『準備は着々と進んでるな』
制圧した堕天使の研究施設。そこを仮の工場としたウルトロンは自分の量産型ボディーを100以上、そしてウルトロン自身が基本的に活動する為のボディー 2m大のウルトロン・プライムを製造完了していた。仮にウルトロン・プライムのボディーを破壊されても量産型に乗り換える事も出来るし、最悪はネットの世界に逃げることも可能だ。
『ここの資材ではこれが限界か。場所を移すとするか』
ウルトロンは資材が無くなった研究施設を破棄し、量産型を率いて飛び立った。彼の行動理念は唯1つ、三大勢力の正義によって犠牲に成る人を救うために三大勢力とそれに協力する国家を倒す事である。
フランス某所 聖堂教会の大きな拠点の1つ。そこには数多のエクソシストが常勤しており、日頃から異端や化物相手に日頃から戦っては神を信仰している。
「ねえ、ゼノヴィア。あの聖女アーシア・アルジェント、異端に成って追放されたそうよ」
その御立派な拠点の一角、そこの椅子に座った2人の美少女が居た。2人とも歳の割には胸がでかく、日頃から戦ってる為かスタイルが良い。片方は髪が栗色でツインテール、もう片方は髪が青色で長さが肩にかからない位である。余談だが、青色の方が胸がデカイ。
「当然だな。彼女は悪魔を癒した、それも貴族の悪魔をな。それは神を裏切る行為だ」
ツインテールの方は紫藤イリナ。教会のお偉いさんを父に持つエクソシストであり、教会が保有する七本のエクスカリバーの一本に選ばれた才能有る戦士である。
青色の髪をした方はゼノヴィア。イリナと同じくエクスカリバーに選ばれた優れた戦士であり、斬り姫ゼノヴィアの異名を持つ。
2人は若手ながら、数多の悪魔や吸血鬼を日頃から殺しており、評価も高い。先日もフランスに居たファンガイアを殺してきた所だ。
そのファンガイアが「俺は……人を襲ってないだろ!」と叫んでいたが知らない。ファンガイアや吸血鬼として産まれたのが悪なのだ。
「まあ、所詮…ちやほやされていた聖女だからしょうがないわね」
やれやれと言いたげにそう言ったイリナ。2人は先日、破門されて異端認定された聖女 アーシア・アルジェントの話題で一杯だ。
アーシア・アルジェントは神器を用いて、人々の傷を癒すことが出来た少女だ。しかし、アーシアの癒しは人や天使は当然だったが、あろうことか全ての種族が対象だったのだ。そして、アーシアは余りにも優しすぎた。故に、彼女は癒してしまった…悪魔を。
悪魔を助けるなど、教会としてはあってはならない。故にアーシアは聖女の称号を剥奪されて破門となり、追放されたのだ。
『ここが…そうだな。教会よ…自分達の罪を数えよ』
その声が聞こえた瞬間、ゼノヴィアとイリナは爆発音を聞いた。そして、無数の影を感じて上を見上げる。そこには数多のロボット…量産型ウルトロンが居たのだ。
『私はウルトロン…お前達を裁く者だ!!』
「派手にやってるな」
フランス上空。高度を下げながら、フランスの教会拠点に超高速で向かっている飛行機が有った。その飛行機はクィンジェット。トニーが改修改良を行ったアベンジャーズの飛行機であり、とても長い距離を短く移動出来る代物だ。
クィンジェットの操縦桿を握るのは我等が狙撃手 バートンであり、アベンジャーズはウルトロンが出現したと聞いて現場に急行している。
「ウルトロンの言葉ははっきり言って正論よ。数多の被害者がこれまで出てきたのは事実、そしてそれを国々は三大勢力にゴマを擦るように隠蔽してきたのも有るわ」
バートンの後ろでナターシャがモニターを見ながらそう言う。
アベンジャーズも理解してるが、ウルトロンの言葉は普通に正論だ。だから、戦い辛い。出来るのならウルトロンを説得し、此方に引き込みたい。だが、ウルトロンは未だ自意識に目覚めてから一週間ちょっとしか経っていない。言わば、未だ経験の無い子供なのだ。だからなのだろう…人々を救うために彼は世界の敵を選んだのだ。
