ダンジョンに出会いとボッチを添えて   作:テクロス

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カフェの名前どうしよう、何も考えてなかった。
コメントで何か良い名前書いてくれませんか?

ダンまち3期、ウルトラマンZ、終わっちゃった…。


♯13 女神の思い男知らず

 

ー【カフェ】ー

 

「じゃあ、【ソーマ・ファミリア】の方はもういいの?」

 

「はい。リリはじきに亡くなったことにされるでしょうから」

 

僕達とリリが改めてパーティーを結成して1日。リリの状況確認の為僕は彼女から説明を受けた。因みにここのカフェはハチマンの紹介だ。

 

「その、死人だなんて、リリはいいの?」

 

「お心づかいありがとうございます。ですが割り切った方がいいかと。ベル様やハチマン様がリリをご存知であるなら、リリはそれだけで満足です」

 

本心から言ってるリリに、僕はこれ以上触れるのは止めた。彼女の心の傷を広げるような真似はしない為だ。

 

後は彼女の十八番の魔法【シンダー・エラ】という変身魔法に頼るしかない。この能力を知らない限り、他者が『リリルカ・アーデ』に辿り着く可能性は限りなく低いだろう。

 

「おーい、ベル君!」

 

「あっ、神様!」

 

リリとそう変わらない小さな体が僕とリリの前に到着する。

 

「お待たせ。すまない、待ったかい?」

 

「そんなことないです。すいません、バイトに都合をつけてもらって…」

 

「ボクの方は平気さ。それより…彼女がそうかい?」

 

「リ、リリルカ・アーデです。は、初めましてっ」

 

向けられる視線にリリは慌てて椅子を降りて一礼する。そこで神様の椅子が無い事に気づく。

 

「いけない。神様の椅子を用意してもらってないや…」

 

「…!なぁにっ、気にすることはないさ!この客の数だ、代わりの椅子もないのだろう!よしっ、ベル君すわるんだっ、ボクは君の膝の上に座らせてもらうよ!」

 

「あはは、神様もそんな冗談を言うんですね。ちょっと待っていてください、店の人に頼んできますから」

 

そう言いお店の人に声を掛ける為にカウンターに近づくと何者かに肩を掴まれて椅子に座らされる。何事かと思いその人の方を見ると既にカウンターに幾つものピザがのってるお皿とその量に劣らない程のサンデーグラスを前にし店員のおばあさんが運んできたコーヒーカップを片手に持つハチマンがいた。

 

「クラネル、話がある」

 

「ハチマン…ビックリして声すら出なかったよ」

 

「あー、悪かった。それでさ、お前はリリルカをどう思う?」

 

「どうって、大切なパーティーメンバーだよ?」

 

「それは知ってる。あー、なんというか、その…」

 

ハチマンにしては歯切れが悪いいつもならズバッと言うはずなのに…。

 

「リリルカの今までの裏切りをを断罪するつもりはないのか?」

 

ビクッとする。そう、リリに盗られた今までのお金は他の冒険者に盗られて1文も戻ってきやしない。質問の意味を問いたくてハチマンを見ると真剣な眼差しでこちらを見てくる。でも僕に出てくる答えは一つ。

 

「ないよ」

 

じっと彼の目を見る。街の人が怖がる目。でも僕は知ってる。彼が優しい事を…。きっと試されてるんだ。

 

「そうか、ならいいんだ」

 

コーヒーカップに口をつけ中身を飲み干す。とても甘い匂いがする。そっか、ハチマンは甘い物が大好きなんだ。

 

「あっちの話も終わりそうだし、戻ったらどうだ?椅子はそれでも持っていきな」

 

「うん…ハチマンはどうするの?」

 

「俺は…鍛錬」

 

じゃあな、と言いお代を払ったハチマンはどこかへ行ってしまった。歌を小声で歌いながら…。

 

「男なら〜 誰かのために強くなれ〜 歯を食いしばって〜 思いっきり守り抜け〜」

 

掃除してる時とかも偶に口ずさんでいるけどハチマンの歌は凄く元気が出るなぁ。

 

そう思いつつ神様とリリの所に椅子を持っていく。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ごめんなさいっ」

 

「え?」

 

今僕は【ソーマ・ファミリア】の件をエイナさんに報告しようとギルドに足を運んだところ、たまたま居合わせたアイズさんに謝罪を受けていた。

 

「私が倒し損ねたミノタウロスのせいで、君達に迷惑をかけて、いっぱい傷付けたから…ずっと謝りたかった。ごめんなさい」

 

「ち、違います!悪いのは迂闊に下層へもぐった僕でっ、ヴァレンシュタインさんは、貴方は全然悪くなくて!?むしろ助けてもらった命の恩人で!というか謝らないといけないのはお礼を言わずに散々逃げ回ってた僕の方でっ…ご、ごめんなさいっっ!」

 

ご覧の通りしどろもどろでたじたじの謝罪を述べた後色々と話しているうちに()()() () ()()() () () ()()()()()()()()()()()()が!特訓をつけてくれることになりました!

