最後にアンケートあるので是非投票してくださいな。
「……」
「……」
目の前に座る少女、アイズ・ヴァレンシュタインは沈黙を貫いている。口下手なのかモジモジしながらチラチラとこっちを見てる。
「話があるって言ってたけど、何の用?」
「謝りたくて…」
「謝るって…何も悪いことしてないでしょ」
「ううん…私、あの後ベルに聞いたの」
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沈んでいく太陽と共に彼の背中が遠ざかっていくのをただ見つめることしかできなかった。彼を怒らせてしまったのだろうか…彼を悲しませてしまったのだろうか…いつもなら感じることの無い不安が心に根付く。
「アイズさん…」
「ベル…今は1人にして…」
折角来てくれたのは有難いけど、訓練はティオネとティオナに頼んで、そう言おうとした…その時だ。
「アイズさん、本当にこれで良いんですか…?」
「……」
「ハチマンは気まずくなったら二度と接してこようとしませんよ。幾ら時間が掛かっても…絶対に、です。それで良いんですか!?」
それは凄く…困る。理由は分からないけど…彼と、ハチマンと話せなくなるって思うと胸がモヤモヤする。そんなのは、嫌だ。
「……!!」
大地を蹴ってホームを飛び出す。今の私は、誰にも止められない。彼が集合場所に指定していたアラル神父の教会に行ってみよう…!
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「ベル…そんな事言ってたのか…」
「うん…」
少し傷付くんだけど…。いや間違っちゃいないんだけどさ、いざ言われるとくるものがあるなぁ…。
「その…ごめんなさい」
「謝るのは俺の方だ。家すら守る力が無かったのは俺…アイズさんには落ち度がこれっぽっちもない…」
「でも…貴方が傷付いてるのを知ってた…」
ベルめ…余計な事をベラベラと喋りやがって…今度じゃが丸くんにワサビたっぷり入れて食わしてやる。
「許すから…そんなにしょげんなよ」
「本当?」ズイ
急に詰め寄ってこないで!前髪が目の前で揺れて……うぉっ、いい匂いするなぁ…やめて!見ないで!そんなキラキラした目で見られるとハチマン溶ける!
「ほほほほほんと…だから…ち、近い…」
肩を掴んで押し出し距離を離す…アッ、とか寂しそうに言わないの。俺じゃなきゃ尊死してるね。
「じゃあ明日も来ていい?」
「まぁ…勝手にしたら…」
「うん…!」
「もう遅いから…帰りな…リヴェリアさんとか、レフィーヤさんとかが心配するぞ」
「分かった…じゃあ、また明日…ハチマン」
手をフリフリしながら帰っていく…アイズさんと話してるとペースが乱れるな……
「期待はしとくか…」
じゃあ、いつ来ても良いように掃除しとくか…。
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ー次の日ー
「…て……お…て…おきて…」
「んぁ?」
ハチマンの重い瞼が開く。ステンドグラスから朝日が差し込み目にダイレクトに入る事はなく、目の前の3つの影がそれを遮り、その輪郭から光が漏れる。
「あっ、起きた」
「ようやく起きたか」
「ぼーえーくん!おっはよー!」
寝起きで重い体を起こし目を擦りながら彼はその声の主を見る。1人は中腰でこちらを覗き込んで、1人は少し呆れ気味に立っており、1人はは腕を後ろに組みながら笑っている。
「どうして…ここに?」
「昨日…来ていいって」
「えぇ…次の日の朝から来る奴がいるかよ…」
「じゃあ、帰る?」
若干しょんぼりしてる雰囲気を感じ取るハチマン。そして後ろの2人は彼をじーっと見ている。
「いや、折角来てもらったのに悪い…シャワー浴びてくるから待っておれい」
着替えとコートを持ってシャワー室に入ってから10分、タオルで髪を拭きながら出てきた彼はエプロンを付けて台所に立った。
