日本皇国転移、異世界にて奮闘す   作:西住会会長クロッキー

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後編になります。引き続きお楽しみください!


第十五話 敷洲列島燃ゆる 後編

大敷洲帝国

帝都・西京

宮都城

帝道派が決起と同時に西機関や特務警察、憲兵隊が監視対象とする腐敗貴族や財閥の幹部に対する襲撃及び殺害といった粛清を開始した事により帝国の宮殿にあたる宮都城周辺には近衛師団の歩兵や砲兵、装甲車輌が展開して慌ただしい雰囲気に包まれていた。

皇帝親政の実現を目指して決起したといえど、善悪の区別は徹底しているのか腐敗貴族と対峙する善良な貴族や政治家、状況を把握していない一般市民などの非戦闘員には被害が無かった。

現在の状況としては決起部隊の幹部を説得するために善良な貴族や政治家達が庁舎に呼ぶなどして政治方針での話し合いなどの穏便な対応をしているものの、一夜が明けて蝦南地方や東武地方などの腐敗分子を血祭りにあげた越智少佐率いる戦車隊が鉄道を降りて西部の帝都に向かっているほか、東部方面で決起に同調した部隊などを吸収しつつ決起部隊との対決を望み、攻撃態勢が整った部隊と睨み合いが続いている状況だ。

 

「粟林閣下、海軍の報告によると日本皇国陸軍から応援の部隊がもうすぐここに到着するようです。皇国軍の藤田中将から貴軍の仰せのままにという伝達がありました」

 

「そうか。是非、帝道派の連中を牽制するようにお願いできないか?背後からは我々が援護すべきだろう」

 

「しかし、帝道派なら暴虐なる共和国を三ヶ月で撃破した日本軍の強大さを理解して突っ込んで来ないと思いますが……」

 

「同じ言葉が通じる以上、それを見越して彼らなりの慈悲がある対応を願いたいところだな。到着して早々に貧乏くじを引かせる形になるが、彼らの健闘を祈ろう」

 

「承知いたしました。早速、海軍基地の方に伝達させていただきます」

 

敷洲帝国軍第一近衛師団団長の『粟林忠照(あわばやしただてる)』中将は国防陸軍の応援部隊がもう直ぐ到着することに喜びつつ部下に対して国防軍の後方支援を指示しつつも帝国の内情を憂い腐敗が魑魅魍魎とする現状に対して反逆を起こした帝道派といえど同じく国を愛する敷洲人であるが故に非常に複雑な心情を抱いていた。

 

 

一時間後、西京都

舞鵬海軍軍港

軍港に到着した第一機甲師団の装備はクーデター鎮圧ということもあり96式機動戦闘車や82式歩兵戦闘車といった快速車輌が多くを占めており戦車に至っては五輌といった極めて少ない編成である他、他の輸送艦からは警視庁外派機動隊と書かれた旗がフロントの旗棒に掲揚された機動隊の75式特型警備車(75式偵察戦闘車の警察機動隊内における呼称)や隊員達を乗せたバスなどが走り出していく。

日本から遥に離れた敷洲に重武装の警察機動隊が居る理由に関しては、奉州において馬からオートバイと自動車に乗り換えた盗賊団を鎮圧する目的の他にも敷洲帝国の警察組織改革の研究も兼ねた相互交流の一環として奉州に配属されており、海四楼において国防軍の仮設駐屯地が建つ前より奉州に派遣されて治安の悪い地区での盗賊狩りや他の犯罪による現行犯逮捕といった敷洲側の憲兵や警察との連携プレーといった活躍も見せている。

そんな機動隊も投入された経緯に至っては、帝道派の本体である反乱軍よりも旧式装備の提供が追いつかないまま軽武装で決起した敷洲国民連盟と腐敗分子に対する不満が爆発した上で決起に参加した一部帝都市民に対する鎮圧を担うためである。

 

「機動隊さんが協力してくれるのは心強いよね。しかも藤田中将の後輩の方が隊長をしている大隊だからすごい事になるよこれ」

 

