三大勢力の大戦が終結して暫くした後。ミカエルは天界のトップに就任した。当たり前だが、神という絶対的頂点が崩御された今、天界を纏められるのはミカエルだけであった。
ミカエルにとって幸いだった事が1つ有った。それは神が自分がもし死んでも大丈夫なようにと残していたシステムを司る装置である。このシステムを司る装置が存在する限り、神では無くても奇跡や様々な事象をミカエル達でも運用する事が出来るのだ。
だが、1つ問題が存在するのだ。それは神が微調整を行う前に討死してしまい、ミカエルや他の熾天使で何とかっと言う所なのだ。しかも、天界…天界の地上組織とも言える聖堂協会等の敷地に強力な怪物等を宿した神器が近付くと深刻な問題を発生するなど、装置はまだまだ未完成も良いところだったのだ。
「背に腹は変えられませんか」
神の遺したシステム。これを死守しなければキリスト教、ユダヤ教、イスラム教の一神教は滅びてしまう。故にミカエルは心を鬼にした。
システムに影響を与える可能性が高い神器……大戦後に三大勢力の手で命名された神さえも滅ぼしうる力を誇る13個のワンオフ神器の内、半数を教会から退ける決定を下す。当然、所有者は発見次第抹殺か遠方への追放だ。そうでもしないと、何時かはシステムがエラーを起こして天界が消失しかねないのである。
次に神が死んだ事を悟られないように、過熱した天使信仰をこれ以上発展させぬように、1人の熾天使を見せしめとして地上に左遷。当然、多くの天使達が嫌がったが背に腹は変えられない。ミカエルはこの役目をガブリエルに押し付け、ガブリエルを天界から追放した。
「良かったのか…ミカエル」
「ええ、背に腹は変えられません」
死んだ神に変わって天界の頂点に立ったミカエル。そしてミカエルの側近に成った最強の天使ウリエル。戦争が終結したと言えど、まだ三大勢力の小競り合いは続いている。ガブリエルは地上に左遷されたと言えど、エクソシストと共に他勢力の情報を探ってはくれているのだ。
「それより、ウリエル。他の勢力はどうしてます?」
「ああ…堕天使だが」
ウリエルは語り出す。天界が変わったように、当然ながらグリゴリや悪魔も変わった。
グリゴリは戦争が終わった後、神が遺した神器の秘密を探るべく…神器を宿した人間を拉致しては人体実験を繰り返していたそうだ。その結果、堕天使は確立したのだ。人間から神器を取り出して他人に移植する方法を。しかし、神器は魂と密接に結び付いており、神器が抜かれた人間は魂や生命力も共に引き抜かれて死亡する。そして、引き抜いた神器は元宿り主が死んでも何処かに行くことはなく、保存する事が出来るのだ。堕天使はこれを用いて、神器をコレクションしてるそうだ。
「神器を抜き取る?」
「ああ、間違いない。堕天使はこの方法を確立し、神器を研究している。神様亡き今、最も神器に詳しいのはアザゼルだろうな」
神器の仕組みはミカエル達も良く分からず、全ての設計から建造は神が1人で行っていた。その神が死に神器の研究を非道な人体実験を犯してまで行うグリゴリは間違いなく、三大勢力で最も神器に詳しい勢力に成っただろう。
「悪魔はどうなりました?確か、終戦後…内乱が起きてましたよね?」
「ああ、内乱はゼクラム・バアル率いる大王派の勝ちだ。クーデターは革命に変わり、魔王の末裔達は辺境に追放されたそうだ」
ゼクラム・バアルの乱。大戦後、4人の魔王を亡くした悪魔だったが息つくまでもなく新たな事件が勃発した。それが、ゼクラム・バアルの乱である。
ゼクラム・バアルは天空神バアル・ゼブルが悪魔に変えられた存在であり、魔王に匹敵する力を誇る。ゼクラムは戦後、魔王が全滅した頃合いを見てクーデターを起こしたのだ。魔王達ではなく、自分達が悪魔を統べる為にである。只でさえ、大戦で数を減らした悪魔は、クーデターで起きた内乱で数を大きく減らし、一族諸とも全滅した…或いは奴隷と成ったソロモン72柱の貴族も居るそうだ。
クーデターはゼクラム達の勝利で終わり、革命へと変わった。その結果、先代魔王達の末裔は辺境に追放されてしまい、ゼクラム達は自分達が政治を動かせるように革命の戦争で活躍した4人の若い悪魔を魔王に仕立て上げたのである。
「その悪魔の名前がサーゼクス・グレモリー、セラフォルー・シトリー、アジュカ・アスタロト、ファルビウム・グラシャラボラスだ。
サーゼクスがルシファー、セラフォルーがレヴィアタン、アジュカがベルゼブブ、ファルビウムがアスモデウスだ」
新しい魔王は4人。ウリエルが告げた通り、サーゼクス・ルシファー、セラフォルー・レヴィアタン、アジュカ・ベルゼブブ、ファルビウム・アスモデウスの4名である。
「そうですか…」
「ああ、だが最近。新たな問題が出ている。それが、この悪魔の駒だ」
ことっとウリエルがミカエルの前に何かを差し出した。それはまさかのチェスの駒だ。女王が1つ、騎士が2つ、僧侶が2つ、戦車が2つ、兵士が8つ。王の駒は無いが至って普通のチェスの駒である。
「チェスですか?」
「これ自体は普通のチェスの駒さ。だけどミカエル…悪魔は他の種族を悪魔に変える品物を作ったんだよ。
