オラリオに剣客がいるのは間違っているだろうか   作:銀の巨人

68 / 77
悪意の奇策

「これが闇派閥(イヴィルス)呪道具(カースウェポン)・・・この製作者は底無しの妄執の持ち主なのでしょう」

 

ディアンケト・ファミリアの治療院にてリヴェリアと総司はフィンの指示でアミッドに呪道具(カースウェポン)の解呪薬を制作を依頼している。

 

ベートの1件以降、ロキ・ファミリアではクノッソスの鍵を捜索していた。実はクノッソスでの事件とは別に闇派閥(イヴィルス)と繋がっていたイシュタル・ファミリアが何故かフレイヤ・ファミリアの侵攻によって主神のイシュタルは送還、眷属達もバラバラとなり壊滅したのだ。

なんでもイシュタルがフレイヤの逆鱗に触れたとか・・・そんな騒動も有り、当時のイシュタルは闇派閥(イヴィルス)と連絡を取り合う余裕は無かったと仮定し元イシュタル・ファミリアの眷属への事情聴取、歓楽街の捜索を行っているという訳だ。

 

話しは呪道具(カースウェポン)に戻り、この呪詛(カース)は強力でオラリオ一の治癒士であるアミッドにしか解呪できず防御手段も無い。

 

「その効果は私も測りかねます・・・」

 

「でも身体の穴ほどきつくなかったですよ?」

 

「それは総司さんがおかしいだけですよ!? そもそも貫通した時点で戦闘不能でしょう!?」

 

有り得ない程の総司の生命力に当時は驚いた。逆にどうやったら死ぬのだと思ってしまう位に。

 

「それで、解呪薬は作れそうか?」

 

「・・・はっきりと申しますと、難しいと言うのが本音です」

 

後ろ向きな答えを隠そうとせず言葉にする。しかしリヴェリアはそれだけでは終わらないと感じ取る。

 

「・・・と言うと?」

 

「ーーーこの呪い。私が殺します」

 

「頼んだ・・・!」

 

決意に満ちた目で言い放つ。これほどの意志をアミッドから感じるのは珍しい。そこまで呪いの存在が許し難いのかは定かでは無いが、リヴェリアはその目を信じてみる事にした。

 

「リヴェリアさん。僕も歓楽街の方へ捜索に行って来ます」

 

「わかった。お前は病み上がりだからあまり無理をするなよ」

 

そう言って店を出ようとドアノブに手を掛けるとアミッドの声が背後から聞こえ足を止めた。

 

「総司さん、言っても無駄なのでもう何も言いません。好きなだけ怪我をすれば良い、私が治しますから・・・だから、死なないで下さい」

 

「当然ですよ」

 

心配の眼差しを一刀両断するように言い放ち店を後にする。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

現在総司は歓楽街で調査を行っている。

 

状況的には闇派閥(イヴィルス)も鍵を捜索している筈だ。闇派閥(イヴィルス)側からしたらクノッソス攻略の重要アイテムである鍵をロキ・ファミリア側には絶対に渡したくないに決まっている。

 

しかし総司は疑問に思った。

 

(奴らの気配が無い・・・)

 

歓楽街を彷徨いている元イシュタル・ファミリアのアマゾネスの周辺を身を隠しながら観察していたが闇派閥(イヴィルス)の類いは現れなかった。黒装束の暗殺者ならいざ知らず、白装束の闇派閥(イヴィルス)なら気配を掴む事は容易い。

 

(必ず尻尾を出す筈・・・)

 

「あ、総司!」

 

軽食を食べならがら一休みしているとティオナがやって来た。どうやら偶然捜索範囲が被ったようだ。

 

「ティオナさん、そちらはどうでした?」

 

「ううん、全部空振りだったよ。誰も鍵を知らないって」

 

ティオナはいつものハイテンションなのだが、今日は少し暗めだ。やはり仲間の死がそこまで影響しているのだろう。しかしそれだけではない。ベートの事もだが、総司の反応が意外過ぎたのだ。

 

「この前のベートの事なんだけどさ。総司はどう考えてるの?」

 

先日、ロキ・ファミリアのほぼ全ての団員がベートへ怒りをぶつけたのに対して総司はあろう事か微笑んだ。しかし不思議と悪印象は無く、それがティオナはどうしても理解できなかった。

 

「ベートさんは素直じゃない・・・いや、素直になれない性質なんですよ」

 

「でもリーネの気持ちを知ってあんなこと言う奴なんだよ!? しかもあたし達が苦労してるのにベートは楽しく女遊びしてるんだよ!? 信じられない!!」

 

現在ベートは元イシュタル・ファミリアの団員の一人とデートしていると報告があったようで、それを聞いたヒリュテ姉妹は逆鱗に触れたようだ。

 

「ん〜、これはベートさんの口から聞くのが一番ですからねぇ」

 

憤慨するティオナを見て頬を掻きながら苦笑いする。

 

「それよりもイシュタル派の頭の現在地と見た目を教えて貰えませんか?」

 

「え、フリュネの事? 確かサラミ*1から聞いた話しだと・・・歓楽街の外れの民宿で引きこもってるらしいよ。なんでもフレイヤ・ファミリアが侵攻した時に大怪我してから怯えてるみたい」

 

「なるほど・・・ありがとうございます」

 

ティオナに礼を言うと総司は駆け出した。

 

正直フリュネの居場所が分かれば事情はどうでもいい。フレイヤ・ファミリアの団員に何をされようが、トラウマになってようが生きてさえいれば何でも構わない。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

クノッソスの内部では闇派閥(イヴィルス)の主神タナトスとヴァレッタが白装束の連中からある報告を受けていた。

それはロキ・ファミリアが歓楽街に姿を現したという報告だ。

 

「チィ! やっぱり来やがったか!」

 

「まぁ、落ち着きなよ。ヴァレッタちゃん」

 

「てめぇは呑気でいいなぁ! おい、タナトス。雇ってる暗殺者全員集めろ。てめぇらはありったけの呪道具(カースウェポン)を用意させろ」

 

ヴァレッタはタナトスに暗殺者の要請、白装束に呪道具(カースウェポン)の用意を命令した。

 

「あれ、もしかして地上で殺っちゃう気? しかもロキ・ファミリアの目の前で?」

 

「本当はこんな目立つ真似したかねぇが・・・・しょうがねぇ。フィン達に鍵を渡すわけには行かねぇからな」

 

ヴァレッタにとっても苦渋の選択だろう。しかしロキ・ファミリアとまともにやり合って勝ち目が無い上に今回はクノッソスではなく地上だ。他派閥も相手取らないといけない可能性がある中、闇派閥(イヴィルス)側としては分が悪いと言わざるを得ない。

 

「ーーー仕掛けるぞ!」

 

しかし腐っても暗黒期を生き抜いたヴァレッタ。勝ち目が無い選択はしないだろう。

*1
正しくはサミラ。間違えるとキレる

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。