ダンジョンに出会いとボッチを添えて   作:テクロス

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皆様沢山の御要望ありがとうございます!
いやー、戦闘描写ってホントに難しいです…読みやすい描写ってどんな感じが適度なんでしょうね。


♯2 家とスキルと渇望と

 

初めてのファミリア、その本拠地(ホーム)に向かう途中に俺は隣に歩いてるベル・クラネルと世間話をしていた。

 

「そういえばヒキガヤさんはどうしてダンジョンに?」

 

「ん?あぁ、それが俺も良く分からなくて気付いたらダンジョンにいてな、初めて目にしたのがクラネルさんだったんだよ」

 

「えぇ!?ダンジョンにいた切っ掛けというか心当たりはないんですか?」

 

「無い、ホントに気付いたらだった」

 

もしあの時、クラネルさんがいなかったらもしかしたら俺はミノタウロスにミンチにされていたのかもしれない、もし仮に金髪の美女、アイズ・ヴァレンシュタインに助けられていても地上に戻れることも無くモンスターに殺されていただろう。そう思うと今更だがクラネルさんには感謝の気持ちが湧いてくる。

 

「しっかし、ミノタウロスだっけ?あんな奴、さっさと強くなってノリッノリで倒せるようにならなきゃな!」

 

今になって溢れてくるモンスターへの恐怖の裏返しなのからしくない強がりの言葉が出てくる。しかし出てきた言葉に嘘はない。絶対にミノタウロス、いや全てのモンスターを余裕で、完膚なきまでに叩きのめす。…やるんだ。

 

「ハハハ…そうだね、そうする為にも頑張って強くならないと…!」

 

クラネルさんも俺に言ったのか、はたまた自分に言い聞かせたのかもしれない言葉を口にする。

 

「着いたよ、ここが僕達のホームだよ!」

 

目の前にぽつんとただ何かを待っているかのように建っているその教会は人気の無い路地裏深くにあった。

 

「……」

 

沈黙が恥ずかしいのか勢いで押し切ろうと声を張ったのが恥ずかしいのかまたはどっちもかクラネルの顔は返り血を浴びた時並に赤くなっていた。

 

「……」

 

「ヒキガヤ…さん?」

 

まったく、この異世界は優しくないな。いきなり大きなファミリアに入れてもらえる訳ないもんな。

 

「いいんじゃねぇの?0から感があってさ」

 

俺の場合死に戻りとかできる訳でもないし本気にならなきゃ人に話しかける度胸もないんだからハードモード通り越してEXTRAハードもしくはHACHIMAN MUST DIE レベルな気もする。

 

「嫌がらないの?」

 

「別に、雨風凌げりゃなんでも良いんだよ」

 

実際あっちの世界でもネカフェだけじゃなくてそんな廃墟に入り浸った事もあるしな。クラネルさんと扉のない玄関口をくぐって教会の中に入った。屋内も外装に負けず劣らずの朽ちっぷり、雨風凌げりゃいいって言ったがこれは中々だぞ。

 

そこから祭壇奥にある薄暗い部屋のまた奥にある本の無い本棚のまたまた奥にある地下へと伸びる階段を下りドアを潜ると地下室とは思えない位には生活臭のする小部屋があった。

 

「神様、帰ってきましたー!ただいまー!」

 

元気よくクラネルが声を張り上げると紫色のソファーに寝っ転がっていた彼女はクラネルの元にテトテトと小走りでやってきた。

 

「やぁやぁ!お帰り!今日はいつもより早かったね?」

 

「ちょっとダンジョンで色々ありまして…」

 

「おいおい、何かあったのかい?悩み事ならボクに相談するといい!…っておわぁーー!ベル君!後ろの彼は…」

 

黒髪ツインテールでリボンに銀色の(ベル)。幼い体に似つかわしくない豊満な双丘。この人(ロリ巨乳)がクラネルの言ってた神なのか…。実感湧かねーな。

 

「ども、訳あってクラネルさんのファミリアに所属させてもらいに来ましたハチマン・ヒキガヤっす!宜しくっす!」

 

