「で、なんた何者なの?」
再び縁側に戻りお茶をご馳走になっていた所に霊夢が訪ねてきた。
「さっき素性は聞かないって言った手前に聞いているのも、答えられないのもわかっているけど、どうも気になってね。」
「わかるぜ霊夢。唯人、お前本当に何者なんだ?ありゃ素人が出来る芸当じゃないぜ。」
確かに、あんな戦い方したら誰だって正体を知りたくなるだろう。いかに此処の大賢者様が気を許しているとはいえ、素性がわからなければこの世界を脅かすやもしれん。と、不安になる気持ちもわかる。
正体は明かせないが、まぁ、安心させることぐらいはして置かないとな。
「どれだけ言われても、正体は明かせない。知りたきゃ紫に聞いてくれ。自分の事だがそこは自分じゃ話せないし、話さない。」
「そう、聞いて悪かったわね。」
「いやいい、疑われるのも仕方が無いしな。だから、ここに戻ってきた目的と俺の能力を話しておく。能力については弱点に関しても洗いざらいな。」
「お!?そりゃいいぜ。私もお前と組手したくてワクワクしてるからな。」
「魔理沙。すまないが、組手はまた今度な。俺もこの体で初めて能力を使ってたから、調整したい。」
ちぇっと魔理沙が口を尖らせる。スマンが本気で特訓して調整しないと何かの拍子で命を懸けたやり取りになった時、誰も守れなさそうだからな。
「先ず、何故ここに戻ってきたかだが、俺の因縁に決着を付ける為だな。」
「へー、その因縁って?誰と?」
「誰って言われてもな。神様にだ。頭のてっぺんから足のつま先まで怒りと恨みに染っている。クソガミ様にな。」
そう言うと、2人は驚いた顔をして、その後憐れむように俺の事を見た。
「この幻想郷にそんなやついないぜ。お前それ昔の情報すぎるんじゃないのか?」
「は!?どうゆうことだってばよ」
「えぇ、今の幻想郷には邪神も魔王も居ないわ。小悪魔ならいるけど……」
ん?マジでどうゆうことだってばよ。邪神は確かに封印したままだと紫からは聞いているのだが、他のやつは邪神を認知されてない…のか?
「唯人さん、唯人さん。」
藍ちゃんが耳を貸せと言わんばかりに手招きをしている。俺は大人しく耳を貸すべく、藍ちゃんの方へ顔と身体を傾けた。
(唯人さんはお忘れかもしれませんが、貴方が亡くなった後、紫様は邪神と呪いの存在を貴方ごとなかったことにしましたよ。これは生前の唯人さんが望んだ事です。なので邪神と呪いの歴史はこの世では無かったこととになってますよ。)
ヒソヒソと概要を藍ちゃんは話してくれた。確かに忘れてた。
なるほど、だから無用意に生前の事を話すなと紫は言っていたのか。まぁ、俺だけわかってればなんの問題もないし、いずれは必ず巻き込んでしまうが、何も知らないのなら今だけは平和に暮らしてもらおう。
「まぁ、数百年もいなかった訳だし、真相がわかるまで探してみることにするわ。」
「私達も手伝いましょうか?」
「そうだぜ、今の幻想郷を知っている私達を連れてけば十人力だぜ。」
「いや、若しかすると杞憂に終わるかもしれない。だから俺一人で十分だ。ありがとうな気持ちだけ受け取っておくわ。」
「そう」
「なぁ唯人。それでお前の能力はなんなんだ?私はお前の目標よりそっちの方が気になるぜ。」
「おう、じゃ魔理沙。お前の渾身の一撃をこの神社に向かってぶっぱなしてくれ。遠慮なんていらない。まさか、私じゃこの神社には打てなぁーーーい。とか言わないよな?」
「いいぜ!その安っぽい挑発乗ってやるぜ!腰抜かすなよ!」
良し。魔理沙は挑発に乗って軽く運動をし始めたな。後は隣で俺を睨みつける霊夢をどうするかだな。まぁ、能力で囲えばいいか。
んじゃま、霊夢の周りとこの博麗神社一帯を俺の能力で囲った。
「よし。いつでもいいぞ〜」
