リボルケイン…サタンソード…出そうかな?
アポロン・ファミリアの襲撃から1週間が経った。神様と一時的に別れた僕はロキ・ファミリアに頼み込んで秘密裏に特訓を受けさせてもらっていた。アイズさんを初め、ティオナさんやティオネさんと僕の四人でロキ・ファミリアの管理する訓練場でビシバシしばかれていた。今はやっと休憩を挟ませてもらっている。
ティオナ「そういえば今頃ぼーえー君はどうしてるんだろうねー?」
ベル「アラル神父にオラリオ郊外に連れてかれて特訓してると思います」
ティオネ「へー、あの神父がねー…」
ベル「アラル神父とお知り合いなんですか?」
アイズ「私達の遠征に着いてくるの」
ベル「ええっ!?そうだったんですか?」
ティオナ「ずーっと遠い所から見てるだけなんだよー」
ティオネ「ファミリアの団員が死なないか高みの見物をしてるの。死んだら遺体を回収して自分の所の墓地に埋める…だから死神って呼ばれてるの」
アイズ「深層に行ってもモンスターに狙われることがないのも不思議」
ティオネ「死体にしか興味ない奴があの子を目にかけるなんて絶対何かあるから気をつけるよう言っときな」
ベル「わ、分かりました」
アラル神父…中々闇が深そうな人だ。でも、あの人は悪い人な気がしない…どこか僕達を見守ってくれているような気がする。
フィン「やぁ、特訓は順調かい?」
すると奥から4人のよく知った人達が現れた。1人は小柄な体に大きな力を宿したパルゥム、1人は豪快が服を着て歩いてるようなドワーフ、1人は冷静沈着な雰囲気のエルフ、最後の1人は鋭い目をした野性味溢れる狼人。
ベート「チッ!どうして俺が雑魚の見学なんかしなきゃいけねーんだよ…」
リヴェリア「そう言いながら一番ソワソワしてたのはベートじゃないのか?」
ベート「うっせぇ!ババァ!!ぶっ潰すぞ!」
ガレス「ガッハッハッ!ベートは素直じゃないのぉ!」
ベートさんは心底嫌がってそうだけどその光景はつい最近まで僕達にもあった幸せな日々だった。ハチマン…神様…ヴェルフ…リリ…。
フィン「聞かせてくれないかな?アポロン・ファミリアがあの時何をしたのか」
しゃがんでる僕の目線に合わせてフィンさんが優しく問いかける。僕はあの日起こった出来事を細かく伝えた。
フィン「そんなことが…」
何かを考えるようにフィンさんが状況を察した。
ティオネ「えげつないことするわね…」
ベート「はっ、気にくわねぇ…」
ガレス「随分と豪快に仕掛けられたのぉ…」
フィン「まぁ、君達が無事でよかったよ」
そんなこんなで話をしていたら訓練は再開された。途中で参加した方々は僕を観察するように見ていて少し居た堪れないけどやるしかない。
「はああぁぁぁぁぁ!!!」
(ハチマン…今頃どうしてるんだろう)
ナイフにハチマンへの思いを乗せて今日も訓練に励む。そして地面を転がるのはその一秒後だった。
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ー【ポレポレ】ー
「パフェうめー…」
「あんた…最近まで重症だったんじゃないんかい?」
「ピザ、うめー…」
「人の話くらい聞いたらどうだい!」
「ズズズ…マッ缶レプリ…うめぇ〜」
「お代わりなしにするよ…」
「で、何の話でしたっけ?」
てなわけで、はい、オラリオに帰ってきてました。いやね?早く終わったんだもん…アラルとベル(おっさん)の訓練に1週間耐えて、残り1週間をマキャヴェリとの訓練になる筈だったんだけど…それに使う装置が未完成らしくて急遽できなくなったって事で帰ってきたわけです…はい。
婆さんの話を捌きながら目の前の3点セットを平らげる。
「ごっそさんでした」
「まいど…あんた、身だしなみ整えな…それじゃまるで浮浪者だよ」
「この後行くつもりっすよ…」
店を出ていつもの仕立て屋に足を向ける。
ー【仕立て屋】ー
カランカランと鳴るドアを潜る。
「いらっしゃいま…ぶえええええええええええ!!!!!?????」
「お父さん!?どうしたの!!??」
「驚きすぎじゃないっすか?」
そんな驚かれ方するなんて…ハチマンちょっぴり傷付いたぞ。思い出すのは中学のハロウィン…俺の顔を見た小学生がガチ泣きしてたなぁ…やべ、俺も泣きそうになってきた。
「ヒキガヤさんッ!いいいい、生きておらしたのですかぁッ!!ぼかぁてっきり死んでしまわれたかとぉッ!!」
「よかったね…よかったね…お父さん…」
何この親子…さっきから驚いたり泣き出したり…感情の起伏が激しすぎやしませんか?でもまぁ…生きてて喜ばれるって特段嫌な気はしないもんだな。
「…泣きやみましたか?」
「ぐすっ…ここに来たってことは分かってます!ハチマンさんの為に!我が娘が!愛娘が!考えた最高の一着ゥ!」
と同時にその娘さんが恥ずかしそうに奥から持ってきたコートは確かに素敵なデザインだった。暗めの紫を基本色として、血管を想像させるような赤いラインが入っている。右肩には俺の知らない銀色の花が刺繍されている。
「この花は?」
「わ、私が作ったっていうマークみたいなものです…お気に召しませんでしたか?」
ヘファイストスさんの武器みたいなものか…ふーん、いいじゃん。
「いや、そんな事はないです…いいセンスだ。なんて花ですか?」
「っ!!これはオオアマナです。私が好きな花で店唯一のお得意様のヒキガヤさんに着て欲しくて作ってみました。いいセンス…エッへへ…」
すると褒められたのが嬉しかったのか笑顔いっぱいの表情になり説明してくれる。なんだろう…この気持ち…これが妹萌えってやつか?
