私は本部に帰ってきた。アニエスお姉さんとクレフ博士はO5に報告しに行った。その為、私は収容室で結果を待つ事にしたのだが、部屋に入った瞬間に私は驚いた。私が改装した部屋の、一番気に入っているソファーに首飾りを着けた女性研究員が一人、三番目にお気に入りの大型ベッドに二人の女性が居た。ソファーに座っているのはブライト博士だね。そしてベッドに座ってたのは、キャンディスとクローヴィスだった。
二人は私の本棚から取り出した漫画本を読んでいる。無論私には日本語に見えるのだが、二人にはそれぞれが最も理解出来る文字になっている。だから誰でも読めるのだが、勝手に読んでるよ。まあ読むだけなら別に良いけどさ。
「やあ、SCPー239。この二人の処遇が決まったよ」
ブライト博士が立ち上がり、私の元へ来る。そして、私の髪を撫でようとしたが、私はその手を振り払った。
「おや、嫌われたかな?」
「なんか嫌な気分だよ。早く離れて」
「おっと失礼。ではなくて、あの二人の処遇について決まったのだ。彼女達は、君の部屋で暮らす事になったのだ。なので、君はSCPー239ー1となり、キャンディスは239ー2、クローヴィスは239ー3として呼ばれる事になる」
「嘘っ!?キャンディス、クローヴィス!?それ本当?」
私が聞くと、二人は首を縦に振った。
「本当よ。因みに貴女の番号にしてもらったのは、あの死体に付けられた番号と同じにされたくないから、私から申請したのよ」
「私はキャンディスと同じにしてもらうよう進言したわ。それで、私達の友である貴女の番号にしてもらったわ。そうする方が、財団としても楽だったみたいね」
成る程。下手にオリジナルの番号を与えるより、私の力で召喚された二人を私と同じオブジェクト番号にする方が、O5としても財団としても楽になる。まあ、キャンディスとクローヴィスが共に暮らしてくれるなら、なんか賑やかになりそうだけどね。静かに暮らしたかったけど、まあ良いか。
あれ?もしかして、ブライト博士も泊まるの?
「ブライト博士?」
「私は二人を送りに来ただけさ。用が済んだから帰る、と言いたいがお腹が空いたのだ。何かお昼ご飯を作ってくれ」
「図々しいね。でも私だってお腹空いたから、今からご飯食べる所だったんだ。でも一応手伝ってね」
「ハッハッハッ。解っているとも」
ブライト博士って、料理出来るのかな?
「私もやるわ。こう見えてクローヴィスに料理を作った事があるもの」
「私もやるわよ。料理は得意なの」
キャンディスとクローヴィスも混じった。まあブライト博士は皿だしを手伝ってくれたけど、料理は出来ないらしい。キャンディスとクローヴィスはホントに料理が上手かった。調理師免許持ってた私よりも凄い。解せぬ。
その間に、ブライト博士からキャンディスとクローヴィスも私がSCPオブジェクトを相手にする時、共に連れて行って欲しいとの事だ。二人はもう財団にとって貴重な戦力だ。オブジェクトに対抗出来る存在は一人でも多い方が良いだろう。
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昼食を済ませた私は達。ブライト博士は夕食を食べ終わった後、「では、私は此れから仕事だ」と言って部屋を出て行った。皿の後片付け手伝ってほしかったな。
まあ三人で終わらせたから良いけど。
それより、私は庭に出てキャンディスとクローヴィスに集まって貰った。此れから、キャンディスに与えた力を教える事に。
「さてキャンディス。君に上げた瞳、もう確認した?」
「ええっ。初めて見た時は驚いたわよ。私の瞳が、全く違うものになってたもの」
キャンディスが瞳を変化させる。瞳孔の周りの輪が展開され、そして瞳の真ん中に逆向きの十字架がある瞳へと変化した。そう。NARUTOに登場する写輪眼だ。それも、万華鏡写輪眼に似た構造だ。