「朝飯は済ませたか?」
「ううん…」
「朝早く出たから食べてないな」
「お腹ぺこぺこだよー」
「えぇ…」
だったら食ってから出れば良かったのでは?なんて口が裂けても言えない。なぜなら台所に立った瞬間3人の目付きが飢えた獣のように豹変してハチマンを見ているだから。
「適当に済ますか…」
調理をして約20分、食卓に着く3人の前に数々の品が置かれた。どれもこれも
「見てわかる…」
「これは絶対…」
「美味しいッ…!」
柄にもなく目を輝かせてハチマンが席に着くのを待っている。気にせず食べればいいのに…とはあえて言わない。
「それじゃあ」
「「「いただきます(まーす!)」」」
料理が3人の口に運ばれる。反応が気になり少しソワソワする彼…しかしそれに気付くのは誰一人としていない、なぜなら既に3人の意識は料理に持ってかれたのだから。
「凄く美味しい…」
「食べた途端故郷を思い出したぞ…」
「気分はハイジ…」
中々の反応に小さく頷きながら一口食べる。そんなに美味いのか?とか思いながら咀嚼していく。
そんな微笑ましい光景も時が過ぎれば終わり、片付けも済まして長椅子に腰掛ける。対面には3人が座っている。
「「「「…………………」」」」
圧倒的無言。アイズはハチマンを凝視し、リヴェリアは目を瞑り、ティオナはステンドグラスに目をキラキラさせてる。
「ベルは頑張ってるか?」
沈黙を破ったのは珍しくハチマンだ。
「うん、凄い勢いで成長してるよ」
「そっか…」
「ハチマンはこれから何するの?」
「そうだな…仕込みでもしに行くか…」
「「「仕込み?」」」
「ま、勝負は開始前から始まってるってことですよ」
ニタァ、と不敵に笑う彼に疑問と少しばかりの畏怖を感じる3人であった。後に普通に笑ったつもりのハチマンはそれを聞いて少し涙目になった。
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アポロン・ファミリアにて
「うぅぬ…」
・我がファミリアが勝った暁にはベル・クラネルとハチマン・ヒキガヤを迎え入れる
・もし、億が一、いや、一兆分の一の確率で負けた場合ヘスティア・ファミリアの言う事をなんでも聞く
・戦争形式は攻城戦、先行はヘスティア・ファミリア
・ヘスティア・ファミリアはフレイヤの計らいにより、助っ人が導入された。但し都市外のファミリアの構成員だ。
ここから見るに我が子達は負ける道理が一切ない。たかが構成員2人に+αだ。ヒュアキントスやダフネを筆頭とした優秀な子供達が戦局を見誤ったりしない限り大丈夫だろう。
しかし一つ気がかりがある。
ハチマン・ヒキガヤだ。奴は神会でも他の神々が言っていた通りレベル2の道から外れた桁違いな力を秘めている。奴さえ完封できれば問題は無いのだが…
「どうしたものか…」
別にハチマン・ヒキガヤが喉から手が出る程欲しいわけじゃない。ただ、不思議な何かを感じるのだ。我が子達を打ちのめせた恐怖でも打ちのめした怒りでもない。彼を見るとどこか体の芯が痺れるような感覚に襲われるのだ。
「アポロン様…」
ヒュアキントスがやってきて我が思考の連鎖を遮る。どうしたんだ、と感情を悟られぬようゆっくり言葉を紡ぐ。
「客人が…」
「一体何の用だ?」
「どうやらハチマン・ヒキガヤに対抗できるらしく…」
すると奥からガシャッ…ガシャッ…と鎧特有の金属の擦れる音が響く。その男は銀色の鎧を身にまとい私の3m先に立っていた。
「ほう…ハチマン・ヒキガヤをどうにかできるのだな?」
「……」
すると無言でその男は頷く。私に対する不敬だとヒュアキントスが剣を抜こうとするが手を横に出しそれを遮る。気迫だけで分かる。彼は強い
、とてもヒュアキントスが太刀打ち出来るような相手ではない。私は子は信じるが特攻させてやるほど冷徹でもない。
「では、主神権限をもって今から貴様をアポロン・ファミリアの臨時構成員として認めよう。本番では好きに動くといい!所で貴様…名は?」