「ヒキガヤさん…さっきとテンションが全く違う…」

 

「言うな、ここは掴みが肝心なんだよ。ボソボソ喋ってるやつなんて誰も欲しかねぇよ」

 

「全部聴こえているよ…」

 

ほらみろ、神様呆れちゃってるだろ。

 

「それにしても、入団希望者なのかい?ホントかい?イタズラとかじゃなくて無名のボク、ヘスティアのファミリアに入りたいのかい?冗談とか許さないからね?」

 

怖っ!最後らへんガチで殺気放ってた気がすんだが…。

 

「まぁ、色々困ってる所をクラネルさんに助けてもらいまして、晴れて新人冒険者になりまして、ファミリアに入れてもらいたいなー…なんて」

 

なんならもうギルドに書類提出しちゃったから後戻り出来ない、というかマジで路頭に迷うから入れて欲しいなって…。

 

ちらりと神ヘスティアに目線を移すと彼女は涙目になりながらウンウンと頷いていた。

 

「やったねベル君!これでソロでダンジョンに潜る必要がなくなったね!」

 

「やりましたね!神様!」

 

2人はヒシっと抱き合ってるがどうしてだろうかこの2人が兄妹にしか見えない。

 

「それじゃあハチマン君だっけ?さっさと恩恵を刻んじゃおう!その後ベル君のステイタス更新だぜ!」

 

「ちょちょちょ、そんな簡単に良いんですか?」

 

「ん?なんの事だい?」

 

「クラネルさんは滲み出るお人好しオーラでファミリアに勧誘してくれましたが神様は嫌がらないんですか?曲がりなりにも目が腐った男なんて普通ファミリアに入れないんじゃないんですか?」

 

そうだ。町を歩いてる時もすれ違う人達はヒェッとか言って怖がる人もいたし軽くショックで倒れてる人なんかもいた。そんな男をファミリアに入れるなんて

 

「何を言ってるんだい?この街では外見なんて所詮個性であって差異ではないんだよ。町の人をよく見たかい?ヒューマンや亜人(デミヒューマン)、エルフにドワーフそれに神だっている。目が腐ってるなんてプラスにもマイナスにも働くアドバンテージでしかないんだよ。よってそんな変な理由でファミリア入団拒否なんてしないよ!」

 

朗報 この人マジで女神だった。

 

「僕もヒキガヤさんの目は全然気になりませんよ!」

 

付け加えるようにクラネルが言う。……まったく、どうして神もクラネルさんもこうお人好しなんだろうか。

 

「ささ、恩恵を、刻んじゃうから上半裸になってくれ」

 

言われた通りに服を脱ぎ上半身半裸に首から下げてるペンダントだけになりうつ伏せになって神様に背中を委ねる。神様は俺の背中を数回撫でる。ゾワッ、とする。チャリと音がした数秒後に背中に何かを垂らされる。ロウソクではない、血だ。血が落とされた場所を中心に指でなぞり始め、ゆっくりと()()を施す。

 

「むむっ!!これは…」

 

「何かあったんですか?」

 

恐る恐る尋ねてみる。まさか爆発するとかじゃないでしょうね。

 

「いや、ベル君のも終わってから紙に移して見せるよ」

 

一通りの作業を終え神様は俺達にステイタスを書いた紙を手渡してくる。

 

ハチマン・ヒキガヤ

 

Lv.1

力:I 50 耐久:I 8 器用:I 25 敏捷:I 43 魔力:G 205

 

《魔法》

【魔力操作】

 

《スキル》

【】

 

魔力操作?魔法なんて縁がないと思っていたが…

ん?スキルの欄がぼかしてある文字があり読めないようになってる。

 

「神様、このスキルのスロットはどうしたんですか?何か消した跡があるような…」

 

「ん、あぁ、ちょっと手元が狂ってね。いつも通り空欄だから、安心して」

 

「ですよねー…」

 

肩を落とすベルを端目に神ヘスティアを見ると目が合ってしまった。

あ!露骨に目ぇ逸らした!それに下手っぴな口笛なんか吹いてるし。

絶対なんかあるだろ…

 

