「ヒキガヤさん、なんで怒られてるか分かりますか?」
「魔法の練習をしたからです…」
「違います、他のファミリアの構成員の前でしたからです」
どうも、ハチマン・ヒキガヤです。今の状況を説明しますと前回に引き続き魔法の練習をしていたら突然リューさんがやって来て説教かまされてる所です。いや意味分からん。
「彼ならともかく何故私達も正座されてるのか聞きたいのだが…」
「お黙りなさい、彼が冒険者成り立てなのをいい事に彼の手の内を見ていたのでしょう」
「そうではない…というのは些かできないな」
確かに俺の新魔法の一端を見たんだ、見てないとはいえないのだろう。
「ハチマンさん…ハチマンさん?」
さてと、ここで問題だ。俺は正座、前方にはリューさん、必然的に目に入ってしまうのだ……ブルマが。
「は、はいっ!?」
「どうかしたのですか?」
「いや別に…」
「それで、彼女達をどうするのですか?」
「え?別にどうもしませんよ?」
「え?」
素っ頓狂な声を上げるリューさん、一瞬ドキッとしてしまう、これがギャップ萌えですか…恐ろしいものだ。
「だって許可をしたのは俺ですし…別に見られたからって死ぬような魔法じゃないですし…
「そうでしたか…そこまで考えてるのを露知らず私は…すみませんでした」
そう言いペコリと腰を曲げるリューさん、しかし俺はこんな時でも彼女のブルマが目に入る。俺は自分の欲すらもコントロール出来なくなったのか?理性の化け物どこいった?
あぁ…そういえば
グイッ…
「てぇッ!」
ふと終始無言だったヴァレンシュタインさんに耳を引っ張られる。心無しか表情が少しムスッとしている気もする。
「なぜ…?」
「なんか…嫌だったから…」
白い悪魔ですら『わけがわからないよ』とか言い出しそうな理由だが俺のいやらしい目線を察知してくれたのだろう。
「ありがとう、礼に今度じゃが丸くんを作ってやろう」
「!!いいの?」
「食いつくな、嘘つく訳ないだろ…今度会った時作るぞ」
汚い話、口止め料と言うやつに分類されるのだろう、これは。
「そろそろ遅い、我々も戻ろう」
「リューさんはどうするんですか?」
「私には私のテントがありますので気にしないでください」
まぁ、俺たちが別のファミリアのテントに入るのがおかしいのだろう。それにリューさんにはリューさんの事情があるのだ、そこは汲み取らなくては…。
「分かりました、それじゃあ気をつけてください」
リューさんと別れ女gおっと間違えたリヴェリアさんとアイズと野営地に向かって歩く。あっ、そういえばゲリュオンの能力の確認終わってない…明日やるか。
ー【テント】ー
テントの中に入るといつものメンバー、何故かいる神様に加えあの時助けたファミリアがいた。
「ー申し訳ありませんでした」
俺が来たのを見計らうとそのファミリアの構成員は揃って土下座しだした。フッ…俺の土下座の方が綺麗だな。
そんな下らない事を思っていてもリリルカやヴェルフはそういかないのだろう。この人達のせいで死にかけた、それは揺るがない真実だ。怒るのはご最もなのだ。糾弾し裁く権利があるのはこちらだ。
「…いくら謝られても、簡単には許せません。リリ達は死にかけたのですから」
いくら出せば許してくれるんだろう…。あっすみません、もうそんな事考えないので睨まないでくださいお願いします。
「まぁ、確かにそう割り切れるものじゃないな」
ヴェルフもやるせない顔をしている。仕方ない、ここは俺が一肌…
「あれは俺が出した指示だ。そして俺は、今でもあの指示が間違っていたとは思ってない」
脱いで…やるか…。
「…それをよく俺等の前で口にできるな、大男?」
何火にいらぬ油注いじゃってんの?この人…ほらみろ、熱くなりやすい鍛冶師のヴェルフが食いついたじゃないか!