「店長…あと二つ…頼みたいことが…」
「服に関することならなんなりと申し付けてください」
「ズボンとブーツとインナーも新調したいんです。あと一つは…」
店長さんとのやり取りは日は傾き空は橙色に染まろうとする頃に終わった。代金を払い終え店を出た俺は新しい服を体に馴染ませながらとある場所へと向かった。
ー【旧ヘスティアファミリアホーム】ー
(………)
瓦礫の前に立ちすくむ。
自分ながら正直未練タラタラなのもどうかと思うがあの日は感傷に浸る暇もなかったんだ。今くらいは別にいいだろう。家が恋しくなるのは人間の本能なのだから…きっと間違ってない…はずだ。
懐かしい…ここに初めて来た日を思い出す。あの日は拒絶されないかビクビクしながら敷居を跨いだっけ…そんでいざ暮らしてみるとボロくて建付けが悪いから木材とか煉瓦とか買ってリフォームしたんだっけ…。
『クラネル…そっちにある板、取ってくれ』
『はい…床も張り替えるの?』
『まぁな、見た感じ腐ってるのもあるし…せっかくの部屋だ、綺麗にした方がムードもでるもんでしょう?神様』
『!!…そうだね!部屋は綺麗にしてなんぼだよ!!中身だけじゃなくて外見にも気を付けないとダメなんだぜ!』
今や苦労してやったのにこんな瓦礫に変わり果てちまってな…。胸にポッカリと穴ができた気分だ。
「アポロン・ファミリア…俺の家を奪った罪はデカいぞ…」
小さくそう呟き復讐を誓う。
「さてと、どこで寝泊まりしようかな」
冷たい風が頬を撫でる。
「はっ…はっ…ぶぇっしょい!!」
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次の日、今日はオラリオを囲んでる壁の上で訓練をすることになったんだけど…。
ベート「…チッ…どうして俺が…」
リヴェリア「……」
謎のエルフ「キッ……」
ベートさんとリヴェリアさんが見てくれているのは分かるけど、知らないエルフの人がこちらをずっと睨んでいる。ベートさんは相変わらず悪態をついているけどどうして来たんだろう。
そんな人達に囲まれながら僕はアイズさんとの訓練に打ち込む。あのエルフの人は僕が転ばされる度に少し笑顔になるのはどうしてだろう…。
アイズ「ベル…強くなったね…」
ベル「あ、ありがとうございます!」
褒めてもらった事は嬉しいけどまだ足りない。もっともっと強くなって、追いつかなきゃ…!