 

特訓は明日からだから凄く楽しみで眠れず夜更かししてしまい朝にハチマンに叩き起されたのは秘密だ。

 

ー【市壁の上】ー

 

そんな事もあったなと地面に転がりながら考える。アイズさんと特訓してもう5日か6日は経っている。

 

「今日はお昼寝の特訓をしようか」

 

「は?」

 

横転しては立ち横転の繰り返しの特訓は日に日に厳しさが増していく中、アイズさんからそんな提案をされた。

 

「あの…もしかして、眠いんですか?」

 

「……」

 

「訓練だよ」

 

「は、はいっ」

 

こてん、と市壁上の道に寝そべり目を閉じるアイズさん。それを眺めていると

 

「寝ないの?」

 

「あ、は、はい…」

 

彼女なりの誠意なのだろう、と自分に言い聞かせその隣に

 

「し、失礼します…」

 

おずおずと、隣に寝そべろうとすると…。

 

ヒュルルルルルル…

 

ん?なんの音だ?

 

ズドーン!!!

 

僕達から10〜15mは離れた所に砂塵と衝撃が走る。流石に起きたアイズさんとそこに目を向ける。段々その正体が鮮明に見えてくる。

 

ギギギギ…

 

そんな重苦しい金属音と共に姿を現したのは重そうな鎧を全身に纏ったハチマンだった。

 

「どーした!!もう終わりか〜?」

 

ハチマンを端目に他の声がした方、壁の外側を見るとアラル神父がいた。

 

「う、るせぇっ!まだだっ…まだ終わってない!トリガー!!」

 

身体を紫色に包ませ強化したたハチマンはアラル神父の所に突っ込んでいき組手をしている。しかしアラル神父の実力は見ただけでももの凄くて、ハチマンも手も足も出てない。腹を蹴られ崩れたら頭を掴まれてそこらに投げられる。それでも重い体に鞭を打ち立ち上がり再びアラル神父に立ち向かうハチマン。しかし結果は虚しく今度は顔から地面に激突した。それでもと立ち上がったハチマンは諦めずアラル神父に挑み渾身のパンチをなんとか入れることができた。よろめいた隙を見逃さなかったハチマンは魔腕でアラル神父の動きを封じ技の準備に入る。

 

両手を胸の前でエネルギーを貯めて1度引き離してから右腕を縦に、そして左手首を右手首に垂直になるように組むとそこから光の束が出る。それはアラル神父に直撃し爆発が起きた。

 

ドサッ…

 

あれだけ魔力を使ったのもありハチマンも倒れてしまった。そんなハチマンは少し焦げたアラル神父に担がれている。

 

「よぉ、あん時のボウズだな」

 

「!!」

 

いつの間にか隣にいる?何で?移動?それにしては移動が速すぎる…。

 

「あの、ハチマンとは…」

 

「聞いてないのか?コイツを鍛えてやってんだよ」

 

「今のも?」

 

「あぁ、『ギアを付けて本気でやってみろ』って内容だ」

 

「ギアっていうのは…」

 

「あの鎧さね、正式名称『テクターギアβ』。関節部には通常の500倍固い形状記憶合金。所々についてるチューブは動きを大幅に軽減させる為の油圧機。()()()人間なら着けると忽ち腕が変な方向に曲がるだろうナ」

 

寝かしたハチマンのテクターギアを外しながら愉快そうにアラル神父は語る。

 

「ハチマンはずっとそれを着けてたんですか?」

 

「いやまさか、最初は体つくりの為に取り敢えず筋トレとか柔軟だったな。ある程度仕上がったら〜って感じだぞっと。お、そこにいるのは【ロキ・ファミリア】の【剣姫】じゃないか、遠征以来だな」

 

黙って様子を見ていたアイズさんに気付いたアラル神父が軽く挨拶をする。

 

「お知り合いなんですか?」

 

「うん、私達が遠征する時に着いてくるの。勝手に…」

 

「どうしてまた…」

 

「待ってんだよ。冒険者が死ぬのを」

 

嬉しそうにアラル神父が答える。

冒険者が死ぬのを待つの…?

