小さな魔女の財団職員生活   作:ちいさな魔女

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五話

セイラムSCP財団支部に到着した私達。其処にある下半身の無い焼けた骨の死体ことSCPー3998に触れた私は、この死体の記憶を全て見た。詳しい事は省くけど、この死体の男は屑だ。それも、周りに善意ある奴だと信じさせてた屑だ。その最期も、魔女にされて焼身刑にされながら、契約した悪魔によって蘇ったキャンディスという女性によって、焼かれた挙げ句に脚を奪われるという何とも哀れな末路だった。

 

私は3998から手を離した。この死体の異常性は、殺されたその時から発現するようになったんだね。キャンディスの強い力が死体に残ってて、それで自然に発火して近くに居る『恋人を殺害又は暴行した人間』を焼死するまで発火するようになった訳だ。キャンディスという女性。悪魔と契約したと言えど、予想以上に強い力を持ってたんだね。

 

3998をどうしようか。いや、もう解ってるので不要だが、破壊は止めておこう。財団の理念上、破壊は推奨されてないからね。まあ収容が無理なら破壊してやるけど。

 

「もう死体はどうでも良いです。此れからメインに参りましょう」

 

「もう3998は良いのかね?」

 

「死体は前座です。まあ、財団の理念に従って破壊しません。此れからある女性を呼びます。ウィッカーウィッチは生きている。なら、呼び出す事が出来ます」

 

長いFateの英霊召喚でも構わないが、あれは長いから面倒臭い。ならば、最速で召喚する方法がある。本当なら契約が必要だけど、私が受け継いだシガーの力なら、改変して無契約でも目の前に呼び出す事が出来る。シガーには本当に感謝する。まあそれ以前に、自分を暴行した元夫の死体があるのだ。繋がりがあって呼び出せるかもしれない。

 

「玄・戌・酉・申・未」

 

私は親指を噛んで血を流す。更に、反対側の掌に血を塗って印を結ぶ。そして、血を塗った手を目の前の空間に翳す。

 

「『口寄せの術』!」

 

その瞬間、私の目の前に炎の竜巻が発生。警備員がライフルを向けて、ブライト博士は興味津々に見てた。

 

まあ成功するのは解ってたけど、敢えて黙っておく。

 

「・・・ヴア・・・・・・アヴ?」

 

言葉が変だ。多分蘇ったけど声帯が戻ってないから、きっと話せないんだろうね。

 

「話せないかな?全くもう少しマトモな体にしてやれなかったのかな。脚はこの死体の脚かな?男らしいしね」

 

「どうする気かね?239」

 

「彼女の肉体を蘇生します。その際に、キャンディスにある力も与えますけどね」

 

解るんだ。彼女はこのような体になって尚、クローヴィスを愛している。クローヴィスもそうだ。手紙を残し、彼女を愛していると伝えてくれた。

 

会わせる方法はある。でも無理矢理は良くない。キャンディスに会いたいかどうか、念の為に訊いてみよう。でも、もしそうなら、この体になっても尚クローヴィスを愛しているなら、“あの眼”に変質させても良い筈だ。確か『うちは一族が深い愛情を覚えた後に、それらの対象を失って失意に苦しむ又は己の無力にもがく』時に、脳内に特殊なチャクラが発生し、視神経と眼球を変質させたものがそうだったよね。

 

「“元の体に戻れ”」

 

戻すのは体だけだ。炎の力はそのままに、キャンディスの体を戻した。金髪で大きい目をした綺麗な女性だ。アンソロジーで見た通りの姿だ。こんな女性が殴られていたのだから、魔女裁判の時期の恐ろしさが理解出来る。シガーもこの時期に産まれていたら、きっと魔女として殺されていただろう。

 

「・・・・・・ハッ!?此は、どういう事!?」

 

「こんにちは。私はシガーだよ。シガーロス=ステファンスドッティル。初めましてだね」

 

「えっ?ええっ、どうも。キャンディスで良いわ」

 

「どうもだね。それで、単刀直入に訊くよ?貴女はクローヴィスに会いたい?」

 

キャンディスが戸惑っている。クローヴィスの事もそうだけど、自身を召喚した事にも驚いている。

 

「・・・えっと、いきなりどうしたのよ?」

 

「会いたいの?会いたくないの?それだけ聞かせて」

 

「会いたいわよ・・・それはもう・・・・・・会えるものならあ”い”だい”わ”よ”お”お”お”お”!」

 

泣き出したキャンディス。余程会えなくて寂しかったんだ。ただ私では慰められない。臭い台詞じゃ駄目だ。クローヴィスが慰めなきゃ駄目なんだ。

 

「会いたいんだね?なら、私に任せて」

 

「・・・ふぇ?」

 

美しくて可愛い声で、そして首を傾げる仕草は反則だと思う。

 

「此処でやる?それとも、別の所でやる?」

 

私がそう訊くと、キャンディスは死体を向いた後に私の方を向いた。死体を見てたキャンディスの目は、まるで養豚場の豚を見るような残酷な目をしていた。その後、私の元を向いて答えを返す。

 

「貴方達と行くわ。もうこの死体を視界に入れたくないもの」

 

「ふむ。では彼女とこの死体はどうするのかね?239」 

 

「死体はほっときます。キャンディスをセイラム支部の食堂に案内しましょう」

 

