GATE 魔弾の王と自衛隊。かの地においてかく戦えり。 作:caose
ジスタート王都シレジア
国の中央に位置する場所で最も賑わっている。
海に通ずる北方のヴァルタ大河に臨むこの都には百万を超える人々が暮らしており無数に伸びた街道から様々な国の特産物が入ってくる。
東からはヤ―ファの竹細工や武具、遊牧民族の毛皮や獣脂。
南からはムネジオルの香辛料や陶磁器、紅茶、金銀などがふんだんにあしらわれた装飾品を・・・奴隷に運ばせていた。
西からはブリューヌ王国やザクスタンの小麦や葡萄酒、鉱物。
大河を渡った船団は遠くにある島国アスヴァ―ル近海で捕れた魚や珊瑚、真珠等が港に降ろされて云った。
そして七つの公国からは毛織物や香料、宝石、果物や野菜、卵などが
売り歩いている。
酒場に入ればジスタートの吟遊詩人(ミネストレーリ)が三弦琴(バラライカ)をかき鳴らし、ブリューヌ王国の道化師は虹色の玉を幾つも放って芸を見せて
場を湧かせ、紅い髪をしたザクスタン人の美女が客たちに酌をして回っていた。
日中、そして夜になっても喧騒はやまない。
それがこの王都であるのだが・・・王宮ではそうとはいかなかった。
王宮の奥にある謁見の間。
そこにおいて貴族たちが集まっていた。
そして玉座迄延びる真紅の絨毯の上にはリュドミラが片膝をついてとある男性に頭を垂れていた。
そう、リュドミラの目の前にいる男性こそがブリューヌ王国国王
『ヴィクトール=アルトゥール=ヴォルク=エステス=ツァー=ジスタート』で
ある。
この男は本来ならば60になったばかりであるのだが外見は・・・
更に年老いている印象であった。
灰色の髪と髭は丁寧に整えられているが艶はなく、肌は黒ずみ、
青い目には活力を感じず、せっすじは真っ直ぐ伸びているがゆったりとした衣から伸びている手は骨と皮だけと完全に病人のような状態であった。
「『破邪の尖角』が主リュドミラ=ルリエよ。この度余の許しを得ることなく
ブリューヌ王国領内へ軍を進めたと聞いた。
『降魔の斬輝』エレオノーラ=ヴィルターリアも共にいたと聞くが
彼女は何処か?」
それを聞いたリュドミラはこう答えた。
「は!エレオノーラ=ヴィルターリアは陛下の知る戦に共に参戦し
そして・・・。」
「そして・・・何じゃ?」
国王がもう一度聞くとリュドミラはこう答えた。
「・・・行方知らずとなりました。」
「・・・何じゃと?」
国王はそれを聞いて疑い深くリュドミラの向けてこう聞いた。
「一体何があったと言うのだ?申して見よ。返答次第では其方の今回の戦による振る舞いに相応しい罰が下るであろう。」
「は!我が一族はブリューヌ王国の大貴族『テナルディエ』と懇意の関係にありかの当主から援軍を呼ばれたのでございます!」
「ふむ・・・それで。」
「我々は不当にも使者として派遣されたご子息を捕らわれたと言われ救出と
現在アルサスに不当に占拠しておられる野蛮な民を追い返す手伝いをしてほしいと言われ、友軍として無会向かいました次第でございます。そしてアルサスから近いライトメリッツ公国の領主も共に向かい合計3000の勢力で境にある山々
ヴォージュ山脈に陣を張った次第であり翌朝に出撃致したのですがその・・・。」
「何じゃ・・・はっきり言うがよい。」
国王はリュドミラに何があったのだと聞こうとするとリュドミラは
重い口を開けてこう言った。
「・・・わが軍は初期の戦の時点で半数近くを失い敵を討つことが
出来なかったのでございます」
「ふざけておるのか貴様は!」
国王はそれを聞いて目を見開いて大声で言うがリュドミラはこう続けた。
「真実でございます!我々が先端を開き大群で攻めたまでは良いのですが
突如巨大な爆発と同時に兵たちが吹き飛ばされました!」
「敵に・・・竜がいたと申すか?」
国王はリュドミラに対してまさかとそう聞くとリュドミラはこう返した。
「分かりません!ですが竜がいなかったのは確かでございます!!
竜独自の匂いも鳴き声も感じませんでした!!」
「ならば何というのじゃ・・・!!」
国王は更にリュドミラに問い詰めるとリュドミラはこう続けた。
「その後我らは夜襲を行う事と決まりました!その時は新月の晩。
これならばと思って我らは両側から奇襲をかけようとしたその時に・・・
空が突如として昼の如く明るくなったのです!!」
「・・・貴様は儂をたばかっているのか?」
「とんでもありませぬ!全て真実です!!我らは強行突破を試みましたが敵から光の矢が周りを覆い尽くすかのように輝きそして我が兵を・・・
倒しておりました!!」
これが証拠ですと言ってリュドミラは懐から手拭いで覆った物を
近くにいた兵士に手渡してその兵士が国王に渡すと国王はそれを開けて・・・
こう聞いた。
「・・・これは何の鏃じゃ?」
「敵が放った光の矢の正体でございます!」
そう言ってリュドミラは血まみれの・・・銃弾を見せたのだ。
そしてリュドミラは国王に向けてこう言った。
「陛下!私はこれまで幾つもの戦を経験いたしましたがあれは初めてなのです!あそこまで敵を問答無用で然も敵を見ずに戦が終わるなど
前代未聞でございます!!」
そう言うと国王は静かにこう言った。
「・・・其方はブリューヌ王国で内乱が起きているのは知っておろうな。」
「ハイ!」
「その戦にお主は問答無用でジスタートに迄巻き込もうとしておるのか?」
「いえ!これは我が一族の独断!!陛下に対して申し渡しすべきと
考えておかれましたが敵は蛮族で我らの半分以下である事を文に書かれていたため何も気にせずにしていた我が不覚!次なる戦に於いては必ず敵の首を」
「もうよい。」
「へ?陛下・・・今何と。」
リュドミラは納得がいかない様子でそう聞くと国王はこう答えた。
「今は向こうの内乱に付き合うなどさらさらない。ジスタートの国益を
第一として考え軽挙妄動を慎め。これは諸卿にも知らせよ。
だが万が一敵が攻めてくれば・・・その時は分かっておろうなリュドミラよ。」
「・・・ハイ。」
リュドミラはそれを聞いて脱力するかのように座り込んでしまった。
そして国王は全員に向けてこう言った。
「ここにいる全員も心せよ、良いな。」
そう言って謁見は終わった。
次回は他の戦姫が出ます。