウレベルブースト)やて・・・前代未聞の超レアスキルやんか・・・」

 

アビリティの上昇率といい新スキルといい、総司への謎は深まるばかりである。

震えるロキを見て1回気持ちをリセットさせる為に話題を変えるようと試みるフィン。

 

「とりあえずこうなってしまった以上、受け止めるしかない。この事は本人にも固く口止めするとして・・・総司はLv.2へランクアップさせても問題ないだろう。発展アビリティは昇華の際、総司に選ばせればいい」

 

「気に入らんが、ドチビんとこの子に感謝やな」

 

ベルのLv.2到達の所要期間は一ヶ月半と言う前例があるからまだ注目度は緩和されるだろう。と言っても焼け石に水程度だろうが・・・

 

「最後に1つ良いか?」

 

とりあえず今日の所は解散しようとした時、リヴェリアが声を上げる。

 

「総司の・・・“あの力“については何か制限を掛けるべきだ」

 

リヴェリアが指すのあの力とは【鬼子】の事だ。スキル程ではないにしろ【鬼子】の能力上昇率は凄まじいものだった。しかし理性を失うリスクがあるので不用意に使用するのは危険だと主張する。

確かに食人花との戦いでは見逃したが、今後もそのリスクが付きまとうとしたら話しは別だ。

 

「・・・リヴェリアーーー」

 

「あれについては制限は掛けない。これまで通り総司の判断で使用させる」

 

ロキが何かを言い掛けるのを遮ってフィンは現状維持を推す。

 

「・・・何故だ。フィン、あの力は危険だ。下手をすれば総司自身だけでは無い、仲間も危険に晒す事になるぞ! いつ爆発するかも分からない爆弾を抱えながら戦うようなものだ!」

 

リヴェリアの言うことは正しい。

理性を失うと言う事はそれだけ死の危険が高まる。それに命を預け合う仲間にそんな地雷がいたらはっきり言って迷惑だろう。

 

「リヴェリア、あの力は多分、僕達が口を出していいものじゃない。総司自身に解決させなければならない問題なんだと思う」

 

「しかしっ!」

 

「総司ならきっと大丈夫さ。僕が見惚れた漢なら、きっと乗り越えられる」

 

真っ直ぐな目をしたフィンを見て、リヴェリアはすっかり反論する気が失せた。あの目に納得されられてしまった、もう言う事は何も無い。

 

(ウチの出番は必要なさそうやな。さすが団長や)

 

*1
一部を除くエルフ組やロキ等々は不参加。特にロキ




決めた、次回アミッド回書く(黄金の意思)
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