こうして、キャンディスを案内する事にした。クローヴィスと再会させる方法は、既に私の中で定まっている。さっきは面倒臭いからやらなかったけど、クローヴィスを確実に呼び出すには此れが一番だろう。『NARUTO』の忍術でも良いけど、クローヴィスが西洋の悪魔ならば『Fate』シリーズの英霊召喚が一番だ。まあ、本当ならキャンディスに口寄せの術を覚えさせるのが一番だけど、面倒臭いけどその方が見栄え良いからね。それ言ったら口寄せを優先されそうだから言わない。難しい話だけど、型月では“悪魔は人の願いに取り憑いて歪んだ形で願いを叶えて、受肉を果たそうとする存在”らしいね。しかも基本的取り憑いた相手を自らの異形に変貌させながら災厄を撒き散らして、最後には宿主ごと自壊する危険物の極みだ。だがクローヴィスはそうじゃない。玉藻の前や酒天童子のような本来格上クラスの妖怪、イシュタルやエレシュキガルにスカサハのような女神は本来召喚出来ないけど、確か格を落とした或いは人理焼却という異常事態だから召喚出来た。なら、クローヴィスも似たような感じで召喚出来る。しかも私が居る。悪魔としての力と格を保ち、そして受肉してしまう。

 

やろう。いざとなれば、私がズルして改変すれば良い。

 

「キャンディス。今から私が教える呪文を唱えてね。君の愛する人を呼び出すよ。クローヴィスは貴女の元へ来て契約させた。なら、今度はキャンディスが彼女を呼び出して契約するんだよ」

 

「ええっ、解ってるわ。貴女が与えてくれたこの“令呪”に誓ってね」

 

キャンディスの右手には、“無限”を表す『∞』の形をした令呪が刻まれていた。令呪はサーヴァントへの絶対命令権だ。それを無限に使えるようにした。

 

魔法陣は私の血液を使用している。本当なら死ぬ程の量だけど、改変で死なない。もしシガーに会えたら、たっぷりお礼したい。

 

触媒は不要だ。何故なら、キャンディスが居る。キャンディスの中にはクローヴィスの力が残ってる。それに、キャンディスはクローヴィスと契約した以上、必ず成功する筈だ。

 

「さて、クローヴィス召喚を行うよ。今、貴女に英霊召喚の呪文を教えるよ」

 

私はキャンディスの後頭部に触れて、キャンディスの頭の中に英霊召喚の呪文を教える。

 

「・・・ありがとう!じゃあ、行くわよ!」

 

キャンディスの頭から手を離した私。キャンディスなら上手くやれる。駄目でも私がフォローする。

 

「『素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。四方の壁は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する

ーーーー告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よーーー!』」

 

キャンディスが英霊召喚の詠唱を終える。その瞬間、魔法陣が光る。輝きと共に強い力を感じた。

 

「とんでもない方法だね。召喚の魔法かな」

 

「まあそう思ってくれるならそれで良いです。それより、キャンディスは成功しましたよ」

 

そして、キャンディスは魔法陣の中心に居る小さなコウモリの羽を背中から生やした女性に抱き付いた。黒髪でスタイルも良く、美形の顔を持つ女悪魔だ。彼女がクローヴィスか。アンソロジーの見た目なんだね。

 

クラスはキャスターだ。グランドクラスではなかったけど、それでも並のキャスターよりもステータスは圧倒的だ。しかし、幸運は若干低い。何故だ?悪魔だから?

 

「キャンディス!?此は、どうして?」

 

「そんな事はどうでも良いわ!良かった・・・クローヴィス・・・会えて良かった・・・」

 

「・・・ごめんなさい!私、貴女から離れて!ホントにごめんなさい!もう離れない!私、もうキャンディスと離れないって誓うわ!」

 

「私もよ!クローヴィス・・・大好きよ・・・愛しているわ・・・」

 

「私も好きよ。キャンディス」

 

二人はキスを交わす。二人の様子は、私以外に見せないように見えない膜を張った。外からは見えないけど、ブライト博士は兎も角周りが慌ててる。見えないから当然か。

 

私は二人がキスを終えた後に膜を消して、ブライト博士達にも見えるようにした。

 

「・・・何が起きたのかは知らないが、会えて良かったではないか」

 

「・・・シガーだったかしら?貴女のお陰よ」

 

「私は単に二人を引き合わせただけだよ。じゃあ、二人の事をどうしようかな?」

 

「私に任せてくれ。O5と面会させよう。今日は此処までだ。二人は私達が案内するから、239は収容室で待っててくれ」

 

ブライト博士にか。この二人に何かされないか心配だが、いざとなればクローヴィスがキャンディスを護るよね。

 

その後、私はブライト博士やキャンディス、クローヴィスや数名の武装した職員と共に地下鉄に乗って、本部に戻った。そして私は、ブライト博士にキャンディスとクローヴィスを預けると、そのまま私の収容室に入って、ベッドへ横になってお昼寝に入った。




英霊召喚ってこんなもので良いかな?悪魔は呼び出せないらしいですけど、クローヴィスなら多分大丈夫でしょうね。

シガーがこの後取った行動は?

  • 可愛いシガーはアイディアが閃く。
  • クレフ博士が助けに来てくれる。
  • 逃ィげるんだよぉぉー!
  • 死ぬ。現実は非常である。
  • 逃げられない。なら闘おう。
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