ダンジョンに出会いとボッチを添えて   作:テクロス

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駄文ながら付き合って頂くと嬉しいです。

ー追記ー
少し手直ししました。


1章 駆け出し編
♯1 終わりと目覚めと出会いと


「貴方のやり方、嫌いだわ」

 

「もっと人の気持ち考えてよ!」

 

昔から人の気持ちがイマイチ分からない子供だと言われてきた。

頼まれれば何でもやった。嫌だと思う事もあったが人に好かれる為ならば良かれと思って出来る限りの事はした。……しかしそんな思いと裏腹に人とは壁ができるだけだった。

 

親からは手のかからない子だと言われてきた。最初はそれが堪らなく嬉しくて親に負担をかけまいと何事も心配させまいと頑張って愛されようとした。……結果愛情に近しい感情は向けられずその行為が義務と変わり果てた。

 

人間関係や家族関係にも半ば諦めかけていた高校生活に転機が訪れた。

 

奉仕部……それは人に餌を与えるのでなく餌の取り方を教える部活。

その部長の雪ノ下雪乃を筆頭に由比ヶ浜結衣、顧問の平塚先生に川崎や戸塚に材木座。

 

俺はこの関係をとても気に入っていた。リア充達みたいな「取り敢えずくっついときゃ良いだろ」みたいな紛い物のような関係でなくお互いが近すぎず遠すぎず、理解しあってる関係だと思っていた。……そう、思っていたんだ。

 

転機にも転機は訪れ、皆がそれなりに心を踊らせる修学旅行前に「告白を成功させたい」「告白を阻止してほしい」という無茶な依頼に板挟みになった。正直打つ手が無い。絶対に成功する告白なぞある訳がない。更にはその相手から「告白を阻止してほしい」なんて依頼が()()()に来てる。悩んでる間にも時間は過ぎていくだけ…手はどこにある。

 

あった…簡単に説明すれば俺が先に嘘の告白をして付き合う気が無いという意志を示させて次回に持ち越させることだ。次があるかどうかは知らんが…。

 

作戦は成功した…でも失ってしまった。大切な関係を…2人なら分かってくれると勝手に期待し勝手に失望した。

 

家に戻れば妹から罵詈雑言が飛んで来た。それを聞きつけた親からもたんまり怒られた。俺の話には一切耳を貸してくれなかった。いつもの事だ。

 

自暴自棄になった俺は街をさ迷っていた。学校にも行かずネットカフェに篭って惰眠を貪った。フラフラしてればチンピラから絡んでくるから返り討ちにして金を巻き上げるだけ。普段から筋トレとかしてたからそう苦戦する事はなかった。まぁ敵討ちに合うこともしばしばあったが…。

 

そんな俺の色のない一生は道端で終わった。

歩いてた俺はトラックに突っ込まれて死んだ。

そのトラックの運転手は少し前にボコボコにしたチンピラだった。はっ、因果応報ってやつだな。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

暗く暗くて(Dark)暗い(Cry)闇が俺を包む。

 

体の感覚が無い。

 

あるかどうかも分からない耳にねっとりとした声が響く。

 

 

愛と誇りと力への探究心を忘れるな

 

なんなんだよ…それ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……………い!」

 

頭が痛い…あと5分…

 

「…て……さい!」

 

えぇい、ゆっくり寝させてもくれんのか!

 

「んぁ?……」

 

目を開けると白髪で赤目の少年がこちらを覗き込んでいた

 

「ここは…」

 

「5階層ですよ」

 

「5階層だあ?」

 

何を言ってるんだ?コイツ

5階層?5層なら知ってるよ?メイドインがアビスのやつとかでしょ?違う?違うよね。

 

「えぇ、ダンジョンの…」

 

「ダンジョン?」

 

ダンジョン?はて…ダンジョンで飯食う物語なら知ってるが…。違う?違いますよね…。

 

「「え?」」

 

ダメだ…話が噛み合ってない。この白い奴も信じられない目をしてる。

 

『ヴアアアアアアアアアアアァァァ!!!』

 

空気が震えた。生まれて初めてヒッなんて声が出た。てか白髪よ、頼むからお前も一緒にビビらないでくれ、不安一杯で発狂しそうになる。

 

「ミノタウロス!?どうしてここに…」

 

語感から察するにここにいちゃいけない系なのね…うん、ヤバいですね☆

 

『ヴォォォォォォ!!』

 

ミノタウロスとやらが蹄を振りかぶる。

 

比企谷八幡、享年17歳。死因…ミノタウロスにひき肉にされる

 

『ブォ?』

 

しかしその一撃が落とされる事はなかった。何事かとミノタウロスを見上げてみれば体のあちこちに銀の線が走っている。

 

刹那、視界が真っ赤に染まった。ついでに全身も真っ赤に染まった。汚されちゃった…。

 

「あの…大丈夫ですか?」

 

ミノタウロスがひき肉になった代わりに現れたのは蒼色の軽装を身につけ眩しい程の銀色の胸当てや手甲に針のように鋭いサーベル。

 

八幡一生の不覚、見とれてしまった。俺はそういうのに散々嫌な思いをしてきたのにその女性に見惚れてしまった。

 

「うわああああぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

白髪の少年は情けない声を上げながら恐ろしく速い逃げ足で“脱兎の如く”逃げ出した。あっ、ちょっと!?