それから晩御飯にじゃが丸くんなるものを食べたがこれまた美味しいったらありゃしない。今度作ってみたいな。

 

夜遅くに目が覚める神様やクラネルを起こすまいとひっそりと部屋から出て地上に戻る。まだマトモな椅子に腰を落とし軽く深呼吸。ヘスティア様のファミリアに所属して半日も経ってないが分かったことがある。このファミリアはとてつもなく貧乏だ。今日の晩御飯からみて恐らく2人で生活するのに精一杯なのだろう。そこに俺が入ったと考えると更に重荷になりかねない。武器なんて買う余裕がないだろう。

 

足でまといにはなりたくない。

 

魔法なんて知らない。どう使うかも知らない。だから知らなくては…!

 

「ちちんぷいぷい」

 

取り敢えず言ってみたが出てくるものは何も無く夜風が吹いてるだけだ。虚しいな…。

 

 

「エクスペクト…やめとこ」

 

色々な意味で危ない気がする。

 

手を前に出し全神経を集中させる。

魔力の流れをイメージする、水の流れ数多の分岐路を閉じ手のひらただ一点に絞る。出すものは、そうだな、剣なんてどうだろう。西洋の剣だ。

 

「出た…」

 

フッと出てきたそれは青く発光しただそこにあるだけだった。

 

「この調子で…」

 

色々試したり試行錯誤をしてみる。夜はまだまだ長い。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

たった1人の家族が連れてきた子が1人で練習している。どうやら発現した魔法の実験らしい。

出した剣は砕けたりどっかに飛んで行ったりでめちゃくちゃだがボクではどうしようもない。それでも彼は続ける。その内彼は出した剣を掴み振り回してみたりしてる。あれは、極東の技かい?もうそこまで維持できるようになったのか…彼の成長速度には驚かされる。それも彼のセンスが抜群に良いのか…彼の知らないスキルのお陰だろうか…

 

悪魔の魂(Devils soul)

・不明

 

スタイリッシュライズ

・早熟する。

・敵に攻撃を命中させる程成長する。

・敵の強さにより効果向上。

・戦意を喪失した場合ステータス激減。

 

スタイリッシュライズ…ベル君に発現したリアリスフレーゼとは似て非なるもの。このスキルがあれば彼は確実に強くなってくだろう。一旦彼の事は保留してベル君の事を……!

 

そんな事を思ってしまった自分が嫌いになる。

そうじゃないだろ…彼だってファミリアだ。家族だ。

邪険にする事は絶対にしてはいけない。

 

「今日はこの辺にしておくか」

 

いけない!直ぐもどらなきゃ!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……んぁ」

 

朝ごはんを作るため朝早くに起きる習慣が身についていたのがオラリオでも発揮されてしまうとは…もしや俺社畜ならぬ家畜の才能があるんじゃ?いらねぇよ。

 

「……ん」

 

ちょうどクラネルも起きたらしく目をゴシゴシと擦ってる。

 

「ヒキガヤさん、今日はどうします?」

 

「あぁ、ダンジョンに行ってみるさ」

 

「じゃあ僕も行くよ」

 

「そ、そうか…」

 

「へへっ」

 

「なんだよ急に笑いだして、キモイぞ」

 

「誰かとダンジョンに潜るのが初めてだからつい嬉しくて」

 

クラネルは俺と会うまでは1人でダンジョンに行っていたという。

アドバイザーのエイナさん曰く自殺行為らしい。

 

メインストリートは昨日とは違い人混みがなくやけに広く感じる。

それでも人はいてパルゥムやドワーフが見受けられる。

 

「「!?」」

 

2人同時に振り返る。気持ち悪い感じがする。まるでパン屋にいるどのパンを喰おうかトングをカチカチ鳴らすOLを見ている様な感じ…いや、この場合俺達がパンになった気分だ。

 

「感じたか?」

 

「ヒキガヤさんも?」

 

「あぁ、気持ち悪いなぁ」

 

「……あの」

 