「……ネオ・アンジェロ」
そう小さく呟くとネオ・アンジェロは踵を返して帰っていった。
「アポロン様、宜しかったのですか!?」
「ハチマン・ヒキガヤと対峙しても貴様は勝てどタダでは済むまい。リスクを抑えたに過ぎん」
こうも都合よく駒が揃うなんて…どうやら私は幸運の女神にすら愛されているようだ。そう思うと自然と笑みが零れてしまう。
「この勝負…貰ったぞ…!ヘスティア!!」
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「ふぅ…」
戦争の仕込みも終わった…昼飯も色々と済ませた…後やり残したのは…一つあったな…夜やるか。はぁ…汚れ仕事が多すぎる気がするぞ。
「日も傾いてきた、帰ったらどうだ?」
振り返り、今日一日べったりくっついてきた3人に帰宅を勧める。
「まだ夕方…」
しかしそのうちの一人が口答えをする。
「でもな、遅くに女3人で歩いてたら暴漢に襲われるかもしれんぞ」
「大丈夫、私達、強いから」
「そーだそーだ!」
「余り侮ってもらっては困るぞ」
「でもなぁ、もうする事ないんだ今日の所は大人しく帰りな」
「ダウト」
間髪入れずリヴェリアさんが指摘してくる。そう、これは教えて貰ったことだが、彼女は人の嘘を見抜けると神に似た芸当ができるらしい。厄介だな…。
「そりゃ帰ったらやる事とかありますよ」
適当にピアノ弾いたりとかね。
「それに俺達は別のファミリア、あんまりベタベタしてる所を見られても困るのはお宅らでしょ?」
その一言が決め手となったのか渋々と3人が帰っていく。その背中を見送っているとアイズが振り返る。
「また今度ね」
「明日は勘弁してくれよ…」
そう言うと心做しかクスッと笑った彼女は2人の背中を追っていく。全く、ベルに見られたら怒られそうだな。
「さてと、最後の仕事に行くか…」
教会とは別の方向に向かっていく。
仕事内容を頭の中で整理する。
・クライアントはソーマ
・自分がほったらかしにしてたファミリアの財政を見直してるとを見直してると不審な点が見つかった為、その不穏分子を排除して欲しいとの事…手段は問わないらしい
・これは今日リリルカを訪ねた際に聞き、犯人は団長のザニスに間違いないとの事、他にも色々と黒い事業に加担してるらしい
聞いた限りかなりの金の亡者らしく、金のためなら殺人も厭わないらしい。悪行の数々も氷山の一角に過ぎないらしい。
「改心…は無理だな」
したところで今までの悪行も消えることは無い。そいつのせいで悲しんだ人も少なくなかろう。裁くにしたって誰かが手を汚さなくちゃいけなくなる。
「そこで俺だな…」
どうせ手なんて幾らでも汚れてんだ。今更なんて事ないだろう。
「着いたな…」
ソーマ・ファミリアのホームに到着した頃には日は沈み月が俺を照らしていた。
「さてと、月にかわっておしおきといこうじゃねぇか」
クイックシルバーで時を止めて、10カウントの間にホーム内の適当な倉庫に入り、能力を解除する。マジックポーションを飲んだら少し開けた扉の近くに待機する。気分はスネークである。
カツ カツ カツ…
足音から察するにどうやら2人だ。
「最近のソーマ様、変わっちまったな」
「そうだな、まぁ、いい変化なんじゃないのか?神酒とまではいかないが美味い酒はくれるしよ、ステイタス更新だって無料でしてくれるしな」
どうやらソーマの変化はウケがボチボチらしい。
「違ぇねぇ、だけどよ、うるせーのはザニスだよな、テメェの収入が減ったからってギャンギャン喚きやがってよ」
「ザニスと言えば聞いたか?ヘスティア・ファミリアをアポロン・ファミリアが襲撃した時にザニスも加担しようとしたらしいがソーマ様が止めたらしい。どうやらヘスティア・ファミリアの亡影と仲が良いらしい」
「あの亡影が?噂じゃ結構な女たらしらしいな」
ん?