 

「あの、助けたりしないんですか?」

 

「基本手出しはしないな、生きてんならそれでいいし死んだなら回収して埋める。なんで助けなきゃいけないんだっていう話なんだよ。そこで倒れるのは足りなかったからじゃないのか?力も速さも仲間も純粋さも…そして何より俺を突き動かす程の理想も」

 

寝てるハチマンにマジックポーションをかけるアラル神父は淡々と告げる。

 

「その点【ロキ・ファミリア】は見ていて本当につまらない。誰も冒険をしちゃいねー。安全に徹しすぎてる。モンスターと戦ってるから危険?そんなの誰だって同じ、ダンジョンに潜ってんならそんなリスクは必要条件だ、十分条件じゃない。その上自分達が上級冒険者なんてとんでもねー勘違いしてやがる。いいか、貴様らなどただの迷惑な自治厨だ」

 

ビシッとアイズさんを指さすアラル神父。それにコテンと頭をかしげるアイズさん。僕は冒険者なのに冒険をしていない、そんな言葉が頭の中をこだましてる。

 

「ってのは俺個人の意見だ。コイツとはちょっと話があるから借りてくぞ」

 

「あ、あの…」

 

「大丈夫だ、今度は拉致とかじゃねーから。ちゃんと返すぜ」

 

言ってる事は納得はできず理解はできるが悪い人ではなさそうだ。ハチマンを担いでアラル神父は去ってく。

 

「アイズさん、続きをしませんか?」

 

「うん」

 

僕も追いつかなきゃ

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

ー【アラル教会】ー

 

「で、ギアはどうだった?」

 

「着けてる時は死体の気分だが、外すとどうも調子が良くなった気がする」

 

ボロい教会でアラストルと俺は談笑していた。

ふと目をやると端の方に少しボロいピアノを見つける。

 

「なぁ、それって…」

 

「あぁ、それか…親友が拾ってきた奴を取っておいてんだよ。いつか弾きにくると思ってな」

 

「ほーん、少し弾いてみてもいいか?」

 

「お好きに」

 

ピアノ前の椅子に座り鍵盤を見ると気付いた。確かにこのピアノはボロいが埃こそ被っておらず丁寧に掃除されている。

 

「とはいってもかえるの歌位しか弾けないんだよなぁ」

 

「それでいいんじゃねーの?」

 

アラストルの要望?もあり、おぼつかない手取りでかえるの歌を弾いてく。その音色にアラストルはうっとりし、どこか寂しげな表情を浮かべている。

 

「お前も…弾けるようになったんだな…」

 

何か独り言を言ってるが今は演奏に集中しよう。どうしてだろうか、ピアノを弾いてるとたどたどしかった手はヌルヌルと動くようになり段々アレンジが加えられるようになってきた。

 

(不思議だ)

 

アラストルは元々悪魔と呼ばれる種族らしく今や地上にいるのは自分以外に片手でも数えれる位らしい。…ってかいんのかよ。その誰もが人に紛し各々の生活を営んでると聞く。元々その気性は荒々しく、そしてそれに見合った実力を秘めてると聞く。神が地上に降りるよりずっと前には地上を悪魔が支配してたと聞くが一人の悪魔が叛逆を起こし魔界に悪魔達を封印したらしい。その際に神が地上に降りるのを見越して人間が調子に乗りすぎないようにと“抑止”として数体の悪魔を地上に出し姿を消したらしい。

 

(すげぇな…)

 

そこでふと疑問が出てくる。

 

「その封印した悪魔はどうして裏切ったんだ?」

 

「それは…アイツのみぞ知る事だ」

 

意外にもフラットな関係だったりするのだろうか…それとも知っていて隠しているのか…。悩ましい…。

 

「とまぁ、2日後だ」

 

「? それがどうした?」

 

「2日後ダンジョンに行け」

 

「ほぼ毎日行ってるが…」

 

兎に角言ったからな、と言われ帰された。

解せぬ。

 

ー【豊饒の女主人】ー

 

「トマトソースパスタとオムライス」

 

「はいよ!」

 

暫くするとドン!と目の前に出されたパスタとオムライスに手をつける。やっぱり美味い…ここのパスタとオムライスは最高だな。

 

「ヒキガヤさん」

 

今となっては聞き慣れた声が俺を呼ぶ。

 