「ああ、だが…やり方が間違ってる。それに…俺達じゃ、ウルトロンには勝てない」
ウルトロンは事実強い。イタチごっこかも知れないが、ウルトロンが襲撃した堕天使の施設を調査したアベンジャーズは理解した。アベンジャーズの中でもまだ人間なバートンとナターシャでは、ウルトロンに勝つことは先ず不可能であると。
「ごめんなさいね…巻き込んじゃって」
ふと、ナターシャは後ろを振り向く。そこではギャスパーが椅子に座っていたのだ。ギャスパーは嘗て、吸血鬼と人間の混血だからとエクソシストに迫害され、吸血鬼からは突然変異として産まれた為か…吸血鬼でも人間でもましてやファンガイアや真祖とも異なるナニかとして産まれた為に殺されかけた。
ウルトロンは三大勢力に迫害された人々の為に戦っている。嘗て迫害された身として、ウルトロンの気持ちが分かる為にギャスパーは自分から志願したのだ。
「いえ、自ら望んだ事ですので」
ふと、ギャスパーは立ち上がる。既に窓からはボロボロに成った拠点が見えてきた。ウルトロンの圧倒的な力と、量産型の物量作戦を受けて教会は負けそうだ。
「飛び降ります」
「分かった…行ってこい」
ギャスパーは扉を開けて、キバット二世と共に飛び降りた。そして、ギャスパーとキバット二世が降りた事を確認し、バートンは遠隔操作で扉を閉める。
「くそう!!自分の子供とそんなに…歳が変わらないのに…俺はサポートしか出来ないのか!?」
「ゼノヴィア!どうするのよ!!」
「何故…私達を狙う!!」
エクスカリバーをへし折られ…ゼノヴィアとイリナは満身創痍。他のエクソシスト達も量産型を停めるのに必死で援護は期待出来ない。
『何故か?お前達がそうさせた。神器を宿した子供を迫害させ、それを殺す。貴様達がそうさせたのだ!!』
そんな2人と対峙するのはウルトロン。ウルトロンはいざ、エクスカリバーを失った2人を倒す為に近付くが…その時、ゼノヴィアとイリナを守る為に空からギャスパーが舞い降りた。
『紅…ギャスパー』
自分の倒すべき敵ではない。その為か、ウルトロンは一歩下がる。
「なによ!この気配?人間?ファンガイア!?吸血鬼!?いや、真祖!?なんなのよ!!」
ギャスパーの気配を見てイリナはそう言う。
だが、ギャスパーはイリナとゼノヴィアには目をくれずウルトロンを見る。
「ウルトロン。止めにしません?まだ…今なら間に合いますよ。貴方の気持ちは痛いほど分かります」
『だがな…紅ギャスパー。こうしてる間にも、そこの女達の手で罪の無い子供が殺されて居るんだ。
その子達が何をした?ただ産まれてきただけだ…吸血鬼としてファンガイアとして、或いは人間の混血として産まれてきただけでな。いや、それだけではない…神器を宿された子供を殺してもコイツ等はなんとも思わん。話し合いを行ってるの間に、次々と子供達が殺される』
ウルトロンの言葉は最もだ。ギャスパーは運が良かった。危ない所を助けられ、エンマと青子、音也と真夜という2組の親に恵まれた。
だが、今…こうしてる間にも産まれただけで…ファンガイアや吸血鬼だというだけで殺される人々が…子供達が居るのだ。
『お前にも分かる筈だ。お前だって当事者だった…お前は千手エンマ、紅音也…2人の父親に救われた。だが、お前は親に会う前にただ吸血鬼の血を引いてるだけで殺されかけたのだぞ!』
「分かりますよ?痛いほど…ただ。キバッチ!!」
キバット二世が舞う。
「俺にも分かるさ。だがな…貴様の気持ちは本物だ。しかしやり方を間違えてる」
ギャスパーは右手でキバット二世を掴む。
「ガブリ!!」
左手にキバット二世を噛み付かせ、顔には紋様が…腰には黒いベルトが現れた。
「変身!!」
闇のキバの鎧を纏い、ダークキバが降臨した。
次回!ギャスパーVSウルトロン。
そして…ウルトロンは戦いを終え
「私、アーシア・アルジェントです」
「ウルトロンだ」
聖女と出会う。
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