「でしょうね。高校生の時に中将が率いていた走り屋兼不良狩りチームの副長をしていた方と聞いていますから、決起した市民団体も一瞬で片が付きそうですね」

 

「それでも相手の事情を理解しているのか機関砲を載せて殲滅ってよりも放水砲に改装されていますね。それに輸送艦の中で行われたミーティングでも機動隊装備の四割がゴム弾らしいので、最低限の配慮はされている感じになりますね。まぁ、俺達三人は帝国軍のガード役になりますから状況を見極めて攻撃というのが問われますね。その為に82式を大量投入したんですが」

 

黒田や小棚木、蝶野の三人が遠くから物珍しそうに藤田中将と機動隊の大隊長を務める『大上秀一(おおがみしゅういち)』警視正が談笑している姿を眺めていると、藤田がそれに気付いたのか三人に対して手招きしてしたので、駆け足で二人のもとに向かい敬礼を交した。

 

「三人が先輩のところの精鋭さんですね。会えて光栄です私は警視正の大上という者です」

 

「こちらこそご丁寧にありがとうございます。今回の任務では改めてよろしくお願いいたします」

 

「おう。シュウは基本丁寧やけど、怒らせたらド外道共を粉砕して来た戦闘力が炸裂するで~」

 

「そ、そんなことしませんよ!でも藤田中将の後輩に当たる方ですから、そんな気はしますけど」

 

「もう先輩、そんなの三十年以上前の話なんですから今と昔は違いますよ」

 

三人も二人に混ざって何気ない冗談を交わしながら会話を再開したが、大上の右頬にある大きな切り傷を見ると昔話が事実であるかのように目立っており黒田と小棚木も色々と察したのか穏やかに笑い低頭な姿勢を取る彼に粗相が無いようにしながら同じく低頭に接する。

そんな若干和やかなやり取りを経た三十分後にはクーデター鎮圧の為に黒田の10式戦車を先頭に第一機甲師団の82式歩兵戦闘車が、帝国軍の兵士を守るようにして走り出したのに合わせて大上が率いる大隊の装甲車とバスが帝国軍に引率される形で甲高いサイレン音を上げながら走り出した。

 

 

 

西京都百代田区

国道一号線

百代田区では、こちらでも善悪の区別が徹底されているのか帝道派の決起に同調した敷洲国民連盟系列の市民団体がクロスボウやゲバルト棒などの軽武装で腐敗した財閥が経営する百貨店などを襲撃して財閥に愛想を尽かした店員と共に略奪した商品を貧困層に流すといった良く言えば義賊的な行動を行っているが、総体的に見るなら立派な大規模暴動である。

そんな彼等はそのまま帝道派との合流を図ろうとしており、彼らが居る南部へ向かおうとするものの突如青と白のツートンカラーのバスと装甲車と共に帝国軍のトラックも現れる。

 

「軍の方及び日本の警察の方に申し上げます!そこを退くか我々と共に敷洲を変えましょう!それが無理ならあなた達を突破してでも敷洲を変えてみせる!切り込み隊、前へ!」

 

「敵さんが突っ込んで来るぞ!警備車は体当たりの後に群衆に放水せよ。ゴム弾装備班は発砲しつつ検挙班を援護し、支援班は帝国軍と共に催涙弾投擲を私の指示があるまで継続しろっ!!鎮圧開始っ前へ!!」

 

「「うぉぉぉぉぉっ!!」」

 

「敵車両横転!!前へ!前へ!LRADも鳴らせっ!」

 

「耳がっ!耳がっ下がれ!」

 

団体の長と思われる男性が機動隊や帝国軍に対して同情を求めるものの両者が沈黙したため切り込み隊の大型トラックが突破の為に走り出したが、大上の指示を受けた75式警備車が力強い排気音を上げながら強行突破を試みるトラックに衝突していく。大型車両といえど装甲車の破壊力は雲泥の差があるため、ボンネットが大きな音上げて凹むか重量に耐えきれずに破壊音を上げながら横転していくか、煙を上げて走行不能になる。