ちっ…しゃーない。
「まぁ、ヴェルフも落ち着け」
「これが落ち着いてられるかよ…!」
握り拳を作り怒りに震えるヴェルフ。
「痛い程分かる、自分を苦しめた奴が目の前にいるんだ、しかもそれを反省しようともしない。許せないよな…だったら働いて貰おうぜ?殴る蹴るだけじゃどうにもならない事だってある。お前の欲しい素材でもたんまり要求したれ、あんたらもそれで良いだろ?」
「…割り切ってはやる。だが、納得はしないからな」
少し強引だが受け入れてくれたヴェルフ。チラリとなんつったっけ…タケミカヅチ・ファミリアを見る。別に同情とかじゃない、ただ早く寝たいだけなのだ。
「は、はい!」
肩鎧の女性…確か命って名前だっけ…。その人が元気よく挨拶する、おーハチマンポイント高いぞ〜。
「いや〜終わった終わった。そっちも上手く纏まったみたいだね」
突然テントに入ってきた見知らぬ神と青髪の眼鏡。それから今後の話が展開されたがどうやら出発は怪我の大事を見て明後日にするらしい。
「あ、そうだった。ヴェルフ君」
「何ですか、ヘスティア様」
白布に包まれた武器らしいものを神様は手渡す。
「ヘファイストスからの預かり物さ。伝言もある。えーと…『意地と仲間を秤にかけるのは止めなさい』、だったかな」
「……」
「あ、それとハチマン君にもあるんだ、ヘファイストスからの伝言」
「はい?」
あんな事がありお互い気まずい関係なのに伝言?
「『どうか気をつけて…』だってさ〜ムフフ…」
嫌らしい笑顔を浮かべる神様に「分かりました」とだけ言って戻ろうとすると目の前にヴェルフが立ちはだかる。
「ハチマン…お前…ヘファイストス様と何が…」
わなわなと震えてるヴェルフ。何か嫌な予感がする、俺のアホ毛がピクピクと揺れてるのがその証拠だ。
「いや、別に…同じコンプレックスを抱える者同士話が合っただけだ…よ?」
嘘は言ってない。
「そうだったのか、すまない。ハチマンが女神を口説くなんて有り得ないもんな!」
よく俺を理解していらっしゃることで…。
「おう!俺が女性を口説くなんて何があってもできないからな!」
「「HAHAHAHAHAHA!!」」
ふぅ、と2人で息を着く。
「何…隠してるんだ?」
ジトーと見つめてくるヴェルフ。
ダッ!!
「あ!!逃げるな!」
「お助け〜!!」
どうやら安眠は程遠いようだ。
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新しい朝が来た。いやね?ヴェルフと一晩中話しててろくに眠れなかったんよ。途中でベルも参加してきてさ。
『ハチマンの好きな物は?』
『…ミアさんのトマトソースパスタ、ポルポレのオリーブ抜きピザ、グランドパフェに激甘コーヒー…後は俺の作ったじゃが丸くんver.5.5.5』
『うっ……』
『おいベル嘔吐くなよ?』
『ハチマンは本当に甘いのが好きなんだ…胃もたれするくらい』
『そうなのか』メモメモ…
『メモってどうすんだよ』
てな具合がずっと続いた訳だ。
「てか今日何すんだ?」
「リヴィラの街を見学だってさ」
「リヴィラの街って冒険者がダンジョンで作った街だっけ?」
そういうのってだいたいヤバい所なんだよなぁ…ろくな統治組織とか無いからやりたい放題なんだろうな。
「全員行くってか?」
「あぁ、そうなってるハズだ」
やはり隣にいるヴェルフが答える。途中で寝落ちしたベルもデカい欠伸をしてテントから出てきた。
全員集合した所でリヴィラの街へ向かう。案内はヴァレンシュタインさんとアマゾネスの姉妹だ。他にはヘルメスっていう何故か見てると無性に腹立つ神様にその付き添いのアスフィって人もいた。
歩いてると森だけの景色は変わり綺麗な草木が生い茂っている。川はせせらぎ鳥のようなモンスターは飛び立つ。天井のクリスタルと奥〜に見える壁を除けばまんま田舎の風景だ。そして偶に移植されたのか桜が見られる。
「おお、桜か…懐かしい」
「知っておられるのですか?」
命さんが興味ありげに聞いてくる。どうやらタケミカヅチ・ファミリアの人達も気になるようだ。
「まぁ、俺も極東出身だしな…」
「「「えええええええええ!?」」」
その場にいた殆どの人が驚く。
「うおっ、一斉に叫ぶなよ…」
「ハチマン殿、どの辺の出なんですか?」
「それは秘密だ…」
「そうですか…それにしては異様な髪の色をしてますが…」
俺の銀色に染まった髪の毛を見ながら呟く。
「命さん、ハチマンは元々髪の色は真っ黒だったんですよ」
ベルが言わなくてもいい事を言う。
「「「えええええええええ!?」」」
2回目…あんたら実は仲良くない?