キャッキャッ…
「ん?」
少し下の方が騒がしいから上から覗いてみる。他の人たちも何事かと一緒に覗くとそこには信じられない光景があった。
「すごいすごーーい!!」
「速さが足りてるぅ!!」
「世界がちっぽけに見える…!!」
黒くて大きい手に乗った子供達がぐるぐる回っている。そしてその中心に紫のコートを着た見覚えのある男が立っていた。
「大丈夫かー?」
「「「It’s so fun!!」」」
「ん、よろしい」
満足そうに少し微笑んだ彼は魔法を解除して子供達を地面に下ろした。
「あー楽しかったー」
「これじゃあふつーに走っても速さが足りないよー」
「世界が大きくなっちゃった…寂しい」
「じゃ、きーつけて帰んな」
「えー!もう終わりー?」
「責任取ってよー」
「僕を…もっと高みへ…」
「また今度な?俺用事あんだよ」
軽くあしらい子供達を帰路へつかす。彼…ハチマンは軽く欠伸をしながらその背中を見送った。
「ふぅ…戻って寝るか」
「ちょっと待ってーーー!!」
思わず叫んでしまった。周りの人達がガン見してくるのが恥ずかしい。
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「てなわけで、久しぶりだな、ベル」
「ハチマン!もう大丈夫なの?」
「平気だ、寝てポーション飲んだらバッチリだ」
「相変わらず凄い回復力だね…」
本人ですらドン引きするくらいの回復力であり、それ故にアラストルとベル(おっさん)との訓練がえげつなくなったのを思い出したハチマンは身震いした。
「そういえばここで何してるんだ?」
「訓練だよ、アイズさんに教えて貰ってるんだ」
「ほえ〜…」
ちらりとベルの周りを見渡すハチマン。
「ちょっと多くね?ヴァレンシュタインさんとリヴェリアさんがいるのは分かるがその他2人はどうしたんだ?」ボソボソ
ベート「聞こえてんぞクソ野郎!」
??「その他ってなんですか!その他って!私にはレフィーヤって名前があるんですから!」
その時、ハチマンの長年培ってきたヤバい女センサーが反応した。このレフィーヤって奴は危ない!関わるとろくな事がないぞ!と本能が叫んだのだ。
ハチマン「あっ、ご丁寧にどうも、ハチマン・ヒキガヤっていいます…」
とっさに受け身に回ることで敵対心が無いことを相手に悟らせる高度なテクニック。これには本人も惚れ惚れしている。
レフィーヤ「意外と礼儀正しいんですね…」
ベート「俺は無視かよ!」
ハチマン「いや別に…」
ベート「あからさまに目ぇ逸らすな!!」
するとハチマンとベートの間にアイズが割って入った。
アイズ「2人とも…喧嘩はダメ…」
「「もう二度としません……あ?」」
意外な所で息ピッタリなのを発見したリヴェリアは微笑んでいた。それをチラリと見たハチマンは少し顔を赤らめた。そんな彼を他所にアイズが近づく。
アイズ「ハチマンはこの1週間…何してたの?」
ハチマン「言わせないでくれ…思い出したくない」
遠い目をしながらただそれを告げるハチマン…。一同が状況を察して目を逸らす。その中ベルはひっそりとそんなハチマンに憧れを抱いていた。
(やっぱりハチマンは凄いなぁ…)
ハチマン「そんな事より…戦争はどうなってるんだ?」
ベル「あっ!聞いてハチマン!ヴェルフとリリ、そして命さんが僕達のファミリアに入ることになったんだ!」
ハチマン「おお…そりゃありがたい」
ベル「あとね、ヘルメス様の計らいで助っ人が1人参加してくれるんだって」
ハチマン「助っ人…ヘルメス…っていったらあの人しかいないな…後でお礼しに行かなきゃな」
ベル「そうだね」
ハチマン「で、特訓はどこまでいったんだ?」
アイズ「試してみる?」
それはハチマンとベルの一騎打ちの提案だった。最初は両者ともに困惑していたがその提案に乗ることになった。
ベル「負けても泣かないでね!ハチマン!」
ハチマン「そのセリフ…そっくりそのまま返してやる」
ハチマンがポケットから出した1ヴァリス硬貨を指でピンと弾く。それが地面に着地した瞬間…勝負は始まった。
「ぜああッ!!」
最初に動いたのはベルだ。2本のナイフを構えハチマンに突撃する。ハチマンの手にはフォースエッジが握られている。
ガキン!!
金属のぶつかる音がして火花が散る。斬撃はハチマンには当たらず2本のナイフをフォースエッジで受け止め防いだからだ。
(だったら!)
片方のナイフを手前に引きもう一度ハチマンに向けて斬撃を繰り出すがハチマンが上に飛ぶことで躱されてしまった。
「ファイア・ボルトォ!!」
すかさず魔法を上空にいるハチマンに向けて打つ。ハチマンのいる場所が爆発する。
(やったか…?)