それに合わせて警備車の放水砲から大量の水が放たれつつLRADといった音響装置を鳴らしながら暴徒への距離をつめつつ、後部の乗降扉からゴム弾を装填した66式短機関銃(史実におけるH&K-MP5)を装備する機動隊員たちが後方から発射される催涙弾の援護を受けながらライオットシールドも盾にしながら発砲を開始する。

放水に加えてゴム弾の発砲、催涙弾という波状攻撃を受けて市民団体は瓦解しつつクロスボウを発射するか、大量突撃を図ろうとするもののなし崩し的にその場に倒れこんで行く。

 

「検挙開始っ!!突撃ぃ!!」

 

「うわぁっ!目が!放せぇ!!」

 

残った者達はそのまま手錠をはめられて行くか突き飛ばされる形でそのまま拘束されていき、百代田区における大規模暴動は鎮圧されていく傍ら後方支援を担当していた帝国軍の兵士達は本心から帝国を憂いて決起した彼らを殺めることなく拘束できたことに一旦安堵するのもののこれによりクーデター鎮圧が本格化し、短くも濃い時間の歯車が再び回転を始めた。

 

 

 

大敷洲帝国西部地方

大和府太城京市

帝都の南部に位置する太城京市の中心部では帝道派軍人やそれに付き従う決起部隊が展開して一時的に待機しているほか、帝道派の決起と同時に彼らに同情した地元の議員などが彼らと現在と今後の話し合いを継続するなど中立的な意見を持ちつつも複雑な心情で彼らと穏和な接触を行っている。

そんな中、越智少佐が率いる戦車大隊が貸切っているホテルでは腐敗した貴族及び財閥から没収した金品や食糧を生活に困窮する市民に配給している他、各地で捕縛した腐敗分子を地元のメディアを呼んだうえで簡素な裁判を開き明確な証拠を開示した後にその場で斬首または銃殺刑など自身の正当性と帝国内の悪について公表していた。

 

「少佐、市民からの反応は良好ですが。西部の浪速府の府境では睨み合いが続いており、同地域まで進んだ別の歩兵大隊が現在、府道八号線で府警の警官隊に護衛された府知事と話し合うなどしています」

 

「同じ敷洲人で殺し合う事に躊躇いがあるのは同じなんだな。だが、悪党共への鉄槌が功を奏したのか東武地方は若干の睨み合いが続いていても殆ど我々に同調している。このまま帝都まで進撃すれば皇帝陛下も我々の正義をご理解される事だろう」

 

「越智少佐!ご無礼を失礼申し上げます!ま、ま、優仁第一皇女殿下がここにおいでになり少佐との御会見を望まれております!」

 

「そうか……優仁殿下をお招きするんだ。藤森、席を外してくれ」

 

「了解いたしました」

 

越智は藤森大尉からの状況報告を受けながら軍刀を丁寧に拭い手入れしていたが、兵卒の一人が血相を変えて飛び込んでくると同時に思わぬ来客の訪問に対して少し驚くものの副官である彼を退室させてから、兵卒に連れられて来た第一皇女の『優仁(まさひと)』を招き入れる。

恐らくこの混乱に乗じたのか、女性ライダーに変装して帝都から大和府まで走り抜けて来たことを示すかのように若干2ストロークオイルの匂いもするものの視認するものを全て優しく包み込むような瞳に濁りは無かった。

 

「信広君、貴方から多くの血の匂いがするよ……ここに来るまで色々背負って来たんだね」

 

「……相変わらず殿下には頭が上がりません。しかし、此度の決起に際して殿下のお気持ちを害した事を重々承知しております。ですが、現在の我が帝国に必要なのは弱者救済と伝統的敷洲主義の保護、平和的繁栄そして皇帝陛下や殿下をはじめとした聡明なる皇族の皆様による親政であると考えている所存でございます」

 

「そうなんだね……ごほっ……国を愛し護ろうとする意志は大事だけど、この決起が失敗しちゃえば……ごほっごほっ……信広君の命が……だから今す……」

 