 

俺は立ち上がって金髪の美少女と向き合う。

脳内シミュレーションは完璧。やったるぜ!慌てず噛まず引かれない丁寧なお礼を!

 

「あ、あ、あ、危ない所たしゅけてくれてありがとぅ」

 

ダメだった。恥ずかしい、今すぐ逃げ出したい。

 

「ギャハハハハ!!どうしたお前!トマトみたいに真っ赤になってよー!ミノタウロスの血でも浴びたのかー?」

 

するとケモ耳を生やした如何にもイタそうな青年がやってきた。なんだァ?テメェ。土下座するぞコノヤロー。

 

「そうなんです…よっ!」

 

その青年に向けて首肯にしては大ぶり過ぎるくらいに首を振る。すると自然に髪の毛にかかってた血は青年に飛んでく。

 

「おわっ!飛ばしてくんじゃねぇ!汚ぇなぁ!」

 

ふん、俺だって本気出せばこんくらいの嫌がらせはできんだよ!

 

「それじゃあ、俺はこの辺で失礼します」

 

「おい待てェ!お前、いかにも駆け出しみたいだが、装備はどうした」

 

ケモ耳のあんちゃんが問いかけてくる。適当にそんなもん最初からないと言うしかなく…。

 

「!…じゃあ君はどうしてここに居るの?」

 

金髪の美少女が魅惑の質問をしてくる。

 

「いや、気付いたらここにいたんでそこら辺ちょっとよく分からないんですよ。それじゃ、危ない所を助けてもらいありがとうございました」

 

言い終わった直後にその場を後にする。ここに居続けたら命がいくつあっても足らないからネ。

 

同じく血まみれになった白髪少年のであろう血痕を辿りダンジョンとやらから脱出する。

 

勇気を出して←ここ大事、知らない人に話しかけて身だしなみを整えられる場所を聞くとシャワーの貸し出しがあるらしくそこに向かい服を脱いだ訳だが…

 

「こんなペンダント持ってたっけ?」

 

見慣れないペンダント、赤色の宝玉が首に掛かっていた。ふむ、本当に身に覚えがない。しかし不思議と外す気は全く起こらず寧ろそれを付ける事で安心感が湧いてくる。

 

シャワーも済ませまた別の人に勇気を出して←ここ大事、話しかけこの街について聞いた。

 

聞くに退屈した神が天界から降りてきて不自由を楽しみたいから人間を眷属(ファミリア)にして『恩恵』を授けてモンスターに対抗しうる力を授けた…とか、ここは世界に唯一ダンジョンのあるオラリオだ…とか、「豊饒の女主人」の店員には絶対喧嘩を売るな…とか。

 

ふむふむ、最後の情報、ふざけてるのか?とか思ったがその時だけ顔が死んでたからマジそうだ。

 

後はギルドに聞きなと言われたとおりにギルドとやらに向かうと

 

「エイナさん大好きー!!」

 

と叫び飛び出してきた少年とぶつかってしまった。お前前方不注意だぞ!教習所からやり直せ!

 

「ぐはぁッ!」

 

「うわぁ!」

 

成程、これが『恩恵』の力。普通に痛い…グフッ。

 

「大丈夫ですか!?って貴方は!」

 

ぶつかった相手を見上げてみるとさっきの白髪頭の少年がいた。

 

「心配ない……ゲフッ」

 

「大丈夫じゃなさそうな声が聞こえたんですけど!?」

 

「大丈夫?ベル君、と冒険者さん」

 

奥から出てきたのは茶髪でショートヘアで少しとんがった耳が特徴的な美女だった。思ったんだがこの町の女の人、レベル高すぎじゃね?

 

「えーとその、冒険者登録ってここですればいいんですか?」

 

「えぇ!!??」

 

白髪少年驚きの声を上げるが手で口を塞いでそれを制する。言わせん、さっきの事を言われたら面倒臭い事になるのは必然だからな。

 

「え、えぇ、ここで冒険者登録はできます」

 

それからは簡単だった。名前と苗字が逆なのは驚いたが…それはそうと書類に個人情報を一通り書き込んだが1つ困る項目があった。

 

ファミリア、どうしよ…

 

そんな埋まることのない項目に悪戦苦闘してると白髪頭がひょこり覗いてきた

 

「ファミリア、所属してないんですか?」

 

「あ、あぁ…」

 

「良かったら僕の所のファミリアに入りませんか?」

 

「是非喜んで!」

 

え?即決すぎるって?そりゃ、こんなチャンス掴み取るしかないだろ?

書類を見直したとんがり耳のお姉さんは満足と言った顔で

 

「それではハチマン・ヒキガヤさん、これにて書類は正式に受理されました。今後のアドバイザーは私、エイナ・チュールが務めさせてもらいます」

 

晴れて冒険者になった俺、比企谷八幡改めハチマン・ヒキガヤの戦いはこれからだ!!

 

「じゃあヒキガヤさん、僕達のホームに帰りましょう!」

 

「あ、あぁ」

 

白髪頭に手を引かれる事でホームとやらに案内される。幸先が不安だな。




ここまで読んでくださりありがとうございます。感想やアドバイスをバシバシくれると嬉しいです。また、使って欲しい魔具等のリクエストはお受けするのでコメント下さい。
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