俺のその一言で、霊夢は俺に襲いかかろうとしたが、俺の能力に囲まれている為それも届かない。見えない壁に阻まれゴンゴンと音を立てて注意を其方に向けようとしていた。
人間、檻に入れられたらこんな感じなんだろうな……
「ねぇ!本当にやるつもり!負けた腹いせのつもり!?辞めなさいよ!ねぇ。藍もお静かに茶啜ってないで止めなさいよ。」
「このお茶美味しいぞ霊夢。後てお……」
「行くぜ!【恋符】マスタースパーク!!!!」
そう言って、小さい八角形のアイテムから極太の魔力を持ったレーザーが神社と俺たちに向かって飛んできた。
だが結果は大惨事にはならず、ギリギリの所であたりレーザーは博麗神社には当たらず、二又に分かれて飛んで行った。
「な、なに!?マスタースパークが二又に!?」
「ふふふっ、これが俺の能力だ!まぁ、戻ってこい魔理沙。」
「わかったぜ…………ぶっ!」
歩いて来た魔理沙が縁側に戻ろうとしてきた魔理沙が俺の能力にぶつかって変な声を出す。
俺は能力を解いて、魔理沙を縁側に戻す。魔理沙が座った所で、俺は口を開いた。
「俺の能力は『壁を操る程度の能力』だ。ここで言う壁は、空間を二つに遮るもの。塀とか結界とかも俺の能力の適応範囲になる。だからといって人間には適応しないし、建物の屋根や床、そして地面にも適応しないが空間の間なら壁は何処にも出せるから宙に浮いたように見えるって事だな。霊夢と戦った時に宙に浮いていたように見えたトリックはそういう事だ。他にもさっき慌てて俺を止めようとした霊夢がそこから出れなかったのも、博麗神社が無事だったのも、魔理沙が見えない何かに思いっきりぶつかったのも、俺が作った見えない壁によるものだな。」
「私の結界を破ったのもそういうことだったのね。」
「ご名答。と言っても防御特化、結界特化ってだけでその他の使い方を探すのにすっげぇ時間かかった。妨害系統は簡単だったが、攻撃にその能力を応用するのは本気で大変やった。」
「けど、それを長年突き詰めて使えてる唯人は実質最強じゃないのか!?」
「そうだ!!って言い切りたいがそうじゃないんだよな。この能力にはちゃんとした欠点がある。先ず1つは壁の色だな。基本は無色透明でとても見ずらいが故に俺も作った時に大きさと場所の把握をちゃんとしないと、自分の作った壁に自ら衝突とか空中に作っても足を踏み外して落下なんて事もある。逆にわかりやすい色をつけてしまうと奇襲性も無くなるし相手からも一目瞭然になってしまう。だから空間把握は非常に重要になる。」
「へー苦労してるんだな。」
「まあな。後はある一定の能力にすごく弱い。紫の能力の前だと本当に鬼弱になる。あいつ壁とかあってもスキマでそれすら越えてくるもん……なんだよ、あのチート能力。他には壁をすり抜けてくる能力とか、ありとあらゆるものを破壊してくる能力とか。後は精神とかに作用する能力系なんか壁あってもなくても効いちゃうからなぁ。もう己次第だよな……」
戦闘に不向きな能力なのによく数百年も生きながらえていたな前世の俺。いやーホント褒め讃えたいよ。自分のこと。
「最後に最大の欠点だ。この壁、縦の力に非常に弱い。どれだけ壁が厚かろうと、1枚だけだと辺にかかる力があれば砕けてしまう。見せてやる。」
俺は立ち上がり、能力で誰にでも目視できるような色で大きくそして厚い壁を作る。
俺はその壁のてっぺんを縦に思っきり殴った。
すると壁はガラスのように粉砕して辺りに破片が転がる。
何食わぬ顔で3人とも見ていたが、少し衝撃的だったらしく目が見開かれていた。
「この様に壁のどてっぺんを思いっきり攻撃するとこの様に粉々になる。だから攻撃で使う時は囲ってキューブ型にして使うことが多いかね。ほい、じゃ能力説明も終わったし、藍ちゃん帰りますか。」
藍ちゃんも俺の帰る宣言に頷き立ち上がる。