それは悪魔の駒って呼ばれており、原理は俺も分からんさ。だが、その悪魔の駒は神性の高い存在以外は問答無用に悪魔に変えれるのさ。死人に使えば悪魔に成って甦る。嘘だと思っていたが、ラファエルが現場を見たんだ…間違いない」
悪魔の駒。それはアジュカ・ベルゼブブが悪魔の人口問題を解決する為に産み出した物だ。悪魔は寿命が万年単位であり、簡単に子供は出来ない。だからこそ、アジュカは考えた。簡単に妊娠出来ないなら、他から連れてきてその人物を悪魔に変えれば良いと。
その結果、この悪魔の駒は産まれたのだ。現在進行形で悪魔はこの悪魔の駒を用いて、人々を悪魔に変えており、どんどん人口を回復させている。
「ですが…ゼクラムは生粋の血統主義者では?」
「そうだ。俺が伝で調べたが、奴隷のように使われた元人間の悪魔が沢山居てな。実際に悪魔社会から脱走して賞金首として処罰された元人間の悪魔も居たよ。逃げ出した悪魔ははぐれ悪魔って扱いに成ってな、何処の種族からでも狙われる。俺達とエクソシストは勿論、堕天使からも悪魔からもな」
そう。悪魔はルシファーの死後、貴族主義の純血主義に成ってしまった。
それ故に悪魔の駒で転生された存在は、雇い主である悪魔にもよるがその大半が奴隷として扱われるそうだ。その上、逃げ出せばはぐれ悪魔の烙印を圧され、悪魔からは賞金首として狙われ、堕天使からは敵として、天使やエクソシストからは祓魔対象として狙われる。
「変わってしまいましたね。私も…堕天使も…悪魔も」
「そうだな」
遠い未来。
「ヘタな奴が神滅具を持つと世界が壊れるかもしれない」
グリゴリ本部でアザゼルはそう言った。事実、世界を滅ぼそうとした神滅具保有者が居たから言える台詞である。
因みに神滅具という言葉はアザゼル達が作った造語であり、神器の中でも神さえも滅ぼせる程の強さを持った13個のワンオフ神器の事である。その13個の中には神が最期に作った二天龍の神器も含まれていた。
「アザゼル」
…そんなアザゼルに向けて彼の右腕であるシェムハザが言う。
「子供でも殺すのか?」
「当たり前だ。覚醒し、力に溺れたらどうする?そうなれば、神滅具を宿した人間は好きに力をばら蒔いて制御できずに世界に悪影響を与える。お前だって見てきただろ?
まあ…最近は生まれつき謎の力を持ったミュータントって奴も産まれては居るがな」
ミュータント。それは突然変異で特殊能力を持った進化した人間である。世界でも極少数は確認されており、彼等は神器無しで神器のような力を宿してるのだ。
「アメリカが開発した超人血清の事も研究したいが、キャプテン・アメリカの消息が絶ってから分からない。
そうそう、シェムハザ。最悪の神器 魔獣創造の反応が日本のこの町から出た。部隊を派遣し、確実に殺してくれ。
今はショッカーとかいう連中と仮面ライダーとか言うやたら強いコスプレ連中が暴れたお陰で、神秘の秘匿もボロボロだ。確実に殺せるメンバーを派遣しろ、良いか?確実に殺してくれ」
アザゼルはそう言うと座標のデータと、最悪の神器と呼ばれる神滅具 魔獣創造を宿した幼子の写真を見せた。その幼子は未だ5歳程で、至って普通の子供である。
――まだ小さいのに…
幼子の写真を見て、シェムハザは心を痛める。まだ幼い子供なのに、こんな子供を殺す必要が有るのだろうか?
だが、アザゼルの言葉も一理ある。神滅具 魔獣創造は生命を産み出し、想像した怪物等を産み出す事が可能なのだ。早い話、命を産み出せる禁断の力である。過去には魔獣創造を宿した男が暴れ、世界が壊れかけた事が何度も有った。
「日本だから五大宗家の事も有るかも知れないが、安心しろよ。俺が調べた情報では日本の守護者である五大宗家は、神器と改造処置を施された仮面ライダーを嫌悪している。
気にせず殺せ。簡単だろ?」
だが、アザゼルはこの事を億年単位で後悔する事になる。
――どうして…俺はこんな事をした!?あの時の俺を殴りたい!!
――ドっドドリアンボム!?ひっひっ!?
――あの時…ほっておけば……奴は覚醒しなかったのに!!
その魔獣創造が偉大なる火影に育てられ、火の意思と卑の意思を継いだ男に成ることをその時は知らなかった。
創世記 完。次章 魔獣創造の夜(原作30年前)に続く。
次回!クライシス帝国がチート×2の手で粉砕されてから半年の時代 魔法使いならぬ魔獣創造の夜スタート。
とは言え、最初は彼(アイツ)が卑劣様の子供に成るところから。
前作で取ったアンケートで一誠はトリコの弟子兼料理人コースでしたが、最終決定を決めます。
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変わらずトリコの弟子兼料理人
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目指せ!エロ仙人2号
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……おっぱい!
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超人兵士に憧れた