2人してすぐさま身構えるが声をかけてきたのはウェイトレスの格好をしたヒューマンの少女だった。

 

「す、すみません。少し驚いて…」

 

「い、いえ、こちらこそ驚かせてしまって…」

 

「何か僕達に?」

 

「あ…はい。これ、落としましたよ」

 

差し出してきたその手には紫色の結晶だった。これが魔石ってやつか。

 

「す、すいません。ありがとうございます」

 

なんだ。クラネルが落としただけか…

 

「こんな朝早くからダンジョンへ行かれるんですか?」

 

「はい、仲間と軽く行ってみようかなぁなんて」

 

コミュ力高いなぁと思ってるとグゥと俺の生意気な腹が鳴り出した。

 

きょとんと目を丸くする2人…なんだよ。

すぐにプッと笑い出すウェイトレス。グハァッ!!ハチマンのハートに痛烈なダメージが!

 

「うふふっ、お腹、空いてらっしゃるんですか?」

 

「朝を抜いてきたもんで…」

 

パタパタと店と思われる場所に戻ったウェイトレスはほどなくして戻ってきた。その手には大きめのバスケットを持って。

 

「これをよかったら…まだお店がやってなくて、賄いじゃあないんですけど…」

 

「いや、受け取れませんよ。無償の施しは受けないようにしてるもんで…」

 

「それじゃあ交換条件でどうでしょう?今日の夜、私の働くあの酒場で、晩御飯を召し上がって頂くということで」

 

「そういう事なら…いいか?クラネル」

 

「うん、それじゃあ今日の夜に伺わせてもらいます。僕…ベル・クラネルって言います。貴方の名前は?」

 

「シル・フローヴァといいます。黒髪の貴方は?」

 

「…ハチマン・ヒキガヤです」

 

軽く自己紹介を終えた俺達は白亜の摩天楼を目指して歩き出した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ガルァァァア!!」

 

「ふっ!」

 

コボルトに一閃を刻む。

 

「シャアッ!」

 

「丸わかりなんだよ…」

 

背後から飛びかかって来たコボルトの口にノールックでこの剣、名付けて【幻影剣】を突き刺す。これで丁度10匹目だな。

 

「「「「「「グルォォォォ!」」」」」」

 

「クラネル!」

 

「任せて!」

 

隣にいるクラネルがコボルトの群れに突っ込む。クラネルさんも凄い勢いでコボルトを切り裂くがどうしても捌ききれず洩れてしまうのは俺が幻影剣を投射して絶命させる。

 

そんなこんなで粗方モンスターの群れを退けた俺達は少し休憩を挟む。

あのフローヴァさんのくれた昼飯を挟みながらクラネルとダベリング

 

「誰かと一緒っていいね!」

 

「そうかもな…ってか初めてだから分かんねーよ」

 

「それもそっか。それにしてもハチマンは強いね。あの剣でモンスターをズババーンって斬ってて、思わず見惚れちゃったよ」

 

「俺なんてまだまだだ…クラネルも足が早くて羨ましい」

 

「ギシシシシ…」

 

影からモンスターが姿を現す。ゴブリンの群れか…大体8匹かな。

 

「次は俺の番だな」

 

「任せたよ」

 

「任された」

 

ニヤァと笑いゴブリンに順番に指を向ける。

 

「さてと、どーれーにーしーよーおーかーなー…お前だ」

 

「ギィ!?」

 

何かを感じたのか指名されたゴブリンは後ずさりをしているが幻影剣を手に取り一気に突進し間合いを詰め喉元を突く。

 

仲間の絶命が早くて把握できないのか何のアクションも起こさないから俺はもう1匹に幻影剣を突き刺し飛び退きその場を離脱する。

 

「芸術は爆発だ」

 

その1匹を中心に爆発が起きゴブリンは巻き添えを食らう。

しかし威力も範囲もまだまだ足らない。まだ足りないな…もっと、もっと…力がいる。

 

そんなこんなで俺達は半日はダンジョンに潜っていた。




八幡のスキル…こんな感じでいいんですかねぇ…
もっと、もっと文才を!
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