歩き始めた時、俺の横を霊力弾が通り過ぎた。
「待ちなさいよ。そう言えばこの神社と私を
実験台にした事忘れてないのよ。」
振り返るとゴゴゴという効果音が聞こえてきそうな雰囲気の霊夢がたっていた。勿論お祓い棒を握り締めて。こりゃーあれだな。俺が悪いにしても、選択はただ1つ。
「藍ちゃん…逃げるぞ!!!!」
「え!?あ、はい!」
「コラ!待ちなさいよッ!……ブフゥ!!」
空を飛んだ俺たちを追いかけるように霊夢も空を飛ぶが、霊夢が飛ぶ前に速攻で仕掛けた壁に霊夢が思っきしぶつかって空から落ちてゆく。痛そう。
「クッ!覚えてなさぁーい!!」
霊夢が遠ざかる俺たちに向けてそんな情けない声を挙げた。
こりゃ次会った時、覚悟しておかないとな。
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博麗神社を離れた後、俺と藍ちゃんは迷家に向かった。今日の目的は果たしたし、紫様にも今の幻想郷について色々と聞きたい。多分今後の活動拠点にもなるだろうから、昔とどう変わっているかとか見ておきたい。
移動して数十分後、迷家に着いた。
相変わらず、何処か時代を感じさせる家だよな此処。
「お邪魔するぜ。」
「おかえり霊威。」
「おう、お前もお疲れ様。」
「霊威、久し振り。」
「よっ、久々だな幽々子…………って幽々子!?」
居間には紫と一緒に昔からの友人である幽々子がそこには居た。って、幽々子俺の事を霊威って言ったか?しかも、紫まで。隙間だけと言っていたのにも関わらずそんなにすらっと話してもいいのか?
「あら、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしているわね。紫から転生したって聞いた時は私も驚いたわよー。」
「俺も今驚いてるっての……オイ紫。他人がいる時は俺の事本名で呼ばねぇとか言ってたろ。さっきのさっきでどうゆう風の吹き回しか教えて貰おうか?」
「だって、どうせ幽々子にはバレるのは分かりきっているじゃないの。だから先に話しておいた。」
「それ、良いのかよ。」
「えぇ、貴方が親しかった昔からここにいる妖怪だけ、話してもいいわよ。どうせ話し方とかでバレそうだもの。貴方の判断で貴方自信の事を話していいわよ。」
「全く。相変わらず気分気ままにやってんだな。俺が居なくてもこんな感じだったのか、幽々子?」
「えぇ、大賢者と言われていても、皆の前ですごくしっかりしていても、私の前とかではこんな感じよ。けど、幻想郷をここまで良くしたのは貴方が居なくなってからね。」
「ふーんそうか。」
まぁ、少しは変わったんだな。まぁ、俺の目の前で号泣するぐらい詰めてたんだもんな。今日は甘やかしてやるか。
「まぁ、今後の俺の身動きはわかった。じゃ、俺はメシでも作ってくるか。キッチン変わってないよな。」
「えぇ、位置は変わってないわよ。」
「私も手伝いますよ。霊威さん。」
「いや、藍ちゃんも休んでくれ。今日は俺がやっておくからさ。」
「はい。じゃ、お言葉に甘えます。」
「霊威、霊威。もう妖夢も作り始めているから手伝って挙げてね。」
「おう。じゃ、やってくるわ。」
そう言って俺は、見慣れた家の見慣れたキッチンへ向かった。内装は全く変わっておらず、キッチンへ行くのはとても容易だった。
キッチンへ着くと、半人半霊の魂魄妖夢と知らない妖怪が1匹いた。んー見る限り猫又って感じだな。
「よう妖夢ちゃん。手伝いに来たぞ。」
「へ?あぁ誰かわかりませんが助かります。と言うか、貴方誰ですか?もしかして、貴方霊威さんですか?」
「なんでわかるし?」
「いえ、幽々子様と紫様の話を聞いていましたので、にしてもお久しぶりです。」