「リオンさん」

 

「リューと呼んでください。親しい人は皆呼んでくれてます」

 

「じゃあリオンさフグゥ!」

 

リオンさんに口を軽く掴まれる。その顔はふざけてるのか?って顔だ。

 

「今一度言います。親しい人は皆リューと呼んでくれます」

 

「り、り、り、」

 

名前を呼ばれたいのかチラチラと顔を見てくるリオンさん。ちょっと、可愛くて告白してフラれそうなんですけど!フラれちゃうのかよ…。

 

「リューサン」

 

「棒読みなんですが、妥協しましょう。今度はちゃんと呼んでくださいね」

 

「はぁ、期待しないでくださいね」

 

これは予防線だ。気軽に女性に接するといつの日のようにトラウマを刻まれるのかもしれない。比較的仲が良かったであろうあの2人も…

 

『ヒッキー…来ないね』

 

『あんな男、二度と来ないで欲しいわ』

 

『うん、そうだよね』

 

気分が悪くなってきた。俺は目の前の料理を胃に詰め込みお代をカウンターに置き足早に店を出た。あーあ、今度から別の店探さないとな。

リオンさんに落ち度はない。そう、全面的に俺が悪いんだ。勝手に女性に期待して勝手に裏切られたと勘違いし、勝手に絶望した俺の…。

 

ー本当にこれで、いいのか?

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「はっ!」

 

久々にこの夢?か…。相変わらずウユニ塩湖の空を紫や青、そして赤に染まりポツンと俺とバカでかい門がある。中身は分からないがとんでもないのを封じ込めてる雰囲気がある。

 

「俺は強くなってるのだろうか…」

 

きっと身体的には強くなってるのだろう。でも、それだけじゃないはず…納得がいかないんだ。もっと別の何かが強くならなきゃ…。

 

門は押しても開く気配がしない。ならば諦めるだけだ。『押してダメなら諦めろ、千里の道も諦めろ』は俺の座右の銘だからな。

 

門に背を向けて歩く。しかしどこか煮えきらずアラストルに喰らわせたビーム技のエボルレイ・シュトロームを発射する。

 

【効果はいまひとつのようだ】

 

【八幡は諦めた】

 

【目の前が真っ暗になった】

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

ハァッ、ハァッ、ハァッ、聞いてない!聞いてない!聞いてない!!あんなモンスターがいるなんて!

 

『グルルルルルル…』

 

白く輝く黒い拳に黒い胴体に見合わない二対の翼。曲がった角にギラギラと憎悪に染まる2つの目。仲間達は皆その拳の餌食になった。

 

始まりはダンジョンのとあるルームに入った時だ。筒状のルームで壁が赤かった。匂いも酷い。地面には沢山の武器やアマゾネスの物と見られる装飾品。気味が悪いから立ち去ろうとするとコイツが出てきた。仲間を一撃殴るだけで壁にぶち当たり血肉の塊と化す。そこで理解した。この壁は人間の名残だ。逃げようとするが出口がない。さっきまであったハズなのに…。目の前で仲間達が殴殺されてく。最後の1人になった時には出口が現れ俺は壁に付いた血肉を舐めてる化物から逃げる。しかし罠だった。恐怖を刻まれた俺を逃がして出口を探すのが奴の狙い。1回層上に上がった途端に足の感覚が無くなる。

 

「あ゛っ…」

 

白い光弾が頭上を舞う、きっとそれに足をやられたんだ。

 

「い゛や゛だ、じに゛だぐな゛い゛」

 

涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにする。きっと行いが悪かったからこうなったんだ。アーデから金をむしり取った。他の奴らからもだ。あぁ、神様…何でもするからどうか助けて下さい…。

 

「Crash and bash!」

 

野太い声が後ろから聞こえる。え?クラッシュバンディk

 

グチャ…

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

『フーー、フーー、ヴォオオオオオオオ!!!』

 

高らかに雄叫びを挙げる。

 

気分が良い。両目とも見える。匂いも濃くなってきた。

 

でも油断しない。他の人間にバレたらめんどくさい事になる。それだけは回避しなくては…。きっと奴はここを頻繁に通るだろう。匂いが一番濃くなった時…それが奴の終わりの時だ!

 

今は隠れよう…。

 

ひっそりと、岩のようにベオウルフは眠りにつく。

 

かつての憧れ、今は怨敵と化したスパーダを葬る為に…。

 




如何でしたか?
なんとベオウルフ登場です!
きっと辛い戦いになりますね!

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