「マジかよwwそりゃ罪深けーn」
チャキッ…
ルーチェとオンブラをそれぞれ2人の頭に近付ける。
「大声出したら一瞬で頭とお別れさせる」
ガタガタと震えながら両手を上にあげ無抵抗のポーズをする。
「よろしい、分かったらゆっくりと後ろの倉庫に入れ」
2人を誘導して倉庫の中に入れる。何かアクションされても困るからギルガメスを幻影剣に纏わせ2人の喉元に突きつける。
「ぼ、亡影、なぜここに…」
「ちょいとザニスに用があってな、大人しくするなら傷付けやしないが…」
「な、なんでも話す。だからどうか…」
「ザニスは何処にいる?」
「中央階段を登って3階に上がってすぐ目の前にある部屋の隣だ。この時間なら金の勘定をしてるハズだ」
本当かどうかを軽く探るために透明な魔力を俺を中心にしてドーム状に広げハンターハンターの円のようにして人の場所を探る。ふむ、どうやら3階の中央ら辺に人がいるな。
「分かった、協力感謝する」
幻影剣を解き2人を解放する。
「ソーマは…ああ見えてアンタらに向き合おうとしてる。今までの事を考えればそう上手くいかないのは分かるが、不器用ながら頑張ってんだ。支えてやってくれ…それと、俺はたらすほど女に免疫なんてない。覚えとけ」
そういい倉庫から出て時を止めて3階に上がって中央右部屋に入る。ザニス金を握りしめて名簿みたいのに何かしらを書き込んでいる。制限時間も近づいてるため、ザニスな猿轡をしてベオウルフで金魂を思いっきり蹴りあげて解除する。
「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!!」
白目を剥きながら倒れたザニスを予め持ってた麻袋に入れて口を縛る。他にも関係がありそうな書類とかもあら方纏めて懐に仕舞い、金庫に入ってる金を全て頂戴する。他にも床とか棚をひっぺがしたりして何か隠してないか隅々まで探す。
「これでよし…」
金が大量に入った袋とザニスを抱えて隣の中央部屋に入る。
「よ、久しぶりだな、ソーマ」
「ハチマン、怪我は大丈夫なのか?」
「ダメだったらここにはいない。依頼通りザニスとその悪事の数々と金は俺がかっさらってく…いいんだよな?」
「あぁ、ザニスは欲に溺れすぎた、これではファミリアが正常に機能しなくなる。アーデも、帰って来れない」
そう、リリルカはファミリアを脱退する事はできたが
「すまない、ハチマン…こんな事を頼んでしまって」
「なに謝ってんだよ、これはお前が決めたことだろ?それに俺を使うのに何を躊躇う」
「しかし…」
「だったら後でパフェを一杯奢れ、それでチャラな」
「それじゃあ…「いいんだよ」」
「これでお前と、その子供達が変われるならリリルカも悪い気はしないだろう、だから、それでいいんだ」
後でパフェ奢れよ、と言い残し窓からデカい袋2つと沢山の書類を持って飛び出す。今度は寄り道せず教会に戻ろう。
「色々と話は聞かせてもらうぜ?」
拉致か…今日で2回目なんだよな…。昼にアポロン・ファミリアの構成員1人、酒場で最初に喧嘩ふっかけて来た奴、確かルアンっていってたっけ。それとザニス。自分がされた事をいざし返すとなるとどこかもどかしい気持ちになる。
「憂鬱だ」
終わったらミアさんのパスタを食べに行こう。こんな美談にもならないような事はこれで終わるのだろうか。
「はぁ…」
袋を抱え屋根から屋根へと飛び移る。姿を見られないように18階層で押収した【ハデスの兜】を被る。え?最初から着けてればよかったって?バカヤロー!そんな特典装備みたいなの着けてクリアしたって虚しくなるだけだろ?
アポロン・ファミリアとの戦争遊戯まで後5日
いかがでしたか?
悪いやつを懲らしめるのに自分も似たような事して葛藤するのって堪らなくいいですよね。
是非面白いと思ったら高評価と感想をお願いします。作者が血反吐を吐きながら喜びます。