「そうか。まぁ、幽々子が知っていればそうか、料理手伝うぞ。」
「ありがとうございます。久々に霊威の料理食べたいですし。よろしくお願いします。」
「おう任せとけ。」
なんの疑いもない妖夢ちゃんと話しているとこちらに覗き込んでいる。猫又妖怪が不思議そうに俺を見ている。
「お嬢ちゃんはここの住人かい?」
「はい、藍しゃまの式神の橙です。」
「そうか。僕は君のご主人様と八雲紫のお友達の神先唯人って言うんだ。多分ここにいる時は、霊威って呼ばれるけど、まぁ、ちゃんと君のご主人様に聞いてどう呼ぶか決めてね。」
「はい!よろしくお願いします。」
可愛い笑顔を見せて、彼女は今に向かった。多分藍ちゃんに色々と聞きに行ったんだろうな。けど、藍ちゃんも式神をねぇ〜ホント強くなったなぁ。おじさん嬉し過ぎて腕によりをかけて料理しちゃうぞ★
「んじゃま、妖夢ちゃん始めますか。」
「はい。」
そう言って俺は料理を作り始めた。
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料理もでき、俺の歓迎会という名の宴が開催される。美味い料理に美味い酒が用意されていた。この場は、数時間も和気藹々と続き終わったのは丑の刻すぎたあたりだった。
紫は飲み過ぎたらしく。久々に酒に酔ったらしく。縁側にいる俺の膝の上に頭を掛けてスヤスヤと寝ている。
妖夢ちゃんと藍ちゃんは食器の片付け。橙ちゃんは自室で睡眠しているだろう。
縁側でゆっくりしている俺と幽々子は、他愛のない話に花を咲かせていた。
「紫がこんなになるまで飲むなんて、現行の幻想郷が出来てから無かったわね。何時も飲んでも辺りに気を回せるようにしていたから。」
「そうなのか?」
「ええそうよ。どこぞの誰かさんが自殺まがいの様な行動に出て、結局死んじゃうんだもの。それこそ、自分がさらにしっかりしないと、と思っちゃうぐらいにはねぇ。」
「何度言われても、痛い所をついてくるな。けど、俺はあの行動自体に悔いはない。寧ろ、あの時は俺しか動けなかったし、俺が動かなかったらこの世界自体が滅んでいた。必要犠牲だ。」
「まぁ、結果が全てって感じにはなったけど、次は紫にも、そして私にも頼ってよ。貴方による必要犠牲なんて次は無いわ。次があるならその前に私の能力で死に誘ってあげるから。ふふふっ。」
「冗談キツイぜ幽々子。」
「冗談じゃ無いもの。」
こりゃ、次は無鉄砲に死ねないな。この体も前みたいに頑丈じゃないしな。
「本当に、私も悲しかったわ。誰が死んでもなんとも思わなかった。私もやはり友達の死はとても悲しいの。けどそれ以上に紫はもっと悲しんでいたわ。全く、好きな女を悲しませるなんて、貴方も外道ね。」
「そう言ったつもりもないんだがなぁ。まぁ、次はちゃんと笑顔にさせるさ。」
「そう言えば貴方。紫には気持ちを伝えてないみたいだけど、何時にするの?」
「呪いも解いてないのに俺だけ幸せになれるかっての。全部終わってからだと。何時になるがわからんが、この身体の寿命が来るまでは、必ず…………」
「貴方も相当バカね。」
「かもな。」
そう言って紫を起こさないように2人で笑い合う。
俺が生きて、また、3人でちゃんと笑い合う日常。これも目標のひとつに入れておこう。
その晩の月はとても綺麗だった。
そして、この大賢者の寝顔もその月明かりに照らされて。可憐で妖艶でとても言葉に言い表せないくらい、尊かった。
能力。考えに考え抜い来ました。ガバがあるかもしれませんがご愛嬌願います。
そして、ここで一章目が終わりです。区切りは付けませんし、だいぶ早いですが、次から2章です。(その前に間幕入れるかも?)
多分1ヶ月以上開くかもしれませんが、今後とも宜しくお願いします。
それでは次話お会いしましょう。
バイバイ