「っ?!殿下っ!殿下っ!衛生兵っ!!殿下の御容態が悪化されたぞ、救護を頼む!!」

 

優仁は面と向かっても自分達の大義の意義を述べてそれを体現しようとする越智の身を特に心配し、尊王的思想を持つ彼らの思考を把握した上で決起中止を呼びかけようとしたもののここに来て彼女自身の幼少期からの病弱さが祟りそれを知っていた彼は衛生兵や看護婦などを呼びつけ、自室のベッドに寝かせて看護させると優仁の容態は安定したのか静かな眠りについた。

 

「越智少佐、日本軍が自国の警察や帝国軍と共に我々への鎮圧を開始したそうです。それにたった今、ラジオでも皇帝陛下が……こちらをお聞きください」

 

『帝国の内情を憂いて此度の決起を断行した勇猛果敢なる諸君に告ぐ、諸君らの憂いに気付くことなく賊徒同然と化していた一部貴族を殺めさせてまで諸君らが決起した事に対して私は非常に申し訳なく思っている。しかし、このまま諸君が抵抗を続けるのであれば逆賊とみなした上で私自ら近衛師団を率いて諸君を征伐せねばならない事に加えて諸君の身を案ずる父母兄弟は国賊になりかねないだろう。今からでも遅くない、その場で武装を解除して直ちに投降するように。私からは以上だ』

 

「これが陛下のお気持ち………なのか」

 

「信広君、父上は気持ちは本気だから今すぐに武装を解除して……このまま信広君や他の皆が傷つくのは嫌だっ……」

 

「殿下……」

 

「少佐、我々帝道派は元来から皇帝陛下のお考えを尊重し、敬愛する同志達が集って出来た存在。その陛下がお言葉にされた以上はもう大義が無くなったも同然です。どうかご決断ください」

 

「分かった。聡明なる皇帝陛下ならびにお身体を顧みずにお出ましになった殿下のお気持ちを尊重して、私の指揮下に入る同志達の武装解除を解除せよ。責任は全て私にある為、手出し無用と厳命するように」

 

「了解、早速伝達致します」

 

藤森が部屋の中に有るラジオをつけると紛れもなく本物の義仁皇帝の肉声が部屋中に響き渡り、決起を起こした帝道派軍人を説得する趣旨の演説をしていた。

だが、腐敗していたといえど政府が認めた貴族を処刑しながら帝都目前まで進んできた事に対する怒りを皇帝が表すことなくそれに対して自身の過ちを認めると同時に自ら軍隊を率いて帝道派である自分達を征伐しなくてはならない事実を伝えた最後に、自分達を信用しようとする皇帝の言葉を耳にした越智が皇帝の本意を聞いて意気消沈していると、容態が安定して目を覚ました優仁が自分より少し背が低い彼を抱き寄せながら本心を口にした。

そして、越智は忠誠を誓った二人の意志を尊重して藤森に対して武装解除を指示するのであった。

 

 

 

同時刻

西京都中央区金座

一方、金座においても腐敗財閥の幹部の会合を狙って幹部達を殺害することに成功していた帝国陸軍第二戦車連隊を率いる『大橋明五郎(おおはしめいごろう)』大佐は、義仁皇帝が自ら放送したラジオ放送を聞き終えると酷く激怒していた。彼の場合、越智のように皇族の一人が説得に来たわけもなく他の地域でも議員たちが帝道派の兵士達を説得していたのに対して決起から一日が経過しようとした頃に皇帝からの武装解除通告だった。

 

「馬鹿なっ?!陛下が武装解除を通告されるのか……しかも、いいところまで来ていた越智まで投降だと……こんなもの日本の奴らが皇帝陛下を恫喝したに決まっている!!総員、西京タワーに軟禁されているであろう陛下の解放に向かうぞ!!」

 

「し、しかし。皇帝陛下は日本との友こ……ぐふぅっ!」

 

「貴様、上官である俺に向かって説教を垂れるのか?皇帝陛下はな、この俺を認めてくれた御方なんだぞ!!いとも簡単に慈悲を注いでくれた偉大な御方を見捨てろって言うのかこらぁ?」