「リリも初耳です…」「俺も知らなかった…」「いつの間にか染まってたんだよね〜」「そういえばあの時も…」「興味深いですね…」
反応はそれぞれだ、ベルもこれを見て少し楽しんでるようだ。
「嬉しそうだな」
「ハチマンの事知って貰えたからね」
微笑むベル、しかし俺を理解させたって何が変わるんだか理解できない俺がいる。
皆が楽しそうに話しているのを後ろから見つめながらリヴィラの街へ向かう。
『ようこそ同業者、リヴィラの街へ!』
アーチ門に書かれた文字をマジマジと見ていると
「見てくれに騙されない方がいいわよ、気持ち良くして、懐を緩めようって腹だから」
アマゾネスの姉妹で姉の方のティオネさんが忠告してくれた。因みに妹の方のティオナさんとの違いはとある部分の凹凸か髪の毛で判断できる。ティオナさん…強く生きて…小さくても俺は大丈夫ですよ!
「ちっ、小汚ねぇ…更地にしてやろうか…」
「ハチマン!?発想がテロリストのそれだよ…!」
「悪いな、食われる前に食う主義なんだよ、俺は」
アスフィさんから詳しく話を聞いてもやってる事は相場の倍以上の値段で売りつけたりとか買取金額は極力安くしたりとやりたい放題らしい。『安く仕入れて高く売る』聞こえはいいがやってる事は転売屋のそれだ。チッ…マジで腹が立つ。
そんなこんなでリヴィラの街へと入ってくがやはりモンスターにも襲撃されるらしく設けられてるのは即席の小屋が殆どだった。
「バックパックが2万ヴァリスだなんて…法外もいいところです!」
「砥石がこの値段はありえねぇ…」
色々と大変そうだ。
「ハチマンは何か買いたいものはある?」
「別に何も…」
ドンッ…
よそ見していたのかベルが冒険者とぶつかってしまう。ちゃんと前見て歩けよな。
「あぁん?」
「あ…す、すいません!?」
その相手はいかつい体つきに額や頬に傷のある強面の男だった。
「てめぇ、まさか…!」
「間違いねぇ!モルド、こいつ、あの酒場の時のガキだ!?」
思い出した、この前【豊饒の女主人】で開かれた昇格祝いをぶち壊した奴だ。ベルが驚いているとモルドと呼ばれた冒険者は怒りに顔を歪める。
「何でてめぇがここにっ…」
ベルに掴みかかるが俺が視界に入るなり急にぴたりと動きを止めた。そして目は横に動き近くにいるヴァレンシュタインさんにも止まる。
「剣姫もいるのか…チィッ…行くぞ!」
勝手に因縁をつけてくる奴程面倒くさいのはない。今のうち消すのも…やめとこう。
━━━━━━━━━━━━━━━
それから少し休憩しようという事になり街の広場に移動する。手摺の向こうは崖下で、遥か下に広がる湖に一直線だ。周りから孤立して手摺に手を付き『ダンジョンサンド』なる激甘パンを齧りながらコイン投げをして遊んでるハチマンに近づく。定期的に「最高10秒か…」とか言ってるけどどうしたんだろう。
「ハチマンは何してるの?」
「ん?実験だ」
「新しい魔法?」
「あぁ、お前達を探してる時邪魔が入ってな。殺して奪った能力だ」
表情に影を落としながら語るハチマン。何か後ろめたい事があるのだろうか。
「大丈夫?よかったら力になるよ」
「いや、いいんだ。俺の問題だし、俺しか解決できない」
「そっか…いつでも相談してよ?」
「あぁ、そうさせてもらう」
コインをピンと高くにあげてそれをキャッチする。
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そういえば俺は一度も風呂に入っていないのでは?そう気付いたのはゲリュオンから強奪した時止めの能力をある程度コントロールできるようになった時だった。周りを見れば誰もいなかった。
そういえば女性陣はゾロゾロとどっか行ってたな…。ベルもふら〜っとどっか行ったし…。
「水辺を探さなくちゃ始まんねーな…」
街から離れ水辺を探してるといい所を見つけた。ちょっとした崖の上に流れてる川だ。まずは景色を堪能するために崖っぷちに立って目の前に広がる光景を堪能する。緑の森、綺麗なクリスタル、木に登ろうとしてるベルと神ヘルメス…ん?