爆煙から離れ様子を探るベル。
「やったか…って思ったのなら、とんだ思い違いだな」
「!!」
爆煙から黒い斬撃が飛んできてナイフで受け止めるが威力に押され4、5m飛ばされる。
「普通の冒険者ならやられてたな」
「へへっ…まるで自分が…普通じゃないみたいな言い方だね」
倒れながら笑って答えるベル。
「
「違いないや…」
「おい、立てるか?」
「ちょっと手を貸してほしいな」
「世話のかかる奴だな…ほら」
差し出したハチマンの手を掴んで立ち上がる。手袋越しだけどそこには確かな温かさがあった。
「じゃ、腹減ったから飯食ってくる…特訓頑張れよー」
手をヒラヒラさせて去るハチマン…しかしそんな彼の袖を掴む一つの影があった。
「まだ何か…?ヴァレンシュタインさん…」
「行っちゃ…ダメ」
「ダメって…空腹なんだけど」
「約束…」
「約束って…じゃが丸くんか…今じゃなきゃダメ?」
「今がいい」
目を輝かせながら見つめられるハチマン。昔からそういう曇りなき視線には人一倍耐性がないから答えは一つしかなかった。
「分かった」
しかし、ハチマンは了承こそしたものの他は許さないはず、例えアイズが良いと言っても他の団員達が許すはずがない。一言でもNOと聞ければ「あっ、じゃあ失礼します〜」って帰る算段だ。我ながら最高の作戦だと内心自画自賛しているのを他所に
ベル「ハチマンの手料理はすっごく美味しいんですよ!お菓子とかもとっても美味しくて!ほっぺが落ちちゃうって神様も絶賛してたんですから!」
リヴェリア「ほう、それは是非食べてみたいな」
ベート「ほー、持ち上げんじゃねぇか…上手くなかったらぶっ殺すからな?」
レフィーヤ「アイズさんが取られちゃう…でもお菓子…うぅ…迷っちゃだめなのに…私もお腹すいてきた…」
どうやら無邪気なベルによって外堀も固められたらしく逃げ道がなくなったようだ。
(こりゃ観念するしかないのか…)
内心後悔しているが30分後に歓喜に変わるのはまだ誰も知り得なかった。
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【ハチマン・ヒキガヤの観察レポート】
○月✕日
オラリオ外にある研究所(仮)にハチマンが運ばれた。アポロン・ファミリアによる襲撃で重症を負ったらしい。ある程度の傷ならポーションやハイポーションを使って塞ぐ事はできたらしいが心臓の損傷が激しい。応急処置としてハヤト・ハヤマに装着させたネオ・アンジェロχを作った際に余った【ギルガメス】があったのでハチマン・ヒキガヤの傷に流し込んだ。【ギルガメス】の性質上意思こそないが宿ったからには絶対に宿主を生かすという研究成果がある。予想は的中してみるみるうちにハチマン・ヒキガヤと同化した。その適合は驚くほど早く、ハヤト・ハヤマが霞んで見えるほどだ。コイツで実験したい気持ちをグッと堪え回復を見守る事にする。
○月△日
次の日にはハチマン・ヒキガヤの傷は完治しており意識も覚醒していた。いくらなんでも早すぎる、マジでなんなの。その日からハチマン・ヒキガヤの強化訓練が開始され、その内容は悪魔でも泣き出すレベルだ。アラストルも言っていた。「Devil May Cryな訓練にしたろ」ってな、昔から悪知恵だけは群を抜いていたからな、改めてイタズラされないように細心の注意を払わねば。ベルもといベリアルも恨みにも羨望にも見える眼差しで彼を見つめていた。聞くに次の日の担当は彼らしい。私も早急にアレを完成させなければいけないが材料が圧倒的に足りない。ふむ、どうしたものか…。訓練後ハチマンの体を改めさせてもらったが中々仕上がっている。無駄な脂肪は根こそぎ削ぎ落とされており筋肉も無駄に膨張していない。すげ
○月□日
明朝に3人で話し合い、ハチマン・ヒキガヤを強くする為には人である事を少しずつ辞めてもらう方針に固まった。あんなデタラメスペックをしているが一応人間なのだ。首を切られれば死ぬし毒を飲んでも死ぬ…はず。よって彼の食事に我らの血を少し混ぜて食わせてきっかけを作ってやることになった。いざ食わせてみると味とかにケチを付けられた。少々頭にきたので後で料理本を読んでみることにした。後は夜になったら恋バナというのも4人でしてみたが中々楽しかった。どうやらアラストルには恋人(悪魔)がいたらしいがスパーダに浮気しようとしたら切り刻まれたらしい。本人も納得しているがスパーダもやる事がえげつない。そういえばスパーダは女性関係が広いが浮気を絶対に赦さない男だったと思い出した。ハチマンにも聞いてみたがどうやら好きという感情が麻痺しているらしい。よって私が気を利かせて彼に休暇を与えることにした。どうせ私の訓練は装置無しでは成り立たない。ならば、人間性を磨くのも訓練だ、とゴリ押して彼に1週間の休暇を言い渡した。オラリオに行くにはアラストルの早馬を使わせよう。
如何でしたか?面白いと感じてもらえたら高評価と感想をもらえると作者のモチベが上がります。
戦争遊戯が終わったら番外編を書こうかなって考えてます。まぁ、2つくらいやりたい事があるんですよね…。