 

「申し訳ございま……ひっ」

 

「おい、また皇帝陛下を愚弄されたり見捨てるような事を言ったら三年前に俺が挽肉にしたデコ助共みてぇにしてやろうか?」

 

この大橋という男は本心から帝国や皇族そして、一番に皇帝を敬愛し軍務に忠実であるものの今のように自分に対して意見した部下に対して平気で口の中に拳銃の銃口を押し込むなど非常に短気でヒステリックなうえ、常軌を逸した行動を起こしては軍歴の三割を真っ先に前線に立たされる懲罰部隊の隊長として過ごしてきた。

中でも彼を印象付ける出来事として挙げられるのは、三年前に懇意にしていた近所の子供が警官が乗る酔っ払い運転のパトカーによりひき逃げされたものの辛うじて命が助かったという知らせを聞いた際にはこれでもかというほど激怒して二九式軽戦車(史実における九五式軽戦車)でその警官や同乗していたほか三人の警官もその日の内に見つけ出し、徘徊を続けていた彼らのパトカーに戦車で体当たりをしたうえ、搭乗しているにも関わらず戦車でパトカーごと踏み潰して殺害するといった行動を起こしていた事から大切なものを傷つけられると何をするか分からない危険人物として扱われて来た。

ある時、大橋が義仁皇帝の護衛任務に当たっていた際はその戦闘性や可能性に目を掛けられるなど敬愛する人物から認めてもらえたが故に歪んだ正義や君主への愛を持つようになったのだ。

 

「押忍、隊長!!全車輛及び隊員達の気合も入っています!!このまま日本やあっさり投降した越智のボケ共も粉砕しましょう!!」

 

「おう。今から皇帝陛下解放作戦開始だっ!!全員、精神力と敷洲魂をありったけ高めて死にに行くぞ……皇帝陛下万歳っ!!大敷洲帝国万歳っ!!」

 

『『皇帝陛下万歳っ!!大敷洲帝国万歳っ!!』』

 

そんな大橋の性格及び指導を色濃く受けた第二戦車連隊は、同じ陸軍内から戦車"愚"連隊大橋連合などと言われるほどの別の気合の入り方をしているものの敷洲の為に決起した事実に変わりなく、意図しないすれ違い故に彼らは鉄獅子の大群で甲高いエンジン音や履帯の音を轟かせながら摩天楼の街を走り抜け、大橋は帝国軍が導入したばかりの四〇式特重戦車(史実におけるオイ車)に乗り込んで愛する皇帝陛下を助け出すべく走り出した。

 

 

 

西京タワー通り

通りでは最後の反乱勢力である第二戦車連隊を鎮圧すべく、国防軍の第一機甲師団や帝国軍第一近衛師団といった精鋭が展開していた。

国防軍と帝国軍に護衛される形で、帝都のシンボルである西京タワーで自らラジオ放送を行う事により決起部隊の鎮静化を図ろうとしたものの近衛師団隷下の竜騎兵隊による偵察で大橋が搭乗している四〇式特重戦車を先頭に中戦車や軽戦車が魚鱗陣形で西京タワーへの突入を図ろうとしている事が分かった。

黒田や小棚木、蝶野の第一機甲師団三羽烏は彼らを誘う受ける形で防御態勢に徹しており空から第四攻撃ヘリコプター隊のヘリが催涙剤を散布すると同時に、あえて機関砲掃射による履帯破壊など軽微な被害に留めさせる逮捕者確保重視の作戦である。

 

「もう敵さんが見えて来たね。あれがオイ車かよ……異世界クォリティ怖いね」

 

「ですね。あっ中戦車がガンガン撃ってきてますよ」

 

「それでも全弾弾いてますけど。金属音がヤバいです」

 

三人が10式戦車が我慢している傍ら、三輌に対して行進間射撃を行いつつ接近しているが全弾弾いている。そんな中、上空からヘリコプターのローター音が聞こえて来たため作戦は一気にフィナーレへと差し掛かって来た。