「何やってんだ?…あいつら」
目指してると思われる場所を目で追うと俺の真下の滝面で止まった。
「はあッ……!?」
そこを一言で表すとするならば『楽園』以外の言葉は見つからないだろう。そこらのギャルゲーですら白目むくレベルの美人達が水浴びをしていた。黒髪、金髪、青髪の属性の詰め合わせ…夢いっぱいなおっp…ゲフンゲフン。目を逸らさなければと思いながらも俺は5秒位その絶景を目に焼き付けてしまった。
「それにしてもあいつら…覗きか?」
容易く想像できる。あの心底腹立つ雰囲気を纏う神ヘルメスに誑かされたベルがホイホイ付いてってしまったのだろう、おいたわしや…。
「気に食わん…」
ベルよ、覗きなんてイケナイことしちゃあいけませんよ!!
「止めさせるか…!」
作戦は一瞬で出来上がった。後は実行するだけだ。
「ご禁制だぜ、クソメス、ベル…The World!!」
刹那、時は鼓動を止めた。せせらぐ水は静止し、飛び立つ鳥は有り得ない止まり方をした。
10…9…8
一気にベル達に向かって飛び一瞬でその距離を縮める。
「喰らえ…!ハチマンパンチ!」
腹のムカムカへの特効薬としてヘルメスに適当な布で目隠しをしてから一発ぶん殴り女性冒険者に見られやすい位置に投げ捨てる。
7…6…5…
その後ベルを担ぎそこから見通しのいい少し離れた場所に飛んでく。
4…3…2…
そして予め用意した紙を髪の上に置く。
『覗き ダメ 絶対 !』
1…
その場を離れる。
「そして時は動き出す」
0…
「うぼあぁぁぁ!!」
「何この声!?」「ヘルメス様…あなたって神は…!」「またかい…ヘルメス」「さっき、ざわーるどって…」「アイズどうしたのー?」「不埒ですね…神ヘルメスは」「うん…」
後は女性陣がやってくれるだろう…。やはり時間を止めるにしても魔力は消費するんだな…。動くまくったからクタクタだよ…ぼかぁ。
新たな水浴び場を探すべく森の中をフラフラと歩く。
サラサラ…
水の音がする。今度こそと藁にすがる思いで音のした方へ茂みを掻き分けながら向かう。
(今度こそさっぱりするんだ…!)
千葉が誇る健康優良児として風呂を欠かしてはいけないのだ。川も近づいてきた事もあり既に赤いコートは脱いである。後はインナーとズボンを脱ぐだけだ。
「ー何者だ!」
鋭い一声と共に近くの気にナイフが投擲される。
ぐすん…
「ヒキガヤさん…何故ここに」
何故…こんな残酷な事が起こるのだろうか…。
目の前で胸を腕で隠しながらこちらを見つめてくるリューさん。さっきの出来事がなければ俺は鼻血を出して倒れていただろう。
速やかにその光景を目に焼き付けた後俺は静かに後ろを向き背中を向けながらこれまでの経緯を(一部抜粋して)説明する。
「なるほど、捜索と鍛錬の疲れが重なり水浴び場を求めていたら私と出くわしたと…」
「まぁ、そんな感じです…」
「そうですか…ではヒキガヤさん…………」
「え、マジですか?」
リューさん、酔ってます?
彼女の口から零れた言葉はいつもの彼女からは想像できないような内容だった。
QーSSを書くようになったきっかけは?
Aーシンフォギアとクウガのクロスで八幡が主人公のssに惹かれたからです(既に消されてる)。