「良い?キャンディス。君に与えた瞳は、写輪眼という瞳術だよ。まあ簡単に言えば動体視力の強化だね。但し、透視したり出来ないし、視界の広さは普通の瞳の時と変わらないけど、さっきも言ったように動体視力が強化されてるから、自分がどれだけ速く動いても相手の動きを視れるんだよ。その動体視力によって、物理的に見えない位置で無い限り、写輪眼の前ではどんな術をやろうとしても、どんなに速く術式を仕掛けようとしても、すぐに見抜けるんだよ。例えばその瞳のままで、私が今からやろうとする術を見抜いてみせて」
私は指で印を結ぼうとした。すると、キャンディスが私の手を握って止めた。そして、私がなにをやろうとしたのかを話し出す。
「“火遁の術”かしら?私達を燃やそうとしても無意味よ」
「正解。それが写輪眼だよ。あんまり使うとチャクラ・・・つまり生命体が持つ生命のエネルギーの事で、君達で言う所の魔力と似たようなものかな」
「成る程。キャンディスの瞳にそんな力が・・・でも、永遠に使える訳ではないのでしょう?」
「そうだよクローヴィス。でもキャンディスはそんなの気にしなくても大丈夫だよ。私が改造した写輪眼を与えてからチャクラが無限になったし、写輪眼をどれだけ使っても大丈夫だよ。それに、万華鏡写輪眼という写輪眼が進化した瞳になってる。キャンディスの力が強かった、と言うべきだろうね」
瞳術によるリスクも、あまり気にしなくても良いだろう。私特性の万華鏡写輪眼だし。
「じゃ、此れから修行に入るよ。クローヴィスは受肉してるから、修行して強くなれる筈だよ。お互いを護れるように、強くならないとね」
「ありがとうシガー。クローヴィスに会わせてくれただけでなく、強くなれるチャンスをくれて」
「お礼は良いよ。貴女達に強くなって欲しいだけだからね」
そして私達は、強くなる為に精神と時の部屋に入る。誰かが収容室に来たら私が探知出来るから、何かあっても安心だ。
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その頃、あるサイトに大きな警報が鳴り響いた。
「何事だ!?」
「SCPオブジェクトが脱走しました!SCPー682です!」
「またか!?くそ!これで何度目だ!!」
SCPー682。通称、不死身の爬虫類。財団が管理するオブジェクトの中で最も注意すべきSCPの一つで、此までに何度も脱走を繰り返して来た怪物だ。
サイトには何度も銃声や砲撃音が聞こえるが、その中には悲鳴が混じっている。
「なに!?嘘だろ!?こんな時にSCPー106が脱走!?」
「なにいいいいいいいいー!?」
SCPー106。又の名をオールドマン。年を取った高齢の男性の姿をしており、全身が腐ってボロボロになっている。触れた物全てを例外無く腐らせる能力を持つ。また、移動速度は遅いが、“ポケットディメンジョン”という106のみが通れる異次元空間を使って、固体の中に消える事が出来る。例えるなら、床から入って天井から出て来る、という事だ。
ただでさえ682で手に負えないのに、106という最悪の存在までも脱走した。過去類を見ない収容違反に、彼等は頭を抱えた。
すると、其処に偶然居たアニエスはある事を提案する。
「・・・いいえ。希望があるわ。私、SCPー239に連絡を入れるわ!239ー1~239ー3の三人なら、あの化け物二体を相手に出来る筈よ!」
「でも、O5の許可を取らないと!」
「そんな悠長な事、言ってられないわ!一刻を争う事態よ!」
アニエスは電話を取り出した。アニエス以外には見えてなかったが、書類の束と一枚のカードがアニエスの左腕に挟まれていた。書類の表面にらある文字が記載されていた。それは、SCPー239のオブジェクトクラスに関する事だった。
其処にはこう書かれていた。
『SCPー239オブジェクトクラス更新。新たなオブジェクトクラスは、“Thaumiel”』と。