五機の87式観測ヘリコプターが第二戦車連隊に向けて催涙ガスを散布した直後、入れ替わるかのように65式攻撃ヘリコプター改が戦車の背後に回り込んで履帯やエンジンを狙うなど軽微な被害を続出させて足止めを開始した。

 

「第一機甲師団三羽烏……突撃に前へっ!!」

 

「「了解っ!!」」

 

攻撃ヘリコプターの機関砲掃射に併せて一気に距離を詰めていくものの、四〇式特重戦車の主砲から発射される榴弾が装甲を掠めては後方で大きく爆発するほか、副砲から発射される徹甲弾が10式戦車の装甲に連続して直撃し、堂々と三輌でスラローム走行で距離を詰めていく事で気を引かせていく内に近衛師団の歩兵達が喊声を上げながら戦車に飛び移って戦車兵達を引き摺り降ろしていき、最後まで気を取られていた大橋達も拘束された事に加えて後続の戦車中隊なども鎮圧を開始した他の部隊により、足止めされる形で投降した。

 

「むぅ……もはや未練などないっ!!殺せっ!!」

 

「大橋よ、待って居たぞ……」

 

「なっ?!へ、へ、陛下っ!!」

 

「派手に暴れたのか怪我人ばかりだな……だが、私はお前たちが命を落とさなくて良かったと思うぞ。そしてここまで追い詰めてしまった事を後悔している。無論これは本心だ」

 

「……陛下、私はどの様な処遇でも甘んじて受ける所存でございます」

 

「そうか……今は父母より授かったその身を綺麗に治せ」

 

義仁皇帝は近衛兵達に護衛されながら10式戦車の後方より姿を現すと、手錠を掛けられて項垂れる大橋に対して目線を合わせつつ彼に対してクーデター鎮静化が本心であるという事を直接伝えつつ自身に対して忠誠を誓い続ける大橋を励ます一言を掛けた。

大敷洲帝国における帝道派によるクーデターは敷洲帝国軍と日本皇国国防軍や警視庁機動隊が協力して鎮圧したものの、敷洲人がお互いの正義を信じたためか帝道派によって殺害された腐敗分子を除いて重軽傷者多数という結果に終わり、クーデターを指揮した荒川大将や松永大佐も東武地方において皇帝の肉声を通じた放送を聞いて決起部隊に武装解除を命令した上で政府軍に投降した事で彼らによるクーデターは終わりを迎えた。




ありがとうございました。次は帝道派幹部の処遇や日本国内の動きについての話になる第十六話(なろう版では第二十六話)を予定しています!
ご感想や評価、ブックマークへの追加などお待ちしております!
おまけになりますが、戦後の歴代総理及び議会の情勢を設定してみました。*国栄党は今後の展開を考えて憲政翼賛会という名称に変更しました。

昭和

石橋湛山(民自党)1950〜1954

大島浩(大政翼賛会)1954〜1957

山崎巌(大政翼賛会)1957〜1959

池田勇人(民自党)1959〜1964

峯信介(民自党)1964〜1967

加藤栄作(民自党)1967〜1970

浅沼稲次郎(日本民社党)1970〜1974

三木武夫(日本民社党)1974〜1976

大平正芳(民自党)1976〜1978

福井赳治(民自党)1978〜1981

田中角栄(民自党)1981〜1986

高曽根康雄(民自党)1986〜1989


平成

竹上昇哉(民自党)1989〜1992

宇根宗吾(民自党)1992〜1995

海崎敏則(日本民社党)1995〜1998

宮路紀一(日本民社党)1998〜2001

川野洋太郎(日本民社党)2001〜2003

西條知之(民自党)2003〜20XX

中渕恵二(民自党)20XX〜

20XX年現在の議席数


衆議院

民政自由党:310議席

日本民主社会党:75議席

憲政翼賛会:50議席

改進党:20議席

自由党:10議席

参議院

民自党:165議席

日本民社党:30議席

憲政翼賛会:25議席

改進党:15議席

自由党:10議席
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